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第9話 雨期に来るもの⑵
45 余分な施設?
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結局、拝殿内に図書室を設けるのではなく、独立した建物を作ることにした。
宴会の翌日午後、村人の半数以上が神社にやってきたのを見て、必要性を感じてしまったのだ。
当然ながら本が足りなくなる。
なのでルールが簡単で誰でも出来そうなリバーシを大量に作成して、そちらでも遊んでもらった。
結果として本を読むよりリバーシで対戦する人が多かったのは、まあご愛敬だ。
何せ知っている顔は、ほぼ全員神社に来ていた。
たとえばイルザとビブラムはリバーシ組だ。
イルザは負けず嫌いで、負けると結構本気で悔しがるタイプ。
ビブラムも顔には出さないようにしているが、実はイルザと同様かなり負けず嫌い。
この2人が対戦するのを全知の解説入りで聞いたところ、なかなか面白かった。
お互い口には出さないけれど、表層思考レベルでは大人げない言葉だの弱音だのが、ガンガンに出まくっていて。
一方でクエルチェは、本をひたすら読む派。
今日は料理のレシピ集をじっくり読んでいる。
子供達のほとんどはリバーシ派だ。こちらは表情を装うことなく勝ち誇ったり、悔しがったり。
ただ読書組もそこそこいる。
たとえばロシュは、難しい方の植物図鑑を読んでいる。
クエラを中心にしてリッカ、シャーナ、ミラ、サレラの5人、いずれもこの前山から来た女の子は、動物図鑑の難しい方を読んでいる。
この5人は全員、文字をある程度読めるけれど得意ではない、という状態だ。
山から来た皆さんは大人も子供もほぼこの状態。
絵見本の木札を見るという習慣で、そこで簡単な単語を読むという経験を積んだからだろう。
この図鑑は長文の説明が所々にあるので、5人で助け合って読んでいる。
そしてブルージュとサレラは意外な本を読んでいた。
算数の基礎、足し算と引き算についての本だ。
声をかけて邪魔をしては悪い。そう思ったので、全知で理由を確認してみた。
『サレラは父親のエイダンが倉庫管理で数字を使っているのを見て育った結果、計算能力の重要性に気づいていました。
なので前回の読書会で、算数の勉強が出来る本の存在を知って、自分で勉強するようになったのです。仲がいいブルージュもそれを知って、一緒に勉強しています』
なるほど。なら紙に書いて勉強が出来るように、紙とペンを用意しよう。
いや、つけペンだと描きにくいから、鉛筆の方がいいかな。
鉛筆の芯の材料は黒鉛と粘土だけれど、黒鉛は木炭から無理矢理神力で合成出来ないだろうか。
『可能です。なお書き心地のいい鉛筆を作るには、他の材料として……』
全知に言われるがままにケカハ内で集められる材料を集めて、神力で加工して、2人に渡す。
しかし2人とも、鉛筆を上手く使えないようだ。考えてみれば鉛筆も、持ち方から教えないと使えないのは当たり前。
なのでその辺を軽く教えて、あとはどうするか任せることにする。
◇◇◇
鉛筆をついでに量産したり、藁半紙も量産したりした後。
私は一息ついて、拝殿全体を全知で確認する。
16時現在、大人子供あわせて62人がこの拝殿にいる。
本を読みにこれだけ人がやって来たのは、昨日の宴会の影響が大きいだろう。
それでもある程度は、人々が来る状況は続くだろう。
そう私と全知は判断している。
ここの村人は魔法が使える。
通常の倍以上の面積の畑で作業しても、午後の半ばくらいには最低限の作業を終えてしまう。
今までは余った時間で新たな施設をつくったり、足りない道具等をつくったりしていた。
しかし最近は、そういったものもほぼ揃った。
村と畑を囲む長大な壁とその外側の壕すら、既に完成してしまった。
それにしても午後半ばには仕事が終わって、あとは自由時間か。
私の前世よりも、よっぽど余裕のある生活が出来ている。
その辺ちょっとばかり何だかなと感じてしまうのは、まあ置いておいて。
つまりはまあ、皆さん暇な時間が出来た訳だ。
そうなると当然、暇つぶし活動が必要になる。
その分働いて余剰生産物を作れ、なんてブラックな事は強制したくない。
その結果、図書室にその6割がやってきた。
来年900人やってきた時には、拝殿を全部図書室にしても足りなくなる。
という事で私は、ビブラムとイルザの第7回戦目を中断させて相談し、図書館建築を決めた。
ゲーム場が入るから、図書館というより娯楽場に近い感じだけれど。
本当は娯楽施設つながりという事で、日帰り温泉も併設したかった。
しかし大量のお湯を調達するには、それなりの神力が必要だ。
お湯が自噴するなら掘ればいいのだけれど、この村の周辺では高温のお湯が自噴するような場所は無い。
全知で確認したから、残念だけれど本当に無い。
なので娯楽場は、取り敢えず図書室とゲーム室にした。
