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33.5時はさかのぼり〜カフェ〜
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弥生のいるカフェが見える、エントランスで花やオブジェでちょうど向こうから見えない位置にある場所に蒼紫は問答無用で引っ張り込まれ、弥生と紡に連絡を入れさせられた。
弥生とフリーマーケットに行く約束をしたのが昨日。
浮かれていた気持ちをどん底に叩き落としてくれた面々をジロリと睨む。
蒼紫的にはデート中に偶然をよそおって遠縁で、今は自分の右腕として動いてもらっている紡との出会いを考えていたのだが、今朝待ち合わせのカフェに向かう途中で目の前の面々に拉致されて紡に詳しい説明もないまま会場に行かずカフェに行くように言った状態で今に至る。
楽しいデートが、突如として奪われMAXで不機嫌な蒼紫に佐藤は「我慢ですよ、我慢。」を繰り返すだけだ。
「昨日、いやもう今朝になるが話し合っただろう。」
「何を言うんです、その事も踏まえて今回のデートプランですよ。」
「その考えになんであんたが一緒にデートになるんですか、昨日俺言いましたよね?2人の時間を一日は作るようにって。今朝弥生さんからあんたとデートって聞いた時の衝撃って言ったらないですよ。」
さして、衝撃なんて受けていなさそうな顔をしていう佐藤にふっと笑った。
「君だってアルファだろう。」
「そうですよ、それが何か?」
「自分の伴侶が見ず知らずの男の観光案内を一日誰の介入もなく受けるなんて耐えられるのか?」
「嫌だな、そんな事態にはならないから大丈夫ですよ。」
「たとえだ、たとえ。」
「だからならないんですって、潰しますから。」
人には苦行を強いておいてこの言いようにこめかみがピクリと引き攣る。
蒼紫だってこの計画潰そうと思えば潰せたのを我慢したというのに。
「やめたまえ、まったく弥生だってショックを受けているだろうに。」
板垣の一言に深く呼吸をして気持ちを落ち着ける。
その通りだ、弥生は今回の計画について何も知らない。
なのに、突然仕事が入って行けません。
なんて理由を信じて健気にも”仕事頑張って下さい”と言ってくれた。
「ああ、きたみたいだぞ。」
渡されたイヤホンに集中する。
イヤホンからは弥生のカフスに仕込んでいるマイクからの音声が流れるようになっていて、高性能なのか近くにいるような鮮明さで聞こえる。
会話が始まったばかりだというのに紡の普段と違う様子になにか違和感を覚える。
軽口での挨拶は紡の特徴なので気にする事ではないが、「最低オメガ」の下りで飛び出そうとしたのを3人がかりで止められた。
「あいつ!あいつはなにを考えてるんだ!?」
声はなんとか小さく収めたが、漏れた殺気に「落ち着いて下さいよ。」と佐藤が慌てる。
アルファの殺気なんて敏感な人間ならすぐ察知してしまう。
「彼も事情は知らせてないんでしょう?」
「……ああ、今回は弥生と一緒にフリーマーケットにいくように言ってあるだけだ。」
「だったら、ここでバレるわけにはいかないんですから辛抱して下さい。」
「なんでこんな苦行を」
「「「あなたと弥生さんが一緒になる為です。」だ。」ですよ。」
3人で同事に言われれば大人しくするしかない。
アルファ2人でも厄介なのに板垣の伴侶はベータからオメガに転身した為か、的確に蒼紫の動きを封じた。
ここで逆らうのは正直分が悪い。
「あれ?」
「誰だ?」
どうしたのかとイヤホンに手を当てカフェの方を見ると振袖姿の女性がいた。
「「「なんで振袖?」」」
どこかで見たことがあるが……
「あれは砂紋様ですね。」
「東堂さん知り合いですか?」
「はい、何度かお会いしたことがあります。佐藤様もご存じのようで。」
「つい最近とーても興味深いお話を聞かせていただいたんですよ。」
そういえば歴代婚約者に連れて行かれた先の病院にいたような。
砂紋の令嬢は弥生の横に腰掛けた。
そんな彼女にも酷く失礼な態度を紡が取りヒヤッとさせられる場面もあったが、こういった場面に慣れているのか彼女の方は歯牙にもかけていない事が分かる。
蒼紫にしてみれば紡はいつも周りに対して丁寧に対応をする。
傍系ゆえに言葉使い等に荒はあるがそれを上回る社交性で蒼紫を支えてくれた。
それが、今日はやけに弥生だけでなく見ず知らずの砂紋にまで普段にない態度をとるのは少々引っ掛かる。
会話の中に彼女がなぜ振袖なのかの答えがあった。
「見合いか。」
「お待ち下さい、砂紋家のお見合いならこちらに情報はないのはおかしいです。」
東堂の言う通り、砂紋家と言えば医者の家系で日本で1番大きな医療機関だ。
