魔導具なら買い取ります!古道具屋『がらんどう』

なかな

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「ゆるふわ金髪」現る2

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「あーもうっ、あのゆるふわ金髪めっ!ムシャクシャするっー!」

 『がらんどう』にある、自分の作業台をドンっと叩き苛立ちを露わにする。

「ミツリさん、やめましょうよ。手が真っ赤ですよ」

 私がグーに握った手をスチール製の机に叩きつけたせいで、蓮くんが心配そうに覗き込んでくる。

 目尻に溜まった悔し涙が恥ずかしくて、手の甲でグイッと拭う。

「あの男、身なりからしてどこかの貴族だろうな。魔術師の系統で優秀な成績を収めただろう金髪の成人男性。二十代半ばって所か?それなりに整った容姿からして、割り出せるとは思うのだが」

 ユーリが腕を組み、考え込んでいる。
 あれだけ瞬時にこちらの事情を見透かされてしまった事が、ユーリとしては気になるようだ。

「わざわざ日本にやってきて魔導具を収集しているとは、かなり変わった事情があるのか、果てまた、それが目的の変わった奴なのか?」

 どちらにしても変わったタイプの人物だということは、ついさっき会って確認済みだ。
 だが、こちらの持つ情報量が少なすぎて、相手の背景が掴めない。
 その上、奴の目的がイシュタニアの魔導具ならば、私達のライバルにも成りかねない。

「この『リスト』に上がっている魔導具を先に手に入れられていたら厄介だな」

 ユーリが紙の束を手に持ち、眉根に皺を寄せて呟く。

 国王から回収命令が出ている魔導具リストは、古いものから最近の物まであるが、行方不明として場所さえ特定されていない物もある。

 日本で暮らす人々に害をなす魔導具は少ないが、悪用されると厄介な物もあるので、とりあえず持ち出されたと分かっているものは全回収の命が出されている。

「とりあえず、さっきの鏡はリストに載って無かったね。ある意味、漏れ出した魔導具の回収にはなってはいるんだけど、やっぱりムカつくわー、あのゆるふわ金髪。次会ったら、先制攻撃で一発喰らわしてやる」

「ミツリさんっ、それって普通に犯罪ですよ!向こうは特に罪を犯していません。とりあえず、見た目と中身はかなり違いそうな人なので、もし次に会ったら、化けの皮を剥いじゃいましょう」

「・・・」

「蓮くんは金髪男の内面までしっかり捉えているんだな。これからも、頼りにしている」

「ユーリさんっ、俺っ、めちゃ嬉しいっす!」

 感情的になって暴走していた私は、蓮くんとユーリに築き上げられている師弟関係を見て、何となくクールダウンした。
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