7 / 11
冬
ポインセチア
しおりを挟む
***
12月24日。
クリスマスイブはいつもよりご来店されるお客様が多い。
とても嬉しいことだけど、一緒に過ごす人がいない私にとっては少し寂しい。
「すみません。もう終わりですか?」
お店の看板を中に入れるために外に出ると、聞き慣れた声がした。
「今日は少し早めに閉めようかと……でも、まだ大丈夫ですよ」
「本当ですか? ありがとうございます」
急いで来たのか、彼の息が少し上がっているように感じた。
「ポインセチアをください」
「はい。只今、お包みいたしますね」
「……あの」
「はい?」
振り返ると、少し顔を赤くした彼が細長い箱を手にしていた。
「これ、よかったら貰ってください」
「え?」
「クリスマスプレゼント、です。いつもやさしく対応してくださるお礼です」
「お、お礼だなんて…仕事ですし」
「受け取ってください!」
そんなに強く言われたら……
「あ、ありがとうございます。開けてみてもいいですか?」
「はい」
箱を開けると、綺麗な花のチャームがついたペンダントが入っていた。
「わあ! すっごく素敵ですね!」
「貴女に似合うと思って…」
「本当にいただいてもいいんですか?」
「はい!」
「大切にしますね。あ、そうだ! 少し待っていてください」
私は急いで裏にある自宅に戻った。
「……お待たせしました。これを、どうぞ」
「ありがとうございます。綺麗なスノードームですね!」
「私が作ったんです。気に入っていただけたら嬉しいのですが…」
「手作りですか!? すごいですね! 家に飾ります」
まるで子どもみたいに目をキラキラと輝かせてスノードームを見つめる彼に、思わず笑ってしまう。
「ふふっ」
「え? 僕、何か変なこと言いました?」
「いえ。可愛らしいな、と思って…」
「か、可愛らしい…?」
「スノードーム、喜んでいただけてよかったです」
彼は恥ずかしそうに笑って、スノードームを鞄にしまった。
「長居してしまってすみません。ありがとうございました」
「こちらこそ、引き止めてしまって…ペンダントもありがとうございました。素敵なクリスマスをお過ごしください」
「メリークリスマス」
彼はそう言い残して店を出た。
☆☆☆
彼に貰ったペンダントをつけて鏡を見る。
私のために、選んでくれたんだよね……?
すごく、嬉しい。
心があったかくなって、体がふわふわと軽くなったような不思議な感覚。
熱くなった頬をおさえて、その場にしゃがみ込む。
クリスマス…悪くないかも。
12月24日。
クリスマスイブはいつもよりご来店されるお客様が多い。
とても嬉しいことだけど、一緒に過ごす人がいない私にとっては少し寂しい。
「すみません。もう終わりですか?」
お店の看板を中に入れるために外に出ると、聞き慣れた声がした。
「今日は少し早めに閉めようかと……でも、まだ大丈夫ですよ」
「本当ですか? ありがとうございます」
急いで来たのか、彼の息が少し上がっているように感じた。
「ポインセチアをください」
「はい。只今、お包みいたしますね」
「……あの」
「はい?」
振り返ると、少し顔を赤くした彼が細長い箱を手にしていた。
「これ、よかったら貰ってください」
「え?」
「クリスマスプレゼント、です。いつもやさしく対応してくださるお礼です」
「お、お礼だなんて…仕事ですし」
「受け取ってください!」
そんなに強く言われたら……
「あ、ありがとうございます。開けてみてもいいですか?」
「はい」
箱を開けると、綺麗な花のチャームがついたペンダントが入っていた。
「わあ! すっごく素敵ですね!」
「貴女に似合うと思って…」
「本当にいただいてもいいんですか?」
「はい!」
「大切にしますね。あ、そうだ! 少し待っていてください」
私は急いで裏にある自宅に戻った。
「……お待たせしました。これを、どうぞ」
「ありがとうございます。綺麗なスノードームですね!」
「私が作ったんです。気に入っていただけたら嬉しいのですが…」
「手作りですか!? すごいですね! 家に飾ります」
まるで子どもみたいに目をキラキラと輝かせてスノードームを見つめる彼に、思わず笑ってしまう。
「ふふっ」
「え? 僕、何か変なこと言いました?」
「いえ。可愛らしいな、と思って…」
「か、可愛らしい…?」
「スノードーム、喜んでいただけてよかったです」
彼は恥ずかしそうに笑って、スノードームを鞄にしまった。
「長居してしまってすみません。ありがとうございました」
「こちらこそ、引き止めてしまって…ペンダントもありがとうございました。素敵なクリスマスをお過ごしください」
「メリークリスマス」
彼はそう言い残して店を出た。
☆☆☆
彼に貰ったペンダントをつけて鏡を見る。
私のために、選んでくれたんだよね……?
すごく、嬉しい。
心があったかくなって、体がふわふわと軽くなったような不思議な感覚。
熱くなった頬をおさえて、その場にしゃがみ込む。
クリスマス…悪くないかも。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
可愛らしい人
はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」
「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」
「それにあいつはひとりで生きていけるから」
女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。
けれど、
「エレナ嬢」
「なんでしょうか?」
「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」
その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。
「……いいえ」
当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。
「よければ僕と一緒に行きませんか?」
遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜
小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。
でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。
就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。
そこには玲央がいる。
それなのに、私は玲央に選ばれない……
そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。
瀬川真冬 25歳
一ノ瀬玲央 25歳
ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。
表紙は簡単表紙メーカーにて作成。
アルファポリス公開日 2024/10/21
作品の無断転載はご遠慮ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる