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18.デート
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庭園に移動してすぐ蒼紫が疑問に思ったのは佐藤の事だったらしい。
「佐藤さんとはいつもあんなに近い距離なんですか?」
とっても素敵な笑顔だが、別の意味でドキドキする。
目が笑ってない、なんで!?
「え?ああ、あんな感じですね。あの?それが?」
「いえ、そう言えば今日の装いはご自分で?」
「これはMが……」
ぞくっと悪感が走った。
蒼紫はにこやかだ、うん、これ以上ないくらい。
「弥生さん、これも疑問だったんですが。」
「はい、なんでしょう?」
「昨日、弥生さんが呼び捨てにされていたような?」
なんかこれは言ってはいけないような?
板垣を見ると口を押さえて顔をそらしていた。
どうしよう、とりあえず何か…
「え~と、そう言えばカレーパン!」
「カレーパン?」
「はい、そこのベンチでお渡ししたカレーパンとサンドイッチはいかがでした?」
「ああ、すみません実は」
ああ、これは捨てられたかな。
まあ、見ず知らずの人間に貰ったものは口に出来ないかな。
「冷凍で保存しています。」
「え?」
「貴方との思い出をなくしたくなくて。」
………どうしよう、ちょっと理解出来ない。
照れてる姿はかわいい。とかそんな問題じゃない感がすごい。
「買いにいきます?」
「そうですね、でも今日は行きたい場所があるのでお付き合い頂けますか?」
「はい、喜んで。」
とりあえずこのよくわからない状況を打破しよう。
そこから蒼紫の用意したハイヤーで移動だが、勿論佐藤も同席する。
いつもなら後ろの席で一緒なのだが、今回ハイヤーを準備したのが西園寺側という事で助手席に乗り込んだ。
乗り込む前に言質を取られないようにとコンコンと言われ、蒼紫側の担当者が注意出来ないと泣き言を言ったのでまとめて佐藤が注意事項を説明していた。
しかも乗り込む時に通話オンにした状態ですぐ介入出来る様にスピーカーになっている。
ちなみにそのスピーカー必ず弥生の膝の上で大音量でという指示が出ていた。
「えっと、これからどこに?」
じっと見つめられずっと手が離されない状態で、触れていられる幸せで満ちていく。
深入りしないようにという自制が揺らいでしまいそうだ。
今だけ今だけと自分に言い聞かせる。
「これから友人の店に行ってみようかと。」
「お友達の、何のお店ですか?」
「服のブランドを立ち上げてまして、それに付随する小物も取り揃えています。」
「そうなんですか、あの服は」
「Mからのものは借り物ですか?」
「ああ、そうですね。袖を通したものは頂く事になっていますが、あとは返却します。」
本当は買い取りにしたかったが、シャツ1枚10万と聞いて諦めた。
金銭感覚が麻痺しない様にお見合い専用にして普段はクリーニング後出番までクローゼットに入る事になる。
一度まったく使わなかったときもあったが、そのときにMの見合い服飾担当者が家まで来て泣かれ、4~5着分セットで受け取る羽目になったのでそれ以降は1着はセットで持ち帰る様にしている。
「そうですか、私も弥生さんを着飾らせていただきたくて。」
いやいや服は十分持ってます。それより見合いの本当の目的を達成しないといけないのでは?
「そうなんですか、あの外を散歩とかはどうです?」
一応、外に誘ってみる、出歩いている最中にそれらしい人と会う確率だってあるからだが、蒼紫は悲しそうに「私から受け取れませんか?」と言われるとなんだか断ったらいけない気がする。
「いえ、そういうわけではないんですが。」
「じゃあ、決まりですね。」
え?なんか店に行くことが決定した?
