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30.環境
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デザートも5人前しっかりおかわりして満足した紡が「とりあえず、蒼紫からはフリーマーケットで1日過ごすみたいに聞いてたんだけど。」と言ってきた。
「そうだね。ゆっくり見て回ると1日かかるからそうしようって話だったんだよ。」
「………悪かった。」
バツが悪そうな紡に「大丈夫。」と蒼紫が来れない時点で早めにきり上げる予定だったと伝える。
「それと、思い込みで酷い態度だった、本当にごめん。」
頭を下げる紡に「大丈夫だから。」と慌てて言う。
紡の態度には最初は思うところはあったが、オメガだからそういった態度を取られる事はよくあって、実はそれほど気にしていなかった。
ただ、砂紋に対する態度には焦ったけど。
そして、彼の言動が間違った情報から来るものと分かった今は本当に何とも思っていないのだ。
「もう、おやめなさいな、彼は気にしてませんわ。」
「あんたなぁ、ちょいちょい口挟まないと気が済まないわけ?」
さっきのような事になるんじゃないかと思ってハラハラしたが、少し感じが違うのに気がついた。
紡も軽口の様な感じなのでほっとする
「紡君、本当にいいんだよ。」
「でも。」
「ああいう態度取られる事は多いしね、でも、謝ってくれたのは嬉しい、なんか対等になれたみたいで。」
「……謝るくらいするだろ、こっちが悪いんだし。」
「あなた、本当に世間知らずですのね。」
「はぁ?」
「アルファというのはほとんどがオメガに対して謝罪を致しませんわ。」
「いやいや、そんなわけないよな、流石に自分が悪かったら謝るだろ。」
「甘いですわね、上流階級に行けばいくほど顕著に現れるのが支配欲ですわ。」
「支配欲って」
「相手を思い通りに動かすために、謝罪はしないけど間違っていたことは伝えますの」
「間違っていた事を伝えるっていうのが謝罪だろ?」
「伝えるだけですの、情報的に間違っていた、悪い、という風に、でもあなたのように謝罪の言葉を言う事はありませんわ。」
「そんなわけ……」
少し考えて思いあたる事があったのか、反論しかかってやめた。
Mのメンバーは弥生に対して扱いが丁寧で特に思ったことがないが、通常会うアルファの人達はどうしてもこちらを見下している感がある。
これは、性質上仕方ないことだし、それに習ってしまうベータがいることもしかたない事だと思う。
だから、今回はちゃんと謝ってくれて嬉しかったりする。
「あなたは、柔らかいアルファですのね。」
「柔らかいって?」
「だってそうでしょう?私仕事柄アルファの方に会う機会が多いですが、固定観念に固まってしまって相手のことが見られない方もたくさんいましてよ。」
「固定観念って?頭柔らかくないと仕事なんて出来ないだろ。」
「ほら、そのあたりが柔らかいんですわ。」
「はぁ。」
弥生にもちょっとよくわからない。
これは接してきた相手にもよるんだろうけど。
「アルファたるもの”こうでなければ、こうしなければいけない”という周りの価値観に洗脳されていないのは奇跡的でしてよ。」
「え?洗脳って?」
ちょっと尋常でない言葉が聞こえて弥生は聞き返してしまった。
「洗脳は洗脳ですわ、上流階級に生まれれば生まれるほど家族、親戚の期待と言うのは大きいですわ、その事はその家に雇われている周りをお世話をする人間にも言えることですの。」
「もしかして。」
「そうですわ、朝から晩まで幼少期からずっとアルファだからこうだと説かれてご覧なさい”自分はこうあるべきだ”と洗脳されてしまうんですわ。」
確かにそれは洗脳だ。
なにかのテレビでマインドコントロールというのを聞いたことがある。
小さい頃からこうであるべきと誘導する事で、本人の価値観も思考も行動もすべて育てた人の思う通りになると言ってた様な。
「マインドコントロールか。」
「あら、そこにたどり着きますのね。」
「ガキの頃に教えてくれた人がいた。その人はオメガでアルファの恋人がいたんだけど運良くマインドコントロールから脱却出来たって、いろんな話をしてくれた。」
