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33.5ちょいさかのぼって〜ランチ〜前
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フリーマーケットでは紡はやけに二人に絡み、砂紋の令嬢に撃沈させられていた。
「しかし、紡は一体どうしたんだ?普段誰かにけんかを売るような事はしないだろう。」
しかも、バース性をあんな大勢のいる中で大声で言うなんて考えられない。
「その事ですが、実は沙苗様が訪ねていらっしゃっていたようです。」
「沙苗が?今は実海棠が嬉々として囲っているだろう。」
沙苗は夫によって家の外に出られないほどの溺愛を受けているはずだ、一体いつ訪ねてきたのか。
「はい、勘当を言い渡され西園寺家に近付く事が出来なくなるとわかって、その前にと会いに向かわれたようです。」
「あの時か。」
佐藤から弥生と結婚するには身内に犯罪者がいる場合、婚姻不可と告げられ実家に帰り話し合いの結果、今まで好き勝手にさせていたときに出し続けてきた損害を母が一部を改めて諭すといった状況になり、その事を報告させると出てくる不正の数々。
もっともらしい理由をつけて社員を私的に使うのは常習化していて、取引相手先にまで西園寺の名を使って押しかけて要求を突きつけていた。
見目の良い社員を侍らせ仕事を妨害。
女性社員とオメガ性の社員を集めよくわからない理屈をこねて自分の理想を押し付け、同感しなかった社員をクビ。
挙げ句の果てには横領だ。
横領が行われていることに関しては前からつかんでいたが、それとは別枠での使い込みが判明した。
今までは沙苗がする事は祖父の怒りに触れない様にと上司から言い含められていた事もあり、社員一同沙苗の事に関しては口を閉じていた。その上で勇気を出し告発してくれた者に対して上役は”沙苗の事だから仕方ない”と放置していた経緯がある。
改めてその事実を突きつけられ愕然としたのを今でも覚えている。
なぜそれを放置していたのか、なぜ自分に報告が上がらなかったのか問い質した結果、沙苗は蒼紫の意向だと言いつけても無駄だと言い、反発する社員を勝手に解雇していた。
人事がなぜそれに従っていたのか聞くと”蒼紫が沙苗を溺愛しているため何を言っても聞き入れられないから従った”と返答が返ってきたときにはめまいがした。
はっきり言って溺愛の事実はない。
なぜそこまで事態が悪化していても気がつかなかったのか、いまだに自分が信じられない。
どんなに会社を大きく導こうとも中身が腐っていれば結局のところ会社自体が立ち行かなくなり駄目になる。
事実、沙苗の横暴がまかり通ったのを見た西園寺の親戚筋が横領だけでなく情報流出などにも手を染めていた。
蒼紫は即刻西園寺からの勘当を父に提言し、その場で決定した。
祖父はオメガだからと食い下がったがそれも蒼紫が直談判に行くとすぐに了承した。
それどころか、蒼紫が帰った後つてを使いマッチングが再度行われる様に取り計らってくれたのだ。
そこは自分で手配したいと申し込んだら喜んで譲ってくれた。
もちろん、祖父がそれ以降過剰に沙苗を庇う事はない。
しかし、思い通りにいかなかった沙苗は納得がいかない。
夫である実海棠の所に送り出した時も随分喚いていた。
その時におくらせた使用人が沙苗の要求に答え、紡の所に送ったのだろう。
沙苗は、蒼紫が結婚したいと言ったオメガにそそのかされて自分をはめたと思っているようだが、こんなことをしているとわかった時点で身内だろうが何だろうが早々に処分していた。
第一、現在アプローチ中の相手が蒼紫をそそのかすもなにもあったものじゃない、と言っても聞く耳持たずにわめいていた事を踏まえれば、紡に何を吹き込んだのか想像がつく。
「東堂。」
「はい。」
「沙苗の所に見張りを送り込め。実海棠のところだけでは心許ない。」
「かしこまりました。」
「西園寺、あの紡という男の態度が今までにないという原因を君は妹の進言があってと思っているのか?」
「どういうことです?板垣さん。」
「君の右腕と称されている話は私も知っているがそこまで出来る男があんなに感情をあらわにするものかな?」
確かに、通常の紡ならどんな相手だろうと当たり障りなく対応していたが。
