193 / 322
拾遺録1 カイル君の冒険者な日々
本編第270話の前・殲滅の魔人・疑惑編(上)
しおりを挟む
俺達は強くなった。
少なくとも俺はそう思っている。
しかし先生達はまだ俺達が冒険者になる事を許してはくれない。
「私達の誰かに1回でも攻撃を当てられたら。そう言った筈ですよね」
セレス先生が言う約束は確かにした。
そして未だ勝てないままでいる。
俺だけで3回、全員で数えると50回以上は先生相手に戦ったのに。
ただ最近、俺は疑問に思っている。
冒険者が全員先生達のように強くないのではないか。
と言うか先生達3人とも強すぎるのではないかと。
ゴブリンなら俺も一度見た事がある。
まだこの村に引っ越す前、ブッティーナから集団移動している最中、俺達がいた隊列が襲われたからだ。
あの時出てきたゴブリンは2匹。
隊列の先頭にいた冒険者5人のパーティが倒してくれた。
ただあの時見た冒険者、そんなに強そうには見えなかった。
ゴブリンもそれほど強そうに感じなかった。
俺も大人になって槍や盾を持てばこのくらいは倒せるだろう。
その程度に見えたのだ。
少なくともリディナ先生、フミノ先生、セレス先生ほどの圧倒的強さは感じなかった。
決して俺が子供だったからそう見えたというだけじゃないと思う。
なので直接フミノ先生に聞いてみた。
「俺達もレベル4の攻撃魔法を覚えたりして強くなった筈だ。でもまだ冒険者になるなと言う。そんなに魔物って強くて怖いのか。俺にはそう思えない」
フミノ先生に聞いたのは勿論理由がある。
3人の先生の中で一番ガードが甘いからだ。
リディナ先生はどうも苦手だ。
頭の回転が良すぎるというか何と言うか。
口先で丸め込まれて取り合ってくれないような気がする。
セレス先生はこういった事を聞くには向いていない。
ルールに厳しい人なので、こういった規則外の事は『駄目です!』で終わってしまうから。
フミノ先生は先生3人の中で一番無口。
言葉も割とぶっきらぼうで最初は少し怖い印象を受ける。
しかし実はフミノ先生が一番甘いし、こっちの言う事を聞いてくれるのだ。
時々融通を利かせすぎてセレス先生に文句を言われたりもするけれど。
フミノ先生は少しの間の後、小さく頷いてから口を開く。
「確かにスライムやゴブリンの2匹程度、今のカイルなら落ち着いて対処すれば倒せる。でも何処でどんな魔物が出るかはわからない。いきなり出てくる可能性だってある。対処できる程度の数しか出ないという保証もない。
ただ魔物がどんな物で、どれくらい怖いか、知っておく事は悪くない。ならそういう機会を作っておくのはきっと必要。
今日のお昼御飯の後、簡単だけれどわかる機会を作る。だからそれまで待って」
「わかった」
機会とは何だろう。
わからないけれど俺は頷く。
フミノ先生がそう言うからにはそれなりの準備をしてくれるのだろう。
ひょっとしたら魔物討伐に連れて行ってくれるのだろうか。
そう思うともう期待しまくりだ。
俺だって今は火属性魔法の火球が使える。
魔物相手に充分戦える筈だ。
◇◇◇
お昼御飯の前にセレス先生から説明があった。
「希望があったので御飯の後、魔物がどれだけ怖いかについての特別勉強会を半時間ほどやります。
冒険者になりたい、そう思う人は是非参加してください」
どうやら俺だけでなく、大々的に勉強会という形式でやるようだ。
なら実際に討伐へ行くという訳じゃないだろう。
どうなるんだ。
何か中途半端な事で誤魔化されるんじゃないか。
そんな疑念が浮かんでくる。
「どんな勉強になるんだ?」
「それよりまずは飯なんだな」
隣の席のレズンがそんな事を言う。
何だかなとは思うが確かに正しい。
ここで出る昼食はしっかり食べておきたい。
家で食べる麦粥や固いパンとは全然レベルが違うから。
