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32.威圧
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ノック音に長谷川と顔を見合わせうなずき合う。
「どうぞ。」
「失礼。」
若い男の声が聞こえ、入ってきたのは、蒼紫だった。
「蒼紫」
緊張の中にあった事もあって気がつけば蒼紫の胸に飛び込んでいた。
「弥生お待たせしてすみません。」
首を横に振るがふと気づく、蒼紫とここで待ち合わせなんてしてないから、”待たせた”と言うのはおかしい。
蒼紫を見上げると同事にしゃがれた声が聞こえた。
「おい、さっさとどけ!」
蒼紫が弥生を抱えて横にどけると入ってきたのは杖をついた老人だった。
部屋の中を見回すと杖をカツンと強く打ち付けた。
「麗華はどこだ!?」
誰かと問う必要もなく、それは、麗華の祖父だった。
「えっと?」
「お前だろう!どこに隠した!?」
目が合った瞬間だった。
「っあぁぁぁ」
容赦なく威圧感を浴びて体が緊張に痛くなる。
蒼紫はさっと弥生を抱き込んだと思うと威圧感はなくなっていたが、「うぅぅぅ」と、うめき声が聞こえた。
「一体、何をしてくれてるんです。」
「きっ、貴様こそ老体に容赦なく威圧をたたき込みおって。」
蒼紫の胸から離れ長谷川に椅子に腰掛けさせてもらう。
蒼紫の威圧なんて感じなかったのに砂紋のおじいさんはなにを言ってるんだろう。
「何が起こったの?」
「西園寺様が砂紋の祖父君の威圧を緩和して、その上で祖父君に一瞬だけ威圧を放ちました。」
「そんなこと可能なの?」
「私もはじめて見ました、特定の一人に対してだけ威圧を放つなんて。」
威圧は水紋の様にひろがり周囲の人間に影響を及ぼす。
それが一般的で、特定の人間めがけて威圧を放つなんて、ましてや他のアルファの威圧を消すなんて事はたくさんのアルファに会っている弥生も聞いたことがない。
「威圧を他者に理由もなく放つのは違法行為ですよ。」
「理由ならあるわっ!」
蒼紫は弥生の横の椅子をもっと弥生に近づけると肩を抱き自分の肩に首をもたせかけさせた。
一瞬だけ額に触れた唇の温かさとふわりと香る新緑の香りに心が落ち着く。
「理由とは?」
「そいつが麗華を連れ出したことはわかっとる!」
「おや、麗華さんは誰かに連れ出されるようなかたですか?先程聞いた話ではとても誰かにそそのかされるような方ではなかったようですが。」
「はっ、オメガはフェロモンで人を操る!そいつに操られて連れて行かれたにきまっとる。」
「砂紋さん、あまり馬鹿な事は言われない方がいい。」
「なんじゃと!」
「オメガが人を操るなどというのは非現実的で科学的にも違うと言うことが発表されています。まさか、そんな馬鹿な事を信じていらっしゃると?」
「他に説明がつかないわ!せっかくわしがよいアルファを見つけてやったというのに!」
「ベータとアルファの政略結婚はうまくいかない事が多いようですし、賢明な判断では?」
「若造が貴様のようにオメガだけでなくベータにまで舐められているようなアルファにいわれたくないわ!」
これには弥生がムカついた。
何にも知らないような人に蒼紫を非難されたくない。
「蒼紫は舐められているわけじゃありません。」
「アルファの威圧に耐えられんオメガが口を開くな!」
砂紋祖父が再び威圧を放ったが、まるで威圧なんて存在しないかのように凪いでいた。
威圧を放った砂紋祖父自身も何が起こったかわかっていないようだった。
「砂紋さん、少々落ち着いてください。いっておきますが威圧をこれ以上むやみに放つようなら拘束させていただきますよ。」
「ふん、威圧なんぞ耐えられん方が悪いんじゃ。」
「何をおっしゃってるんです、麗華さんはベータです。もし、この部屋に隠れていたとして威圧に当たられていれば意識を失いかねない、それでもいいと?」
砂紋祖父は鼻を鳴らし馬鹿にしたように「そんな育て方はしとらんわ。」と言った。
その言葉に空気がピリッとする。
「どういうことです?」
「あれにはアルファの威圧に耐えられるように幼い頃から訓練を受けさせた。それがあるから、アルファ相手でも渡り合えるようになったんじゃ。」
「アルファの威圧に耐えられると?」
「そういっとるじゃろう!」
長谷川が「なんという、ひどいことを。」と呟いたのを聞き逃さなかった。
「ひどい事ってなんです?」
「いえ。」
「長谷川さん。」
「それは……。」
「弥生、聞かないほうがいい。」
「いえ、聞かせて下さい。」
「フン、お前さんの様な貧弱なオメガには無理じゃがな!」
蒼紫がじろりと祖父を睨んで黙らせる。
「蒼紫、きかせて。」
じっと蒼紫の目を見ていると諦めたのか嘆息した後、話し出した。
「弥生、アルファの威圧に耐えられるようになるには、威圧に徐々にならしていく方法しかありません。」
「威圧をずっと浴び続けると言うこと?」
下手をすれば死に至る威圧を?