「まるで、弥生に会ったことで感情を抑えていたものが外れたような印象を受けないか?」
「それはどういうことです?」
「私にも経験がある、弥生のそばにいるだけでまるで世界が違って見えるんだよ。そして、今まで見えなかった事が見えてくる。それは、後で思い返してみてそう感じるといった程度だが、君もそうじゃないのか?」
黙った蒼紫に板垣はさらに続ける。
「今まで会社のことも私生活のことも必要以上に興味がわかなかっただろう。」
確かに、会社は最低の所から引き上げることが”するべき事”でそれだけだった。
「人の忠言も理解はして対処はするがそれだけだ。」
トラブルは処理できていればいいと確かに考えていた。
「会社だけじゃなく、家族にも愛情を持ったことはないだろう。」
反論ができなかった。
おそらくそうだろう。
そこに、そういった関係上の立ち位置にいる。
という認識はあってもすべてを投げうって助けたいかと問われればそうではない。
もし、家族が目の前で死にそうになっていても義務で手を差し出すことがあっても、感情から助けることはない。
「恥じることはない、それがアルファだよ。感情なんて持っていない操り人形だ。」
「操り人形。」
「そうだとも、操り人形でも手腕は確かだからね、任せれば何でもやり遂げてしまう、だが、所詮操り人形だ、感情などもっていないからこそ周囲は言葉巧みに自分の都合のいいように動かすんだよ。」
板垣はにっこり笑う
「おめでとう。」
「何がめでたいんです?」
「君は弥生に会ったことで覚醒したんだよ、だからこそ人の感情に共感出来るようになり、会社も含め人の事が考えられるようになった。だから今までみえてこなかった事が見えてきだしただろう?」
たしかに、いままでと自分が変わったと思うことはある、周りの反応も顕著に表れている。
それが覚醒?
「聞いたこともないが。」
「こう言っているのはMの人間だけだからな。」
「どういうことです?」
「経験しないとわからないからだよ。見えないものが見えてきてはじめて自分の運命と出会えるんだ。」
まあ、君の場合弥生本人だったがね。と面白そうに笑う板垣をみながら、モヤのかかったような、表現しようのない、でもわからなくても問題ないと思っていた疑問が晴れた気がした。
「しかし、紡は一体どうしたんだ?普段誰かにけんかを売るような事はしないだろう。」
しかも、バース性をあんな大勢のいる中で大声で言うなんて考えられない。
「その事ですが、実は沙苗様が訪ねていらっしゃっていたようです。」
「沙苗が?今は実海棠が嬉々として囲っているだろう。」
沙苗は夫によって家の外に出られないほどの溺愛を受けているはずだ、一体いつ訪ねてきたのか。
「はい、勘当を言い渡され西園寺家に近付く事が出来なくなるとわかって、その前にと会いに向かわれたようです。」
「あの時か。」
佐藤から弥生と結婚するには身内に犯罪者がいる場合、婚姻不可と告げられ実家に帰り話し合いの結果、今まで好き勝手にさせていたときに出し続けてきた損害を母が一部を改めて諭すといった状況になり、その事を報告させると出てくる不正の数々。
もっともらしい理由をつけて社員を私的に使うのは常習化していて、取引相手先にまで西園寺の名を使って押しかけて要求を突きつけていた。
見目の良い社員を侍らせ仕事を妨害。
女性社員とオメガ性の社員を集めよくわからない理屈をこねて自分の理想を押し付け、同感しなかった社員をクビ。
挙げ句の果てには横領だ。
横領が行われていることに関しては前からつかんでいたが、それとは別枠での使い込みが判明した。
今までは沙苗がする事は祖父の怒りに触れない様にと上司から言い含められていた事もあり、社員一同沙苗の事に関しては口を閉じていた。その上で勇気を出し告発してくれた者に対して上役は”沙苗の事だから仕方ない”と放置していた経緯がある。
改めてその事実を突きつけられ愕然としたのを今でも覚えている。
なぜそれを放置していたのか、なぜ自分に報告が上がらなかったのか問い質した結果、沙苗は蒼紫の意向だと言いつけても無駄だと言い、反発する社員を勝手に解雇していた。
人事がなぜそれに従っていたのか聞くと”蒼紫が沙苗を溺愛しているため何を言っても聞き入れられないから従った”と返答が返ってきたときにはめまいがした。
