雰囲気で読む話

塩バナナ

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こども

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私は生まれて五年が経つ。
つまり五歳の男児である。


あざとく幼く目を輝かせてあれは何、これはと尋ねれば庇護欲を掻き立てられるだろう。ついでに小さく服の裾でも引けばその効果は倍増されよう。




子供は悩みがなくて自由だ。
一体誰がこんなことを言い出したのか。
確かに子供は守られ、大人の庇護下に置かれ、働く義務もない。
だが、一度ひとたび子供を職業だと考えてみるとこれ以上ない不自由だ。
大人のいうことを聞かなければ叱られ、普通より出来なければ詰られ、普通より出来が良ければ気味悪がられる。こんな理不尽な仕事は他に聞いたことがない。



大体、何をもってして悩みがないと断定できるのか。
考えても見てくれ。『餓鬼は嫌いだ』と上から見下される恐怖を。『自分はお前よりうんと長く生きている』そう言いながら嘲った表情を向けられる子供の気持ちを。『大人の言うことだけ聞いていればいい』と言われるが、二人の大人の言うことの矛盾を。


『餓鬼は嫌いだ』?
知るかそんなの。わざわざ本人に向かって言うことかそれは。

『自分はお前よりうんと長く生きている』?
私はお前と違う人生を五年も生きている。生の長さは優劣で測るものではないだろう。

『大人の言うことだけ聞いていればいい』?
子供は奴隷か。




考えてみてほしい。子供でも一個人だと理解して言っている言葉なのか。




私は子供だ。

庇護下に置かれるだけの一人の人間であり、大人の言葉が絶対の子供だ。
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