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65.有名人
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施設内には県を代表する様なお土産の他に地元のお土産に出来る様なものを取り入れているお店から、鹿や猪の皮を使った工芸品を販売だけでなく自分で作る事ができるお店まで様々ある。
パンフレットだけでも十分施設の内容は伝わるが、東堂のわかりやすく、テンポのいい説明は聞いているだけで、どんどんお店への期待度が増していく。
母と美穂の楽しみにしていた美容院が入る予定の店舗付近に差し掛かった時だった。
目当ての店付近がざわめいていた。
「ああ、今日はあちらの完成でしたか。」
「あそこは?」
「美容院とその横にカジュアルウエアのお店が入るようになってましてその両方が同時に仕上がるように工事を進めていましたが今日がその完成日だったようです。」
カジュアルウエアと聞いて弥生の目が輝き、美容院と聞いて二人の目が輝いた。
パンフレットを見ると美容院は完全予約制だがパーマから化粧まで幅広く扱いがあり、化粧に至っては、希望があれば好みのメイクまで個人指導で教えてくれるという。
弥生の期待するカジュアルウエアのお店は”作業の出来るおしゃれ”と銘打っていてどんな服なのか楽しみで仕方ない。
「今日完成なので商品もそろった状態でご案内できますが、いかがされますか?」
東堂はそう言ってくれるがお店がざわめいているということは忙しいような気がする。
それは二人も思ったらしく。
「オープンしてゆっくり来させていただくので、今日は大丈夫です。」
と断っていた。
さあ、次と移動しようとした時だった。
カジュアルウエアの店舗の方を見て、二人に視線を戻すと母も美穂も固まって動かない。
二人の見ている方を見ると、目を引く男女がよりそってスタッフらしき人たちと話をしていた。
「SAIGA?美穂ちゃんSAIGAがいるわ。」
「知子さん、奥さんのユイさんもいますよ。」
「二人とも知ってるの?」
二人は弥生を振り返りこぼれんばかりに目を見開いていた。
「弥生、知らないの!?」
「ファッションデザイナーのSAIGAですよ。弥生ちゃんもたまに着てるじゃないですか。」
「そういうの疎くて。有名なんだね。」
「有名どころか、世界のSAIGAですよ。奥様もカリスマ美容師で、オメガなのに世界のコンテストで数々の賞を受賞して、彼女にカットしてもらいたいセレブが列をなしてるって話です。」
弥生からしたら動きやすくて着やすい服が好みでブランドを意識した事がなく、美容院もカットしてもらうだけなので、へーと感心する事はあってもキャッキャッと浮かれることがない。
この2人のテンションの高さから相当すごい有名人なんだろうとは思うけど、有名人に興味がない弥生は、”そうなんだ”としか思わない。
ただ、ここでそれを表に出すほどバカじゃないので話を合わせて「すごいね。」と当たり障りない事をいったら2人にあきれた目で見られた。
この答えも駄目だったらしい。
有名人を見て目の保養が出来た所で次に移動になった時だった。
人の言い争う様な声が聞こえ始めた。
「なんでしょう?」
「少々お待ちください。」
東堂は少し離れてどこかに電話をかけ始めた。
「弥生ちゃん、今日はこれからどうするの?」
「ん~、ほんとはのんびり部屋でゴロゴロしようと思ってたんだけど。」
多分、美穂の連絡で佐藤は情報網を駆使してあらかたの事を把握してるはずなので、話をするなら早い方がいい気がする。
「美穂ちゃん、佐藤君今晩借りていい?」
「うん、いいよ。」
「じゃ、今晩……どうしようかなぁ。」
居酒屋だと騒がしすぎる気がするし、かといって個室を頼むとなると大げさな気がする。
だからって佐藤を部屋に呼ぶのも今は憚られる。
どうしようか悩んでいたら母が助け舟を出してくれた。
「道の駅の所にあるお店はどう?」
「あそこランチタイムだけじゃなかった?」
「そんな事ないわよ。予約したら夜8時までやってくれるわ。」
ちょっと連絡してみるわね。と電話をかけ始めた。
それと入れ替わりに東堂が電話を終えた。
