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2週目 [告白]
第21話
しおりを挟む拓海が走り去っていってから、僕は覚悟を決め、彼女に向かって頭を下げた。
「ごめん。本当にごめん。僕は、美穂ちゃんとは付き合えない」
一度は告白を受け入れた癖に、たった数日で振るなんて最低だ。
それでも、やっと今、自分の気持ちに正直になる準備ができた。遅すぎるけれど、もうこれ以上手遅れにはなりたくない。
「……それは、千秋くんも拓海くんのことが好きだったってこと?」
「好きか、どうかは分からない」
「だったら……!」
「でも、一番大切なのはって聞かれて、ずっと一緒に居たいのは誰なのかって考えたら、僕には拓海しか思い浮かばなかったんだ」
本当は反省をしなければならない状況なのに、そう言葉にすればなぜか気分までもが晴れていく。きっと、気付いたからだ。一番大切にすべきモノに。
「何それ……。そんなのもう、好きってことじゃん……。あーあ! 拓海くんを帰したのは、私を選んでくれたってことだと思ったのにな~」
彼女はおどけた調子でそう言う。悲しんだ姿を見せすぎないように、気を遣ってくれているのが分かった。
それと同時に、やっぱり拓海もその勘違いをしてしまっているのだろうかと不安になる。もしそうだとしたら……早く彼のもとに行かないといけない。
「でもしょうがないよね。私もさ、拓海くんの言葉を聞いて彼には勝てない、って思っちゃったから」
そして彼女は、焦る僕の心中を察しているかのように、僕の背中を押した。
「拓海くんの方に今すぐ行ってあげて。それで、『貸しは返してよ。ちゃんと誤解は解いてね』って伝えて」
その言葉の意味するところは僕には分からなかったけど。僕がこの場を離れる理由をくれた彼女の優しさに、ただただ感謝をする。
「美穂ちゃん、ありがとう。絶対、拓海と話してくるから」
今度は感謝の気持ちを込めて頭を下げて、僕は走り出した。
1秒でも早く拓海のもとへ行こうと足を精一杯に動かす。気持ちが昂るあまり、許可ももらっていないのに扉を開けようとして――鍵がかかっていることに気が付いた。
どこにいるかを聞くため、電話をかける。だが、拓海は出てくれなかった。
いつもだったら、授業中とかでもない限り僕の電話にはすぐに出るのに。
つまり、思い上がりでなければ、電話に出れない理由は今の状況にある。僕が美穂ちゃんの方を選んだ。拓海はそう思って、僕と会わないことを選んでいるのだ。
違うんだって伝えないと。僕は拓海を選んだって、そう伝えなきゃ。
何度も何度も電話をかける。
ツッと音が鳴って、やっと出てくれた!と安堵すれば
「僕の上着のことなら、玄関に置いといてくれればいいから」
とだけ言われて一方的に切られる。
そんな態度にだんだんとムカついてきて、狂ったように電話とメッセージを送った。
「電話出て」
「中にいるんでしょ」
「鍵あけて」
「どうして無視するの」
「伝えたいことがあるんだって」
まるでストーカーみたいだと思いながら、鬼電と鬼メッセージの動作を繰り返す。
5回ほど繰り返した時、やっと電話が通じた。
「……なんで、僕なんかのところに来たの」
本当は、無視すんなよと怒ってやるつもりだった。でもその声があまりにも憔悴していたから、僕は彼を安心させることを優先する。
そんなの、拓海の方を選んだからに決まってるだろって。
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