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第19章 女子会その2
106 共存共栄?
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「この前の一斉到達度確認試験がぎりぎりというか、実は基準より下だったんです。ですからケイトにやり方を教わりながら学習をしています。でもケイトがなかなか厳しいんです。確認試験で満点でなかったら、間違った問題と関連する場所を学習し直しとか。この前の試験だって確認試験は8割で大丈夫となっていたのに」
なるほど、確かに甘いな。
そう思ったところで、カタリナが口を開く。
「やったばかりの場所は、全部わかって当たり前。わからない部分を残すと、将来その知識を使う発展問題が出た場合、全て解けないことになる。そうなった場合、もう8割の成績を維持することすら出来ない。だからその方針は、絶対的に正しい」
「私もそう思います。ちょっと厳しいかもしれないけれど、そうしないと少し先で困ることになると思いますから。その時に苦労してどこで学習したかを探して覚え直すより、全部を確実に覚えていくほうが結局は楽だと思います」
フインも同意見の様だ。
というか多分きっと、ヒナリ以外は皆そう思っている気がする。
「うーん、でもその方法で1日5単位時間進めるまで、運動科目や食事を取りに行く以外で部屋を出るのを禁止という魔法をかけているんですよ。そういった用事で部屋を出る時も、学習が5単位時間終わっていなければ行き帰りに誰かと立ち止まって話すことも出来ないとか。だからこの前も、朝食受け取りの時に話し合いに参加出来なかったんです」
「てかあの時ヒナリ、前のテストの見直しすら終わってなかったじゃん? それ終わんないと勉強そのもの進まんし、しゃーなくね?」
うんうん。ヒナリとケイト以外、私を含めた4人全員がケイトの言葉にうなずいてしまう。
ただし、ちょっとヒナリの話に疑問があったので聞いてみた。
「そうやって人に行動を強制する魔法って、魔法Ⅳの10単位時間までには出てこなかったけれど」
「やっぱチアキ、勉強めっちゃ進んでんじゃん~。これね、農場とか工場とか、あと強制労働系のとこで使われてる『使役魔法』なんよ~。どーせ習うヤツだし、ウチ先取りで覚えといた。あ、ちなみにこの魔法は使う前に本人のOKいるから安心して~。ヒナリも必要なの分かってくれてて、ちゃんと同意済みなんで」
何というか、先取りしすぎな気がする。
「チアキは、魔法Ⅳを10単位時間まで進めているんですか!」
いや、ヒナリが驚くほどのことはないと思う。
「最初のころは、魔法と言語は2日で3単位時間進めていたから。最初の自然科学実習の頃に、他の科目も進めなきゃと気付いて、1日1単位時間になおしたけれど」
「魔法とか言語系ってさ、1日につき1単位時間ずつやるのが、ノルマなんよ~。あと数学はムズくなった時マジ時間かかるから、今のうちに分かるとこガンガン進めとかんとヤバいっしょ。前世知識とかあって、最後まで完璧に同じペースでいける自信あるんなら、まぁ1日4時間勉強でもワンチャンなるけどさ~。でもさ、ヒナリにその自信、マジである?」
ケイトが例に挙げたのは、きっとニナだ。
最後まで困ることがないだろうから、ペースに余裕を持たせている。
その結果進度的には遅くて第二教室になった。
でも実際は第一施設行きになる事はないだろうし、別に問題はないだろう。
ケイトはニナをそう見ていると。
「そんなの、普通の元高校生にあるわけないでしょう。なら第二施設を諦めて、授業を受けたほうがいいのでしょうか」
「じゃあさ~、後で詰まって泣くのイヤなら、今のうちにガンガン進めるしかなくね? でさ、第二施設の“長期課程(Ⅱ)”とか、ヒナリにはマジおすすめしないわ。授業って受けながら自分で『どこ分かんないか』把握して、ちゃんと先生に聞けるタイプじゃないと無理ゲーなんよ。授業聞いてわかった気になってると、分かんないとこ雪だるま式に積もって、結局オール中途半端になるからさ~」