「準備するからもう少しだけ待っていてね。今日のお昼はヤキソバだよ。一皿ずつ持っていってね。足りなければいくらでもお代わりしていいから」
リディナ先生とフミノ先生がテーブルに皿を並べはじめた。
独特の刺激臭が広がる。
胃袋を刺激する匂いだ。
食べ物だけでなく飲み物も用意されている。
今回は冷たくて甘い乳清飲料の模様。
俺も監視魔法を使えるからそれくらいは見える。
これらの食事が何処から出ているかは未だに謎だ。
俺達の家は食事代も勉強会のお金も払っていない。
この会に出る代わりに何か仕事をさせられるわけでもない。
ただ魔法や文字、計算等を教わって、食事を食べるだけだ。
領主家から出ている訳でもないようだ。
村の外からこの勉強会に通っているヒューマによると、『カラバーラの他の地区にこんな会は無い』そうだから。
かと言ってセドナ教会の開拓農場が出している訳でもないようだ。
農場からもこの勉強会に来ているアギラが言っていた。
『勉強会で出るような変わった料理は、うちの農場では見た事はない』と。
「さあ、準備が出来たから並んで」
わからないまでも席を立って順番に並ぶ。
「ヤキソバは久しぶりだよな」
「これは自由にお代わりできるからいいんだな」
「お前はピタパンサンドでもお代わりするだろ」
「あれは3個までなんだな。これだと何杯でもお代わりできるんだな」
「まあそうだけれど」
レズンとそんな事を話しながら並んで、ヤキソバの皿とフォーク、飲み物を持って席へ。
食事を食べるのは勉強会に出ていた連中や先生だけでは無い。
兄や姉と一緒に来たチビ達、そして勉強会の合間にそのチビ達の面倒をみているセドナ教会開拓農場の大人達も一緒だ。
チビ達の分は大人がまとめてお盆にのせて取ってきて、席に配る形。
それら全員が料理を取って席に着くまで待つ。
「それでは、いただきます」
「いただきます」
リディナ先生の言葉に唱和した後、ヤキソバをかっ込む。
辛めだけれど何処か甘さもあって、表現しにくいが美味しい。
家で食べる粥やスープと比べて遙かに奥深い味だ。
具もたっぷりのお肉、玉子、野菜としっかり入っている。
「いつも思うけれど、これも他で食べた事が無い味なんだな。ネイプルには無いらしいけれど、王都ならこんなのがあるのかなあ?」
「王都ならあるだろ」
レズンの疑問にそんないいかげんな返事をしつつ俺はヤキソバをかっ込む。
別に急いで食べる必要はない、
お代わりが充分あるのはわかっている。
腹が減ってるし美味しいので、ついかっ込んでしまうのだ。
「ピタパンサンドとか半月とかはカラバーラでもあるってヒューマが言ってたけどさあ。
でもこのヤキソバとかオヤコドンとかテンドンとかはさ。カラバーラだけでなくネイプルでも見た事はないって言っていたけどなあ」
ヒューマの家は商家で、年に数度ネイプルへ行くらしい。
時々ヒューマも連れて行って貰うそうだ。
カラバーラの街すら滅多に行けない俺達から見れば羨ましい話だ。
しかしヒューマの家も金持ちではない。
だから俺は思うのだ。
「ネイプルでも高級な店ならあるかもしれないぜ。金持ちが行くような店とかさ」
「そうなのかなあ」
「だから俺は冒険者になって金を稼ぐんだ」
そう、いつか冒険者になって金を稼いだら確かめてみるつもりだ。
「それじゃお代わり行ってくるんだな」
「早えーぞ」
話しながらでもレズンは食べるのが早い。
俺がまだ半分ちょいしか食べていないのに、もう皿が空になっている。
少なくとも俺はそう思っている。
しかし先生達はまだ俺達が冒険者になる事を許してはくれない。
「私達の誰かに1回でも攻撃を当てられたら。そう言った筈ですよね」
セレス先生が言う約束は確かにした。
そして未だ勝てないままでいる。
俺だけで3回、全員で数えると50回以上は先生相手に戦ったのに。
ただ最近、俺は疑問に思っている。
冒険者が全員先生達のように強くないのではないか。
