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ぼくの夢は何だろう?
22.ピアノ教室
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土曜日になった。今日はピアノ教室の体験レッスンの日。叶翔はお父さんとお留守番。いつもなら土曜日はサッカーの練習だったけど、今日はピアノ。不器用なぼくがピアノ。学校の音楽の授業で、リコーダーを吹くのがやっとなぼくが、ピアノ。音符の読み方を学校で習ったけど、何も覚えていないぼくがピアノ。
「大夢、2時から体験レッスンだからね。お昼食べて少し休んだら行くよ。叶翔はお父さんとお留守番ね。」
「はーい。」
ぼくたち兄弟はゲームをして、お昼食べた。ぼくだけ、お母さんとピアノ教室に向かった。
「こんにちは。お待ちしておりました。本田と申します。本日は、ご体験ありがとうございます。」
お上品な話し方だな。女の先生。教室の前で待っていてくれたみたい。
「小松原と申します。よろしくお願いします。」
お母さんが挨拶をした。
「小松原大夢です。よろしくお願いします。」
ぼくも挨拶しないとね。
「大夢くん、今日は体験ありがとう。お膝は大丈夫?」
「はい、歩けないけど、大丈夫です。」
「それは良かった。レッスン室にイスがあるけど、車いすのままでも大丈夫だからね。車いすのまま入れるから。」
「ありがとうございます。」
お母さんに車いすを押してもらって、中に入った。大きなお部屋。大きなピアノがある。2台もある。お母さんは後ろで見ている。
「では、早速レッスンを始めますね。よろしくお願いします。」
「お願いします。」
「これが、ドレミのドよ。お隣がレ。学校で習ったかしら?」
「習いましたが忘れました。」
正直に言った。
「ふふ。じゃあ、早速右手で弾いてみましょう。親指でド、ドレミファソを弾いてみましょう。♪ドレミファソ♪こんな感じ。」
先生がお手本を見せてくれた。ぼくもやってみた。♪ドレミファソ♪
「そうそう、上手よ。弾くときは、ここの骨を立てて、指を丸くして弾くよ。こんな風に。」
先生は自分の左手の、人差し指から小指の骨が出ているところを指さした。
「早速、曲を弾いてみましょう。」
もう曲?無理じゃないかな。
♪ドレミ、ドレミ、ソミレドレミレ♪
聞いたことある曲を先生が弾いてくれた。
「チューリップよ。ドレミ、ドレミ、ソミレドレミレ。」
声もキレイだね。
「親指が1番、人差し指が2番、中指が3番、薬指が4番、小指が5番よ。ドレミ、ドレミ、ソミレドレミレだから、123、123、5321232。」
難しいぞ。
「これが楽譜よ。五線譜っていって、音符が線の間から線の上に上がると、音階も1つ上がるのよ。これがド、こっちがレ。これが、ドレミ、ドレミ、ソミレドレミレ。下に指の番号が振ってあるから、番号の通りに弾いてみて。こんな感じよ。♪ドレミ、ドレミ、ソミレドレミレ♪」
とりあえず、やってみた。♪ドレミ、ドレミ、ソ♪あれ次なんだっけ。
「そう、上手。ソの次はミレドレミレ。何回かやってごらん。」
♪ドレミ、ドレミ、ソミ♪もう一回。♪ドレミ、ドレミ、ソミド♪
あれ、なんか違うな。
「惜しいわ、もう一回。」
♪ドレミ、ドレミ、ソミレド♪再チャレンジ。♪ドレミ、ドレミ、ソミレドレミレ♪できた。
「そう、すごいわ。大夢くんは覚えが早いのね。」
先生、めちゃ褒めてくれるな。
「今度は続きよ。♪ドレミ、ドレミ、ソミレドレミド♪」
♪ドレミ、ドレミ、ソミレドレミレ♪あれ、さっきのになっちゃった。
「惜しいわ。最後のレがドよ。」
♪ドレミ、ドレミ、ソミレドレミド♪お、意外とできた。
「すごいすごい。いいわね。最後のフレーズよ。♪ソソミソララソ♪今度はソを4番の指で弾くよ。4424、554の順番よ。♪ソソミソララソ♪こんなふうに。ゆっくりでいいから弾いてみて。」
♪ソソミ♪、次なんだっけ。もう一回ソか。難しいな。♪ソソミソ♪途中まではできた。
「そう、いいわよ。」
♪ソソミソララ♪薬指で弾くの難しいな。♪ソソミソララソ♪かなりゆっくりだけど、なんとかできた。
「そう、できたね。もう一回お願いね。」
♪ソソミソララソ♪お、できた。♪ソソミソララソ♪、♪ソソミソララソ♪できた。できた。
「すごい、もうできるようになったのね。最後は、♪ミミレレド♪」
♪ミミレレド♪これは簡単だ。
「全部できたね。そうしたら、通してやってみようか。まずは先生が弾くね。
♪ドレミ、ドレミ、ソミレドレミレ。ドレミ、ドレミ、ソミレドレミド、ソソミソララソ、ミミレレド♪」
長いな。ぼくもトライ。何回も何回もやって、やっと全部弾けるようになった。こんなに難しいなんて。びっくりだ。サッカーのシュートを何回も何回も練習をするのと感じと同じなのかな。
「右手はばっちりね。20分でできるようになるなんて、さすが大夢くん。覚えが早いわ。さて、今度は左手ね。」
