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26.女医再び
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よく晴れた日、ホテル内のカフェで待ち合わせたのは蒼紫のはずだったが、何故か目の前には若い男がいる。
今朝、蒼紫から急遽仕事に行かなくてはいけなくなったので、約束していたフリーマーケットに案内して貰うように人を手配したと連絡があった。
フリーマーケットは今日しかなく他の日に変更できないこともあって、気をつかってくれたらしい。
弥生からしたら、蒼紫と一緒に行けない時点で行かなくてもよかったが、気遣いを無駄にするのも気が引けたのでカフェで待ち合わせたというわけだ。
初めての事に緊張しながら待っていたところ、代わりに来たという男は断りを入れることなく正面に座った。
「えーとお、じゃ自己紹介から。俺は蒼紫の親戚で一緒に仕事してます、西園寺 紡といいます。」
ちょっと軽そうな、でも、アルファ独特の威圧感があるのでアルファでは間違いなさそうだ。
「はい、よろしくお願いします。私は柊弥生といいます。」
弥生はにっこり微笑むともう知っているであろう自己紹介をした。
西園寺 紡さん、蒼紫の親戚で今日は急な仕事で来られなくなった蒼紫のかわりに付き合ってくれるらしいが、あまり乗り気ではないらしい。
その証拠に目はにこにこしてはいるが目の奥は笑っていない。
少し、違和感のある空気に喉が渇いて、冷めていた紅茶を一口飲む。
「弥生さんって」
突然名前で呼ばれ目線を上げて紡をみると相変わらず胡散臭い笑顔で紡はこちらを見ていた。
なんで、アルファって胡散臭い笑顔しか出来ないんだろう。と関係ないことを考えてしまう。
「なんでしょう?」
「蒼紫とどこで出会ったわけ?」
「……このホテルの中庭ですね。」
「ああ、あの時のか。」
と思い当たったのか一人で納得していた。
ただ次に出てきた言葉に耳を疑った。
「最低オメガ。」
目を丸くして紡をみると「もしかして、気に障った?」と笑顔で聞いてくる。
気に障るも何もこの男の神経が信じられない。
蒼紫に頼まれてここに来たんじゃないのだろうか?
それとも、蒼紫に何か恨みがあって憂さ晴らしにきたのだろうか。
どう返答したものかと悩んでいると横から聞き覚えのある声がした。
「あなた、ここでなにをなさっているの」
声の方を見ると砂紋麗華が振り袖姿で立っていた。
「麗華さん」
砂紋は弥生の横に座ると、店員を呼び紅茶を注文した。
「で?こちらはどなたですの?」
「えっと、西園寺蒼紫さんの親戚にあたる、西園寺紡さんです、西園寺さんこちら美容外科クリニックを開業されている砂紋麗華さんです。」
紡は砂紋に挨拶をすると思ったが、弥生の考えは甘かった。
「ああ、類は友を呼ぶっていうでしたっけ?」
「「………」」
あまりの失礼さに固まってしまったが、気を取り直し砂紋に向かって一言言った。
「麗華さんと類友なら俺は嬉しいですね。」
「あら、私だってそうですわよ。」
2人が微笑みあっていると紡に鼻で笑われた。
ただ、弥生は粗雑に扱われる事に慣れていて、麗華に至ってはその程度の事気にも留めない。
「それで、結局こんな所でなにをなさってるの?」
「お茶?ですかね?」
最初は顔合わせでその後軽くお茶をして出かける予定が、ここで嫌みを言われているという不可解な状態の説明がしづらくて、ついつい疑問符がついてしまう。
「まったく、なんですのその締まらない答えは。」
「ほんとは蒼紫さんとフリーマーケットに行く事になってたんですけど、急な仕事で。」
「あの男、最後まで締まらないですわね。」
砂紋の言葉に紡がピクリと反応したが、何も言う気配はないのでほっておく。
「麗華さんはどうしたんです?いつもにまして綺麗ですけど。」
「見合いですわ。」
「え?」
見合いって確か、砂紋は独身を謳歌すると昔言っていたような。
それから大分経つから考えが変わっている可能性もあるけど。
「騙されたんですわ。」
「騙されたって、誰にです?」
珍しくため息をつくと「お爺さまですわ。」といって口を潤わす。
「これからですか?」
「中抜けしてきましたの。」
「え?いいんですか?」
「あんな男と一緒の空気を吸うだけでも嫌ですわ。」
職業柄あまり他人を嫌うような事を言わない砂紋が言葉にするくらいだから相当の相手だったんだろう。
ただ、好奇心は止められなかった。
「すみません、どんな方だったんですか?」
思いっきり興味津々とキラキラと砂紋を見つめると砂紋は呆れた表情をする。