と言うか先生達3人とも強すぎるのではないかと。
ゴブリンなら俺も一度見た事がある。
まだこの村に引っ越す前、ブッティーナから集団移動している最中、俺達がいた隊列が襲われたからだ。
あの時出てきたゴブリンは2匹。
隊列の先頭にいた冒険者5人のパーティが倒してくれた。
ただあの時見た冒険者、そんなに強そうには見えなかった。
ゴブリンもそれほど強そうに感じなかった。
俺も大人になって槍や盾を持てばこのくらいは倒せるだろう。
その程度に見えたのだ。
少なくともリディナ先生、フミノ先生、セレス先生ほどの圧倒的強さは感じなかった。
決して俺が子供だったからそう見えたというだけじゃないと思う。
なので直接フミノ先生に聞いてみた。
「俺達もレベル4の攻撃魔法を覚えたりして強くなった筈だ。でもまだ冒険者になるなと言う。そんなに魔物って強くて怖いのか。俺にはそう思えない」
フミノ先生に聞いたのは勿論理由がある。
3人の先生の中で一番ガードが甘いからだ。
リディナ先生はどうも苦手だ。
頭の回転が良すぎるというか何と言うか。
口先で丸め込まれて取り合ってくれないような気がする。
セレス先生はこういった事を聞くには向いていない。
ルールに厳しい人なので、こういった規則外の事は『駄目です!』で終わってしまうから。
フミノ先生は先生3人の中で一番無口。
言葉も割とぶっきらぼうで最初は少し怖い印象を受ける。
しかし実はフミノ先生が一番甘いし、こっちの言う事を聞いてくれるのだ。
時々融通を利かせすぎてセレス先生に文句を言われたりもするけれど。
フミノ先生は少しの間の後、小さく頷いてから口を開く。
「確かにスライムやゴブリンの2匹程度、今のカイルなら落ち着いて対処すれば倒せる。でも何処でどんな魔物が出るかはわからない。いきなり出てくる可能性だってある。対処できる程度の数しか出ないという保証もない。
ただ魔物がどんな物で、どれくらい怖いか、知っておく事は悪くない。ならそういう機会を作っておくのはきっと必要。
今日のお昼御飯の後、簡単だけれどわかる機会を作る。だからそれまで待って」
「わかった」
機会とは何だろう。
わからないけれど俺は頷く。
フミノ先生がそう言うからにはそれなりの準備をしてくれるのだろう。
ひょっとしたら魔物討伐に連れて行ってくれるのだろうか。
そう思うともう期待しまくりだ。
俺だって今は火属性魔法の火球が使える。
魔物相手に充分戦える筈だ。
◇◇◇
お昼御飯の前にセレス先生から説明があった。
「希望があったので御飯の後、魔物がどれだけ怖いかについての特別勉強会を半時間ほどやります。
冒険者になりたい、そう思う人は是非参加してください」
どうやら俺だけでなく、大々的に勉強会という形式でやるようだ。
なら実際に討伐へ行くという訳じゃないだろう。
どうなるんだ。
何か中途半端な事で誤魔化されるんじゃないか。
そんな疑念が浮かんでくる。
「どんな勉強になるんだ?」
「それよりまずは飯なんだな」
隣の席のレズンがそんな事を言う。
何だかなとは思うが確かに正しい。
ここで出る昼食はしっかり食べておきたい。
家で食べる麦粥や固いパンとは全然レベルが違うから。
「準備するからもう少しだけ待っていてね。今日のお昼はヤキソバだよ。一皿ずつ持っていってね。足りなければいくらでもお代わりしていいから」
リディナ先生とフミノ先生がテーブルに皿を並べはじめた。
独特の刺激臭が広がる。
胃袋を刺激する匂いだ。
食べ物だけでなく飲み物も用意されている。
今回は冷たくて甘い乳清飲料の模様。
俺も監視魔法を使えるからそれくらいは見える。
これらの食事が何処から出ているかは未だに謎だ。
俺達の家は食事代も勉強会のお金も払っていない。
この会に出る代わりに何か仕事をさせられるわけでもない。
ただ魔法や文字、計算等を教わって、食事を食べるだけだ。
領主家から出ている訳でもないようだ。
