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弱虫くんと騎士さま
消えない傷
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***
「隼人。何かあった?」
「何も」
嘘だ。僕がいない間に絶対何かあった。
彼はそれを隠そうとしている。
「本当のこと言っ…」
「じゃあ、聞くけどさ、」
隼人は僕の言葉を遮って問いかけた。
「速水のことどう思ってんの?」
「え?」
どうって……?
彼の瞳は僕を捉えて離さない。
狼に睨まれる小動物のように身を縮こませて、ただ見つめ返すことしかできなかった。
「答えてよ」
隼人の冷たい声に、泣き出してしまいそうになる。
それをぐっとこらえて口を開いた。
「速水くんは、生徒会の仲間だよ。良い後輩だと思ってる。隼人もそうでしょ?」
「確かにそうだな。でも、俺は嫌いだ。優那にベタベタくっついていい顔してる速水が気に食わない」
「いい顔って…速水くんは、」
「優那はアイツの味方なの?」
「味方とか、そんなんじゃなくて……僕はただ…」
隼人が珍しくイライラしてる。
いつもなら感情を押し殺して笑ってる彼なのに、今日は表に出している。
これ以上隼人に言っても通じない。
「速水と話してる時の優那はすごく楽しそうで、心を許しているんだなっていうのがわかる。それでもあれは本当の優那じゃない……いいの? 速水に本当の姿がバレても」
「……たとえバレたとしても、速水くんならわかってくれると思う」
僕の言葉に隼人は寂しそうに笑う。
「そっか。そうだよな……優那はもう子どもじゃないもんな…」
「隼人…?」
「俺が今まで優那を守ってきたのに…全部無駄だったってこと?」
今にも消えてしまいそうな弱々しい声で呟いた。
「なりたくもない副会長になってまで、優那を支えてきたんだよ? ……俺なんかじゃなくて、速水でよかったじゃん」
……知ってた。
僕のために副会長になったことくらい。
でも、面と向かって言われると…ムカつく。
「……僕は頼んでない。守ってほしいなんて言ってない。副会長になってほしいなんて言ってない。全部、隼人が決めたことでしょ!? 僕のせいにしないで」
言葉の棘は自分が思っているよりも相手に突き刺さって、一生消えない傷になる。
それを僕は知っているはずなのに。
……僕は、大切な人を傷つけた。
「“勝手に”守る、なんて言ってごめん。副会長になってごめん」
そう言って荷物をまとめ始めた。
僕は何も言えずにその光景をただ見つめていた。
「優那のそばに居たくて、少しでも支えられたらなんて思って今までやってきたけど、俺が優那を苦しめてたんだな…」
「隼、」
「自分勝手でごめん」
隼人は僕の顔を見ずに部屋から出て行った。
バタンッとドアの閉まる音だけが、むなしく響いていた。
「隼人。何かあった?」
「何も」
嘘だ。僕がいない間に絶対何かあった。
彼はそれを隠そうとしている。
「本当のこと言っ…」
「じゃあ、聞くけどさ、」
隼人は僕の言葉を遮って問いかけた。
「速水のことどう思ってんの?」
「え?」
どうって……?
彼の瞳は僕を捉えて離さない。
狼に睨まれる小動物のように身を縮こませて、ただ見つめ返すことしかできなかった。
「答えてよ」
隼人の冷たい声に、泣き出してしまいそうになる。
それをぐっとこらえて口を開いた。
「速水くんは、生徒会の仲間だよ。良い後輩だと思ってる。隼人もそうでしょ?」
「確かにそうだな。でも、俺は嫌いだ。優那にベタベタくっついていい顔してる速水が気に食わない」
「いい顔って…速水くんは、」
「優那はアイツの味方なの?」
「味方とか、そんなんじゃなくて……僕はただ…」
隼人が珍しくイライラしてる。
いつもなら感情を押し殺して笑ってる彼なのに、今日は表に出している。
これ以上隼人に言っても通じない。
「速水と話してる時の優那はすごく楽しそうで、心を許しているんだなっていうのがわかる。それでもあれは本当の優那じゃない……いいの? 速水に本当の姿がバレても」
「……たとえバレたとしても、速水くんならわかってくれると思う」
僕の言葉に隼人は寂しそうに笑う。
「そっか。そうだよな……優那はもう子どもじゃないもんな…」
「隼人…?」
「俺が今まで優那を守ってきたのに…全部無駄だったってこと?」
今にも消えてしまいそうな弱々しい声で呟いた。
「なりたくもない副会長になってまで、優那を支えてきたんだよ? ……俺なんかじゃなくて、速水でよかったじゃん」
……知ってた。
僕のために副会長になったことくらい。
でも、面と向かって言われると…ムカつく。
「……僕は頼んでない。守ってほしいなんて言ってない。副会長になってほしいなんて言ってない。全部、隼人が決めたことでしょ!? 僕のせいにしないで」
言葉の棘は自分が思っているよりも相手に突き刺さって、一生消えない傷になる。
それを僕は知っているはずなのに。
……僕は、大切な人を傷つけた。
「“勝手に”守る、なんて言ってごめん。副会長になってごめん」
そう言って荷物をまとめ始めた。
僕は何も言えずにその光景をただ見つめていた。
「優那のそばに居たくて、少しでも支えられたらなんて思って今までやってきたけど、俺が優那を苦しめてたんだな…」
「隼、」
「自分勝手でごめん」
隼人は僕の顔を見ずに部屋から出て行った。
バタンッとドアの閉まる音だけが、むなしく響いていた。
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