砂紋の病院にかかれば治らない病気はないというほどの。
そして、婚約するしないにかかわらず、それに関連する事の情報は関係のある家ならつかんでいてもいいはずで、蒼紫に情報が上がっていなくても情報通の秘書である東堂が知らないというのはおかしい。
「なにか起こっているのか?東堂すぐに調査を依頼してくれ。」
会釈をすると東堂はすぐに調査の指示を出す。
「あ、移動しますよ。」
2人で見つめ合う仕草と内容にイラっとするが、紡に向けられた「帰っていただいて結構ですよ。」の言葉に佐藤がたまらず噴き出した。
「弥生さんが帰れってこれ相当腹立ててますよ。」
あんな態度を取られたのだから腹を立てるのも当然で気持ちは分かる。
だが、はいそうですかと紡に帰られてはせっかく我慢して計画通りに進めているのに全て駄目になる上に、あの女性と二人きりというのは少々我慢ができそうにない。
スマホを取り出し、紡が帰ろうとしたらすぐに電話をかけるつもりだったが、その必要もなく紡は2人について行った。
5人はバンに乗り込み弥生達の後をついていく。
その間に車の中にあった機器の説明があった。
音漏れを防ぐ為車の中には防音がされ、パソコンには弥生からの音声と佐藤がつけているカメラの映像が映し出される様になっていた。
「なぜ、弥生にカメラを持たせなかったんだい?」
板垣の疑問ももっともでそれは蒼紫も考えていた。
「弥生さんにカメラ持たせても無駄なんですよ。普通にしていたら動かないはずの仕込みカメラが何でかあらぬ方を映している事があって2回ほど試しましたけど本人に内緒にすると役に立ちませんでした。」
「試したのか。」
どんな状況でそうなったか聞き出したい気持ちを抑え込む。
「カメラの事だけ言っておけばいいのでは?」
「駄目ですよ、弥生さん自分の事はうまく隠し事をするくせに、こういうのに関しては周りに速攻でバレます。近所の催し物の時に子供に内緒にしてた事が何故か弥生さんの様子を見た小学生の子供にバレましたよ。」
「「「……………」」」
「それなら仕方ないな、まあ弥生らしいと言えば弥生らしいが。」
板垣夫妻の疑問は弥生ならではの事情が関係していてどうコメントしていいか分からず困っていたが、無難に返していた。
「あ、着きましたね。西園寺さんなにかあれば俺が対応しますから絶対に出てこないで下さいよ!絶対ですからね!」
念押しされなくてもここまで来たら下手にでる方が弥生の蒼紫への印象が悪くなるので出るに出れないのだが、神妙にうなずいておく。
残った4人でモニターを見つめながら出来れば紡に早く出会いが訪れる事を祈った。
弥生とフリーマーケットに行く約束をしたのが昨日。
浮かれていた気持ちをどん底に叩き落としてくれた面々をジロリと睨む。
蒼紫的にはデート中に偶然をよそおって遠縁で、今は自分の右腕として動いてもらっている紡との出会いを考えていたのだが、今朝待ち合わせのカフェに向かう途中で目の前の面々に拉致されて紡に詳しい説明もないまま会場に行かずカフェに行くように言った状態で今に至る。
楽しいデートが、突如として奪われMAXで不機嫌な蒼紫に佐藤は「我慢ですよ、我慢。」を繰り返すだけだ。
「昨日、いやもう今朝になるが話し合っただろう。」
「何を言うんです、その事も踏まえて今回のデートプランですよ。」
「その考えになんであんたが一緒にデートになるんですか、昨日俺言いましたよね?2人の時間を一日は作るようにって。今朝弥生さんからあんたとデートって聞いた時の衝撃って言ったらないですよ。」
さして、衝撃なんて受けていなさそうな顔をしていう佐藤にふっと笑った。
「君だってアルファだろう。」
「そうですよ、それが何か?」
「自分の伴侶が見ず知らずの男の観光案内を一日誰の介入もなく受けるなんて耐えられるのか?」
「嫌だな、そんな事態にはならないから大丈夫ですよ。」
「たとえだ、たとえ。」
「だからならないんですって、潰しますから。」
人には苦行を強いておいてこの言いようにこめかみがピクリと引き攣る。
蒼紫だってこの計画潰そうと思えば潰せたのを我慢したというのに。
「やめたまえ、まったく弥生だってショックを受けているだろうに。」
板垣の一言に深く呼吸をして気持ちを落ち着ける。
その通りだ、弥生は今回の計画について何も知らない。
なのに、突然仕事が入って行けません。
なんて理由を信じて健気にも”仕事頑張って下さい”と言ってくれた。
「ああ、きたみたいだぞ。」
渡されたイヤホンに集中する。
イヤホンからは弥生のカフスに仕込んでいるマイクからの音声が流れるようになっていて、高性能なのか近くにいるような鮮明さで聞こえる。
会話が始まったばかりだというのに紡の普段と違う様子になにか違和感を覚える。
軽口での挨拶は紡の特徴なので気にする事ではないが、「最低オメガ」の下りで飛び出そうとしたのを3人がかりで止められた。
「あいつ!あいつはなにを考えてるんだ!?」
声はなんとか小さく収めたが、漏れた殺気に「落ち着いて下さいよ。」と佐藤が慌てる。
アルファの殺気なんて敏感な人間ならすぐ察知してしまう。
「彼も事情は知らせてないんでしょう?」
「……ああ、今回は弥生と一緒にフリーマーケットにいくように言ってあるだけだ。」
「だったら、ここでバレるわけにはいかないんですから辛抱して下さい。」
「なんでこんな苦行を」
「「「あなたと弥生さんが一緒になる為です。」だ。」ですよ。」
3人で同事に言われれば大人しくするしかない。
アルファ2人でも厄介なのに板垣の伴侶はベータからオメガに転身した為か、的確に蒼紫の動きを封じた。
ここで逆らうのは正直分が悪い。
「あれ?」
「誰だ?」
どうしたのかとイヤホンに手を当てカフェの方を見ると振袖姿の女性がいた。
「「「なんで振袖?」」」
どこかで見たことがあるが……
「あれは砂紋様ですね。」
「東堂さん知り合いですか?」
「はい、何度かお会いしたことがあります。佐藤様もご存じのようで。」
「つい最近とーても興味深いお話を聞かせていただいたんですよ。」
そういえば歴代婚約者に連れて行かれた先の病院にいたような。
砂紋の令嬢は弥生の横に腰掛けた。
そんな彼女にも酷く失礼な態度を紡が取りヒヤッとさせられる場面もあったが、こういった場面に慣れているのか彼女の方は歯牙にもかけていない事が分かる。
蒼紫にしてみれば紡はいつも周りに対して丁寧に対応をする。
傍系ゆえに言葉使い等に荒はあるがそれを上回る社交性で蒼紫を支えてくれた。
それが、今日はやけに弥生だけでなく見ず知らずの砂紋にまで普段にない態度をとるのは少々引っ掛かる。
会話の中に彼女がなぜ振袖なのかの答えがあった。
「見合いか。」
「お待ち下さい、砂紋家のお見合いならこちらに情報はないのはおかしいです。」
東堂の言う通り、砂紋家と言えば医者の家系で日本で1番大きな医療機関だ。
砂紋の病院にかかれば治らない病気はないというほどの。
そして、婚約するしないにかかわらず、それに関連する事の情報は関係のある家ならつかんでいてもいいはずで、蒼紫に情報が上がっていなくても情報通の秘書である東堂が知らないというのはおかしい。
「なにか起こっているのか?東堂すぐに調査を依頼してくれ。」
会釈をすると東堂はすぐに調査の指示を出す。
「あ、移動しますよ。」
2人で見つめ合う仕草と内容にイラっとするが、紡に向けられた「帰っていただいて結構ですよ。」の言葉に佐藤がたまらず噴き出した。
「弥生さんが帰れってこれ相当腹立ててますよ。」
あんな態度を取られたのだから腹を立てるのも当然で気持ちは分かる。
だが、はいそうですかと紡に帰られてはせっかく我慢して計画通りに進めているのに全て駄目になる上に、あの女性と二人きりというのは少々我慢ができそうにない。
スマホを取り出し、紡が帰ろうとしたらすぐに電話をかけるつもりだったが、その必要もなく紡は2人について行った。
5人はバンに乗り込み弥生達の後をついていく。
その間に車の中にあった機器の説明があった。
音漏れを防ぐ為車の中には防音がされ、パソコンには弥生からの音声と佐藤がつけているカメラの映像が映し出される様になっていた。
「なぜ、弥生にカメラを持たせなかったんだい?」
板垣の疑問ももっともでそれは蒼紫も考えていた。
「弥生さんにカメラ持たせても無駄なんですよ。普通にしていたら動かないはずの仕込みカメラが何でかあらぬ方を映している事があって2回ほど試しましたけど本人に内緒にすると役に立ちませんでした。」
「試したのか。」
どんな状況でそうなったか聞き出したい気持ちを抑え込む。
「カメラの事だけ言っておけばいいのでは?」
「駄目ですよ、弥生さん自分の事はうまく隠し事をするくせに、こういうのに関しては周りに速攻でバレます。近所の催し物の時に子供に内緒にしてた事が何故か弥生さんの様子を見た小学生の子供にバレましたよ。」
「「「……………」」」
「それなら仕方ないな、まあ弥生らしいと言えば弥生らしいが。」
板垣夫妻の疑問は弥生ならではの事情が関係していてどうコメントしていいか分からず困っていたが、無難に返していた。
「あ、着きましたね。西園寺さんなにかあれば俺が対応しますから絶対に出てこないで下さいよ!絶対ですからね!」
念押しされなくてもここまで来たら下手にでる方が弥生の蒼紫への印象が悪くなるので出るに出れないのだが、神妙にうなずいておく。
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