村の外からこの勉強会に通っているヒューマによると、『カラバーラの他の地区にこんな会は無い』そうだから。
かと言ってセドナ教会の開拓農場が出している訳でもないようだ。
農場からもこの勉強会に来ているアギラが言っていた。
『勉強会で出るような変わった料理は、うちの農場では見た事はない』と。
「さあ、準備が出来たから並んで」
わからないまでも席を立って順番に並ぶ。
「ヤキソバは久しぶりだよな」
「これは自由にお代わりできるからいいんだな」
「お前はピタパンサンドでもお代わりするだろ」
「あれは3個までなんだな。これだと何杯でもお代わりできるんだな」
「まあそうだけれど」
レズンとそんな事を話しながら並んで、ヤキソバの皿とフォーク、飲み物を持って席へ。
食事を食べるのは勉強会に出ていた連中や先生だけでは無い。
兄や姉と一緒に来たチビ達、そして勉強会の合間にそのチビ達の面倒をみているセドナ教会開拓農場の大人達も一緒だ。
チビ達の分は大人がまとめてお盆にのせて取ってきて、席に配る形。
それら全員が料理を取って席に着くまで待つ。
「それでは、いただきます」
「いただきます」
リディナ先生の言葉に唱和した後、ヤキソバをかっ込む。
辛めだけれど何処か甘さもあって、表現しにくいが美味しい。
家で食べる粥やスープと比べて遙かに奥深い味だ。
具もたっぷりのお肉、玉子、野菜としっかり入っている。
「いつも思うけれど、これも他で食べた事が無い味なんだな。ネイプルには無いらしいけれど、王都ならこんなのがあるのかなあ?」
「王都ならあるだろ」
レズンの疑問にそんないいかげんな返事をしつつ俺はヤキソバをかっ込む。
別に急いで食べる必要はない、
お代わりが充分あるのはわかっている。
腹が減ってるし美味しいので、ついかっ込んでしまうのだ。
「ピタパンサンドとか半月とかはカラバーラでもあるってヒューマが言ってたけどさあ。
でもこのヤキソバとかオヤコドンとかテンドンとかはさ。カラバーラだけでなくネイプルでも見た事はないって言っていたけどなあ」
ヒューマの家は商家で、年に数度ネイプルへ行くらしい。
時々ヒューマも連れて行って貰うそうだ。
カラバーラの街すら滅多に行けない俺達から見れば羨ましい話だ。
しかしヒューマの家も金持ちではない。
だから俺は思うのだ。
「ネイプルでも高級な店ならあるかもしれないぜ。金持ちが行くような店とかさ」
「そうなのかなあ」
「だから俺は冒険者になって金を稼ぐんだ」
そう、いつか冒険者になって金を稼いだら確かめてみるつもりだ。
「それじゃお代わり行ってくるんだな」
「早えーぞ」
話しながらでもレズンは食べるのが早い。
俺がまだ半分ちょいしか食べていないのに、もう皿が空になっている。
471
あなたにおすすめの小説
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』
放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。
「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」
身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。
冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。
「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」
得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。
これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。