生まれ変わりは嫌われ者

青ムギ

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21話

「……。」
壊れた木剣を森の中の廃れた小屋の中へ運ぶ。何年も使われていない小屋は埃だらけで蜘蛛の巣があちこちに張っていた。この場所は嫌な思い出しか詰まっていない為、あまり長居はしたくない。強く捻ると取れるドアノブ。金具が腐り開かなくなった窓。ここに閉じ込められたら最後、1人では脱出できない。

「…恐怖を植え付けられた場所…」

生前、俺はセドリックの取り巻き連中にこの小屋に閉じ込められ食料も水もない状態で一日を過ごした記憶がある。暗闇の中必死に大声を上げ助けを求めたり、叩き壊そうと試みたが、今思えば此処は訓練場から少し離れた森の中だ。外から聞こえるカラスの鳴き声や風の音が鮮明に記憶されている。閉じ込められている時、泣きこそはしなかったが、グレンが助けに来てくれた時は安心からか人目を気にせず泣いてしまった。あの恐怖体験以降、俺は暗闇や閉所が嫌いになった。

「恐怖…?」

突然背後から声がしたので、俺は驚きつつもすぐに後ろを振り返った。

「…!!!グレン王子…、何か御用でしょうか?」すぐに頭を下げグレンの言葉を待つ。

「あぁ。…訓練場にいる者には伝えたが、近々行われる兵士選抜試験は延期する。」

「延期…ですか?」バッと顔を上げた俺にグレンは真っ直ぐな瞳で「そうだ。」と返事をした。

「理由を……聞いてもいいですか。」

「隣国とグリード族が戦争している事は知っているか?」頭を抱えながらグレンは説明をする。

「…はい。グリード族は確か領土拡大を目論もくろんでいる部族ですよね。」

「あぁ。グリード族は数日前に隣国の小さな村を襲撃し、宣戦布告をしてきたそうだ。グリード族は兵力こそは隣国に劣るが頭が切れる部族だ。」

「そうですか…」

グリード族は小さな戦闘民族が集まって出来た集団。確かに兵力こそは劣るが一人ひとりが殺傷能力の高い重い武器を持って戦っている為、比較的体力の消耗が少ない短期戦を得意としている。グリード族の中でも1番手強いとされているのが将軍的立ち位置にいるアルバーノ。

「おい、聞いているのか」グレンから顔を覗き込まれ俺は慌てて頭を下げて謝る。

「すいません、考え事をしていました。」

「はぁ、」深いため息がグレンの口から漏れ俺は再度謝る。

「もう一度言う。隣国から援軍要請の便りが今日届いた。だから、明日の朝セドリック率いる半数の兵士を隣国へ送る。この戦争は長期戦になるだろうから気を引き締めて行け。」

「…!!…はい。」

「話は以上だ。準備ができ次第訓練に戻れ。」踵を返して訓練場へ戻るグレン。1人残された俺は、グレンの影が無くなるまで見送った後、顔をほころばせた。
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