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第九話 地獄の五日間《前編》
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───四月十九日 午後二十二時。東京都・空港の屋上にて
樋口君を護るために、私は空港の屋上に身を置くことにした。織田君と太宰君は事務所を守ってもらっている。防衛戦二日目は、私永井が挨拶代わりとして、相手になろう。めんどいけどね! まぁ、部下にい所見せてあげたいし。空港は閉まっているから人はこないだろうし、破壊まではいかない。問題になるし、私がここで負ければ後が大変。それだけは避けなくてはならないね。
「それにしても、まだ肌寒いね~」
「そうですね」
私の背後に、聞き覚えのある声が聞こえた。静かに振り向くと、フョードル・ドストエフスキーがそこにいた。私は小さくため息をつき、フョードルを睨んだ。
「君が来たのね……」
「えぇ。僕と貴方は赤い糸で結ばれていますからね」
「失礼だけど、その発想気持ち悪いからやめて。というか死んでほしい」
私はそう吐き捨てると、フョードルは『おやおや』とクスクスと笑った。彼の前では本来の自分をさらけ出してしまうほど、虫唾が走る。
「それで、今日は太宰君と織田君はいないのですか?」
「いないよ。それで?樋口君狙いで来たのかな?残念だけど、ここは私が通さないよ」
「そうですか……無理矢理でも通していただきましょうか」
次の瞬間、フョードルは私に目掛けて拳銃を三発発砲してきた。私は外套に隠していた打ち刀を取り出し、銃弾を真っ二つに斬った。フョードルは手を叩き『素晴らしいですね』と嬉しくもない誉め言葉を私に送った。
「嬉しくないんだけど」
「相変わらずの太刀筋ですね。三年前と変わらない」
「はいはい。でも、少しなまっているけどね~」
私が話しているのにも関わらず、またもや発砲をしてきた。今度は刀で斬らずに、左右に避けた。
「人の話を聞くことを推奨するよ」
「フフッ。それは貴方の方ですよ。僕一人で来ると思いましたか?少しは警戒した方がよいのでは?」
フョードルの言葉を瞬時理解した私だが、もう少し早く気づければよかったのかもしれない。
背中に激痛が走った。例えるなら毒蛇にかまれた特有の痛みと痺れ。振りむくとそこには、赤髪の青年が小型ナイフで私の背中を貫いていた。急所は外れてはいるものの、ナイフにはどうやら毒が塗っているみたい。
「あんた、永井荷風っていうんだろ?初めまして、俺は谷崎潤一郎!敢えて光栄だな!」
「こちらこそ敢えて光栄だよ、谷崎君っ!」
私は後ろに手を伸ばし、谷崎君の腕と肩をつかみ、ナイフが刺さったまま背負い投げをした。すると次の瞬間、地面に青い花が辺り一面に咲き誇り、その青い花の葉が成長し、私に向かって伸びてきて手足に巻き付いてきた。身動きが出来なくなった私を見て、フョードルは嬉しそうに笑みを浮かべた。
「フフフ……そのナイフには毒が塗ってあります。しかも即効性のもの。そして谷崎さんのギフトは【どの場所でも青い花を咲かせ、毒性のある青い花の葉で対象者を殺害できる】。ギフト名は《青い花》。内容は知っていてもギフト名は知らなかったですよね?」
私は彼らの頭の悪さについつい声を出して笑ってしまった。フョードルと谷崎君は私が笑ったことに対しイラついたのか、葉の締め付けが強くなった。
「君たちの頭の悪さについ笑ってしまったよ!ごめんごめん!って言うと思ったかい?」
すると、突如葉の締め付けが消えた。私の目の前には、青い花そのものが綺麗に刻まれたものが辺りに散らばっていた。
「いやー助かった助かった!」
「ったく……こんくらいどうにかできたでしょうが!」
「フフ……どうかな~。でも来てくれると思ったよ」
───私の芥川君
樋口君を護るために、私は空港の屋上に身を置くことにした。織田君と太宰君は事務所を守ってもらっている。防衛戦二日目は、私永井が挨拶代わりとして、相手になろう。めんどいけどね! まぁ、部下にい所見せてあげたいし。空港は閉まっているから人はこないだろうし、破壊まではいかない。問題になるし、私がここで負ければ後が大変。それだけは避けなくてはならないね。
「それにしても、まだ肌寒いね~」
「そうですね」
私の背後に、聞き覚えのある声が聞こえた。静かに振り向くと、フョードル・ドストエフスキーがそこにいた。私は小さくため息をつき、フョードルを睨んだ。
「君が来たのね……」
「えぇ。僕と貴方は赤い糸で結ばれていますからね」
「失礼だけど、その発想気持ち悪いからやめて。というか死んでほしい」
私はそう吐き捨てると、フョードルは『おやおや』とクスクスと笑った。彼の前では本来の自分をさらけ出してしまうほど、虫唾が走る。
「それで、今日は太宰君と織田君はいないのですか?」
「いないよ。それで?樋口君狙いで来たのかな?残念だけど、ここは私が通さないよ」
「そうですか……無理矢理でも通していただきましょうか」
次の瞬間、フョードルは私に目掛けて拳銃を三発発砲してきた。私は外套に隠していた打ち刀を取り出し、銃弾を真っ二つに斬った。フョードルは手を叩き『素晴らしいですね』と嬉しくもない誉め言葉を私に送った。
「嬉しくないんだけど」
「相変わらずの太刀筋ですね。三年前と変わらない」
「はいはい。でも、少しなまっているけどね~」
私が話しているのにも関わらず、またもや発砲をしてきた。今度は刀で斬らずに、左右に避けた。
「人の話を聞くことを推奨するよ」
「フフッ。それは貴方の方ですよ。僕一人で来ると思いましたか?少しは警戒した方がよいのでは?」
フョードルの言葉を瞬時理解した私だが、もう少し早く気づければよかったのかもしれない。
背中に激痛が走った。例えるなら毒蛇にかまれた特有の痛みと痺れ。振りむくとそこには、赤髪の青年が小型ナイフで私の背中を貫いていた。急所は外れてはいるものの、ナイフにはどうやら毒が塗っているみたい。
「あんた、永井荷風っていうんだろ?初めまして、俺は谷崎潤一郎!敢えて光栄だな!」
「こちらこそ敢えて光栄だよ、谷崎君っ!」
私は後ろに手を伸ばし、谷崎君の腕と肩をつかみ、ナイフが刺さったまま背負い投げをした。すると次の瞬間、地面に青い花が辺り一面に咲き誇り、その青い花の葉が成長し、私に向かって伸びてきて手足に巻き付いてきた。身動きが出来なくなった私を見て、フョードルは嬉しそうに笑みを浮かべた。
「フフフ……そのナイフには毒が塗ってあります。しかも即効性のもの。そして谷崎さんのギフトは【どの場所でも青い花を咲かせ、毒性のある青い花の葉で対象者を殺害できる】。ギフト名は《青い花》。内容は知っていてもギフト名は知らなかったですよね?」
私は彼らの頭の悪さについつい声を出して笑ってしまった。フョードルと谷崎君は私が笑ったことに対しイラついたのか、葉の締め付けが強くなった。
「君たちの頭の悪さについ笑ってしまったよ!ごめんごめん!って言うと思ったかい?」
すると、突如葉の締め付けが消えた。私の目の前には、青い花そのものが綺麗に刻まれたものが辺りに散らばっていた。
「いやー助かった助かった!」
「ったく……こんくらいどうにかできたでしょうが!」
「フフ……どうかな~。でも来てくれると思ったよ」
───私の芥川君
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