威圧は圧迫を受けたような息苦しさがあり、体の弱い人間は呼吸困難になったり、下手をすれば心臓発作を誘発したりする。
だからこそ、アルファの威圧はよほどの理由がない限り人に向けてするものじゃないし、厳しく規制されている。
それをこの人は幼い麗華さんにしていた?
「あなたは人をなんだと思っているんですか。」
声が怒りで震えるのが止められない。
「ふん、麗華は感謝しとるだろうよ、あれの病院が大きくなれたのは対等にアルファと渡り合ってきたからじゃ。」
違う、麗華さんが作り上げた医療と美容手法を融合させたことが高く評価されたんだ。
麗華さんの努力をまるで自分が導いたようにいうこの老人の言葉を麗華さんは今までどんな気持ちで聞いていたんだろう。
「まぁ、あれで多少傷はついたがそれすら受け入れるアルファを探し出したわしに感謝するだろうよ。」
「傷?」
「アルファと違い体は軟弱じゃからな、気を失うたび起こしてやったのよ。この杖でな。」
「ひ、酷い。」
「何が酷いじゃ、多少背中に傷が残ったくらいで、感謝されこそすれ、非難される覚えはないわ。」
この人は本気で言ってるんだ。
本気で正しいと思ってるんだ。
「それに、そんな小さいことを気にせんアルファを用意してやったんじゃ、なんの文句がある。」
それが、どれほど残酷な事かこの人はわからない。
「どうぞ。」
「失礼。」
若い男の声が聞こえ、入ってきたのは、蒼紫だった。
「蒼紫」
緊張の中にあった事もあって気がつけば蒼紫の胸に飛び込んでいた。
「弥生お待たせしてすみません。」
首を横に振るがふと気づく、蒼紫とここで待ち合わせなんてしてないから、”待たせた”と言うのはおかしい。
蒼紫を見上げると同事にしゃがれた声が聞こえた。
「おい、さっさとどけ!」
蒼紫が弥生を抱えて横にどけると入ってきたのは杖をついた老人だった。
部屋の中を見回すと杖をカツンと強く打ち付けた。
「麗華はどこだ!?」
誰かと問う必要もなく、それは、麗華の祖父だった。
「えっと?」
「お前だろう!どこに隠した!?」
目が合った瞬間だった。
「っあぁぁぁ」
容赦なく威圧感を浴びて体が緊張に痛くなる。
蒼紫はさっと弥生を抱き込んだと思うと威圧感はなくなっていたが、「うぅぅぅ」と、うめき声が聞こえた。
「一体、何をしてくれてるんです。」
「きっ、貴様こそ老体に容赦なく威圧をたたき込みおって。」
蒼紫の胸から離れ長谷川に椅子に腰掛けさせてもらう。
蒼紫の威圧なんて感じなかったのに砂紋のおじいさんはなにを言ってるんだろう。
「何が起こったの?」
「西園寺様が砂紋の祖父君の威圧を緩和して、その上で祖父君に一瞬だけ威圧を放ちました。」
「そんなこと可能なの?」
「私もはじめて見ました、特定の一人に対してだけ威圧を放つなんて。」
威圧は水紋の様にひろがり周囲の人間に影響を及ぼす。
それが一般的で、特定の人間めがけて威圧を放つなんて、ましてや他のアルファの威圧を消すなんて事はたくさんのアルファに会っている弥生も聞いたことがない。
「威圧を他者に理由もなく放つのは違法行為ですよ。」
「理由ならあるわっ!」
蒼紫は弥生の横の椅子をもっと弥生に近づけると肩を抱き自分の肩に首をもたせかけさせた。
一瞬だけ額に触れた唇の温かさとふわりと香る新緑の香りに心が落ち着く。
「理由とは?」
「そいつが麗華を連れ出したことはわかっとる!」
「おや、麗華さんは誰かに連れ出されるようなかたですか?先程聞いた話ではとても誰かにそそのかされるような方ではなかったようですが。」
「はっ、オメガはフェロモンで人を操る!そいつに操られて連れて行かれたにきまっとる。」
「砂紋さん、あまり馬鹿な事は言われない方がいい。」
「なんじゃと!」
