悪役令嬢でも死んじゃだめぇ~!

ルナルオ

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悪役令嬢でも死んじゃだめぇ~!15

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もうすぐ14歳のエミリーです。
ということは、学院の入学も間近で、訓練も一段落するはず。やったー!
学院では寮に入るので、しばらく、家族や親戚にも会えないので、前から招待されていたデミー家に遊びに行くことにした。
デミー家は、私の父親の妹、ナタリア叔母様の嫁ぎ先。
ナタリア叔母様の旦那様は、私が遊びに行くといつも、珍しい飲み物や、流行のお菓子を出してくれるので、楽しみにしている。
トーマスお義兄様からは、あまり近づかないように言われていたけど、学院入学前には、挨拶にいかないといけないので、今のうちに済ませようと訪問した。

「エミリー、よく来てくれたわね!」
「君が来てくれて嬉しいよ、エミリー!」

叔母様夫婦の大歓迎をうけました。
ナタリア叔母様は、顔はもちろん、髪や瞳の色も私に似て、暗めの金髪に、これまた暗めの青い瞳。
一方、叔母様の旦那様であるカーク・デミー様は、茶色の髪と瞳で地味な色合いだが、造形が美しいので、存在感がある。
地味さとは、髪や瞳の色ではなく、造形の問題なのかも……。
ところで、カーク叔父様は、私を歓迎しつつも、叔母様の腰に手を回し、何やら耳元で囁き、叔母様が顔を赤らめるというイチャイチャぶり。うーん、ナタリア叔母様、幸せそう。
仲良くていいなーと羨望しながら、貴族の屋敷にも負けない位、豪華なお屋敷に招き入れられた。
このお屋敷は、商売で扱う商品のプロモーションとして貴族の顧客を招待することがある。
そのせいか、成金といわれるにしては、金ぴかではなく、上品で落ち着いた色合いに統一されている。
しかも、調度品なども見映えよく備えられ、ときめく品が多い。
つまり、貴族向けモデルハウスのようなお屋敷。
美しい庭を眺めながらお茶ができる素敵なティールームもあり、そこには、もちろん、美味しいお茶とお菓子の用意が待っていました!やったー!
ついでに、デミー家の息子で、従兄のアダムがすでにティールームで待機していた。
アダムは、私に気づいて、挨拶のつもりなのか、ようっと片手をあげてから、何か先にお茶飲んでいる。早いぞ!
やっと、4人でお茶会となりました。

「エミリーってば、なかなか遊びに来てくれないから、寂しかったよ。
だから、もう、うちの子になろうか?」とカーク叔父様。
「そうねぇ、アダムかルイのお嫁さんでもいいわよ?」とナタリア叔母様。
デミー夫婦から、養女or嫁勧誘。
この家は居心地が良いので、悪い話ではないが、ちょっと色々問題が……。

「ああ、俺の嫁はパス~。
エミリーが嫁だと、近親相姦と間違われそうだから~」
「「「うん、確かに……」」」と満場一致。

これが問題の一つでもあるが、実は、アダムは私にそっくり。
正確には、私というか、アダムの母親であるナタリア叔母様に似ているので、小さい頃から、私はアダムの実の妹に間違われていた。
アダムは、ナタリア叔母様や私に似た地味な顔立ちと同じ瞳の色に、カーク叔父様の茶色の髪なので、私以上に地味かも。
いや、アダムの場合、性格も含めて地味だ。
トーマスお義兄様は心配していたけど、アダムと私が結婚することはないだろう。
近親相姦にしか見えないからね。
そこへ、バタバタともう一人のデミー家の息子で、従弟のルイが現れた。

「僕のエミリー!
もう来てたんだね。
遅くなってごめんね~」

そう言って、来て早々、私の手を握るルイ。
きみ、何かキラキラ輝いているね……。

「今日も、エミリーは地味だねー。
でも、そこも味があっていいねー」とルイは、片手で私の手を握ったまま、もう片方の手で私の髪を一房とり、口づけを落とす。キザだ。

あれ?地味ってディスられていない?
味があるって、誉め言葉?

そんなルイは、カーク叔父様に似て美形で、髪は明るい金髪、瞳は空色で、王子様のようだと幼い頃から言わている。
まだ12歳なのに、この女性慣れした態度。
どんだけモテるのやら……。

「なになに?
今日は、やっと僕と婚約するために来たのかな~?
僕の方はいつでもいいよ!
幸せになろうね、エミリー♪」
「話を勝手に進めないでね、ルイ」と冷めている私。
「そうだぞ。ルイもエミリーを嫁にするのは止めておけ。
たぶん、マザコンか、お前も下手すると近親相姦と間違われそうだ」とアダムが止める。
「じゃあ、エミリーは養女になろうよ!
本当は、エミリーはうちに生まれるはずの子だったと思うんだ。」とここぞとばかりに切り込むカーク叔父様が、またもや熱心に養女勧誘をする。ならないよー。
「え~、エミリーがお姉さんになるのはやだよ。
小さい頃から、エミリーが僕の本命なのに~」とルイは、可愛い子ぶりっ子して、頬を膨らませる。
「いや、私は、養女にもならないし、ルイとも結婚しないよ。
浮気する男、駄目、絶対!」
「えー!結婚したら一途だよ?
まあ、エミリーがちゃんとイチャイチャさせてくれるならね」というルイにイラッとする。
それはつまり、ルイの場合、結婚するまで一途にはならず、また、結婚後はイチャイチャしたい気分でないと断ったら、浮気するってことなんだよね?そんなやつ、ないわー。
まあ、ルイは、モテるから。
既に5~6歳の頃から、ハーレムを築き、常に3~4人の女の子と同時進行でおつきあいしている。
ルイならお金持ちの息子だし、王子様のような容姿で、12歳で私よりも身長も高く、明るい性格をしている。
だけど、それを差し引いても、浮気するイケメン、駄目、絶対!
だって、イケメンの浮気旦那様の場合、浮気相手に、「お前さえいなければ!」って刺されるリスクがあるから、本当に嫌。怖い。
幼い頃に、ルイと遊んでいたら、「このどろうぼうねこ!」「ぶすのくせに!!」とルイハーレムの女の子達に叩かれたり、引っ掻かれたりしたのは、一度や二度ではない。