「あなた、本当に隠し事の出来ないタイプですわよね、まあ、よろしいわ。」
紡の方は興味もなさそうにスマホをいじり出したので放置して砂紋との会話を楽しむことにする。
「アメリカから帰ってきたばかりのアルファの男性ですの。」
「アメリカですか。」
「ええ、外科医としてあちらで武者修行なさっていたらしいですわ、実家の病院に勤め始めてまだ2ヶ月ほどですでにいくつもの実績をあげて、お爺さまに気に入られて今回のお見合いになったんですわ。」
砂紋の祖父は相当厳しい人だと言っていたのでそこに気に入られるというのは凄い事じゃないだろうか。
「へぇ、凄い人なんですね。」
「腕は凄いかもしれませんわね。」
「性格最悪なんですか?」
「最悪どころか結婚の理念が違いすぎますわ。」
「理念ですか?女は家にいるべきとか?」
「近いですわね。それより最悪ですけど。」
昔は女は家にいて夫に付き従うべきと考える人も多かったが、今は夫婦で働く事は普通だし、妻の立場を縛ることはあまり世間的にもよしとされないんじゃないだろうか。
特に砂紋のようにバイタリティあふれるような女性にしたら、働きたいのに働かせてもらえないというのは相当のストレスになる気がする。
「最悪って?」
「仕事を辞めろといってきたんですわ、経営は実家に任せて結婚後は私に部屋にこもれと。」
うわ、最悪。
砂紋は自分で立ち上げたクリニックに誇りを持っている、それを手放せと言うことは生きがいを捨てろというのと同じだ。
砂紋にとっては地獄でしかないだろう。
「それだけではありませんわよ、友人関係も切れと言ってきましたの、実家の付き合いを優先するべきだと。」
「そこまで、口出ししますか?」
「アルファというのはとにかく伴侶を縛りたい衝動に駆られる生き物らしいですわね。」
「俺なら逃げ出しますね。」
「だから、逃げてきたんではありませんの。」
今更なにいってんの?的にいわれて一瞬止まってしまった。
「……見合いってどこであったんですか?」
「ここですわね。」
「気付かれたら追っかけてこられません?」
「来るでしょうね。」
弥生は店員に合図を送り会計を終わらせ「行きましょう」と席を立つ。
「あら?どちらにですの?」
「楽しめるかどうかはわかりませんが、俺の行きたかった場所に。」
と、ウインクを送ると砂紋も楽しそうに笑う。
「ふふ、二人で逃避行ですのね。」
どこか楽しそうに弥生の手を取り立ち上がる。
その後ろを、仕方なさそうに紡がついてくる。
「勝手にいかれても困るんだけど。」
「ああ、すみません。案内を頼まれてるんでしたっけ?蒼紫にはこちらから言っておくので帰っていただいて結構ですよ。」
反論されると思ってはいなかった紡は一瞬間が空いたが、すぐに笑みを浮かべて「お供しますよ。」とついてきた。
今朝、蒼紫から急遽仕事に行かなくてはいけなくなったので、約束していたフリーマーケットに案内して貰うように人を手配したと連絡があった。
フリーマーケットは今日しかなく他の日に変更できないこともあって、気をつかってくれたらしい。
弥生からしたら、蒼紫と一緒に行けない時点で行かなくてもよかったが、気遣いを無駄にするのも気が引けたのでカフェで待ち合わせたというわけだ。
初めての事に緊張しながら待っていたところ、代わりに来たという男は断りを入れることなく正面に座った。
「えーとお、じゃ自己紹介から。俺は蒼紫の親戚で一緒に仕事してます、西園寺 紡といいます。」
ちょっと軽そうな、でも、アルファ独特の威圧感があるのでアルファでは間違いなさそうだ。
「はい、よろしくお願いします。私は柊弥生といいます。」
弥生はにっこり微笑むともう知っているであろう自己紹介をした。
西園寺 紡さん、蒼紫の親戚で今日は急な仕事で来られなくなった蒼紫のかわりに付き合ってくれるらしいが、あまり乗り気ではないらしい。
その証拠に目はにこにこしてはいるが目の奥は笑っていない。
少し、違和感のある空気に喉が渇いて、冷めていた紅茶を一口飲む。
「弥生さんって」
突然名前で呼ばれ目線を上げて紡をみると相変わらず胡散臭い笑顔で紡はこちらを見ていた。
なんで、アルファって胡散臭い笑顔しか出来ないんだろう。と関係ないことを考えてしまう。
「なんでしょう?」
「蒼紫とどこで出会ったわけ?」
「……このホテルの中庭ですね。」
「ああ、あの時のか。」
と思い当たったのか一人で納得していた。
ただ次に出てきた言葉に耳を疑った。
「最低オメガ。」
目を丸くして紡をみると「もしかして、気に障った?」と笑顔で聞いてくる。
気に障るも何もこの男の神経が信じられない。
蒼紫に頼まれてここに来たんじゃないのだろうか?