「すみません。」
「いえ、何かあったんですか?」
「それが、ここの事を聞きつけた方が中に入りたいと警備に止められてまして、正面入り口はバタついてますので帰りは裏からお帰りいただく事になりそうです。」
「それは、全然いいんですけど、大丈夫ですか?」
「はい、お気遣いありがとうございます。クレーム専門のスタッフが対応してますので問題ありません。」
東堂が微笑んでキッパリ言うということは本当に問題がないのだろう。
ほっとしながらも、地元の人がそんな暴挙に出たというのが信じられない。
こちらはオープン前で入れられない、でも向こうは客だから入れろと押し問答になったんだろう。
たまにいるなぁ、客という立場では何をしてもいいと思ってる人って。
弥生が恥ずかしいなぁとがっくりしていると母が電話を終えた。
「弥生、道の駅のところはダメだったけど焼肉の方が取れたわよ。人数の都合上個室になるし、急だったから用意できるものなら何でもいいって言ってあるけどいいわよね。」
「うん、ありがとう…二人なのに個室なの?」
テーブル席もあったと思うけど。
「何言ってるの、妊婦の美穂ちゃん一人にするわけに行かないでしょ。小さい子二人見ながらなんて大変なんだから。」
確かにそう。
「美穂ちゃん、ごめんね。気付かなくて。」
「いいの、いいの。そこはあんまり気を使わないで本当に普段と変わらないんだから。2人でご飯食べながら話してきて。」
「あら、駄目よ。やっと帰ってきた父親を子供達と離すなんて。」
「知子さんもあんまり気を使わないでください。」
美穂は困っているようだったが、妊婦さんに負担をかけるのは良くなかった。
そんな事にさえ気付かないなんてどれだけ浮かれてるのか、自分に呆れる。
「美穂ちゃん来てくれるのは心強いから助かるけど、体がえらくなったら言ってね。」
「ええ?お邪魔だから家に「来てくれるよね。」」
「う、うん。」
目を合わせてにっこり微笑むと諦めたのか了承してくれた。
美穂は”いいの?”と問いかけるように言うと、ほぼ高確率で”迷惑と思うので”と断ってくる。
弥生も頑固だと言われるが美穂だってちょっと強引にいかないと頷かないくらい頑固な部分がある。
だから、言葉に被せて強めに言ったのだ。
言質が取れたのでほっと胸を撫で下ろしたところで帰る為に裏口に向かった。
パンフレットだけでも十分施設の内容は伝わるが、東堂のわかりやすく、テンポのいい説明は聞いているだけで、どんどんお店への期待度が増していく。
母と美穂の楽しみにしていた美容院が入る予定の店舗付近に差し掛かった時だった。
目当ての店付近がざわめいていた。
「ああ、今日はあちらの完成でしたか。」
「あそこは?」
「美容院とその横にカジュアルウエアのお店が入るようになってましてその両方が同時に仕上がるように工事を進めていましたが今日がその完成日だったようです。」
カジュアルウエアと聞いて弥生の目が輝き、美容院と聞いて二人の目が輝いた。
パンフレットを見ると美容院は完全予約制だがパーマから化粧まで幅広く扱いがあり、化粧に至っては、希望があれば好みのメイクまで個人指導で教えてくれるという。
弥生の期待するカジュアルウエアのお店は”作業の出来るおしゃれ”と銘打っていてどんな服なのか楽しみで仕方ない。
「今日完成なので商品もそろった状態でご案内できますが、いかがされますか?」
東堂はそう言ってくれるがお店がざわめいているということは忙しいような気がする。
それは二人も思ったらしく。
「オープンしてゆっくり来させていただくので、今日は大丈夫です。」
と断っていた。
さあ、次と移動しようとした時だった。
カジュアルウエアの店舗の方を見て、二人に視線を戻すと母も美穂も固まって動かない。
二人の見ている方を見ると、目を引く男女がよりそってスタッフらしき人たちと話をしていた。
「SAIGA?美穂ちゃんSAIGAがいるわ。」
「知子さん、奥さんのユイさんもいますよ。」
「二人とも知ってるの?」
二人は弥生を振り返りこぼれんばかりに目を見開いていた。
「弥生、知らないの!?」
「ファッションデザイナーのSAIGAですよ。弥生ちゃんもたまに着てるじゃないですか。」
