だって僕は君だけのモノ

沙羅

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2週目 [告白]

第16話 ~拓海Side~

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『お前にしては後先考えない行動をしたんだね。勝算はあるの?』
勝算なんてあるはずない。ただ、彼女に対して卑怯な手は通用しないと思っただけ。だからこそ苛つくし、彼女を認めてしまった部分もあった。
だからこれは、僕のけじめ。

『けじめねぇ……。お前が選ばれなかったら、また命でも賭けるつもり?』
そんな声の問いかけに、それ以外に何を賭けるものがあるのかと思う。千秋ちゃん無しで僕は生きられないと、そう教えてくれたのは声だというのに。

千秋ちゃんは僕を選ばないことくらい。分かっている。
でも、このままの状態も僕には耐えられない。
千秋ちゃんの一番になることを諦められないまま、彼女が隣にいるのを見るなんて。そして、千秋ちゃんにそういう存在ができる度に邪魔をしてしまいそうな自分に、耐えられない。

自分が何をするかが分からないのが怖いのだ。もし彼女の隣で幸せそうに笑っている千秋ちゃんを見たら、彼女のことを本当に殺してしまいそうで。
この数日間で、自分の意志の弱さは身に染みてわかった。こんなにも自分勝手な声が自分の本心で、どれだけ耳を貸さないようにしようと思っていても、最終的にはその声に従ってしまうということも分かってしまった。
そんな自分、もう千秋ちゃんの隣にいる資格はない。

こんな気持ちが続くくらいなら、きっぱり諦める機会をもらって「千秋ちゃんの僕」のまま消えてしまいたい。嫌われてから死ぬなんて、そんな惨めなことしたくない。


そんなことを考えながらもしっかりと足は動いていたようで、自分の家の前に立ち止まる。相変わらず明かりの点いていない、真っ暗な家。
いつもなら夕食の準備を動けるうちにしてしまうのに、今日は真っすぐに自分の部屋へと向かった。そして、そのままベッドに倒れる。
何も、やる気が起きない。

「千秋ちゃん……」
こんな空虚感がある時は、彼に頼ることしか知らなかった。だから、ついいつもの癖で電話帳のアプリを起動させ……そのままスマホの電源を落とした。
今千秋ちゃんに会ったら、きっと自分は彼を傷つけるようなことを言ってしまう。
それに、またこの間みたいに断られたら? そう思うと怖くなって、自然と指が動いていた。

『みじめだね。自分から結果の見えた勝負なんて申し込んじゃってさ』
『せっかく千秋が繋いでくれた命なのに、またお前は無駄にするんだ』

自分を責める声はそれでも止まらなくて、苦しさが増す。
誰かに会いたい、愛されたい。
なのに、誰にも会いたくない。

「千秋、ちゃん」
そう呟いて、僕はふらふらと立ち上がった。

本物の千秋ちゃんは無理でも、あの千秋ちゃんなら僕を拒まないでいてくれるはず。
そう思った僕は本棚からアルバムを取り出して、その写真1枚1枚を目に通した。現在から遡ると、徐々に2人の写真が増えていく。2人で写っている写真を撫でると、いくらか声が小さくなったような気がした。

……この時は、千秋ちゃんが僕だけのヒーローだった頃は、僕たちの関係は特別だったのに。僕にはもちろん千秋ちゃんしかいなかったし、きっと千秋ちゃんだって僕のためだけに生きていたところがあった。

一通り見終えればゆっくりアルバムを閉じて、それを抱えたまま再びベッドに寝転んだ。

「千秋ちゃん……僕を選んで」
本音と同時に、目からは雫が流れ落ちる。

「僕を、捨てないで」

目の前が霞んでいくのを感じながら、それを拭うのも面倒だと固く目を閉じた。

暗く冷え切った部屋の中、何かから守るようにアルバムだけを抱きしめて。
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