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11 ~天Side~
しおりを挟む手に熱いものがかかる。頭の片隅では「他の奴らと同じになるのか」と声が響いているのに、目の前の据え膳の痴態を見たらそんな声くらいでは止まれない。
「なに休憩してるの。俺もイかせてくれるんでしょ?」
再び手を伸ばした彼の手を払って、自分の欲求を伝える。こんなの変態みたいじゃないか、なんて自嘲をしながら。
「違うよ。今度は舐めて」
彼は一瞬だけ驚いた顔を見せたけれど、嫌がることはしなかった。自分から進んで舐めるのに負担にならない姿勢をとって、先端をちろちろ舐める。
きっと初めてなんだろうにそこまでするいじらしさがが可愛くて、理解が出来なかった。
どこまでなら許すんだろう。兄のために、どこまで出来るものなんだろう。
普通の人間なら、兄弟のために自分の体を差し出そうとなんて思えない。少なくとも自分や周りの人間は、そんな自己犠牲精神を持ってなんていないだろう。
彼だって言葉で言っているだけで、いざやろうとしたらすぐに音を上げると思っていた。ここまでするなんて、思っていなかった。
じゃあどこまでなら出来るの。そんな子どもの試し行動みたいに、どんどん要求水準を高めていく。こんなに優しい人間がこの世に存在することを、自分の手で否定したくて。
「そんな優しく舐めててもイけないよ。咥えてくれなきゃ」
自分の体の一部が人の唾液まみれになるなんてありえないと思っていたけれど、征服欲が満たされていく感じは悪くない。少しだけフェラをさせたがる男の気持ちも分かるな、なんて考えてしまうほどに。
自分で言うのもなんだけれど俺のはそれなりに大きくて、彼も咥えるのには苦労をしているようだった。おそるおそる咥える彼では、弱い刺激しか与えてくれない。
もっと、もっと気持ちよくなりたい。
彼に、「もう無理だ」って言わせたい。
2つの欲求が行動になって、彼の頭に手を伸ばす。少しだけ残った理性が謝ろうとしたけれど、それは手を止める力にはならなかった。
「んぐぅっ!? っ……!」
頭をグッと押さえつけて、彼の口の中にすっぽりと俺のをおさめる。
「歯、立てちゃダメだからね」
聞こえてるのか分からないけれど、痛みは襲ってこない。突然の出来事にパニックになって力が入れられていないのか、それともこれさえも受け入れてしまえているのか。
「っ、ははっ、きもちー」
喉の奥の方で締まる感覚が、たまらなく気持ちいい。さっきまでとは比べ物にならない快感だった。
「イく、かもっ……」
彼の口の中からじゅぷじゅぷと音が聞こえる。唾液と先走りが入り混じってるであろう音がやけに卑猥で、より気持ちが高ぶっていく。
相手のことなんて気にもせずに、ぐっと彼の頭を押し込む。
「んっぐ、んうっ」
「は、ん……、っ――!」
気付けば、彼の口の中で達していた。さすがに飲むまでは出来ないだろうと思い、ティッシュを取りに行こうとするも、彼の声に阻まれる。
「どこ、行くんですか」
「……もしかして飲んだの?」
「口の中に勢いよく飛んできたら飲んじゃいますって」
さも当然のようにそう言われて、イラマチオまでさせたことへの文句さえ何ひとつ言われなくて、空いた口が塞がらない。
「なんで、平気そうなの」
「……嫌がれても、萎えるだけでしょう」
彼の言葉を聞いて、完全に完敗だと悟る。
これは、ただの自己犠牲などではない。目標のために手段を選ばないところは、自分にも思い当たるところがあった。ただ手段の質が、人を傷つけるものか自分を傷つけるものなのかという違いというだけで。こうなった時の相手は、自分は、てこでも動かないということも知っている。
「続き、ヤらないんですか」
腑に落ちてしまえばこれまでの衝動もなくなって、冷静な心が戻ってくる。彼に興味をなくしたからではない。彼自身に興味を抱いたからこそ、酷いことはしたくないと思った。
「最後までやっても、俺が君の望み通りに動くことはないよ」
「っ、そんなのやってみなきゃ……!」
「その代わり、これから表の仕事を手伝って」
他人が『サポーター』制度を使って何をしていようと、特に興味は湧かなかった。不満を持っているであろう生徒たちも、自分に対して真正面に向かってくる人なんていなかったから。声があがらないことは、見なくてもいいことと同義だった。
でも、覚悟を持ってぶつかってきてくれる人がいるのなら。そんな人がいたのなら、多少のデメリットには目を瞑ってでも動く価値はある。
……そう、思っていた。彼が自分にとって、離したくない存在になるまでは。
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