「そういうの疎くて。有名なんだね。」
「有名どころか、世界のSAIGAですよ。奥様もカリスマ美容師で、オメガなのに世界のコンテストで数々の賞を受賞して、彼女にカットしてもらいたいセレブが列をなしてるって話です。」
弥生からしたら動きやすくて着やすい服が好みでブランドを意識した事がなく、美容院もカットしてもらうだけなので、へーと感心する事はあってもキャッキャッと浮かれることがない。
この2人のテンションの高さから相当すごい有名人なんだろうとは思うけど、有名人に興味がない弥生は、”そうなんだ”としか思わない。
ただ、ここでそれを表に出すほどバカじゃないので話を合わせて「すごいね。」と当たり障りない事をいったら2人にあきれた目で見られた。
この答えも駄目だったらしい。
有名人を見て目の保養が出来た所で次に移動になった時だった。
人の言い争う様な声が聞こえ始めた。
「なんでしょう?」
「少々お待ちください。」
東堂は少し離れてどこかに電話をかけ始めた。
「弥生ちゃん、今日はこれからどうするの?」
「ん~、ほんとはのんびり部屋でゴロゴロしようと思ってたんだけど。」
多分、美穂の連絡で佐藤は情報網を駆使してあらかたの事を把握してるはずなので、話をするなら早い方がいい気がする。
「美穂ちゃん、佐藤君今晩借りていい?」
「うん、いいよ。」
「じゃ、今晩……どうしようかなぁ。」
居酒屋だと騒がしすぎる気がするし、かといって個室を頼むとなると大げさな気がする。
だからって佐藤を部屋に呼ぶのも今は憚られる。
どうしようか悩んでいたら母が助け舟を出してくれた。
「道の駅の所にあるお店はどう?」
「あそこランチタイムだけじゃなかった?」
「そんな事ないわよ。予約したら夜8時までやってくれるわ。」
ちょっと連絡してみるわね。と電話をかけ始めた。
それと入れ替わりに東堂が電話を終えた。
「すみません。」
「いえ、何かあったんですか?」
「それが、ここの事を聞きつけた方が中に入りたいと警備に止められてまして、正面入り口はバタついてますので帰りは裏からお帰りいただく事になりそうです。」
「それは、全然いいんですけど、大丈夫ですか?」
「はい、お気遣いありがとうございます。クレーム専門のスタッフが対応してますので問題ありません。」
東堂が微笑んでキッパリ言うということは本当に問題がないのだろう。
ほっとしながらも、地元の人がそんな暴挙に出たというのが信じられない。
こちらはオープン前で入れられない、でも向こうは客だから入れろと押し問答になったんだろう。
たまにいるなぁ、客という立場では何をしてもいいと思ってる人って。
弥生が恥ずかしいなぁとがっくりしていると母が電話を終えた。
「弥生、道の駅のところはダメだったけど焼肉の方が取れたわよ。人数の都合上個室になるし、急だったから用意できるものなら何でもいいって言ってあるけどいいわよね。」
「うん、ありがとう…二人なのに個室なの?」
テーブル席もあったと思うけど。
「何言ってるの、妊婦の美穂ちゃん一人にするわけに行かないでしょ。小さい子二人見ながらなんて大変なんだから。」
確かにそう。
「美穂ちゃん、ごめんね。気付かなくて。」
「いいの、いいの。そこはあんまり気を使わないで本当に普段と変わらないんだから。2人でご飯食べながら話してきて。」
「あら、駄目よ。やっと帰ってきた父親を子供達と離すなんて。」
「知子さんもあんまり気を使わないでください。」
美穂は困っているようだったが、妊婦さんに負担をかけるのは良くなかった。
そんな事にさえ気付かないなんてどれだけ浮かれてるのか、自分に呆れる。
「美穂ちゃん来てくれるのは心強いから助かるけど、体がえらくなったら言ってね。」
「ええ?お邪魔だから家に「来てくれるよね。」」
「う、うん。」
目を合わせてにっこり微笑むと諦めたのか了承してくれた。
美穂は”いいの?”と問いかけるように言うと、ほぼ高確率で”迷惑と思うので”と断ってくる。
弥生も頑固だと言われるが美穂だってちょっと強引にいかないと頷かないくらい頑固な部分がある。
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