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一章
07,皇太后にご挨拶《2018.08.06改稿》
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翌日、どうにかして旬華と二人になろうと悪戦苦闘してみるけど、隠す素振りも見せない女官達は私たちを二人にさせてくれなかった。
仕方なく女官を全員下がらせて一人になってから化粧台の前に座ると、鏡に映る自分の髪を見た。
血色に染められていた髪は剥げ始め、地毛の白銀が覗いている。
まだ血色が残る部分で髪を覆い隠して重ねると、髪を結んで櫛で隠してみた。
「紅雪様、ご用は御座いますか?」
「大丈夫よ」
こんな姿を旬華以外には見せれない。
なのに、外では指示を待つ女官が後を絶たなかった。 そう答えながら顔を上げると、部屋を埋め尽くす程の影。太陽の光で反射して出来た人影に鳥肌が立ちそうになった。
服の上から腕を擦りながら気持ちを落ち着かせると、もう一度念入りに髪を確認する。見た限り隠せていてホッとした。
次にしなくちゃいけないことは、
「皇太后様の殿に行きます。準備なさい」
陛下のお母様に挨拶に行くこと。扇を広げて口を隠し、開けられた戸口から出る。
緊張を表に出さない様にしながら宦官と女官、旬華を従えて皇太后殿に向かった。
*****
「皇太后様に拝謁致します」
「面をお上げ」
煌びやかな金の装飾が施され、高そうな花瓶に綺麗な花、階段の上部に置かれた長椅子に皇太后様は座っている。そして、左右に年配の女官が立っていた。
赤い絨毯が入口から階段の上部まで一直線に引かれている。
その絨毯に膝をついた私は、黄金に輝きを放つ皇太后様の髪に見惚れていた。
「そなたが、陛下の妃か…」
皇太后の視線を浴びている間、丸裸にされているような感覚に陥って意識を戻す。
何かに気付いた様に、怪訝そうな表情を浮かべた皇太后様は、一瞬何かを考える素振りを見せた。
私の体に緊張感が走る。皇太后様は、自分の脇にいる年配の女官と、旬華だけを残して他の者を下がらせた。
「その髪、地毛では無いな」
扇で口を隠しながら低音で告げられた声と、皇太后様の疑心に満ちた視線が突き刺さる。
(・・・気付かれた。髪染めて嫁ぐとか、もともと計画が無謀そのものだったけど…)
「皇太后様に嘘を付く事は出来ません。そうで御座います。この髪は染めております」
内心慌てふためいていたのだけれど、顔には出さない。諦め半分でどうとでもなれと、櫛を抜き髪を解くと流れるように背中に落ちる。
血色の髪の所々から白銀色が主張するように輝いていた。
「朱津は我等を謀っておるのか?」
朱津国の王族からは赤を基調とした髪しか産まれない事は周知の事実。私の髪を眺めていた皇太后様が敵意を浮かべるのも至極真っ当な事だった。
「滅相も御座いません!!私の母は、紫峰国の元宰相、楊家の二女 楊紅銘で御座います」
自分が王室の王女なのだと必死に皇太后に伝える。母の名前を口にした時、皇太后様の表情が一瞬驚きに変わった様に見えた。
「琳鍾この者を湯浴みし、薄汚い髪を洗い流して参れ。紅雪とやら、琳鍾に付いて行け。髪色が戻る迄、戻って来ることを許さぬ」
年配の女官、琳鍾が皇太后様の命を受けて私の傍に近寄る。
皇太后様の意図が分からなくて戸惑いを見せるも命令に背く事は出来ず、黙って琳鍾の後に付いて行く事しか出来なかった。
仕方なく女官を全員下がらせて一人になってから化粧台の前に座ると、鏡に映る自分の髪を見た。
血色に染められていた髪は剥げ始め、地毛の白銀が覗いている。
まだ血色が残る部分で髪を覆い隠して重ねると、髪を結んで櫛で隠してみた。
「紅雪様、ご用は御座いますか?」
「大丈夫よ」
こんな姿を旬華以外には見せれない。
なのに、外では指示を待つ女官が後を絶たなかった。 そう答えながら顔を上げると、部屋を埋め尽くす程の影。太陽の光で反射して出来た人影に鳥肌が立ちそうになった。
服の上から腕を擦りながら気持ちを落ち着かせると、もう一度念入りに髪を確認する。見た限り隠せていてホッとした。
次にしなくちゃいけないことは、
「皇太后様の殿に行きます。準備なさい」
陛下のお母様に挨拶に行くこと。扇を広げて口を隠し、開けられた戸口から出る。
緊張を表に出さない様にしながら宦官と女官、旬華を従えて皇太后殿に向かった。
*****
「皇太后様に拝謁致します」
「面をお上げ」
煌びやかな金の装飾が施され、高そうな花瓶に綺麗な花、階段の上部に置かれた長椅子に皇太后様は座っている。そして、左右に年配の女官が立っていた。
赤い絨毯が入口から階段の上部まで一直線に引かれている。
その絨毯に膝をついた私は、黄金に輝きを放つ皇太后様の髪に見惚れていた。
「そなたが、陛下の妃か…」
皇太后の視線を浴びている間、丸裸にされているような感覚に陥って意識を戻す。
何かに気付いた様に、怪訝そうな表情を浮かべた皇太后様は、一瞬何かを考える素振りを見せた。
私の体に緊張感が走る。皇太后様は、自分の脇にいる年配の女官と、旬華だけを残して他の者を下がらせた。
「その髪、地毛では無いな」
扇で口を隠しながら低音で告げられた声と、皇太后様の疑心に満ちた視線が突き刺さる。
(・・・気付かれた。髪染めて嫁ぐとか、もともと計画が無謀そのものだったけど…)
「皇太后様に嘘を付く事は出来ません。そうで御座います。この髪は染めております」
内心慌てふためいていたのだけれど、顔には出さない。諦め半分でどうとでもなれと、櫛を抜き髪を解くと流れるように背中に落ちる。
血色の髪の所々から白銀色が主張するように輝いていた。
「朱津は我等を謀っておるのか?」
朱津国の王族からは赤を基調とした髪しか産まれない事は周知の事実。私の髪を眺めていた皇太后様が敵意を浮かべるのも至極真っ当な事だった。
「滅相も御座いません!!私の母は、紫峰国の元宰相、楊家の二女 楊紅銘で御座います」
自分が王室の王女なのだと必死に皇太后に伝える。母の名前を口にした時、皇太后様の表情が一瞬驚きに変わった様に見えた。
「琳鍾この者を湯浴みし、薄汚い髪を洗い流して参れ。紅雪とやら、琳鍾に付いて行け。髪色が戻る迄、戻って来ることを許さぬ」
年配の女官、琳鍾が皇太后様の命を受けて私の傍に近寄る。
皇太后様の意図が分からなくて戸惑いを見せるも命令に背く事は出来ず、黙って琳鍾の後に付いて行く事しか出来なかった。
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