自宅に聖剣が着払いで届いた時の対処法

lark

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聖剣

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AM7:58分
彼は全速力で下り坂を駆け抜けていた。
学校の閉門は8:00分
ここから門までは約350m
最後の難関である上り坂のことも考慮するととてもではないが間に合わない。
「まさかパンクするなんて!ついてない!」
叫んだところで時間は巻き戻らない。むしろ浪費するだけなのである。それでも彼は必死に走った。が、時として現実は非情である。
勢い余って転んでしまった。これが無ければなんとか間に合っていたかもしれない。
コケたから、と言って教師が遅刻を取り消すわけでもない。
しかし、彼は抗議などはしない。
もう少し早く家を出ればいいと言われるに決まっているからだ。
たしかに今日は普段より出発が遅かった。
彼、轟剣聖はさっぱりとした性格の持ち主だった。
なので、この事を引きずる訳でもなく自分のクラスへと即座に向かった。
すると隣の席の瀬田雷也が
「何やってんだよ」と笑いながら話しかけてくる。
こいつは高校に入学してから初めてできた友人で、なんでも話せる親友というやつだ。
「まさかパンクするとは思ってなかったからな~」
とため息混じりに返す。
「そりゃ災難だったな」と雷也。
まぁ他人事だしな、こんな反応が普通だろう。
などと考えていると、担任が入って来てHRが始まった。
何百回聞いたか分からないことを繰り返す担任を尻目に目線をクラスへと向ける。
3-4、それが俺の所属クラスだ。
学年6クラスが3学年。各クラス40人となっている。
そんなことを考えつつ斜め後ろに目を向ける。
クラスで一番可愛いと男子の中で話題の三島優香と目が合った。
こちらを見て微笑みを浮かべる彼女に微笑み返し前を向く。
すると目の前には怒りの形相を浮かべる担任が・・・
「遅刻だけではなく人の話中によそ見か・・・いい御身分だなぁ」
マズイな、これは何を言っても怒られるアレだ。
とりあえず謝って謝って謝り倒した。
なんとか許してもらえたが、朝からついてない。
「今日のお前ほんとついてないな」
「占いだと3位だったんだけどなぁ・・・」
「そんなの見てるから遅刻するんだよバカ」
「バカとはなんだバカとは・・・」
などと特にオチもない話をしていると、授業が始まったが、
特に何かがあった訳でもない。
そして時間が過ぎ昼食の時間となった。
そして俺は焦って弁当を忘れたことにこのタイミングで気がついた。
「ついてねぇなぁ・・・」
「これ要らないからやるわ」
可哀想に思ったのか、雷也が余っていたパンをくれた。
「ありがたい、持つべきものは友だな!」
「俺に感謝して食えよ」
とそんな会話をしつつ昼食を終える。
「最近通り魔が出てるらしいな」
と、スマホを見ていた雷也が呟く。
「どんな感じのやつなんだ?」
「なんか普通のナイフとかじゃなくて刀みたいなんだとさ」
「刀かぁ、怖っ」
「この辺からは少し遠いから大丈夫だろ」
「そうかなぁ・・・」
と、会話をしていると予鈴が鳴った。
次の授業の準備をする。
こうして普段通りの1日が終わった。
「じゃあ俺今日バイトだから先帰るわ」
雷也は週3でバイトをしていて、いつもは一緒に帰っているがたまにこういう日がある。
今日は大人しく帰ることにしよう。と、外を見ると
「雨降ってるし・・・」
今日は本当についてない。家に帰ったら占いを確認してやろうか。
折りたたみ傘すら持ってない俺はがむしゃらに走って家を目指した。
「ただいま~、って誰もいないんだったな」
両親は今年結婚20年らしく一昨日からハワイに行っている。
3週間ほど滞在するそうだ。
とりあえず着替えて占いでも見ようかな・・・
そんなことを考えながらズボンを脱いだその時、見ていたかのように「ピンポーン」とインターホンが鳴る。
何だ、このタイミングで。
モニターを見ると宅配らしかった。
急いでズボンを履いて出る。
「着払いでのお届けです」