「エミリー、僕は本気だよ」と王子様スマイルで悩殺しようとするルイ。まだ12歳なのに色気あるな!でも、私には全く通じないよ!
「そうなんだー。
でも、私も本気で、ルイは結婚相手に考えていないから、ごめんね!」
「あれー?
僕の魅力が効いていないなんて……。
じゃあ、エミリー、僕は将来、有望だよ!
今のうちに、おさえておかないと~」
「……いや、間に合っていまーす」
「は?」

そもそも、将来、有望なら、アリード公爵家のロラン様の方が、よっぽど有望。
うん、ロラン様なら、ルイと違って、浮気もしなそう。
ルイとロラン様のどちらか選べと言われたら、ロラン様かな?

「ちょ、ちょっと、エミリー?
間に合っているって、どういうこと?
まさか、もう婚約したの……?」
「ううん、していないよ。
だけど、ルイよりいいなと思う方から、本気じゃないのかも知れないけど、プロポーズされたよ~」
「何だって!誰に!?」

エミリーがさらっと答えると、ルイは王子とは思えない恐い形相で聞き返してきた。
あれ、カーク叔父様やアダムも何だか渋い顔をしている?

「ん?アリード公爵家のロラン様。
まだ、6歳だけどね。
彼は本当に天才児だよ~」
「な~んだ、6歳のガキか。
そんなプロポーズなんて無効だよ。
ましてや、高位貴族。
それを真に受けるなんて、ピュアだな~」と笑うルイ。
「だから、真には受けてないよ。
それに、ルイも似たようなものでしょう?」
「一緒にしないでよ、エミリー。
僕は本気だって!
僕にしておきなって~」
「いやよ~」
「誰よりも、僕がいいよー」
「やだー」

面倒なので、ルイはもう無視。

「あ、この紅茶、とっても美味しいです。
砂糖を入れてないのに、甘味があって、フルーティな感じですね」
「お、さすがエミリー。
この紅茶は、砂糖はいらないんだよ。
フレーバーに使った果物は、柑橘系の果物なんだけど、香りだけじゃなくて甘味も強いからね」とカーク叔父様が解説してくれる。おいしー!

「エミリー、冷たい……。
僕は優しいエミリーが好きだな~」とルイが横でぶつぶつと恨みがましく何か言っているけど、無視。
それより、美味しいお茶とお菓子に集中する。

「はあ、デミー家のお茶は、いつも美味しくて素敵です!」
「ありがとう、エミリー。
うちの子になったら、毎日、飲み放題だよ。
それに、うちの子なら過酷な訓練なんて、しなくていいんだよ?」とカーク叔父様が誘惑してくる。くっ。
「う~ん、確かにそれは魅力的なんですが……。
訓練については、今のところ、自分がやりたくてやっています」
「そうか。未来の王太子妃とやらは、エミリーにそう思わせる位には、優れた人物なのかな?」
「はい!ラフィーナ様は、素晴らしい方です!!」
「……でも、エミリー。
それで自分の命を落とすような事態になってはいけないわ。
貴族としての義務は確かに大事だけど……。
命がけになるなら、いっそ、平民になるのも生きる道の一つよ。
だから、養女の件は、真剣に考えてね」とナタリア叔母様まで心配してくださる。
「そうだぞ、エミリー。
お前がラフィーナ様とやらの代わりに怪我したり、辛い目にあったりする位なら、うちに養女になる方が幸せかも知れないぞ。
あと、命は1回限りなんだから、絶対、死ぬなよ。
貴族の忠誠心なんか捨てて、逃げて生きる勇気を持て!」とアダムも真剣に忠告してくる。

ああ、私のことを本気で心配してくれているのがわかる。
うーん、ルキラ子爵家の方々とは大違い。
お父様なんか、ラフィーナ様やハロル公爵家のためなら、命をかけろって言われたしね。
貴族なら、しょうがないけど……。

「ありがとうございます。
おっしゃる通り、よく考えてみます」とお礼を言って、本気でよく考えてみる。

そうだった。
命は、大事。
もう怪我をしないことも大事。
そのための訓練だった。
でも、もし自分が生き残るために、ラフィーナ様を見捨てたら、一生後悔しそう。
ラフィーナ様は、お世辞抜きで、あらゆる面で優れた人だ。
将来、ラフィーナ様は、この国を良くしようと、多大な影響を与えられる人物になる。
そんなラフィーナ様を守りたい。
たとえ、この世界がサバイバルゲームのように残酷でも。
そして、私のできることなんか、微力であっても……。
あの夢のように死なせたくない!

今日は、デミー家の方々のおかげで、命の大事さと、それでも、ラフィーナ様をやっぱり死なせたくないという私の気持ちを実感した。
自分もラフィーナ様も、無事に生きて、幸せにならないとね♪
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