授業の方が、内容の理解が中途半端になりやすい、か。
この理屈は、なるほどと感じる。
「水準以上の職場と生活環境狙うなら、どこの国でも卒業後のコースはA基準じゃないとヤバいっしょ。この世界、社会見学実習で見た通りなんよ、きっと。
ま、分かんないとこあったらウチに聞いてくれたら全然教えるし。ウチも分かんなかったら一緒に先生んとこ行って聞くから安心して~。てか実際ヒナリ、もう分かってっしょ?」
うーむ、なるほど。
ギャルっぽい口調でつい誤解しそうになるけれど、ケイトが言っていることは現実的だし、正しい気がする。
ただやっぱり疑問に感じたことがある。
聞こうかと思ったところで、ニナが口を開いた。
「普段、ヒナリとケイトはどうやって学習をすすめているのでしょうか。わからないところがあれば、ケイトの部屋へ聞きに行く形ですか?」
「だいたいは私の部屋でやっています。私が机で、ケイトがベッドに寝転がった形で。それで数学の文章題や魔法のわかりにくい部分があると、ベッドにいるケイトへ聞くという形です。
そんな感じで同じ時間やっても、ケイトの方が進みが早いです。私が2単位時間分やっとというところで、平気で3単位時間分以上進めたりしています。ベッドに寝た姿勢のままで」
うーむ、それはきっと、地球時代の知識の差なのだろう。
ただそれ以上に何というか……
「ケイトって面倒見がいいんですね」
ニナの言うとおりだと思う。
「ウチってさ、ひとりだと全然やる気出んタイプなんよ。でヒナリって、いい感じに向上心も理解力もあっけど、勉強嫌いだからさ~、見てても絡んでてもマジ楽しいのよ~」
うーむ……
これって共存共栄みたいなものなのだろうか。
確かに見た目のメリットはヒナリ側にありそうだけれども、実はケイトの方がヒナリを必要としているのではないだろうか。
必要と言うよりむしろ、食い物にしているとか……
まあ人様の関係だし、ヒナリにも間違いなくメリットはある。
だから私はそこには、突っ込まないでおこう。
なるほど、確かに甘いな。
そう思ったところで、カタリナが口を開く。
「やったばかりの場所は、全部わかって当たり前。わからない部分を残すと、将来その知識を使う発展問題が出た場合、全て解けないことになる。そうなった場合、もう8割の成績を維持することすら出来ない。だからその方針は、絶対的に正しい」
「私もそう思います。ちょっと厳しいかもしれないけれど、そうしないと少し先で困ることになると思いますから。その時に苦労してどこで学習したかを探して覚え直すより、全部を確実に覚えていくほうが結局は楽だと思います」
フインも同意見の様だ。
というか多分きっと、ヒナリ以外は皆そう思っている気がする。
「うーん、でもその方法で1日5単位時間進めるまで、運動科目や食事を取りに行く以外で部屋を出るのを禁止という魔法をかけているんですよ。そういった用事で部屋を出る時も、学習が5単位時間終わっていなければ行き帰りに誰かと立ち止まって話すことも出来ないとか。だからこの前も、朝食受け取りの時に話し合いに参加出来なかったんです」
「てかあの時ヒナリ、前のテストの見直しすら終わってなかったじゃん? それ終わんないと勉強そのもの進まんし、しゃーなくね?」
うんうん。ヒナリとケイト以外、私を含めた4人全員がケイトの言葉にうなずいてしまう。
ただし、ちょっとヒナリの話に疑問があったので聞いてみた。
「そうやって人に行動を強制する魔法って、魔法Ⅳの10単位時間までには出てこなかったけれど」
「やっぱチアキ、勉強めっちゃ進んでんじゃん~。これね、農場とか工場とか、あと強制労働系のとこで使われてる『使役魔法』なんよ~。どーせ習うヤツだし、ウチ先取りで覚えといた。あ、ちなみにこの魔法は使う前に本人のOKいるから安心して~。ヒナリも必要なの分かってくれてて、ちゃんと同意済みなんで」
