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きっと並々ならない想いを抱いてるんだ!!!

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鼻をスンスンと鳴らし暫くして、落ち着くと今度は恥ずかしさが込み上げてくる


24歳にもなって久し振りに号泣した

しかも旦那様以外の人の前で


私はソロリとノアさんの膝から降りるとペコリと頭を下げる

「あの、御迷惑をお掛けしました」

「御迷惑だなんて、嫌だな?ありがとうって言って?」

そう言ってフンワリと笑ったノアさんはとても綺麗だった

女の私ですらドキッとした位だ、きっと男の人なんかには一溜りもないだろう

テレテレと頬を染め、頭をポリポリと掻き、チラリと見つめれば淡いグリーンの瞳が優しく見下ろしてる


「うん、やっぱり泣き顔よりそう言う顔をしてる方が可愛い」

ポンッと乗る掌の温もりが暖かで、少しだけ強ばってた心が解ける

ノアさんは普段から動作や仕草がゆっくりなのか、それとも私を安心させるため態となのか、音のない動きはとても柔らかい


笑顔も素敵で、一つ一つをゆっくり丁寧に話してくれる


あの三人を許してあげてと言うノアさん

ごめんねと謝るノアさんが悪いわけでも無いのに、自分が悪い事をしたみたいに眉を下げる

「あの三人もめぐみの事を心配して言った言葉なの」

そこを理解してくれると嬉しいとノアさんは言う

だから私はとんでもないです!!!と手を振る



この世界で、夫も護衛も付けずに居ると言う事がどんなに危険なものかと言う事を優しく説明してくれたノアさんの言葉は確かに理解出来た

理解は出来たけれど、やっぱり旦那様意外と結婚などは出来ない

どんなに私の為だと言われた言葉であろうと、首は縦には振れない

「怖がらせたくはないんだけど、こればっかりは....本当に危ないんだ」

でも、めぐみの言いたい事も分かる。そう言ってノアさんはうーんと唸る

ノアさんを凄く困らせてると思う

思うけれど私の胸を占拠するのはやっぱり旦那様ただ一人

そこに入り込める隙間など一ミリ足りとも無いし、用意出来ない

「私の日本と言う国では、お話した通り、一夫一妻制なんです...

