ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀

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第27章 大規模開拓?

第231話 新しい村

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 全体の水路工事は半日程度で出来た。しかし農地&住宅用地の造成には手間と時間がかかった。

 理由は位置や大きさが計画通りになるよう、厳密に計測しながらやったから。

「確かに面倒ですね。区画毎に農地を作業しなければならないですから」

「これでも異常なまでに速く開拓出来ているとはわかっているの。でも確かに小さい畑を数多く作るのって手間だよね」

「本当はこれでも小さくはないんですけれどね」

 なんて言いながら、206番、207番と1日につき1番ずつ目安で開拓。

 途中セレスやリディナの意見を取り入れて随時予定より改良を加える。
 新設する貯水池を3カ所に増やす、役所や共用に使う部分をやや大きめに整地する等、使いやすいように。

 全体の開拓内容は概ねこんな感じ。
  ○ 西側の201~205番は個人・家族用で1番あたり小区画が32個
    他に公共用の区画もこの部分の東端、西側部分と接する部分に設置。
  ○ 東北側の206、207区画も個人・家族単位用だけれども、こちらは1番あたり小区画が28個
    これは東側に水源や貯水池、耕作に適さない岩部分があるから
  ○ 東南側の209、210区画は開拓団用
  ○ 東側中央の208番は私達の場所

 また個人・家族用の小区画は東西110腕220m、南北120腕240m程度の広さ。

  ○ 畑部分が縦横100腕200m
  ○ 家や物置等、整地済み部分が東西30腕60m、南北10腕20m
  ○ 他は境界林として木を残したまま未整備

 開拓団用は209番、210番それぞれこんな感じ。
  ○ 西側に縦横100腕200mの畑を24面
  ○ 東側に放牧地として使える東西110腕220m、南北に210腕420mの大きな区画
  ○ 中央に東西220腕440m、南北50腕100mの整地された区画
  ○ 他は未整備の林

 つまり1つの開拓団が使えば2倍になるし、2つの開拓団にそれぞれの区画という事も可能。
 この辺りはカレンさん達に判断して貰う予定。

 土地の境界は基本的に林を残してある。大きな区画の境も個人の区画の境も。更にその林部分をぎりぎりまで開拓する場合に備え、境界線にあたる部分の所々に小さくて深い岩を設置したりなんて事もした。

 設置というか土属性魔法で深いところまで岩盤化させて作ったので、そう簡単には移動できない。これで土地の境界を巡る問題も少なくなるだろう。

 そして今、最後の作業が終わった。中心部の公共区画の整地と水場整備だ。

 公共区画は木を伐採し草等を燃やした後、土を一度収納して出し直した。これで雑草が生えにくくなる。

 更にリディナが傾斜がないよう確認しつつ土属性魔法で突き固めてくれた。これで建物を建築したり広場にしたりなんてのも楽だ。

 水場と中央部の貯水池の整備はセレスが担当。
 まずは私が更地にして、さらに池や水路の形に土を収納。その後セレスが周囲の土を乾燥させた後焼き固め、漏水が起きないよう加工。

 最後に貯水池を水属性魔法で満水状態にした。勿論水路からも水は流れてくるけれど、見栄えと満水状態の状況確認を兼ねて。

「これで完成だね」

「そうですね」

 私達は広場予定地に置いた仮ベンチで一休みしつつ、周囲をもう一度確認する。
 今はセレスもある程度の偵察魔法を使える。だからここにいてもこの開拓地の範囲内なら確認可能だ。 

「改めて思いますけれど、これって完全に村程度の規模がありますよね」

「だよね。むしろ普通の村より広いと思うよ。貯水池や水路が完備している上、どの家の畑も十分に広いから。公共用の部分も整備してあるしね」

 確かにリディナの言うとおり村としても広い方だと思う。少なくとも以前村人を脱走させた何とか男爵の村よりはずっと広い。

「いい場所になりましたよね。農村として機能的で理想的です」

「その辺はセレスのおかげかな」

 基本的にこの村の配置はセレスが考えた。個々の区画の広さも、水路や貯水池の配置もそうだ。私は勿論リディナも農業については詳しくないから。

 リディナの場合はセレスに十分に意見を言って貰う為にそう言っていた、という可能性もあるけれど。

 私は偵察魔法の視点で上空から見る。
 この土地全体が綺麗に整地、開拓された状態だ。まるで日本のニュータウンみたいな感じかなとも思うが、あれより遙かに区画が広いし緑も多い。

 新たに作った3箇所の貯水池にもしっかり水が貯まっている。
 これで渇水等があってもある程度は耐えられるだろう。

 それでも足りなそうならセレスに水属性魔法をお願いすれば問題ない。さっき中央の貯水池を満水にしたように。

 悪くない。いや、なかなかいい村が出来たと思う。
 強いて言えばこの村の中心に近いところに私達の土地があるのがちょっと気になる程度。しかし地形を考えたらこれはまあ、仕方ない。

 近所付き合い等はセレスやリディナに任せればいいだろう。それに私達の208番は森も結構残してある。畑も家も聖堂も草地も残した森で囲われている状態。
 だからまあ、問題はない。
 
「それじゃ明日の朝、カレンさんのところに報告に行こうか。ひととおり開拓と区画整理は出来たって」

「そうですね」

 道路部分の舗装や建築物はカレンさんの方で手配してくれる。だからあとは報告して待つだけだ。

 しかしもう今から街にいくのは遅いだろう。
 先程街の方から3の鐘の音が聞こえたし。

 今後どんな村になっていくのだろうか、なんて思った時だった。
 私の偵察魔法の視界に騎馬、いやゴーレム馬に乗った人が見えた。知っている魔力だ。

「ミメイさんが来る。あと5半時間12分程度」

「あ、本当だ。それじゃお家に戻って準備しましょうか」

 ここからお家まで300腕600mくらい。あまりのんびり帰ってはミメイさんに追いつかれそう。
 なので真面目にテンポ良く歩いてお家を目指す。
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