それとも、蒼紫に何か恨みがあって憂さ晴らしにきたのだろうか。
どう返答したものかと悩んでいると横から聞き覚えのある声がした。
「あなた、ここでなにをなさっているの」
声の方を見ると砂紋麗華が振り袖姿で立っていた。
「麗華さん」
砂紋は弥生の横に座ると、店員を呼び紅茶を注文した。
「で?こちらはどなたですの?」
「えっと、西園寺蒼紫さんの親戚にあたる、西園寺紡さんです、西園寺さんこちら美容外科クリニックを開業されている砂紋麗華さんです。」
紡は砂紋に挨拶をすると思ったが、弥生の考えは甘かった。
「ああ、類は友を呼ぶっていうでしたっけ?」
「「………」」
あまりの失礼さに固まってしまったが、気を取り直し砂紋に向かって一言言った。
「麗華さんと類友なら俺は嬉しいですね。」
「あら、私だってそうですわよ。」
2人が微笑みあっていると紡に鼻で笑われた。
ただ、弥生は粗雑に扱われる事に慣れていて、麗華に至ってはその程度の事気にも留めない。
「それで、結局こんな所でなにをなさってるの?」
「お茶?ですかね?」
最初は顔合わせでその後軽くお茶をして出かける予定が、ここで嫌みを言われているという不可解な状態の説明がしづらくて、ついつい疑問符がついてしまう。
「まったく、なんですのその締まらない答えは。」
「ほんとは蒼紫さんとフリーマーケットに行く事になってたんですけど、急な仕事で。」
「あの男、最後まで締まらないですわね。」
砂紋の言葉に紡がピクリと反応したが、何も言う気配はないのでほっておく。
「麗華さんはどうしたんです?いつもにまして綺麗ですけど。」
「見合いですわ。」
「え?」
見合いって確か、砂紋は独身を謳歌すると昔言っていたような。
それから大分経つから考えが変わっている可能性もあるけど。
「騙されたんですわ。」
「騙されたって、誰にです?」
珍しくため息をつくと「お爺さまですわ。」といって口を潤わす。
「これからですか?」
「中抜けしてきましたの。」
「え?いいんですか?」
「あんな男と一緒の空気を吸うだけでも嫌ですわ。」
職業柄あまり他人を嫌うような事を言わない砂紋が言葉にするくらいだから相当の相手だったんだろう。
ただ、好奇心は止められなかった。
「すみません、どんな方だったんですか?」
思いっきり興味津々とキラキラと砂紋を見つめると砂紋は呆れた表情をする。
「あなた、本当に隠し事の出来ないタイプですわよね、まあ、よろしいわ。」
紡の方は興味もなさそうにスマホをいじり出したので放置して砂紋との会話を楽しむことにする。
「アメリカから帰ってきたばかりのアルファの男性ですの。」
「アメリカですか。」
「ええ、外科医としてあちらで武者修行なさっていたらしいですわ、実家の病院に勤め始めてまだ2ヶ月ほどですでにいくつもの実績をあげて、お爺さまに気に入られて今回のお見合いになったんですわ。」
砂紋の祖父は相当厳しい人だと言っていたのでそこに気に入られるというのは凄い事じゃないだろうか。
「へぇ、凄い人なんですね。」
「腕は凄いかもしれませんわね。」
「性格最悪なんですか?」
「最悪どころか結婚の理念が違いすぎますわ。」
「理念ですか?女は家にいるべきとか?」
「近いですわね。それより最悪ですけど。」
昔は女は家にいて夫に付き従うべきと考える人も多かったが、今は夫婦で働く事は普通だし、妻の立場を縛ることはあまり世間的にもよしとされないんじゃないだろうか。
特に砂紋のようにバイタリティあふれるような女性にしたら、働きたいのに働かせてもらえないというのは相当のストレスになる気がする。
「最悪って?」
「仕事を辞めろといってきたんですわ、経営は実家に任せて結婚後は私に部屋にこもれと。」
うわ、最悪。
砂紋は自分で立ち上げたクリニックに誇りを持っている、それを手放せと言うことは生きがいを捨てろというのと同じだ。
砂紋にとっては地獄でしかないだろう。
「それだけではありませんわよ、友人関係も切れと言ってきましたの、実家の付き合いを優先するべきだと。」
「そこまで、口出ししますか?」
「アルファというのはとにかく伴侶を縛りたい衝動に駆られる生き物らしいですわね。」
「俺なら逃げ出しますね。」
「だから、逃げてきたんではありませんの。」
今更なにいってんの?的にいわれて一瞬止まってしまった。
「……見合いってどこであったんですか?」
「ここですわね。」
「気付かれたら追っかけてこられません?」
「来るでしょうね。」
弥生は店員に合図を送り会計を終わらせ「行きましょう」と席を立つ。
「あら?どちらにですの?」
「楽しめるかどうかはわかりませんが、俺の行きたかった場所に。」
と、ウインクを送ると砂紋も楽しそうに笑う。
「ふふ、二人で逃避行ですのね。」
どこか楽しそうに弥生の手を取り立ち上がる。
その後ろを、仕方なさそうに紡がついてくる。
「勝手にいかれても困るんだけど。」
「ああ、すみません。案内を頼まれてるんでしたっけ?蒼紫にはこちらから言っておくので帰っていただいて結構ですよ。」
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