縁結びオメガと不遇のアルファ

くま

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ってどういう事なわけ?」
 しばらく考え込んで黙っていた紡は疑問を口にしたようだった。
「そうだね。基本的に見合いに関して俺には周りの情報は伝えられないし、調べられないようにされてる。」
「はぁ?」
「これは俺がそう思ってるだけだけど、アルファ側の事情を知ってお見合いに消極的になる事、精神状態の悪化を防ぐ為に調んじゃないかと。」
「なんでそんな事。」
「俺が縁結びオメガだから。」
「……頭大丈夫かよ。都市伝説だろ。」
「俺とお見合いすると、相手は100%で結婚する。俺以外の誰かと。」
「ありえない。」
「あり得るんだな、これが。だからこそ、俺が見合いをしなくなると困る人がいる。」
 紡が困惑して弥生を見ていた。

「今回の蒼紫とのお見合いもその関係で組まれてる。だから、蒼紫側の事情はこちらに一切流れてこないし俺が知る方法はない。」
 考え込んでしまった様子の紡に、理解出来ないよなぁ、と思う。
 予備知識もなく、彼は実際それを経験した相手からの紹介でもない。
 今日、案内を頼まれていただけの人間が都市伝説級の珍しいオメガと言うのは受け入れられないだろう。

 ただ、考えても仕方ない
 それが事実なんだから。
 弥生は話を続ける事にした。
「俺と蒼紫がお見合いしたというのは聞いてる?」
「ああ、初日すっぽかして後日またって聞いた」
 なるほど、まあ、内情知らないとそうなるか。

「日時はあらかじめ双方が希望日を出して会う日を決めるけど蒼紫側から何の連絡もなくて、何もわからないまま俺はこっちにきた。その日のうちに担当者との打ち合わせで日時の提示はなく、見合い自体がそこでキャンセルになった。」
「じゃあ、すっぽかしって?」
「元々、見合い自体がなくなってたんだ。」
「ホテルであったって」
「たまたまだよ。蒼紫側は俺がくると信じて部屋で待ってたみたいだけど、すでに見合いはなくなっているから、俺はどこで見合いがされるはずだったかも知らない。その日は、中庭に行って偶然蒼紫に会って、そこで10分くらいかな、話をして別れた。」
「ほんとに偶然なのか?」
「うん、偶然だった、ただ、その後は蒼紫が色々手を回して俺との再見合いを組み込んだ。」
 今思い出しても笑えてくる。
 見合いと思って行ったら蒼紫はもう弥生を家族に紹介する場所を用意して、弥生はすんなり家族にも受け入れられた。

 今までの相手は弥生の後ろにいる誰かを期待して見合いに臨んでいた。
「蒼紫だけだよ。俺を受け入れてくれたのって。」
 いうつもりのない言葉が出てしまって、ごまかす為ににっこり微笑む。
 それが居たたまれなかったのか、紡は目を逸らした。
「悪い、俺何も知らなくて。」
「いいんだ、知らないのが当然だから。」
 頃合いだと思ったのか、途中からずっと黙っていた砂紋が口を開いた。
「納得いきまして。」
「納得っていうか状況は分かった。はっきり言って全部信用ってのはまだ出来ない。」
「あら、別にいいんじゃないですの。」
「いいのか?」
 肯定されるとは思っていなかったのは、理解出来る。
 砂紋だからこそ言える事だ。
「あなた、まだまだ情報不足でしてよ。身内の事から会社のことまでその目と耳で納得いくまで調べればいいんですわ。」
「そうだね。俺は調べても知る事は出来ないけど君なら分かると思うし。」
「まぁ、第三者として発言させていただくなら、蒼紫さんが行った改革は”やっと”と思われている事ぐらいですわ。」
「やっと、か、……分かった。」

 気持ちに整理もついたのか、結構な音量で紡のお腹が鳴った。
「まぁ、落ち着いたらお腹はすくものですわ。」

 恥ずかしそうにする紡を指摘する事なく、追加分を注文するが、5人前の肉を注文するのを聞いて弥生は慌てた。
 紡はお腹がすいているかもしれないが、弥生はもう限界で食べられない。
 5人前も注文したらまだ残っている野菜を含めると全部で7人前になる。
「麗華さん、さすがに注文しすぎじゃ…。」
 砂紋は呆れた顔で言った。
「何言ってますの、アルファの食欲を侮ってはいけませんわ、通常でも私たちの5倍は食べますのよ。」
 そういえば、つい最近体験したばっかりだった。
 確かに板垣・佐藤の食欲は凄かった。
 それを思えばここの上品な食事の5~7人前なんてペロリだろう。

 まあ、それを弥生が食べるのでなければまったく問題ない。
 とりあえず、茶をすすりながら食事が終わるのを待つことにする。

 紡の食事が終わり、デザートが準備されるとお腹いっぱいだったはずなのにすんなり入る。
 紡がデザートもおかわりしている時に砂紋が今日の予定を聞いてきた。
「次どちらに行かれるか決まってますの?」
「うーん、実は今日の目的ってフリーマーケットだったんだよね。」
「なんか、大量に買ってたな。」
「あの店でなぜあんなに買い物が出来るか謎ですわ。」
 確かにあの店はどこでこんなものというようなラインナップだった。
 大量の古着はわかるが、壊れた時計にどこかの民族のマスクみたいなのまで売っていた。かと思えば綺麗なカメオや置物まで趣味の幅が広いというか、家のいらないもののラインナップみたいだったけど服以外遺品整理だと言ってたからなぁ
 その中で、自分に必要なものを買っただけなんだけど。

「結構使えるものが多くて。」
「あの店に使えるものってありまして?」
「作業着に上下、年神様の辰がなかったから龍の置物、トイレ用にちょうどいい大きさの絵があったのと、車用に膝掛け、カメオは綺麗だったから麗華さんに送ろうと思って、カエルの置物は紡君に。」

「え、いらねぇ。」
「あなた、トイレに絵を飾るつもりですの?」
「テレビで飾ると運気が上がるって言ってたよ。」
「ちなみに、どんなカメオでしたの?」
「なんか、握手してるカメオだったよ。」
「……微妙……。」
「こほん、カメオは嬉しいですがお母様におあげなさい。」
「うーん、二人を見ててピンときたんだけど。」
「?会場での俺たち?」
「あれの何処をみてピンときますの?」
 あれ、なんでだっけ?と弥生自身も頭をひねる。
「年神の辰ってまだ先じゃなかったか?」
「ああ、辰の置物だけ抜けてるんだよ、うち。ちょうどいいと思って。」
「その、だいぶ綺羅きらびやかだったように思いましたけど?」

「うん、金色。綺麗だよね、きっと神様も喜ぶと思うんだ。」
「いや、煩悩ぼんのう激しすぎてひくだろ」
「そうかな?」
「カエルの置物はどうしてですの?」
「いや、欲しいのかなって。」
「いやいやいや、なんでそう思ったわけ?」
「直感。」
「いらないから!!」
 激しく遠慮する紡に、受け取ってもらえないカエルは佐藤にあげる事に決めた。
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