《R18》皇帝陛下は白銀髪の王女を寵愛する

ERICA

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二章

26,再会の抱擁

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<悪いけど少し声を落として欲しい…>
「兄様…本当に兄様なのですか?」
<…うん。そうだよ…>
「なぜ、どうやってここに来たのですか?」
<雪華姉様の護衛として一緒に来たんだ>


何故、声に出してくれないのかと思いながらも言われた通りに小声で話してる内に気付く。
今、ここにいる場所は後宮で、男子禁制の場所。
男の声が聞こえたら、誰かしらが来てしまうかもしれない。
紅雪は、紅淡が敢えて心の声を漏らしている事にやっと気付いたのだ。
他から見たら逢引しているようにしか見えない状況なのだが、当の本人はそれに気付いていないようだった。


「助けに来たとはどうしてですか?」
<そのままの意味だよ。太子に間諜の役目をさせられているって聞いたんだ>
「…何故、知っているのですか?」
<雪華姉様から聞いた。ここに案内してくれたのも姉様なんだ…>


先程の言葉、何故その言葉が出たのか聞くと、やはりと言う様に雪華の名前が出る。
ここを案内したのが雪華だと知った紅雪は、これが罠なのだと直ぐに察した。


「お兄様、お逃げ下さいっ!!!」
「急にどうしたんだっ…紅雪を置いては行けないよ!!」


直ぐに紅淡を逃がさなくてはと、紅雪が焦る。
焦っている姿に紅淡は戸惑いながらも拒否し、必死に連れて行こうとする。
二人の攻防で小競り合いみたいになってしまっている間に、刑部の役人たちが持っている明かりが後宮を照らし始めていた。


「…これは罠です!急いでお逃げ下さいっ!」


もう間近に迫っている。猶予はない。
懇願するように紅雪が叫ぶと、紅淡はやっと事態を飲み込んだようで、素早い動きで屋根に飛び移る。


「わかった…必ず、迎えに行くから待ってて」


消える前に紅淡が呟いた声が聞こえたような気がしたが、紅雪の目の前に最愛の人が飛び込んで来て意識は自然と紫攸に向けられてしまった。


「鼠は何処だ…」
「鼠は冬眠中で御座います」


役人と共に現れた紫攸に頭を垂れると、彼の質問に淡々とした口調で答える。
視界の端では、役人が庭園を荒らしながら紅淡を捜していた。


「陛下こそ何用で役人と共にお越しになったのですか?誰に言われてこちらに参ったのですか?」
「……っ」


敢えて、知ってます風を醸し出しながら紅雪が陛下に問うと、やはりと言う様に答える事が出来ない。
今の今まで雪華と居たのだと知りたくもないのに分かってしまった。


「…お盛んで御座いますね。私は寒いのでお先に失礼致します」
「俺が愛してるのはお前だけだ…分かってるだろ?」


冷たく突き放した言い方をしてしまったが、仕方ない。
紫攸の横を通り抜けようとした時、彼の腕に掴まってしまった。
耳許で囁かれる言葉、頭で分かっていても気持ちは違えてしまう。


「…それでも、嫉妬してしまうのです…申し訳ありません」


謝罪を口にしながら紫攸の手から抜け出ると、そのまま寝所に向かう。
少し離れた所で、彼の舌打ちが聞こえた気がしたが気のせいだと思いながら白い息を吐いた。
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