裏切られた人生に

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第1章

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(んっ・・・・・・・・意識を失っていったのか・・・それに手の紐も取れている)

 体をゆっくりと起こして周りを見渡すと汚れていたはずの体やシーツは綺麗になっており、部屋にはラウル1人しかいなかった。

(今は朝か。一体どれだけ寝ていたんだ?あいつが帰ってくる前に早く抜け出そう)

 ベッドから立ちあがろうと足を床に下ろしたとき、ドアの開く音が聞こえた。

「ラウル。やっと起きたのか。」

「・・・・・・・・アベラルド。・・・・・俺を早くここから出せ。」

「はぁ。何度も無理だといっているだろう。朝からそんなこと聞きたくなかったんだが。
それでももし出ていくならそうだな・・・・・まだ砂漠の件については公表をしていないが、砂漠の民を魔物で襲わせて財物を強取し、道中に発見された騎士団を皆殺ししたと世に伝えなくてはいけないな」

 アベラルドは笑いながらそう言うとラウルの耳元に近づいて囁いた。

「もしお前が俺と結婚をし、この部屋で毎日出迎えてくれるならこの件は取り消してやろう。そうすればお前も街にいくことくらい許してやる」

 それを聞いたラウルは、怒りで体を震わせながら叫んだ。

「ふざけるな!!!!こんな横暴がまかり通るとでも思っているのかっ!!!俺は絶対にお前の言いなりにはならないっ!」

「そうか。それなら仕方がない。砂漠の真相はお前とあの水色の駄犬2人が犯人だと今から伝えなくては」  


「スペンサーは関係ないだろ!殺しておきながらまだ濡れ衣を着せるつもりか!」

「関係ないだと?お前のことを下心ある目で見てたのだから許されるはずがないだろ?
それに宮廷魔法士が魔物で国民を襲わせる行為は重罪だからな。お前の両親も処罰しないとな。お前が俺と共に生きてくれたならそんなことならなかったのに。残念だ」


 ラウルは俯いて震えながら何かを囁いていた。


「・・・・・・・もう・・・・・・だ。」


 顔を上げたラウルは、いきなり立ち上がりアベラルドの腰に刺さっていた剣を抜いた。

「ラウル。なにをしている?ははっ。俺を殺す気か?ふざけた真似をしていないで早く返せ」


 ラウルはそのままアベラルドから距離を取るように後退り、持っていた剣を自分の首にあてる。


「俺を脅してもお前をこの部屋からは出さないぞ」


(・・・・・・・・お父様お母様先にいなくなること許してください。
 それとスペンサーごめんな。お前の忠告もっときいておけばお前も死なずにすんだのに。本当にごめん。俺もそっちにいくから許してくれ)

 ラウルはアベラルドの目をみて、最後に微笑んだ

「言っただろう。俺はお前の言いなりにはならないって」


ザシュッ



♦︎




 アベラルドの前には、自分の首を剣で引き裂いて大量の血を流しながら倒れているラウルがいた。
 

「ラウル?・・・・・・・・違う・・・違う違う違う違う!!!!!!俺はこんなことしたかったわけじゃない!ただ俺だけを見て欲しかっただけなんだ」

アベラルドは自分の服が血だらけになることも気にせず、血溜まりに膝をついて首から流れるおびただしい血を一生懸命に手で抑えていた。

「止まれ・・・・・・・・止まれよ!!!クソっ!頼む止まってくれ・・・・・・・・俺が悪かったから・・・・もう無理矢理側にいろなんていわないから・・・・・・だから頼む俺をおいていかないでくれ・・・・・・・・」

 涙を流しながら懇願するアベラルドとは逆にラウルの体温はどんどん冷たくなっていった。







 
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