15歳から始まる悪女人生計画。

🐾🐾

文字の大きさ
4 / 27
そして、舞台は始まった。

巡ろう、巡ろう。

しおりを挟む
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


言葉を発そうとすればゴポリ、と気泡が口から零れた。
咄嗟に両手で抑え辺りを見れば一面の漆黒。
刹那のようで永遠にも思える時間を黒水の中ですごす。
墨汁のように黒く、氷のように冷たいそんな空間。

(ここは嫌だ、寒い、寒くてたまらない)

暖かなものを求めて、指と指をすり合わせても温度はあがらない。
どうしてこんなことになったのでしょう。
私は悪くないはずです。
家出、が原因でしょうか。
妹がどうしてああなってしまったのか。
いえ、私が悪いのでしょうか。
オートモードな15年間。
そこで私の知らない要素によって何かが、変わっていたのかもしれません。
受け継いだこの悪女の記憶には確かに嫌がらせになる、そんな類のこともした記憶もありました。
あるいは、本当の純粋に、嫌われていたか。


空間に座り込んで私は身をかき抱くように丸くなります。
寒い、寒いのです。
暗くてここは好きじゃない。
死、とはこうゆうものなのでしょうか。
あんまりじゃないですか。
私はここを知っている。
前世で私は死にましたけれども、また、私はここに送り込まれたのですか。
悪女だから?ですが、ですが私は――。

「悪女だよ」

ふと声が降ってきた。
伏せていた視線を上げればそこには空間に不釣り合いなくらい、白い少年が立っていました。
ファンタジーの神官が着るような、そんな白い礼服を身にまとって
光を吸い込んだような金髪に水晶のような青い瞳。
幼さを残す彼はきっとイケメンといわれる部類の人間ですね。
と、私はこんな状況でもなに説明口調でいってるのですか。
内心自重気味になってしまうのは、しかたないと思います。

「君は悪女だ、君がそう言ったのだから」

私、が、なんの、いや、言った?

「第一世界の中心は彼女なんだ、
彼女から離れるなんて今の時点じゃ自殺行為だよ」

ああ、なるほど、完璧に理解しました。
ゲームの鉄則、「こんなところにいられるか!私は帰らせてもらう!」という名の死亡フラグですね。
いわゆるテンプレという展開のことだろう。
あれ、このゲーム恋愛シュミレーションですよね?
ミステリーとかホラーじゃないはず、え。
ま、まぁ、妹にあんな風に殺されるなんて夢にも思いませんが。
彼は頷く。

「あの世界はあまりに歪んで作られてしまった
主人公かのじょを中心に世界は動くんだ
だからこそ君は慎重に動かなければいけない」

彼は指でルーンのような文字を綴る、
軌跡は光となって魔方陣のような形をとった。
溢れる青い光の粒はとても暖かかった。

「もう一度、繰り返そう、変えてほしい、結末を」

光が溢れ出て、世界が白く塗りつぶされる。
ただ私はそれを見ていることしかできませんでした。
彼が何を言っているのか、冷たさに晒されて思考力の落ちた私には
過ぎた産物のようにしか考えられなかったのです。
後のことになるでしょうが、きっと後悔します。
なぜ、この時、彼を問い詰めなかったのかと。



「廻ろう、ダークネソフィア――」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

盗み聞き

凛子
恋愛
あ、そういうこと。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

甘い束縛

はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。 ※小説家なろうサイト様にも載せています。

俺と結婚してくれ〜若き御曹司の真実の愛

ラヴ KAZU
恋愛
村藤潤一郎 潤一郎は村藤コーポレーションの社長を就任したばかりの二十五歳。 大学卒業後、海外に留学した。 過去の恋愛にトラウマを抱えていた。 そんな時、気になる女性社員と巡り会う。 八神あやか 村藤コーポレーション社員の四十歳。 過去の恋愛にトラウマを抱えて、男性の言葉を信じられない。 恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。 そんな時、バッグを取られ、怪我をして潤一郎のマンションでお世話になる羽目に...... 八神あやかは元恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。そんな矢先あやかの勤める村藤コーポレーション社長村藤潤一郎と巡り会う。ある日あやかはバッグを取られ、怪我をする。あやかを放っておけない潤一郎は自分のマンションへ誘った。あやかは優しい潤一郎に惹かれて行くが、会社が倒産の危機にあり、合併先のお嬢さんと婚約すると知る。潤一郎はあやかへの愛を貫こうとするが、あやかは潤一郎の前から姿を消すのであった。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

処理中です...