「オメガが人を操るなどというのは非現実的で科学的にも違うと言うことが発表されています。まさか、そんな馬鹿な事を信じていらっしゃると?」
「他に説明がつかないわ!せっかくわしがよいアルファを見つけてやったというのに!」
「ベータとアルファの政略結婚はうまくいかない事が多いようですし、賢明な判断では?」
「若造が貴様のようにオメガだけでなくベータにまで舐められているようなアルファにいわれたくないわ!」
これには弥生がムカついた。
何にも知らないような人に蒼紫を非難されたくない。
「蒼紫は舐められているわけじゃありません。」
「アルファの威圧に耐えられんオメガが口を開くな!」
砂紋祖父が再び威圧を放ったが、まるで威圧なんて存在しないかのように凪いでいた。
威圧を放った砂紋祖父自身も何が起こったかわかっていないようだった。
「砂紋さん、少々落ち着いてください。いっておきますが威圧をこれ以上むやみに放つようなら拘束させていただきますよ。」
「ふん、威圧なんぞ耐えられん方が悪いんじゃ。」
「何をおっしゃってるんです、麗華さんはベータです。もし、この部屋に隠れていたとして威圧に当たられていれば意識を失いかねない、それでもいいと?」
砂紋祖父は鼻を鳴らし馬鹿にしたように「そんな育て方はしとらんわ。」と言った。
その言葉に空気がピリッとする。
「どういうことです?」
「あれにはアルファの威圧に耐えられるように幼い頃から訓練を受けさせた。それがあるから、アルファ相手でも渡り合えるようになったんじゃ。」
「アルファの威圧に耐えられると?」
「そういっとるじゃろう!」
長谷川が「なんという、ひどいことを。」と呟いたのを聞き逃さなかった。
「ひどい事ってなんです?」
「いえ。」
「長谷川さん。」
「それは……。」
「弥生、聞かないほうがいい。」
「いえ、聞かせて下さい。」
「フン、お前さんの様な貧弱なオメガには無理じゃがな!」
蒼紫がじろりと祖父を睨んで黙らせる。
「蒼紫、きかせて。」
じっと蒼紫の目を見ていると諦めたのか嘆息した後、話し出した。
「弥生、アルファの威圧に耐えられるようになるには、威圧に徐々にならしていく方法しかありません。」
「威圧をずっと浴び続けると言うこと?」
下手をすれば死に至る威圧を?
威圧は圧迫を受けたような息苦しさがあり、体の弱い人間は呼吸困難になったり、下手をすれば心臓発作を誘発したりする。
だからこそ、アルファの威圧はよほどの理由がない限り人に向けてするものじゃないし、厳しく規制されている。
それをこの人は幼い麗華さんにしていた?
「あなたは人をなんだと思っているんですか。」
声が怒りで震えるのが止められない。
「ふん、麗華は感謝しとるだろうよ、あれの病院が大きくなれたのは対等にアルファと渡り合ってきたからじゃ。」
違う、麗華さんが作り上げた医療と美容手法を融合させたことが高く評価されたんだ。
麗華さんの努力をまるで自分が導いたようにいうこの老人の言葉を麗華さんは今までどんな気持ちで聞いていたんだろう。
「まぁ、あれで多少傷はついたがそれすら受け入れるアルファを探し出したわしに感謝するだろうよ。」
「傷?」
「アルファと違い体は軟弱じゃからな、気を失うたび起こしてやったのよ。この杖でな。」
「ひ、酷い。」
「何が酷いじゃ、多少背中に傷が残ったくらいで、感謝されこそすれ、非難される覚えはないわ。」
この人は本気で言ってるんだ。
本気で正しいと思ってるんだ。
「それに、そんな小さいことを気にせんアルファを用意してやったんじゃ、なんの文句がある。」
それが、どれほど残酷な事かこの人はわからない。
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