上 下
3 / 4

女神の子供①

しおりを挟む
『覚醒の湖よ!』
(…へ?)
私、もう覚醒してるけど?
『今、私はもう覚醒してるのになんで連れてきたんだ?って、思ったでしょ?』
正解!
『アイリナの力は完全復活していないわ。だから、ここに来たの。ほら。中に入って。』
えぇ…
2回目なんだけど。
(わかったわ。)
私は嫌々湖の中に飛び込んだ。
この感覚、覚えてる。
何かに包まれるような感じ。
『お嬢さんは、自分の力を復活させたいのかい?』
男性の声が頭の中で聞こえた。
「そうだけど。」
『なんで?』
「自分の力を取り戻したいから。ねえ、湖の神さん、私の質問に答えて。あなた、だれ?」
正確には、なんで水の女神が代々管理している湖に男がいるの?って聞きたいんだけど、それだと長いのよね。
湖にいる不審者は一瞬だけ黙り込み、すぐに答えを出した。
『僕は、死んだ姉さんの代わりに湖を管理している、水の神さ。』
湖の女神の弟は悲しそうな声で喋った。
女神が、死んだ?
そんなはずがない。だって、私が300年前に来た時は、女神は200歳だった。
そして、女神の平均寿命は2万歳。
500歳で死ぬなんてこと、ありえない。
『姉さんは、大聖女様が死んだ時、幼い双子を置いて、自決した。
え?もしかして、女神が死んだのって私のせい?
水の神は姿を表し、完璧な土下座をした。
『あなた、大聖女様ですよね?お願いします。双子のことを引き取ってください!』
バレてたか。
「こ、子供?」
私は少しだけ後ろに下がった。
『お願いします!9歳の女の子と男の子です!僕はもう二人のことを守れません…』
私はまだ若い水の神の必死なお願いに、首を縦に振るしかなかった。
「わかりました。」
『あ、ありがとうございます!早速呼びますね!おいで。アクア、マリン。』
水の神が二人の名前を呼ぶと、湖の奥から上に上がってきた二つの水玉が人間の形に変身した。
『大聖女様、この子達は水の神の象徴を持っていません。しかし、魔眼を持っています。これから、この子達のことをよろしくお願いします。』
水の神はお辞儀をすると、私達を湖から出した。
えっ、ちょっ!
肝心の覚醒は!?
『ダイアナ、覚醒はできた、って、その子は?』
「亡き水の女神の息子と娘。双子だって。後、覚醒はできなかった。」
『は、はあああっ!?』
しおりを挟む

処理中です...