本が増えたりゲームの種類が増えたり来場者が増えたりしても問題無いよう、建物はかなり余裕を持って作ることにする。
実はここに、学校も併設しようかとも考えた。
ただし学校を作った場合、教員や教材を用意しなければならない。
教材くらいなら、私が全知で作ってもいい。
でも私の全知と全在でしか作れないなら、気軽に使用する事が出来なくなる。
本やゲームは一度作ったらかなり長い間使えるけれど、教材、特にノートや問題集なんてのは消耗品だろう。
それに教員を誰かにさせるとなると、当然ながら報酬が必要になる。教員の教育も必要だ。
まだ貨幣すら使用していない、今のこの村では時期尚早。
なので取り敢えず本やゲームで、数字や文字を読める程度になって貰う程度までで我慢することにした。
もちろん学習意欲がある者なら、前世での小学校くらいの知識は独習出来る様に本を揃えるつもりだけれど。
◇◇◇
そして翌日、10月3日の朝食後。
村の空いているスペースに、うちの拝殿の2倍程度の広さがある2階建ての建物を、全在を使って一気に建築する。
今の私の神力は、このくらいの建物を建てる事くらい余裕。なので建物は一瞬で完成。
そして中に本棚と本、ゲーム各種を移動。
昨日に比べて、本もゲームもかなり増やしている。
神社の会議室棟を全部使って、皆が本を読んだりリバーシをしている間に、頑張って考えて作ったのだ。
まずは本。文字が最低限しか無い図鑑シリーズは動物編の他、植物編、そのほかの生物編を準備。
更にクエルチェの希望で料理レシピ集を更に充実させた他、新たな調味料の製法、村人の皆さんが考えた便利な応用魔法の使用方法なんてのも全知で調べて作った。
ブルージュやサレラのような子、更には大人からも勉強したいという人が出た時の為に、小学校低学年レベルの算数や理科の参考書と問題集を作ってみた。
更には自由に使える藁半紙と鉛筆、鉛筆削りも。
ゲームはリバーシの他、UNOもどき、五目並べ、ボードゲームの『QUORIDOR』もどき、同じく『VIVATOPO』もどき、『イチゴリラ』もどきを追加。
そのうち文字を読める人が多くなり、多少複雑なルールでも問題無くなれば、もっと複雑なゲームを導入しようと思う。
大学時代にボードゲーム中毒な友人がいたので、私もそれなりの数を遊んでいる。その頃のうろ覚えな記憶であっても、全知を使えば完全な形で把握が可能だ。
※ ボードゲームの『QUORIDOR』もどき、同じく『VIVATOPO』もどき、『イチゴリラ』もどき。
どれも幼稚園年長くらいの知識で遊べるボードゲーム。詳細はググった方が早いと思うので省略。
宴会の翌日午後、村人の半数以上が神社にやってきたのを見て、必要性を感じてしまったのだ。
当然ながら本が足りなくなる。
なのでルールが簡単で誰でも出来そうなリバーシを大量に作成して、そちらでも遊んでもらった。
結果として本を読むよりリバーシで対戦する人が多かったのは、まあご愛敬だ。
何せ知っている顔は、ほぼ全員神社に来ていた。
たとえばイルザとビブラムはリバーシ組だ。
イルザは負けず嫌いで、負けると結構本気で悔しがるタイプ。
ビブラムも顔には出さないようにしているが、実はイルザと同様かなり負けず嫌い。
この2人が対戦するのを全知の解説入りで聞いたところ、なかなか面白かった。
お互い口には出さないけれど、表層思考レベルでは大人げない言葉だの弱音だのが、ガンガンに出まくっていて。
一方でクエルチェは、本をひたすら読む派。
今日は料理のレシピ集をじっくり読んでいる。
子供達のほとんどはリバーシ派だ。こちらは表情を装うことなく勝ち誇ったり、悔しがったり。
ただ読書組もそこそこいる。
たとえばロシュは、難しい方の植物図鑑を読んでいる。
クエラを中心にしてリッカ、シャーナ、ミラ、サレラの5人、いずれもこの前山から来た女の子は、動物図鑑の難しい方を読んでいる。
この5人は全員、文字をある程度読めるけれど得意ではない、という状態だ。
山から来た皆さんは大人も子供もほぼこの状態。
絵見本の木札を見るという習慣で、そこで簡単な単語を読むという経験を積んだからだろう。
この図鑑は長文の説明が所々にあるので、5人で助け合って読んでいる。
そしてブルージュとサレラは意外な本を読んでいた。
算数の基礎、足し算と引き算についての本だ。
声をかけて邪魔をしては悪い。そう思ったので、全知で理由を確認してみた。
『サレラは父親のエイダンが倉庫管理で数字を使っているのを見て育った結果、計算能力の重要性に気づいていました。
なので前回の読書会で、算数の勉強が出来る本の存在を知って、自分で勉強するようになったのです。仲がいいブルージュもそれを知って、一緒に勉強しています』
なるほど。なら紙に書いて勉強が出来るように、紙とペンを用意しよう。
いや、つけペンだと描きにくいから、鉛筆の方がいいかな。