私の夫が言ったんです...永遠に途切れる事のない愛情を神にでもなく、周囲にでもなく、私に誓うと

私、ただ一人にだけ誓うと」

だから見ていて、一生を掛けて俺がどんなにメグを大切にするか、その身体で心で毎日俺に愛されてるか感じて実感してって

そして最後の日に、俺と結婚して良かったって笑ってって言ったあの時の旦那様の顔を私は今でも覚えてる


それは結婚式の日の一日前の事だった

冷めることのない愛情を貴方だけにと言った旦那様

ソレを重たいと思う人も居るんだろうけれど、私は違う


「私には無理なんです」

旦那様...ハル君以外は私には無理

今でも胸を締め付けるのはハル君

ハル君がそう言ったんだ、だから私は愛情ソレを一生掛けて見つめたい

「一人の人に生涯を掛けて誓うなんて素敵だね」

わかったと笑うノアさんは一瞬躊躇いながら、一つのブレスレットを取り出す

「はい、これをめぐみにあげる」

そう言って差し出されたのは真っ白いブレスレットだった

戸惑う様に顔を歪ませ、ノアさんを仰ぎ見る

ブレスレットはコチラの世界では薬指のリングと同じ意味

私は先程、無理だとハッキリと伝えた

どうやってもノアさんもやはりコチラの世界の人

何と言っても、私に夫を宛てがうつもり

「誤解しないで?私はめぐみの味方だから」

そう言って私の掌に少し太めのブレスレットを置いたノアさんは苦笑いする

「コレを付けてる間は胃に反する夫は持たなくて大丈夫だと思う」

その言葉にガバッと顔を上げてキラキラと瞳を輝かせる私は何と単純な事だろう

「本当ですかっ!!!」

勢い良く身体を前に動かしハクハクと唇を動かす

ヤンワリと身体を押して距離を少し取るノアさんは苦笑い

その苦笑いする顔ですら麗しい

「うん、ただ...夫候補に名乗りを上げる者達はどうしようもないかな」

それでも無理矢理誰かしら夫を宛てがわれるより何倍もマシだ

「勿論、コレをしたからと言ってコレの持ち主を夫にしろなんてならないから安心して」

ノアさんの顔とリングを交互に見つめ、意を決してブレスレットを手首に嵌める

そして顔を上げてノアさんを見つめれば優しい眼差しと出会う

「ありがとうございます」

遠慮なくお言葉に甘えますと頭を下げると再び撫でられる頭

「遠慮なく何かあったら甘えて?」

そう言った瞬間、トントンとノックの音が響き渡る

「どうやら待てが出来なく来ちゃったみたいね」

ノアさんが意地悪く笑い立ち上がると扉へ向かう


扉から顔を覗かせたのは少し前に出ていった三人の男達だった

「話しは...」

「終わったから入って来て」

その言葉に三人の男達は気まずそうに入って来る

そして私を囲む様に来れば躊躇う様にユリウスさんが唇を開く

「めぐみ、さっきは...ごめんね」

腰を折り顔を覗き込む青眼がユラユラ揺れる

「貴方達に悪気は無かったってちゃんと説明しといたから大丈夫」

「そっ、ありがと...ノア」

何故か釈然としないユリウスさん

有り得ないと言わんばかりのアレスさんの瞳はノアさんをマジマジと見つめる

もしかしたら、アレスさんはノアさんに好意を寄せてるのかも

そうだ、きっとそうなのかも!

この女神様の様な美貌の持ち主なんだ

アレスさんとノアさん...なんとお似合いのカップルじゃなかろうか?


じゃなきゃ、あんなに熱くノアさんを見つめるだろうか?

ジッと見つめるアレスさんの熱い眼差しにノアさんの髪から足先まで一つ残らず焼き切れるかも知れない!

他の人の恋バナや片恋など、自分を巻き込まない限り大歓迎だ

私は自分の事の様にドキドキしながら二人を見つめる

生憎、ノアさんの手首にはブレスレットは見当たらない

私の心配をするよりノアさんの心配をした方が良い

ああ、そっか夫は居ないけれど、夫候補は星の数程いるに違いない!

こんなに麗しい女神様なんだ!

きっと大変な思いをしてるはず!!!私の大切な女神様を困らせるのは許せないけれど純粋な愛情表現を咎める事は出来ない

それにノアさんを見つめるアレスさんの熱い眼差し


あの眼差しは本物だっ!!!

熱い、アツすぎる!

「ノア....お前...」

そんなノアさんに並々ならない想いを抱いてるアレスさん

ああ、なんとも言えないもどかしい片思い...