「え~と、服はたくさん持っていてですね。」
「それは、弥生さんが選んだものですか?」
「はい、そうですね。普段身につけるものは自分で選んでいますが。」
嘘は言ってない、普段着はしまむらブランドを愛用している。
「今度、そちらを拝見させて頂いても?」
「ええ、まぁ、たいしたものじゃないですが。」
「あなたが使ってる品を見せて頂けるのは嬉しいです。」
「はぁ」
俺はあなたのその笑顔が見られて嬉しいです。
と言うのは心のなかだけにしておく。
自分で思った甘い思考についついスマホを持っている手が緩んでしまって、足元に落としてしまった。
拾おうと手を伸ばしたが蒼紫がさりげなく止めると代わりに拾ってくれた「ありがとうございます」と受け取ろうとしたが、蒼紫は元あった膝の上に置き肩口に顔を寄せてきた。
「あの?」
「すみません、かがんだらちょっと気分が悪くなってしまって。」
「え?大丈夫ですか?」
乗り物酔いだろうか、そのままずるずるとお腹の方までずれていってしまった。
顔を上げられないほど辛いんだろうか?
大丈夫か聞こうとしたときだった。
正面からドンッと叩く音が聞こえ目をやると佐藤が射殺しそうな目でこちらを見ていた。
正確には弥生を堪能していた蒼紫を睨みつけていたのだが、弥生は自分が蒼紫との距離を間違えて睨まれているのだと勘違いした。
この時、弥生からは見えなかったが邪魔をされた蒼紫は弥生に見えない位置で佐藤を睨みつけていた。
とりあえず離れようと思ったが体調の悪い蒼紫を無理に引き剥がすことは出来ず、
「あの、とりあえず横になりますか?」
弥生はシートを倒してという意味で言ったが、蒼紫はそうは取らなかった。
「いいんですか?」
「はい、じゃあ、え?」
了承を得た蒼紫は体を折りたたむように弥生の太ももにうつ伏せになる形で体を横たえた。
「ありがとうございます。」
いや、そうじゃないです。ともいえず、膝枕のうつ伏せ版というあまりの体勢に顔を真っ赤にして「いえ。」と答えるのが精一杯だった。
一応スピーカーで状況を確認していた佐藤は、これ以上状況は悪化しないと判断して口を挟むのは自重したが車を降りたらここまでに約束させたことをどうやって断らせようかと頭をフル回転させた。
弥生は気がついていないが、パン屋に行く約束は日を決めていない事で今後いつでも行ける約束として使われる、つまり、弥生側が見合いを終わらせたと思ってもその約束をたてに連れ回される可能性が高い。
また、普段着を見せるというのは蒼紫に、”家に来ていいよ”と弥生から直接許可を取り付けた状態なのだ。
このままでは、ついでにとばかりにお付き合い期間で告げている3日が終わったと同時に一緒に弥生の家に行き、家族に挨拶という事態になりかねない。
いま、現状ではその約束がどう転ぶかわからないのだ。
弥生に運命の相手らしき人が現れたことはすでに上に報告済みで、今後どうするかは佐藤の報告にかかっている。
蒼紫は自分の家の力でどうにかなると思っている様だが、現行で政界でも影響力のある人間がバックにいる以上、うかつに動けば、どんなに弥生が望もうと引き離される可能性が高い。
それだけ、アルファの誕生は国にとって切望されていることなのだ。
このまま、蒼紫に思いを寄せることで”縁結び”の能力が消えてただのオメガになり蒼紫に囲われ、Mに守られ幸せに生きていけるなら、佐藤としてはそれでいいと思っている。
ところが上はそうは思わない。
もし、縁結びが出来なくなったなら次代に血を残す事を念頭に動くことになると匂わされている。
そうなると、生まれた子供は国の管理で育てられるようになる。
引き離されるか、手元で育てられるか、そのどちらも弥生に選択権はなく、おそらくこちらの指針によって決められる。
そして、子作りに選ばれるアルファは蒼紫であってはいけない。
家の力の強い蒼紫だと国の思い通りにならないからだ。
最悪の事態だけは避けたいが、今のところ蒼紫の独占欲の暴走により思うように事態が進まない。
焦燥が佐藤を支配しつつあった。
「佐藤さんとはいつもあんなに近い距離なんですか?」
とっても素敵な笑顔だが、別の意味でドキドキする。
目が笑ってない、なんで!?