「おいくらですか?」
「6250円です」
「高っ!中身なんですかこれ!?」
「さぁ・・・」
なんだこのいかにも怪しいブツは。
財布の中身は、6500円。
バイトの給料日は明後日。
このタイミングで誰だほんとに。
「あのー?」
「あぁはいはい、すいません」
財布の中身をほぼ全部吐き出し荷物を受け取る。
部屋の中で荷物と睨み合う。
異常に縦長の箱。
入っているのは棒状の何かだろう。
とりあえず開けよう。
ガムテープをはがし・・・はが・・・
「面倒くさ、カッター使おう」
かなりガムテープが貼られている。
2層か3層。
「やっと開いたぞ」
中身は梱包材に包まれていた。
それを無理矢理破ると中から出てきたのは
ひと振りの剣だった。
「おもちゃ・・・?にしては随分と重たいな。なんだこれ」
軽く振ってみる。すると、この剣が入っていた箱が消えた。
いや、細かい粒子になったと言った方が正しいのかもしれない。
「なんだこれ!?」
俺が驚いたのはダンボールが消えたこと

ではなく
「これ鞘ないのか?」
と言う事だった。
梱包材の中には説明書らしきものが入っていた。
「なになに・・・エクスカリバー・・・エクスカリバーだって!?」
エクスカリバーと言えば、あのアーサー王伝説に出てくるあの剣だ。
アーサーは石に刺さった剣を引きぬいて王になることになっている。
「そんな剣がなんでここに・・・」
同時刻―雷也宅
彼の家にも同じように着払いで荷物が届いていた。
やはり異常に縦長の箱。
開けてみる。
そこには血のように赤い、一本の槍が入っていた。
「なになに・・・ゲイ・・・ボル・・・グ。聞いたことないな」
「この槍は当たれば必ず心臓を貫きます・・・怖すぎだろこれ。何に使うの」
昔、習い事の一貫で槍の扱いを習ったことがある。
その要領で槍を構えてみる。
鏡に映る自分を見て、少しカッコイイ、などと考えていると、窓が割れる。
入って来たのは、巫女服を着た・・・一人の少女だった。
「うちの玄関はそっちじゃねぇぞ?」
「やだ、私ったらドジっ子☆」
「とりあえず、ガラス代を・・・なんだその剣は」
「これぇ?これはねぇ・・・雨叢雲剣だよん☆」
雨叢雲の剣―別名草薙の剣と言われる。スサノオノミコトが八岐大蛇を退治した際に見つけたと言われる剣である。三種の神器の一つである。
それを振り回すこの女はいったい何者なんだ。
「はあっ!」
手に持っていたゲイボルグで必死に応戦する。
それどころか押している気もする。
「やっぱりこのままだとまずいね。スサノオ!」
と叫ぶと彼女は胸元から何やら一枚の札を持ち出した。
そして何やらぶつぶつ呟くと、剣が青いオーラを纏った。
「えいっ!」
と可愛い声とは裏腹に、窓から玄関まで斬撃が走る。
あんなのシャレにならんぞ・・・とりあえずここは逃げるが勝ちだ!
タイミングを見計らい、窓を抜けベランダへと移動し飛び降りた。
幸い、下は芝生。二階だったこともあり大したダメージも無く、飛び降りてすぐに走って逃げる事に成功した。
「あーあ、逃げられちゃったよ、どうすんの?ワリティア」
「今のままだとあなたの身体が持たない・・・ここは引くわよ?」
「はいはーいっと」
一体何が起こってるんだ!?
「戦争よ?」
と、突然背後から声がした。
まさかあいつか!?と思い振り向くと誰もいない。
「こっちだ、下だ」
下を向くと、10歳ぐらいの女の子がいた。
「誰だ・・・?」
「今は真名を明かすことは・・・痛い痛い!頭を鷲づかむな!分かった!言うから」
涙目になっているこいつは自分が七大罪の1人、嫉妬のジェシーであると名乗った。
さらに何故武器が送られてきたのか。
それは七大罪のメンツをかけた代理戦争を行うため。
にわかには信じ難いが、ゲイボルグは届いた。
つまり信じるしか無さそうだ。
「どうやったら勝ち?勝ったらなんか貰える?」
「相手を殺すか武器を壊せば勝ち。最後のひとりは優勝特典としてなんでも願いが叶うよ」
なんでも・・・か
とりあえずこいつには言っておかないといけないことがある。
「とりあえず金返せよ」
「なんの?」
「着払いの」
「ワタシシラナーイ」
こいつ・・・!