もともと、西園寺出身の父にオメガの母を持つ紡は西園寺の血にこだわる父にずっとアルファは出来て当然、周りはアルファに従うのが当然と言われて育ってきた。
実際何をやっても人並み以上に出来ていた紡もアルファというのはそういうのものだと思っていたし、多少のつまずきさえも”さすがアルファ様”と持ち上げられて失敗も”わざとそうすることで周りをよく見せてやっている”と思い込んでいた。
紡に新しい思考を吹き込んでくれたのは、たまたま公園で会ったオメガだった。
アルファと違いオメガは逆に下に見られることが多い。失敗すれば"オメガだから"、うまくいけば”オメガのくせに”といった風によくない方向に捉えられる。
なのに彼女は卑屈になることなく生きていた。たまたまあっただけの紡の言葉に耳を傾け辛抱強く聞き、色んな方向性の話をしてくれた。
その事がなかったらいまだにアルファ至上主義の考えを改める事はなかったはずだ。
「その方に感謝なさったほうがよろしくてよ、幼い頃に出会えたからこそ今の素直なあなたがいるのですから。」
「言われなくても感謝してるし。」
なんだか丸く落ち着いたなぁと思っていると、忘れていると思っていた本題に彼女が切り込んだ。
「お腹も落ち着いたところで話していただきますわよ。」
「え?」
「なにをすっとぼけてますの、蒼紫さんとお付き合いする事になったのでしょう。」
きらきらする目で見られて居心地が悪いが、逃げるわけにもいかず、目を泳がす。
弥生はあっという間に、蒼紫との出会いから今日に至るまでを白状させられた。
「なんだ、蒼紫の奴ベタ惚れじゃん。」
「本格的には付き合ってないと思ってるのも柊さんだけのようですし、何の問題もありませんわね。」
「え?」
「えっ、って何が気になってますの?」
「……別に特には。」
「まったく、正直におっしゃい。」
「言うほどのことじゃない、かな。」
「あなたがそういう時に限って変な事でぐるぐると回っている事が多くてよ。」
変かなぁ。
結構重要なことだと思うけど。
「ん~、まあ、年齢とか環境とか状況とか色々と。」
「ほら、変な所で回ってるのではありませんの。」
「弥生さんさ、さっき自分で言ってたじゃん、”余計なこと全部忘れて、感情も周りの意図もなしで、現状どうなってるか、今後どうしたらいいかを考える”って今回どうしてそうしないわけ?」
純粋な問いかけに弥生は言葉を失った。
「そうだね。ゆっくり見て回ると1日かかるからそうしようって話だったんだよ。」
「………悪かった。」
バツが悪そうな紡に「大丈夫。」と蒼紫が来れない時点で早めにきり上げる予定だったと伝える。
「それと、思い込みで酷い態度だった、本当にごめん。」
頭を下げる紡に「大丈夫だから。」と慌てて言う。
紡の態度には最初は思うところはあったが、オメガだからそういった態度を取られる事はよくあって、実はそれほど気にしていなかった。
ただ、砂紋に対する態度には焦ったけど。
そして、彼の言動が間違った情報から来るものと分かった今は本当に何とも思っていないのだ。
「もう、おやめなさいな、彼は気にしてませんわ。」
「あんたなぁ、ちょいちょい口挟まないと気が済まないわけ?」
さっきのような事になるんじゃないかと思ってハラハラしたが、少し感じが違うのに気がついた。
紡も軽口の様な感じなのでほっとする
「紡君、本当にいいんだよ。」
「でも。」
「ああいう態度取られる事は多いしね、でも、謝ってくれたのは嬉しい、なんか対等になれたみたいで。」
「……謝るくらいするだろ、こっちが悪いんだし。」
「あなた、本当に世間知らずですのね。」
「はぁ?」
「アルファというのはほとんどがオメガに対して謝罪を致しませんわ。」
「いやいや、そんなわけないよな、流石に自分が悪かったら謝るだろ。」
「甘いですわね、上流階級に行けばいくほど顕著に現れるのが支配欲ですわ。」
「支配欲って」
「相手を思い通りに動かすために、謝罪はしないけど間違っていたことは伝えますの」
「間違っていた事を伝えるっていうのが謝罪だろ?」
「伝えるだけですの、情報的に間違っていた、悪い、という風に、でもあなたのように謝罪の言葉を言う事はありませんわ。」
「そんなわけ……」
少し考えて思いあたる事があったのか、反論しかかってやめた。
Mのメンバーは弥生に対して扱いが丁寧で特に思ったことがないが、通常会うアルファの人達はどうしてもこちらを見下している感がある。