私は心の中で二人を応援する事を心に決意する


「アレス、彼女とユイの後見人に私が名乗りを上げる事にしたから」

そう言いながらノアさんが笑う

その言葉に三人の男達はバッと私に視点を定める


ノアさんが腰を折り、私の手を優しく掴み取る

そして立ち上がらせ、三人の男達に見える様に手の甲から辿る様に指を動かしブレスレットに行き着きほら見て?と指を止める


三人の瞳が釣られる様に私の手首に向かいその存在に気付く

「っ...お前...」

「コレで彼女はのモノ」


そう言ったノアさんの言葉に息を呑む者、固まる様に表情を強ばらせる者、また、目を見開き拳を握り締める者

それぞれ色々な想いを抱きながら一つのブレスレットは私の手首をジンワリと温める

「あ、めぐみ、彼のモノなんて言ったけど、彼は今居ないから安心して」

補足する様に言われた言葉に説明を促すより先にノアさんは困った様に、そして戸惑う様に継ぎ足す

「その持ち主は一生戻らないからめぐみは気にしないで」

そう言って笑うノアさんの表情はとても悲しそうで辛そうで

私は何も言えなかった



その後、ノアさんは用事があるからと、謝りながら部屋を出ていく


「めぐみ、よく聞いて?後の事はこれらに任せて良いからね?コレがある限り無体な事はしないから」
と、ノアさんはブレスレットを指差し、アレスさん等を見る

ノアさんは「リアム貴方は一緒に来て」そう言いながらリアムさんを連れて行く

戸惑う様にリアムさんは一瞬私を見つめ、ハァーッと溜息を吐き出し退室する


すると部屋にはアレスさんとユリウスさんが残る

「じゃ今から移動しようか?ユイにも会いたいでしょ?」

そう言いながらユリウスさんが腕を差し出す

ここでは常にエスコートが女性には必要なのか私が腕を取るのを待ってる様だ

だが私は日本生まれ日本育ち、生憎エスコートは必要としなく、ましてやかエスコートが必要とする高貴な生まれでも清楚潔白な純粋なお嬢様でもない

よって


「一人で歩けます」

そう言って扉へ向かえば唖然とするユリウスさん


信じられないモノを見るその目付き


アレスさんが驚きながら目を見開き、次の瞬間唇の端を引き上げる

面白いモノを見たと言わんばかりのその表情

そんなアレスさんはスタスタと歩き私の前に出る


「行くぞ」


そう言いながら扉を開けるアレスさんは私を守る様に周囲を伺う

「あーもう!しょうがないなぁ」

そう言いながらユリウスさんが私の横に付く


チラリと横目で見下ろされ青い瞳と目が合う

「何か?」

「ううん、別に何もぉ」

ふふふと小さく笑った様な気がしたが、きっと気の所為だと思う事にして歩き出す


そんな私達を見つめる瞳がある事に私は気付かない

「アレス?立ち止まってどうした?」

「いや、何も...」

「ふぅーん...そっか...」

二人は何かの存在に気が付いたのかもしれないけれど、凡人の私は目の前を行くアレスさんの頭部を見ながら思う


あ、黒髪に見えたけど窓から差し込む日に当たると少し青い

青味のある黒髪は神秘的なアレスさんにピッタリだなんて思った


アレスさんがふと振り返り、そんな私をジッと見つめる


-----

見直ししてないです。後で見直して書き直すかもです!バーッと一気に書いたからおかしな部分てんこ盛りです






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みんなの感想(9件)

モルガナ
2018.06.10 モルガナ

彼はノアの旦那とかだったんですかね…めぐみみたいに異世界転移できるなら逆にこの世界の人間が異世界転移しちゃうこともあり得るので主人公みたいに己の意志に反して転移しちゃった可能性もありますね…

何はともあれチャラユリウスに手を出されなくて良かったです!早くユイと再会祈ってます

アラキ
2018.06.12 アラキ

モルガナ様、感想ありがとうございます!時間が無く、急いで書いたのでおかしな部分があったかと思いますが読んで下さり、それだけで嬉しく思います!そう、ユリウスさんは悩みの種です!!!何度も暴走しては話しを有り得ない方向に持って行く!その度に消して書き直してます!

解除
モルガナ
2018.06.03 モルガナ

ノアは本当に女の人なのか気になりますね( ´ ▽ ` )

ユリウスと別れた後ユイがどうなったかも気になりますし、もしこの世界で婚姻するなら主人公にはアレスがいいですね

時々無意識に主人公に手を差し伸べたり、優しいですし何よりユリウスみたいにチャラくないのがいいです

旦那さんも転移してくれれば解決なんですけどね

アラキ
2018.06.04 アラキ

モルガナ様感想ありがとうございます!
キャラ達が勝手に暴走しては困った事になる為(主に主人公が)ちゃんと舵取りしないとなと思う今日この頃です!暑くなって来ましたのでお身体にお気を付け下さい。それでは今後とも作品の程宜しくお願いします!

解除
モルガナ
2018.06.03 モルガナ

ユリウスやはりチャラいですね普段から見目の良さを利用して、女性侍らせてそうですしね

一夫一妻制だと教えてあげてほしいですね他国に行っても、婚姻制度は変わらないと…

文献云々は見ても解決しなさそうな気がするので、早くユイ返してもらって再会してほしいですね
( ^ω^ )

アラキ
2018.06.03 アラキ

モルガナ様、感想ありがとうございます!そうなんです、ユリウスは女慣れしてるキャラにしたいんですが、キャラ設定が下手くそな為、上手く伝わって居るのか不安んです!女慣れしてモテモテで主人公を振り回すキャラにしたいんですが、中々そうも行かず苦労してます!一夫一妻制だと声に出して早く伝えたいです!!!まだまだ拙い文章ではありますが宜しくお願いします!

解除
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