鉛筆の芯の材料は黒鉛と粘土だけれど、黒鉛は木炭から無理矢理神力で合成出来ないだろうか。
『可能です。なお書き心地のいい鉛筆を作るには、他の材料として……』
全知に言われるがままにケカハ内で集められる材料を集めて、神力で加工して、2人に渡す。
しかし2人とも、鉛筆を上手く使えないようだ。考えてみれば鉛筆も、持ち方から教えないと使えないのは当たり前。
なのでその辺を軽く教えて、あとはどうするか任せることにする。
◇◇◇
鉛筆をついでに量産したり、藁半紙も量産したりした後。
私は一息ついて、拝殿全体を全知で確認する。
16時現在、大人子供あわせて62人がこの拝殿にいる。
本を読みにこれだけ人がやって来たのは、昨日の宴会の影響が大きいだろう。
それでもある程度は、人々が来る状況は続くだろう。
そう私と全知は判断している。
ここの村人は魔法が使える。
通常の倍以上の面積の畑で作業しても、午後の半ばくらいには最低限の作業を終えてしまう。
今までは余った時間で新たな施設をつくったり、足りない道具等をつくったりしていた。
しかし最近は、そういったものもほぼ揃った。
村と畑を囲む長大な壁とその外側の壕すら、既に完成してしまった。
それにしても午後半ばには仕事が終わって、あとは自由時間か。
私の前世よりも、よっぽど余裕のある生活が出来ている。
その辺ちょっとばかり何だかなと感じてしまうのは、まあ置いておいて。
つまりはまあ、皆さん暇な時間が出来た訳だ。
そうなると当然、暇つぶし活動が必要になる。
その分働いて余剰生産物を作れ、なんてブラックな事は強制したくない。
その結果、図書室にその6割がやってきた。
来年900人やってきた時には、拝殿を全部図書室にしても足りなくなる。
という事で私は、ビブラムとイルザの第7回戦目を中断させて相談し、図書館建築を決めた。
ゲーム場が入るから、図書館というより娯楽場に近い感じだけれど。
本当は娯楽施設つながりという事で、日帰り温泉も併設したかった。
しかし大量のお湯を調達するには、それなりの神力が必要だ。
お湯が自噴するなら掘ればいいのだけれど、この村の周辺では高温のお湯が自噴するような場所は無い。
全知で確認したから、残念だけれど本当に無い。
なので娯楽場は、取り敢えず図書室とゲーム室にした。
本が増えたりゲームの種類が増えたり来場者が増えたりしても問題無いよう、建物はかなり余裕を持って作ることにする。
実はここに、学校も併設しようかとも考えた。
ただし学校を作った場合、教員や教材を用意しなければならない。
教材くらいなら、私が全知で作ってもいい。
でも私の全知と全在でしか作れないなら、気軽に使用する事が出来なくなる。
本やゲームは一度作ったらかなり長い間使えるけれど、教材、特にノートや問題集なんてのは消耗品だろう。
それに教員を誰かにさせるとなると、当然ながら報酬が必要になる。教員の教育も必要だ。
まだ貨幣すら使用していない、今のこの村では時期尚早。
なので取り敢えず本やゲームで、数字や文字を読める程度になって貰う程度までで我慢することにした。
もちろん学習意欲がある者なら、前世での小学校くらいの知識は独習出来る様に本を揃えるつもりだけれど。
◇◇◇
そして翌日、10月3日の朝食後。
村の空いているスペースに、うちの拝殿の2倍程度の広さがある2階建ての建物を、全在を使って一気に建築する。
今の私の神力は、このくらいの建物を建てる事くらい余裕。なので建物は一瞬で完成。
そして中に本棚と本、ゲーム各種を移動。
昨日に比べて、本もゲームもかなり増やしている。
神社の会議室棟を全部使って、皆が本を読んだりリバーシをしている間に、頑張って考えて作ったのだ。
まずは本。文字が最低限しか無い図鑑シリーズは動物編の他、植物編、そのほかの生物編を準備。
更にクエルチェの希望で料理レシピ集を更に充実させた他、新たな調味料の製法、村人の皆さんが考えた便利な応用魔法の使用方法なんてのも全知で調べて作った。
ブルージュやサレラのような子、更には大人からも勉強したいという人が出た時の為に、小学校低学年レベルの算数や理科の参考書と問題集を作ってみた。
更には自由に使える藁半紙と鉛筆、鉛筆削りも。
ゲームはリバーシの他、UNOもどき、五目並べ、ボードゲームの『QUORIDOR』もどき、同じく『VIVATOPO』もどき、『イチゴリラ』もどきを追加。
そのうち文字を読める人が多くなり、多少複雑なルールでも問題無くなれば、もっと複雑なゲームを導入しようと思う。
大学時代にボードゲーム中毒な友人がいたので、私もそれなりの数を遊んでいる。その頃のうろ覚えな記憶であっても、全知を使えば完全な形で把握が可能だ。
※ ボードゲームの『QUORIDOR』もどき、同じく『VIVATOPO』もどき、『イチゴリラ』もどき。
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