これは、性質上仕方ないことだし、それに習ってしまうベータがいることもしかたない事だと思う。
だから、今回はちゃんと謝ってくれて嬉しかったりする。
「あなたは、柔らかいアルファですのね。」
「柔らかいって?」
「だってそうでしょう?私仕事柄アルファの方に会う機会が多いですが、固定観念に固まってしまって相手のことが見られない方もたくさんいましてよ。」
「固定観念って?頭柔らかくないと仕事なんて出来ないだろ。」
「ほら、そのあたりが柔らかいんですわ。」
「はぁ。」
弥生にもちょっとよくわからない。
これは接してきた相手にもよるんだろうけど。
「アルファたるもの”こうでなければ、こうしなければいけない”という周りの価値観に洗脳されていないのは奇跡的でしてよ。」
「え?洗脳って?」
ちょっと尋常でない言葉が聞こえて弥生は聞き返してしまった。
「洗脳は洗脳ですわ、上流階級に生まれれば生まれるほど家族、親戚の期待と言うのは大きいですわ、その事はその家に雇われている周りをお世話をする人間にも言えることですの。」
「もしかして。」
「そうですわ、朝から晩まで幼少期からずっとアルファだからこうだと説かれてご覧なさい”自分はこうあるべきだ”と洗脳されてしまうんですわ。」
確かにそれは洗脳だ。
なにかのテレビでマインドコントロールというのを聞いたことがある。
小さい頃からこうであるべきと誘導する事で、本人の価値観も思考も行動もすべて育てた人の思う通りになると言ってた様な。
「マインドコントロールか。」
「あら、そこにたどり着きますのね。」
「ガキの頃に教えてくれた人がいた。その人はオメガでアルファの恋人がいたんだけど運良くマインドコントロールから脱却出来たって、いろんな話をしてくれた。」
もともと、西園寺出身の父にオメガの母を持つ紡は西園寺の血にこだわる父にずっとアルファは出来て当然、周りはアルファに従うのが当然と言われて育ってきた。
実際何をやっても人並み以上に出来ていた紡もアルファというのはそういうのものだと思っていたし、多少のつまずきさえも”さすがアルファ様”と持ち上げられて失敗も”わざとそうすることで周りをよく見せてやっている”と思い込んでいた。
紡に新しい思考を吹き込んでくれたのは、たまたま公園で会ったオメガだった。
アルファと違いオメガは逆に下に見られることが多い。失敗すれば"オメガだから"、うまくいけば”オメガのくせに”といった風によくない方向に捉えられる。
なのに彼女は卑屈になることなく生きていた。たまたまあっただけの紡の言葉に耳を傾け辛抱強く聞き、色んな方向性の話をしてくれた。
その事がなかったらいまだにアルファ至上主義の考えを改める事はなかったはずだ。
「その方に感謝なさったほうがよろしくてよ、幼い頃に出会えたからこそ今の素直なあなたがいるのですから。」
「言われなくても感謝してるし。」
なんだか丸く落ち着いたなぁと思っていると、忘れていると思っていた本題に彼女が切り込んだ。
「お腹も落ち着いたところで話していただきますわよ。」
「え?」
「なにをすっとぼけてますの、蒼紫さんとお付き合いする事になったのでしょう。」
きらきらする目で見られて居心地が悪いが、逃げるわけにもいかず、目を泳がす。
弥生はあっという間に、蒼紫との出会いから今日に至るまでを白状させられた。
「なんだ、蒼紫の奴ベタ惚れじゃん。」
「本格的には付き合ってないと思ってるのも柊さんだけのようですし、何の問題もありませんわね。」
「え?」
「えっ、って何が気になってますの?」
「……別に特には。」
「まったく、正直におっしゃい。」
「言うほどのことじゃない、かな。」
「あなたがそういう時に限って変な事でぐるぐると回っている事が多くてよ。」
変かなぁ。
結構重要なことだと思うけど。
「ん~、まあ、年齢とか環境とか状況とか色々と。」
「ほら、変な所で回ってるのではありませんの。」
「弥生さんさ、さっき自分で言ってたじゃん、”余計なこと全部忘れて、感情も周りの意図もなしで、現状どうなってるか、今後どうしたらいいかを考える”って今回どうしてそうしないわけ?」
純粋な問いかけに弥生は言葉を失った。
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