野猿な悪役令嬢

ルナルオ

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番外編 IF 野猿な囚人 26-2.(セリウス外ルート)仲間?

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 アルーテ王国にて、ルクレナが主に今回の事件の後処理をして、リーリアは、ルイスと一緒にアルーテ王国の警備の改善をするための要求に対応することになった。
 その後も、アルーテ王国の警備関係者達は、リーリアを何とか取り込もうとやっきになって、逆ハニートラップをリーリアに仕掛けたり、食べ物で釣ろうとしたりしたが、ルイスというボディーガードのおかげで、全て防がれた。
 そして、リーリア、ルクレナ、ルイスの3人は無事にランダード王国に帰国できた。

「……ランダード王国の騒動が落ち着くまでの避難で、アルーテ王国に行ったはずなのに、むしろアルーテ王国で別な騒動を起こすとはな。
 ルイスが応援に来てくれたから、何とかなったが、本当にやばかったんだぞ。
 野猿を甘く見ていた私も悪かったのか?
 さすが野猿、放し飼い厳禁だった……」
「まあ、とりあえず、リーリア嬢とともに無事で、帰国できてよかったじゃないか」
「うう、ご迷惑をおかけして、すみません……」

 やっと帰国できたルクレナは、思わずほっとして気が抜けたせいか、ルイスにリーリアのことを愚痴る。
 謝るリーリアに、ルクレナはリーリアの頭を軽く撫でた後、ぐしゃっとする。

「いいか!ランダード王国に入ったからと言って気を抜いて、また勝手なことを絶対するなよ!?
 アルーテ王国とは別な問題があるから、こっちの方がもっと厄介かも知れないからな!」
「はい!気をつけます!!」

 そう誓うリーリアに、ため息をつくルクレナ。
 ルクレナにとって、ランダード王国に戻ったからと言って、平穏な日々はないことはわかっている。

「先程の連絡から、早くレイスリーア妃殿下のもとに戻った方がよさそうだな……」

 ルイスが神妙な顔で、ルクレナへ確認する。
 実は、アルーテ王国から無事に出国できた3人であったが、ランダード王国に入国するやいなや、レイスリーア王妃の遣いの者が待機しており、ルクレナ達は至急の連絡を受けた。

「緊急事態発生につき、至急、レイスリーア王妃の元に戻ってくるように」と遣いの者より伝達され、レイスリーア王妃からの書面も渡されたが、それに詳しい事情は書かれておらず、どうやらリーリアを狙う組織と問題が起きたらしいことだけはわかった。
 そこで、ルクレナ達は、急いで王宮に向かうべく、ランダード王国から手配されていた馬にそれぞれ乗って、出発することになった。

 3人は、王宮に向かって馬を走らせていた。
 いくつかの街道や小さな町を抜け、もうすぐ、宿泊予定の街に着くいうところで、急にルイスが馬を止めた。

「……ルクレナ」
「どうした、ルイス?」
「……我々の後をつけてくる奴がいるだろう?
 奴も、街に入るつもりらしい。
 監視の者なら、街に近づいたら離れるかと予想していたが、どうやら監視の者ではないようだ。
 次の街で泊まりの予定だから、敵の手の者なら今のうちに片付けよう」
「ん?いや、あれはレイスリーヤ王妃様の見張りだろ?」
「……いや。あれは違うな。
 途中で入れ替わったみたいだ。
 どちらにしろ、確認だけでも必要だ。行くぞ!」

 ルイスが馬を反転させ、リーリア達の後を追っていた不審者の確認に行く。
 ルクレナは、リーリアを守りながら、後方でルイスの支援をしようとする。

「……おい、貴様。
 我々の後をつけてきているのは、わかっている。
 何者だ?」
「……」
「そのフードをとれ!」
「……ふっ」

 ルイス達と同じく馬で後をつけていた人物はフードを深くかぶり、不気味にも微笑んでいた。
 その男は体格も良く、しかも、ルイスには気づかれていたが、気配を消すさまも、ただ者でないようである。
 ルイスが臨戦態勢で迎え撃とうとした時、その人物は、ルイスの近くまで一気に馬を近づけてきた。

「なっ!貴様っ!?」
「えーい!」

 その人物は馬上からルイスめがけて飛びかかり、ルイスを巻き込み、馬上から地面へルイス共々落ちた。
 ルイスは、とっさに受け身を取り、臨戦態勢になっていたため、馬の鐙に足を取られることなく、地面に転がった。
 その転がったルイスに瞬時にマウントを取る危険人物。それは、もちろん……。

「あはー!ご無沙汰ね、ル・イ・ス、うちゅーーーーーー」
「ギャーーー!」

 そう、もちろん、あの毒殺料理人バーナルであった。

 ルイスのマウントをとったバーナルは、嬉しさの余りルイスにキス攻撃をしかけ、青褪めたルイスが、バーナルを殺す勢いで抵抗している中、心配したルクレナとリーリアが駆け寄ってきた。

「ルイス、大丈夫かっ!?」
「わーーー!バーナルぅ!!」

 ルクレナは、素早く馬を降り、ルイスにまたがるバーナルに渾身のキックをお見舞いしたが、さっとルイスの上から笑いながら退くバーナル。
 そんなバーナルに、リーリアも素早く馬を降りると、両手を広げて大歓迎の様子でバーナルに近づく。

「バーナル!やっぱり、私のところにきてくれたのね!!」
「あらー、野猿ちゃんも、久しぶりね~。
 元気そうでよかった!」

 リーリアとバーナルは再会のハグした後、喜びでぴょんぴょん兎のように興奮して跳ねるリーリアの頭をよしよしとなでるバーナルであった。
 その横で、ぜーぜー言いながらルイスは、ルクレナに助け起こされた。
 馬から落とされたルイスは、幸い大きな怪我もなく、軽い打ち身とかすり傷だけであった。心の怪我はちょっとあったが……。
 ルクレナがバーナルと対峙する。

「……どういうつもりだ、毒殺料理人!」
「あらん、ルクレナもお久しぶりね~」
「言え!何が目的だ!?
 野猿か、それとも、ルイスが目的か!?
 とりあえず、野猿はそいつに懐くな!離れとけ!」
「ええ~、そんな、ルクレナ様。
 前にもお話したように、きっとバーナルは、私のところに再就職に来てくれたんですよ!」
「野猿ちゃんの言う通りよー」
「「何だと!?」」

 またもやルクレナとルイスが嫌そうにハモる。
 バーナルは、途中で王妃の監視の者を眠らせて、馬ごと奪って入れ替わり、リーリア達を追ってきたのであった。

「ねえ~、私をあなた達の仲間にして~」
「お願いします!ルクレナ様」
「野猿は黙っていろ!
 ……目的は?」
「んふっ。ルイスとお近づきになりたいのもあるけど、一番は可愛い野猿ちゃんを餌付けしたいの~。
 あ、あとね、すっごくルクレナが欲しがる情報を持っているのだけど、仲間にしてくれたら教えるわよ~」
「……ルイスはついでだな。もちろん、野猿の餌付けも。
 さっさと、本当の目的を吐け!」
「だ・か・ら~、どっちも本当よ~」
「……私が欲しがる情報とは?どこの情報だ?」
「うーん、難しい子ね、ルクレナは~。
 私も仲間でもない相手にただで話すほど、おめでたくないのよ?わかるでしょう?」
「仲間は無理だ。
 お前を仲間としては信用できない。
 だが、お前の暗殺の実力と情報収集力は認めている」
「あら?ありがとう~」
「……本当に役立つ情報なら、それ相応の報酬は払う。
 いくらの対価の情報だ?」
「そうねえ、お金ならなかなか高額になるわよ。
 まあ、王妃様なら払いそうだけど……。
 でも、私を仲間にしてくれたら、無駄なお金もかからないし、何といっても野猿ちゃんの餌付けは、ほぼできているから、手綱代わりに私を雇わない?
 これから物騒になりそうだし、私なら、野猿ちゃんの護衛としても役立つから、一石二鳥よ~」
「……つまり、その情報とやらは、野猿に関わるものなのか?」
「……ふふ、そうねえ~。で、どうする?」

 しばらく、ルクレナは迷い、考える。
 そんなルクレナの横では、リーリアが「私に関わる情報なら、必要ですね!どうか、バーナルを雇ってください!!」と懇願する。
 反対側では、ルイスが「奴は信用できない。これ以上、関わるな。もし奴と組むなら、私は別行動をとらないといけなくなる……」とリーリアと反対のことを言う。

 深い深いため息をつくルクレナ。
 ちらっと、ルイスの方をみたルクレナは、決心する。

「……わかった。
 魔法制約ありの一時契約ならいいだろう。
 バーナル、お前を雇うぞ」
「え、本当に!?」

 ルクレナはきっと初めは反対すると思っていたので、バーナル自身も驚いた。
 もちろん、リーリアは歓喜した。

「わ~!ルクレナ様ー!ありがとうございます!!
 バーナルも良かったね!!」
「ルクレナったら、折れるの早い~。
 ふふふ、でも無駄な手間が省けて良かった!ねえ~、野猿ちゃん!」

 リーリアとバーナルはきゃっきゃっと二人して喜び合った。

「……」

 一方、ルイスは、黙ってルクレナ達と別行動する準備にかかろうとする。

「もちろん、雇うにあたって厳しい条件があるから、必ず守れよ、バーナル。
 言っておくが、あくまで一時契約であって、魔法でお前の行動は制約するからな!
 正式契約は、お前の働き次第だ。
 まずは無事に王宮に着いてから、王妃様の許可が下りた場合に限るぞ」
「は~い!わかったわ~」

 バーナルに色々と釘をさすルクレナ。
 リーリアは仲間になったのならと、早速、バーナルに食べたい物をリクエストしだしたのを見て、ルクレナはリーリアにも注意する。

「こら、野猿!
 何度も言うが、そいつに気軽に懐くな!
 そいつは手練れの暗殺者なんだぞ!?
 一応、用心しろ!!」
「はい!」

 そして、一人でさっさと立ち去ろうとするルイスをルクレナがすぐに引き留める。

「あと、ルイスは待て!
 待つんだ!
 おい、行く前に私の話を聞け!!」
「……わかった」

 状況は、バーナルのせいで、一気に厄介さが増したことは間違いなかったが、ルクレナにとって、ルイスの貞操を危機に晒しても、バーナルを雇う方が、この道中においてより安全であることを予測した。
 ルクレナは、王妃の遣いの者の話を聞いてから、ずっとしていた嫌な予感は、バーナルの登場で確信に近くなったのであった。
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