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散る3
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ユーリは賢いから、いつだって間違えない。
最良で確実な道を、いつも選んでいる。
でもそれは、自分以外の誰かにとって、多くの人にとっての最良で、ユーリ自身には最良でも最高でも無い選択だ。
私の為に都会の空にドラゴンを飛ばし、蓮くんの為に、自分がリスクを負うとしても繋がりを持つ道を選んだ。
私がシードだと分かっても、自分だけ「番人」だと本当の事は言わないで、黙ったまま隠し通す。
今度は父ランドールをイシュタニア国にとって有益な地位に付かせる為に、自分は番人から身を引くと言うのだろうか?
そんなの、絶対に間違っている。
ユーリの選択だけど、今回ばかりは大間違いだ。
誰かがユーリに間違いだと知らせてあげないと、彼は真実に気づく事なく、独りよがりな道を歩く愚か者になってしまう。
ユーリにそんな道を歩ませる訳にはいかない。
ユーリが覚えていなくても、私はユーリのパートナーだから。
ユーリを捕まえて、私の方が正しいって、絶対に分からせてやるっ!
◇◇◇
そう心に決めたものの、ユーリは一体どこに行ったのだろうか?
手がかりを探しにと、またユーリの部屋にお邪魔してみれば、綺麗に持ち去られたと思った私物はパッキングされ、部屋の隅に置かれていた。
” また、ここに帰ってくるつもりなんだっ”
俄かに期待が膨らみ、戻ってきたユーリを掴まえて話をすれば‥と考えるが、あのユーリの事だ。
蓮くん家の玄関に靴を忘れるくらいにはウッカリしているが、肝心な所は用意周到、慎重に事を進めるに違いない。
部屋に荷物をまとめておいたのも、後で誰かに取りに来させる為に、そうしたのかも‥。
むむむっ‥。
このまま時間が過ぎ去るのを待つのは、やはり悪手だろう。
もし、既に異世界門をくぐりイシュタニアに戻っているのであれば、それこそ私にはユーリを探せない。
王族の居住区になんて入れないし、ユーリがイシュタニア国のどこの土地に縁があるのかなんて、さっぱり分からないから。
今の私が出来る事は、日本でユーリが最後に立ち寄りそうな所を探すこと。
もしかしたら、蓮くんには挨拶くらいしに行っているかも。
蓮くんの事を思い出し、突如、可愛らしい、黒いモフモフのフォルムを思い出した。
” そうだっ!ステラさんだっ!”
まだ、ステラさんが自由に日本で動けていれば、私にユーリの場所を教えてくれるかもしれないっ!
私は自分のスマフォを手に持ち、蓮くんへと連絡を取った。
◇◇◇
「蓮くん?ミツリだよ。急にごめんね。」
「ミツリさんから連絡くるの珍しいっすね、初めてじゃないですか?」
「そう、かも。いつもユーリがステラさんが連絡してたもんね。」
「あ、そうか。ステラさん帰っちゃうから、こっちが連絡ツールになるんですね、了解しました。」
「えっ?」
「さっき、ステラさん挨拶に来ましたよ。ユーリさんと一緒に異世界に戻るって。しばらく会えないけど、受験頑張ってって、応援してくれました。」
「そう、なの?」
「あ、はい。え?その話じゃなかったんですか?ユーリさんは、向こうが落ち着いたら連絡くれるそうです。俺も無事に高校生になって、異世界連れて行ってもらえるように頑張んなきゃですね。‥‥、ミツリさん?聞こえてます?」
「あ、うん。私も異世界戻るから、しばらく『がらんどう』は休店になりそう。何かあったらシリルに連絡係になってもらおうかな‥。いきなりシリルだけ現れてもびっくりしないでね。」
「あ、はいっ、分かりました!寂しいけど仕方ないですよね。それじゃ、異世界でも頑張ってくださいっ。」
「ありがとう。蓮くんも、受験頑張ってね。応援してるからっ!」
「はいっ!ありがとうございますっ!」
「ーーーー。」
ステラさんも、居なくなっちゃった。
最良で確実な道を、いつも選んでいる。
でもそれは、自分以外の誰かにとって、多くの人にとっての最良で、ユーリ自身には最良でも最高でも無い選択だ。
私の為に都会の空にドラゴンを飛ばし、蓮くんの為に、自分がリスクを負うとしても繋がりを持つ道を選んだ。
私がシードだと分かっても、自分だけ「番人」だと本当の事は言わないで、黙ったまま隠し通す。
今度は父ランドールをイシュタニア国にとって有益な地位に付かせる為に、自分は番人から身を引くと言うのだろうか?
