~ 神話 ~ 皇帝陛下は白銀髪にキスをする

ERICA

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一章

09,紫峰国の皇帝陛下

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「皇帝陛下、趙紫攸が拝謁致します」
「…そんな堅苦しい挨拶は抜きにしろ。久しぶりだな…」
「お祖父様もご健康そうで安心しました」


立ったまま頭を下げて挨拶をする紫攸に、笑顔を向ける紫峰国の皇帝陛下。
黄金色の髪は齢を重ねてしまったせいで、少し白い部分が目立っている。
紫峰の陛下の微笑んだ表情は、紫攸と同じ血が通っているからか似ているように見えた。
隣の席に座るように促されて足を進ませながら、元気な様子を見せる祖父にホッと安堵する。
隣に座った紫攸を見た祖父は、女官に視線を送った。


「…子供は残念だったな」
「妻が無事だったので、子供はまた出来ます」


女官が消えて、残されたのは紫峰国の宰相と、寡雲だけ。
祖父が信頼しているらしい宰相は、寡雲と話していた。
突然の内輪の内容、紫攸は苦笑を浮かべながら祖父に本音を口にする。
だが、祖父の表情は暗い。
やはり、今でも紅雪を寵愛しているのが反対なのだろうか。


「他の妃嬪で寵愛した娘はいないのか?」
「いません。私の妻は、昭儀1人だけ。今後も変わりません」


思ったとおりの言葉が祖父から告げられる。
だが、ここで紫攸は折れるつもりはない。
キッパリと告げると、紫攸は祖父にそれ以上の言葉を許さないと言う様な視線を向けた。


「……そうか。ならば、私もそれ以上は言わん。で、今日は泊まって行くのか?」
「そのつもりです。出来たら、書庫を見せて頂きたいのですが?」
「ああ、観覧禁止の書物以外なら見ても構わん。悪いが、官史を1人付けるぞ」
「ありがとうございます」


話を変えた祖父の言葉に、答えるともともとの計画に入っていた書庫での調べ物。
断られる事は無かったが警戒しているらしい祖父の言葉。
にっこりと笑顔を向けてお礼を告げると、気にしている母の話を始めた。


***


夜は歓迎会を開催すると言う祖父の言葉。
それまでの間の自由時間に、紫攸と寡雲は官史の視線を浴びながら書庫の書物と睨めっこしていた。


「…ここら辺は、関係なさそうだよ…やっぱり、観覧不可の書物が怪しいと思うんだけど…」
「分かってんだよ…」


神話伝承ならば、観覧不可の書物だと考えれば誰でも分かる。
だが、祖父は見られる事を異様に警戒していた。
今までならば、書庫内なら見せてくれていた筈が、今回は見ることも禁止している。
やはり、紅雪関連の情報が入っているのかもしれない。
馬匠宅で帰りを待つ紅雪の土産を少しでも持って帰りたい紫攸は、ハァァと大きな溜息をついた。
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感想 1

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みんなの感想(1件)

まあ
2017.11.18 まあ

お風邪の方は大丈夫でしたか?
毎回楽しみに読ませていただいてます。
だんだん紅雪さんのこととか、わかってくるのが面白くなりそうで、わくわくしながら待ってます。
寒くなりました。お身体に気を付けて、頑張ってください。

2017.11.18 ERICA

まあ様、いつも感想ありがとうございます!
久しぶりの更新で、ちょっとばかり書き方忘れてしまった作者です。
まあ様もお身体にお気をつけてください。
これからも頑張りますので、読んで頂けると嬉しいです!

解除

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