何度も周りを見渡す。幸い彼女はそれ以上は追ってこなかった。
「待ち伏せされてるかもなぁ」
「それは無いよ、戦闘は昼12:00から夜21:00までと制限されてるからね。今は21:12分だ」
なるほどな、とりあえず帰れる訳だ。
「ところでお前はどうすんの?」
「えっ?もちろん君のところに住むよ?」
「はぁ・・・面倒くさ・・・」
「先に言っておくけど、襲わないでくれよ?」
「誰がお前みたいなロリっ子襲うかよ!」
はぁ・・・この先が思いやられるぜ。
―時は少々遡り、剣聖宅
剣を軽く振ってみる。
以上に軽い。
スマホぐらいか・・・
俺はこの剣で何をすればいいんだ・・・
「戦争、よ」
と声が聞こえる。
振り向くと、セクシーな格好をした・・・中学生?位の女の子がいた
「寒くない?風邪ひくよ?」
「寒くないし!子供扱いしないで!」
誰だこの子・・・
「フッ、よくぞ聞いてくれたわね。私こそが!七大罪の1人!傲慢のエリー!」
七大罪にエクスカリバー・・・俺は夢でも見ているのだろうか・・・
「その剣で戦って生き残るのよ!」
そして俺は戦いのルールと商品も聞いた。
「私のメンツのためにも、お願い!」
「しょうがないなぁ・・・」
別に殺さなくて良いなら・・・この時はそんな軽い気持ちだった。
「・・・話はまとまったようだな」
と、突然死角から声がする。
そいつは、刀を持っていた。
「やるなら早くしてね。私寝たい」
と隣には中学生?ぐらいのツインテールの女の子がいた。
「スウ・・・!」
「エリー・・・だっけ?」
どうやらエリーの知り合いらしい。
ということは彼女も七大罪・・・
「一つ聞きたいことがある。刀の通り魔ってのはお前か?」
「何を言っている?この刀で人は斬ったことが無い」
違うのか、良かった。
「でも今からお前を斬るから1人だな」
というが早いが抜刀する彼。
すんでのところで回避した、
かにみえたが腕からは血がかすかに流れている。
「やるしかないのか・・・!?」
エクスカリバーを闇雲に振るう。
数度刀と剣がぶつかり合う。
太さでいえばエクスカリバーの圧勝なのだが、纏っている妖気?オーラ?のようなもののせいで互角になってしまう。
「これはかの有名は妖刀ムラマサって奴でな、精神を犠牲に多大な力を得ることが出来るって寸法よ」
そんなことを言いながら軽く刀を振る彼。
確実に避けた、と思ったのに何故か頬には傷が出来ていた。
「カマイタチ・・・!」
「ほう?よく分かったじゃねぇか。褒めてやるぜ、お嬢ちゃん」
「お子様扱いしないでほしいわね・・・!」
そうか、かまいたち・・・なら行けるか・・・?
相手が剣を振ると同時にこちらも剣を振るう。
すると、そこには木枯らしが発生した。
これなら!そう思い突っ込んだ俺を軽く避け足掛けをして倒す彼。
「なかなかいいアイディアだったな。だが残念。地力の差だ」
そう言って剣を振り下ろそうとした瞬間―
「・・・奏多、時間」
「チッ、めんどくせぇルールだぜ全く」
助かった・・・のか?
「おいそこのエクスカリバー使い。名前は?」
「轟・・・剣聖だ」
「剣聖か・・・覚えておくぜ」
そう言って部屋から立ち去る奏多と呼ばれていた彼。
「時間に救われたわね」
エリーがそう言う。
「こんなのがずっと続くとか・・・地獄だ・・・」
ぐったりしてソファーに座り込む。
もうダメだ、何もする気が起きない。
「何やってるの?特訓するわよ!特訓!!」
とエリー。
「とりあえず素振り500からね。よーい、スタート!」
言われるがままに素振りを始める。
こりゃ、明日は筋肉痛だな・・・
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