そんなの、絶対に間違っている。
ユーリの選択だけど、今回ばかりは大間違いだ。
誰かがユーリに間違いだと知らせてあげないと、彼は真実に気づく事なく、独りよがりな道を歩く愚か者になってしまう。
ユーリにそんな道を歩ませる訳にはいかない。
ユーリが覚えていなくても、私はユーリのパートナーだから。
ユーリを捕まえて、私の方が正しいって、絶対に分からせてやるっ!
◇◇◇
そう心に決めたものの、ユーリは一体どこに行ったのだろうか?
手がかりを探しにと、またユーリの部屋にお邪魔してみれば、綺麗に持ち去られたと思った私物はパッキングされ、部屋の隅に置かれていた。
” また、ここに帰ってくるつもりなんだっ”
俄かに期待が膨らみ、戻ってきたユーリを掴まえて話をすれば‥と考えるが、あのユーリの事だ。
蓮くん家の玄関に靴を忘れるくらいにはウッカリしているが、肝心な所は用意周到、慎重に事を進めるに違いない。
部屋に荷物をまとめておいたのも、後で誰かに取りに来させる為に、そうしたのかも‥。
むむむっ‥。
このまま時間が過ぎ去るのを待つのは、やはり悪手だろう。
もし、既に異世界門をくぐりイシュタニアに戻っているのであれば、それこそ私にはユーリを探せない。
王族の居住区になんて入れないし、ユーリがイシュタニア国のどこの土地に縁があるのかなんて、さっぱり分からないから。
今の私が出来る事は、日本でユーリが最後に立ち寄りそうな所を探すこと。
もしかしたら、蓮くんには挨拶くらいしに行っているかも。
蓮くんの事を思い出し、突如、可愛らしい、黒いモフモフのフォルムを思い出した。
” そうだっ!ステラさんだっ!”
まだ、ステラさんが自由に日本で動けていれば、私にユーリの場所を教えてくれるかもしれないっ!
私は自分のスマフォを手に持ち、蓮くんへと連絡を取った。
◇◇◇
「蓮くん?ミツリだよ。急にごめんね。」
「ミツリさんから連絡くるの珍しいっすね、初めてじゃないですか?」
「そう、かも。いつもユーリがステラさんが連絡してたもんね。」
「あ、そうか。ステラさん帰っちゃうから、こっちが連絡ツールになるんですね、了解しました。」
「えっ?」
「さっき、ステラさん挨拶に来ましたよ。ユーリさんと一緒に異世界に戻るって。しばらく会えないけど、受験頑張ってって、応援してくれました。」
「そう、なの?」
「あ、はい。え?その話じゃなかったんですか?ユーリさんは、向こうが落ち着いたら連絡くれるそうです。俺も無事に高校生になって、異世界連れて行ってもらえるように頑張んなきゃですね。‥‥、ミツリさん?聞こえてます?」
「あ、うん。私も異世界戻るから、しばらく『がらんどう』は休店になりそう。何かあったらシリルに連絡係になってもらおうかな‥。いきなりシリルだけ現れてもびっくりしないでね。」
「あ、はいっ、分かりました!寂しいけど仕方ないですよね。それじゃ、異世界でも頑張ってくださいっ。」
「ありがとう。蓮くんも、受験頑張ってね。応援してるからっ!」
「はいっ!ありがとうございますっ!」
「ーーーー。」
ステラさんも、居なくなっちゃった。
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