何というか、先取りしすぎな気がする。
「チアキは、魔法Ⅳを10単位時間まで進めているんですか!」
いや、ヒナリが驚くほどのことはないと思う。
「最初のころは、魔法と言語は2日で3単位時間進めていたから。最初の自然科学実習の頃に、他の科目も進めなきゃと気付いて、1日1単位時間になおしたけれど」
「魔法とか言語系ってさ、1日につき1単位時間ずつやるのが、ノルマなんよ~。あと数学はムズくなった時マジ時間かかるから、今のうちに分かるとこガンガン進めとかんとヤバいっしょ。前世知識とかあって、最後まで完璧に同じペースでいける自信あるんなら、まぁ1日4時間勉強でもワンチャンなるけどさ~。でもさ、ヒナリにその自信、マジである?」
ケイトが例に挙げたのは、きっとニナだ。
最後まで困ることがないだろうから、ペースに余裕を持たせている。
その結果進度的には遅くて第二教室になった。
でも実際は第一施設行きになる事はないだろうし、別に問題はないだろう。
ケイトはニナをそう見ていると。
「そんなの、普通の元高校生にあるわけないでしょう。なら第二施設を諦めて、授業を受けたほうがいいのでしょうか」
「じゃあさ~、後で詰まって泣くのイヤなら、今のうちにガンガン進めるしかなくね? でさ、第二施設の“長期課程(Ⅱ)”とか、ヒナリにはマジおすすめしないわ。授業って受けながら自分で『どこ分かんないか』把握して、ちゃんと先生に聞けるタイプじゃないと無理ゲーなんよ。授業聞いてわかった気になってると、分かんないとこ雪だるま式に積もって、結局オール中途半端になるからさ~」
授業の方が、内容の理解が中途半端になりやすい、か。
この理屈は、なるほどと感じる。
「水準以上の職場と生活環境狙うなら、どこの国でも卒業後のコースはA基準じゃないとヤバいっしょ。この世界、社会見学実習で見た通りなんよ、きっと。
ま、分かんないとこあったらウチに聞いてくれたら全然教えるし。ウチも分かんなかったら一緒に先生んとこ行って聞くから安心して~。てか実際ヒナリ、もう分かってっしょ?」
うーむ、なるほど。
ギャルっぽい口調でつい誤解しそうになるけれど、ケイトが言っていることは現実的だし、正しい気がする。
ただやっぱり疑問に感じたことがある。
聞こうかと思ったところで、ニナが口を開いた。
「普段、ヒナリとケイトはどうやって学習をすすめているのでしょうか。わからないところがあれば、ケイトの部屋へ聞きに行く形ですか?」
「だいたいは私の部屋でやっています。私が机で、ケイトがベッドに寝転がった形で。それで数学の文章題や魔法のわかりにくい部分があると、ベッドにいるケイトへ聞くという形です。
そんな感じで同じ時間やっても、ケイトの方が進みが早いです。私が2単位時間分やっとというところで、平気で3単位時間分以上進めたりしています。ベッドに寝た姿勢のままで」
うーむ、それはきっと、地球時代の知識の差なのだろう。
ただそれ以上に何というか……
「ケイトって面倒見がいいんですね」
ニナの言うとおりだと思う。
「ウチってさ、ひとりだと全然やる気出んタイプなんよ。でヒナリって、いい感じに向上心も理解力もあっけど、勉強嫌いだからさ~、見てても絡んでてもマジ楽しいのよ~」
うーむ……
これって共存共栄みたいなものなのだろうか。
確かに見た目のメリットはヒナリ側にありそうだけれども、実はケイトの方がヒナリを必要としているのではないだろうか。
必要と言うよりむしろ、食い物にしているとか……
まあ人様の関係だし、ヒナリにも間違いなくメリットはある。
だから私はそこには、突っ込まないでおこう。
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※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
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