はっきり言って溺愛の事実はない。
なぜそこまで事態が悪化していても気がつかなかったのか、いまだに自分が信じられない。
どんなに会社を大きく導こうとも中身が腐っていれば結局のところ会社自体が立ち行かなくなり駄目になる。
事実、沙苗の横暴がまかり通ったのを見た西園寺の親戚筋が横領だけでなく情報流出などにも手を染めていた。
蒼紫は即刻西園寺からの勘当を父に提言し、その場で決定した。
祖父はオメガだからと食い下がったがそれも蒼紫が直談判に行くとすぐに了承した。
それどころか、蒼紫が帰った後つてを使いマッチングが再度行われる様に取り計らってくれたのだ。
そこは自分で手配したいと申し込んだら喜んで譲ってくれた。
もちろん、祖父がそれ以降過剰に沙苗を庇う事はない。
しかし、思い通りにいかなかった沙苗は納得がいかない。
夫である実海棠の所に送り出した時も随分喚いていた。
その時におくらせた使用人が沙苗の要求に答え、紡の所に送ったのだろう。
沙苗は、蒼紫が結婚したいと言ったオメガにそそのかされて自分をはめたと思っているようだが、こんなことをしているとわかった時点で身内だろうが何だろうが早々に処分していた。
第一、現在アプローチ中の相手が蒼紫をそそのかすもなにもあったものじゃない、と言っても聞く耳持たずにわめいていた事を踏まえれば、紡に何を吹き込んだのか想像がつく。
「東堂。」
「はい。」
「沙苗の所に見張りを送り込め。実海棠のところだけでは心許ない。」
「かしこまりました。」
「西園寺、あの紡という男の態度が今までにないという原因を君は妹の進言があってと思っているのか?」
「どういうことです?板垣さん。」
「君の右腕と称されている話は私も知っているがそこまで出来る男があんなに感情をあらわにするものかな?」
確かに、通常の紡ならどんな相手だろうと当たり障りなく対応していたが。
「まるで、弥生に会ったことで感情を抑えていたものが外れたような印象を受けないか?」
「それはどういうことです?」
「私にも経験がある、弥生のそばにいるだけでまるで世界が違って見えるんだよ。そして、今まで見えなかった事が見えてくる。それは、後で思い返してみてそう感じるといった程度だが、君もそうじゃないのか?」
黙った蒼紫に板垣はさらに続ける。
「今まで会社のことも私生活のことも必要以上に興味がわかなかっただろう。」
確かに、会社は最低の所から引き上げることが”するべき事”でそれだけだった。
「人の忠言も理解はして対処はするがそれだけだ。」
トラブルは処理できていればいいと確かに考えていた。
「会社だけじゃなく、家族にも愛情を持ったことはないだろう。」
反論ができなかった。
おそらくそうだろう。
そこに、そういった関係上の立ち位置にいる。
という認識はあってもすべてを投げうって助けたいかと問われればそうではない。
もし、家族が目の前で死にそうになっていても義務で手を差し出すことがあっても、感情から助けることはない。
「恥じることはない、それがアルファだよ。感情なんて持っていない操り人形だ。」
「操り人形。」
「そうだとも、操り人形でも手腕は確かだからね、任せれば何でもやり遂げてしまう、だが、所詮操り人形だ、感情などもっていないからこそ周囲は言葉巧みに自分の都合のいいように動かすんだよ。」
板垣はにっこり笑う
「おめでとう。」
「何がめでたいんです?」
「君は弥生に会ったことで覚醒したんだよ、だからこそ人の感情に共感出来るようになり、会社も含め人の事が考えられるようになった。だから今までみえてこなかった事が見えてきだしただろう?」
たしかに、いままでと自分が変わったと思うことはある、周りの反応も顕著に表れている。
それが覚醒?
「聞いたこともないが。」
「こう言っているのはMの人間だけだからな。」
「どういうことです?」
「経験しないとわからないからだよ。見えないものが見えてきてはじめて自分の運命と出会えるんだ。」
まあ、君の場合弥生本人だったがね。と面白そうに笑う板垣をみながら、モヤのかかったような、表現しようのない、でもわからなくても問題ないと思っていた疑問が晴れた気がした。
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