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08 食事 ※
しおりを挟む「食べ物をこんな粗末にするなど、許されざる行為だ……ッ」
ヴィルヘルムの祖国は北国だ。国土は広いがその多くは人が住める土地ではない。
なんとか作物を耕せる場所にしがみついて、冬を越している。
だからお盆いっぱいに盛られたフルーツを、勝負に使うなど信じられなかった。
「どうした。口がお留守になっているぞ。さっきみたいにまた尻をいじってやろうか?」
カイルはベッドに腰かけていた。上半身に抱きつく形で向かい合っている。
少しでもバランスを崩せば床に落ちる。そういう体勢だ。自然と腕はカイルの首にからみ、ずり落ちないよう彼に胸を預けるようになる。
「まるでおしどり夫婦みたいな恰好だろう? もっとオレに体重を預けてもいいんだぞ」
「誰がっ!」
ただでさえ薄着で肌が密着しあい気恥ずかしいのだ。しかも互いの顔を向け合って抱き合うなど、正気の沙汰ではない。
「ちぇ。我が妻は恥ずかしがり屋だなぁ。じゃあ、今度こそオレの口に果物を運んでくれよ」
瑞々しい色合いのブドウを口に運ばれる。薄皮を前歯ではさみ、落とさないようにする。
が――。
ちゅぷん!
濡れたカイルの指が尻穴近くをまさぐる。なめるように小さく細い入り口に指を這わせる。
いつ体内に入ってくるのか。
その事実に恐怖しながら、彼の唇にブドウを運ぶ。
(早く渡してしまえばいい……!)
「おっ。今度は成功しそうだな」
のんきな声で、自称旦那さまはその口を開く。
(早く放りこめ!)
思った瞬間、入り口のまわりをいじっていた指が尻穴に入ってきた。
ずぷぷぷ。
太い、男の指が二本あいついで侵入し、肉穴をほじる。
「やめっ――きたなぃ……ッ!」
「だいじょうぶ。安心しろ。お前が寝ているあいだ、しっかりここはほぐして、綺麗にしてやった。だから何も心配することはない」
初耳だった。
確かに体が清められているとは思ったが、よもや尻穴まで清められていたとは知らなかった。
いいや、知りたくもなかった。
ニュルニュルと生きもののように指が動いて、奥まったポイントを突く。
「ぁぁッ♡」
「お。すごい締めようだな。オレの指にきゅうきゅう吸い付いてるぞ。常勝将軍の尻穴は」
言葉通りカイルの指をきつく締め上げて離さない。
口にされるたび、体内の指の形を強く感じようと粘膜が動いてしまう。
(いやだ……こんな……耐えられるわけが……ヒッ……ぁ、ぁ…!)
かぷん、とカイルの口に運ぼうとしていたブドウを噛みちぎってしまう。喉にみずみずしい果汁がしたたり落ちていく。
「おや。またオレの果物を運ぶのに失敗してしまったのか。ではこの果実を食べることにしよう」
「……え?」
胸を抱き寄せられ、そこへカイルが顔をうずめる。
赤い舌がちらりと見えた。唾液をしたたらせた舌は、そのまま右の乳首を吸い上げた。
「ひッ……ぃ……! やめ、男の乳首など、吸うんじゃなぃ……っ!」
カイルの頭をずらそうとするが、彼は乳首をしゃぶるのをやめない。
再び尻穴も責めてくる。
上と下、両方から体をまさぐられ、ヴィルヘルムは耐えることしかできない。
(私は……絶対に……こんなやり方に屈したり……しなぃ…!)
祖国では常勝将軍と呼ばれたのだ。
度重なる侵攻で国土を南に広げ、王都へ富を送る。
飢えて死ぬばかりだった冬を安心して越せるようにと、多くの勝利を飾った。
こんな蛮族の男のもとで腰をふるために勝ってきたわけではない。
しかも私を妻にするなどと!
捕虜交換があってしかるべきだ。
王都の大臣連中は何をしている?
「――ッ。貴様がいかに……このような浅ましい、暴挙に出ようと……私の祖国が…すぐに……助けに来てくれる……!」
「ほう。オレの聞いた話とは違うな。将軍どのの国に伝令を走らせたが、帰ってきた返答はこうだぞ。好きにしろ、と」
その言葉に頭がくらりとした。
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