「え?ああ、あんな感じですね。あの?それが?」
「いえ、そう言えば今日の装いはご自分で?」
「これはMが……」
ぞくっと悪感が走った。
蒼紫はにこやかだ、うん、これ以上ないくらい。
「弥生さん、これも疑問だったんですが。」
「はい、なんでしょう?」
「昨日、弥生さんが呼び捨てにされていたような?」
なんかこれは言ってはいけないような?
板垣を見ると口を押さえて顔をそらしていた。
どうしよう、とりあえず何か…
「え~と、そう言えばカレーパン!」
「カレーパン?」
「はい、そこのベンチでお渡ししたカレーパンとサンドイッチはいかがでした?」
「ああ、すみません実は」
ああ、これは捨てられたかな。
まあ、見ず知らずの人間に貰ったものは口に出来ないかな。
「冷凍で保存しています。」
「え?」
「貴方との思い出をなくしたくなくて。」
………どうしよう、ちょっと理解出来ない。
照れてる姿はかわいい。とかそんな問題じゃない感がすごい。
「買いにいきます?」
「そうですね、でも今日は行きたい場所があるのでお付き合い頂けますか?」
「はい、喜んで。」
とりあえずこのよくわからない状況を打破しよう。
そこから蒼紫の用意したハイヤーで移動だが、勿論佐藤も同席する。
いつもなら後ろの席で一緒なのだが、今回ハイヤーを準備したのが西園寺側という事で助手席に乗り込んだ。
乗り込む前に言質を取られないようにとコンコンと言われ、蒼紫側の担当者が注意出来ないと泣き言を言ったのでまとめて佐藤が注意事項を説明していた。
しかも乗り込む時に通話オンにした状態ですぐ介入出来る様にスピーカーになっている。
ちなみにそのスピーカー必ず弥生の膝の上で大音量でという指示が出ていた。
「えっと、これからどこに?」
じっと見つめられずっと手が離されない状態で、触れていられる幸せで満ちていく。
深入りしないようにという自制が揺らいでしまいそうだ。
今だけ今だけと自分に言い聞かせる。
「これから友人の店に行ってみようかと。」
「お友達の、何のお店ですか?」
「服のブランドを立ち上げてまして、それに付随する小物も取り揃えています。」
「そうなんですか、あの服は」
「Mからのものは借り物ですか?」
「ああ、そうですね。袖を通したものは頂く事になっていますが、あとは返却します。」
本当は買い取りにしたかったが、シャツ1枚10万と聞いて諦めた。
金銭感覚が麻痺しない様にお見合い専用にして普段はクリーニング後出番までクローゼットに入る事になる。
一度まったく使わなかったときもあったが、そのときにMの見合い服飾担当者が家まで来て泣かれ、4~5着分セットで受け取る羽目になったのでそれ以降は1着はセットで持ち帰る様にしている。
「そうですか、私も弥生さんを着飾らせていただきたくて。」
いやいや服は十分持ってます。それより見合いの本当の目的を達成しないといけないのでは?
「そうなんですか、あの外を散歩とかはどうです?」
一応、外に誘ってみる、出歩いている最中にそれらしい人と会う確率だってあるからだが、蒼紫は悲しそうに「私から受け取れませんか?」と言われるとなんだか断ったらいけない気がする。
「いえ、そういうわけではないんですが。」
「じゃあ、決まりですね。」
え?なんか店に行くことが決定した?
