はやゆうの話

皇 晴樹

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嫉妬(大和田 優那の場合)

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毎朝、教科書を入れる前に、机の中を確認するのが日課になっている。

今日も同じように机の中を覗くと、可愛らしい封筒が入っていた。

「優那?」
「な、なに!?」

慌てて後ろに隠したけど、隼人にバレないわけがない。

「なーに、それ?」
「て、手紙」
「誰から?」
「名前書いてなくてわからない」
「見たの?」
「まだ中は見てないよ」
「ふーん。ラブレターでしょ?」

隼人は面白くなさそうに、席に座って頬杖をついた。

「かっこよくて可愛くて優しい、みんなから信頼される生徒会長」
「隼人…?」
「…大和田 優那くんはモテモテだね~」
「なにが言いたいの?」
「鈍感なところも、モテ要素なのかね?」

様子がおかしい。手紙が原因…?

まだラブレターだって
決まったわけじゃないのに……


……ラブレターでした。

『大和田 優那様

ずっとあなたに憧れていました。
伝えたいことがあるので、
今日の放課後、中庭に来てください。』


「隼、」
「なんですか? 会長」
「……なんでもない、です」

どうして隼人が怒ってるの?
意味わからない。

「琉夏くんはいますか?」
「ちょっと待っててください。琉夏~! 大和田先輩が呼んでるぞ~」
「……優那くん、珍しいね。兄ちゃんと喧嘩でもした?」
「僕は悪くない。隼人が勝手に怒ってるだけ」
「…あー、その手紙が原因なのか」
「どうしてわかったの!?」
「何年一緒にいると思ってるの? こんなことくらい朝飯前だって」

琉夏くんはすごいな。
僕なんて、隼人の気持ちを理解できなくて悩んでるのに。

「放課後、行くの?」
「うん。待ってるかもしれないから」
「そっか。優那くんらしいね。オレもそれがいいと思うよ」
「隼人はどうしたら元に戻る?」
「うーん、それは優那くん次第かな。兄ちゃんだって今頃後悔してると思うよ~。優那くんのことになるとすぐに感情的になっちゃう困った人だからね」

琉夏くんは「頑張れ」と僕の肩を軽くたたいて、教室に戻って行った。

放課後

指定された中庭に行くと、長い髪を風になびかせながら小柄な女の子が待っていた。

「大和田くん。突然呼び出してごめんなさい。来てくれてありがとう」
「うん」
「気づいているとは思うけど……大和田くんのことが好きです。私と付き合ってください」

なんて言えば……

ここには隼人も琉夏くんもいない。
僕一人で考えないといけないんだ。

彼女を傷つけないように僕の答えを言わないと…

「ありがとう。とても嬉しい、です。でも、僕には好きな人がいるんだ。だから、ごめんなさい」
「……そっか。正直に言ってくれてありがとう。時間取らせちゃってごめんね」
「ううん。大丈夫だよ」

彼女はふわりと笑ってパタパタと去って行った。


昇降口には見慣れた人が立っていた。

「早かったな」
「先に帰ったんじゃなかったの?」
「はあ? お前を置いて帰るわけないだろ?」
「怒ってたじゃん」
「怒ってないけど」
「怒ってた!」
「……お前が鈍感すぎるから」
「鈍感じゃないよ。隼人がわかりにくいだけ」
「俺のせいかよ…」
「琉夏くんが、隼人は僕のことになるとすぐに感情的になっちゃう困った人だって言ってた」
「どの口が言ってんだか…」
「ねぇ、隼人。僕だって自分で判断するときはするから。心配しなくて大丈夫だよ」
「…好きな人の心配してなにが悪い? 俺は優那の騎士さまなんだけど」

……今の状況を説明すると、
僕は隼人に壁ドンとやらをされています。

「…誰か来るよ」
「俺は気にしない」
「僕は気にする」
「会長様だから?」
「違うって。TPOって習ったでしょ? ここ学校だから。少しは気にしてほしいです…!」

言ってから後悔した。
彼は僕に意地悪するのが好きなんだった。
……ドSの騎士さまだということを忘れていた。

キスしようとする彼をとめる。


「隼人、待って」
「んー?」
「わざと聞かないんだろうけど、さっきの話するね。隣のクラスの子に告白されたんだ」
「それで?」
「……断ったよ。好きな人がいるからごめんなさいって」
「好きな人…?」
「わかってるでしょ?」
「わかんないなぁ」

ニヤリと笑う隼人。

わかってるくせに…!

「早く言ってよ」

恥ずかしくて顔を見れない。

「好きな人は、隼人だよ」
「こっち見て」

顔を上げるとやさしくキスされた。

「……俺も大好きだよ、優那」

耳元で甘く囁かれ、
顔を真っ赤にしながら僕は彼の胸に顔を埋める。


僕の大好きな人は、
かっこよくてたまに意地悪な騎士さま。







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