「え~と、服はたくさん持っていてですね。」
「それは、弥生さんが選んだものですか?」
「はい、そうですね。普段身につけるものは自分で選んでいますが。」
嘘は言ってない、普段着はしまむらブランドを愛用している。
「今度、そちらを拝見させて頂いても?」
「ええ、まぁ、たいしたものじゃないですが。」
「あなたが使ってる品を見せて頂けるのは嬉しいです。」
「はぁ」
俺はあなたのその笑顔が見られて嬉しいです。
と言うのは心のなかだけにしておく。
自分で思った甘い思考についついスマホを持っている手が緩んでしまって、足元に落としてしまった。
拾おうと手を伸ばしたが蒼紫がさりげなく止めると代わりに拾ってくれた「ありがとうございます」と受け取ろうとしたが、蒼紫は元あった膝の上に置き肩口に顔を寄せてきた。
「あの?」
「すみません、かがんだらちょっと気分が悪くなってしまって。」
「え?大丈夫ですか?」
乗り物酔いだろうか、そのままずるずるとお腹の方までずれていってしまった。
顔を上げられないほど辛いんだろうか?
大丈夫か聞こうとしたときだった。
正面からドンッと叩く音が聞こえ目をやると佐藤が射殺しそうな目でこちらを見ていた。
正確には弥生を堪能していた蒼紫を睨みつけていたのだが、弥生は自分が蒼紫との距離を間違えて睨まれているのだと勘違いした。
この時、弥生からは見えなかったが邪魔をされた蒼紫は弥生に見えない位置で佐藤を睨みつけていた。
とりあえず離れようと思ったが体調の悪い蒼紫を無理に引き剥がすことは出来ず、
「あの、とりあえず横になりますか?」
弥生はシートを倒してという意味で言ったが、蒼紫はそうは取らなかった。
「いいんですか?」
「はい、じゃあ、え?」
了承を得た蒼紫は体を折りたたむように弥生の太ももにうつ伏せになる形で体を横たえた。
「ありがとうございます。」
いや、そうじゃないです。ともいえず、膝枕のうつ伏せ版というあまりの体勢に顔を真っ赤にして「いえ。」と答えるのが精一杯だった。
一応スピーカーで状況を確認していた佐藤は、これ以上状況は悪化しないと判断して口を挟むのは自重したが車を降りたらここまでに約束させたことをどうやって断らせようかと頭をフル回転させた。
弥生は気がついていないが、パン屋に行く約束は日を決めていない事で今後いつでも行ける約束として使われる、つまり、弥生側が見合いを終わらせたと思ってもその約束をたてに連れ回される可能性が高い。
また、普段着を見せるというのは蒼紫に、”家に来ていいよ”と弥生から直接許可を取り付けた状態なのだ。
このままでは、ついでにとばかりにお付き合い期間で告げている3日が終わったと同時に一緒に弥生の家に行き、家族に挨拶という事態になりかねない。
いま、現状ではその約束がどう転ぶかわからないのだ。
弥生に運命の相手らしき人が現れたことはすでに上に報告済みで、今後どうするかは佐藤の報告にかかっている。
蒼紫は自分の家の力でどうにかなると思っている様だが、現行で政界でも影響力のある人間がバックにいる以上、うかつに動けば、どんなに弥生が望もうと引き離される可能性が高い。
それだけ、アルファの誕生は国にとって切望されていることなのだ。
このまま、蒼紫に思いを寄せることで”縁結び”の能力が消えてただのオメガになり蒼紫に囲われ、Mに守られ幸せに生きていけるなら、佐藤としてはそれでいいと思っている。
ところが上はそうは思わない。
もし、縁結びが出来なくなったなら次代に血を残す事を念頭に動くことになると匂わされている。
そうなると、生まれた子供は国の管理で育てられるようになる。
引き離されるか、手元で育てられるか、そのどちらも弥生に選択権はなく、おそらくこちらの指針によって決められる。
そして、子作りに選ばれるアルファは蒼紫であってはいけない。
家の力の強い蒼紫だと国の思い通りにならないからだ。
最悪の事態だけは避けたいが、今のところ蒼紫の独占欲の暴走により思うように事態が進まない。
焦燥が佐藤を支配しつつあった。
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