左手?嘘でしょ。右手だけかと思ったら、左手もあるのか。もう疲れたよ。楽譜、全然覚えられないし。
「さ、最初は左手のドとソよ。左手は楽譜の下の段なんだけど、左手はヘ音記号なの。右手のラの位置が左手のドになるのよ。この鍵盤よ。左手のドは5番の指、小指で弾いてね。」
訳が分からない。右手のラが左手のド?5番の指だけど、小指?もうできる気がしない。その後は、苦戦しまくって、左手のドとソを同時に弾きつつ、右手でドレミ、を弾くのがやっとできた。ものすごく時間がかかった。もう疲れた。ピアノ向いてないかもしれない。
「今日の体験レッスンは以上になります。ありがとうございました。」
先生がにっこりしている。ぼくはげっそりしている。
「ありがとうございました。」
ぼくは何とかお礼をした。
「先生、ありがとうございました。」
ぼくのお母さんもお礼を言った。その後、先生とお母さんがお話をして、家に帰った。先生とお母さんに習い始めるか問われたけど、「考えておきます。」って伝えた。正直ぼくにできる気がしない。
家に帰って、お母さんは
「やりたかったらやったらいいよ。無理にやらなくていいよ。」
って、言っていた。
「うーん、今はいいかな。」
これからもやりたいと思わないと思うけど。
「つまらなかった?」
お母さんが少し悲しそう。
「うーん、つまらないというか、楽しくないというか、わくわくしないというか。あずさちゃんとあずさちゃんのお母さんが、せっかく誘ってくれたんだけど。」
「そうなのね。また、膝が良くなって普通に歩けるようになってから、考え直してもいいしね。でも、大夢の気持ちが一番大切だから。無理にやらなくていいのよ。お母さん、先生に連絡しておくね。」
「あずさちゃんたちには謝っておくよ。」
ぼくにとってピアノは、サッカーみたいに楽しくてわくわくして、嬉しくて、キラキラして、気持ちがぱっと晴れるようなものではなかったな。ごめんね、あずさちゃん。
「大夢、2時から体験レッスンだからね。お昼食べて少し休んだら行くよ。叶翔はお父さんとお留守番ね。」
「はーい。」
ぼくたち兄弟はゲームをして、お昼食べた。ぼくだけ、お母さんとピアノ教室に向かった。
「こんにちは。お待ちしておりました。本田と申します。本日は、ご体験ありがとうございます。」
お上品な話し方だな。女の先生。教室の前で待っていてくれたみたい。
「小松原と申します。よろしくお願いします。」
お母さんが挨拶をした。
「小松原大夢です。よろしくお願いします。」
ぼくも挨拶しないとね。
「大夢くん、今日は体験ありがとう。お膝は大丈夫?」
「はい、歩けないけど、大丈夫です。」
「それは良かった。レッスン室にイスがあるけど、車いすのままでも大丈夫だからね。車いすのまま入れるから。」
「ありがとうございます。」
お母さんに車いすを押してもらって、中に入った。大きなお部屋。大きなピアノがある。2台もある。お母さんは後ろで見ている。
「では、早速レッスンを始めますね。よろしくお願いします。」
「お願いします。」
「これが、ドレミのドよ。お隣がレ。学校で習ったかしら?」
「習いましたが忘れました。」
正直に言った。
「ふふ。じゃあ、早速右手で弾いてみましょう。親指でド、ドレミファソを弾いてみましょう。♪ドレミファソ♪こんな感じ。」
先生がお手本を見せてくれた。ぼくもやってみた。♪ドレミファソ♪
「そうそう、上手よ。弾くときは、ここの骨を立てて、指を丸くして弾くよ。こんな風に。」
先生は自分の左手の、人差し指から小指の骨が出ているところを指さした。
「早速、曲を弾いてみましょう。」
もう曲?無理じゃないかな。
♪ドレミ、ドレミ、ソミレドレミレ♪
聞いたことある曲を先生が弾いてくれた。
「チューリップよ。ドレミ、ドレミ、ソミレドレミレ。」
声もキレイだね。
「親指が1番、人差し指が2番、中指が3番、薬指が4番、小指が5番よ。ドレミ、ドレミ、ソミレドレミレだから、123、123、5321232。」
難しいぞ。
「これが楽譜よ。五線譜っていって、音符が線の間から線の上に上がると、音階も1つ上がるのよ。これがド、こっちがレ。これが、ドレミ、ドレミ、ソミレドレミレ。下に指の番号が振ってあるから、番号の通りに弾いてみて。こんな感じよ。♪ドレミ、ドレミ、ソミレドレミレ♪」
とりあえず、やってみた。♪ドレミ、ドレミ、ソ♪あれ次なんだっけ。
「そう、上手。ソの次はミレドレミレ。何回かやってごらん。」
♪ドレミ、ドレミ、ソミ♪もう一回。♪ドレミ、ドレミ、ソミド♪
あれ、なんか違うな。
「惜しいわ、もう一回。」
♪ドレミ、ドレミ、ソミレド♪再チャレンジ。♪ドレミ、ドレミ、ソミレドレミレ♪できた。
「そう、すごいわ。大夢くんは覚えが早いのね。」
先生、めちゃ褒めてくれるな。
「今度は続きよ。♪ドレミ、ドレミ、ソミレドレミド♪」
♪ドレミ、ドレミ、ソミレドレミレ♪あれ、さっきのになっちゃった。
「惜しいわ。最後のレがドよ。」
♪ドレミ、ドレミ、ソミレドレミド♪お、意外とできた。
「すごいすごい。いいわね。最後のフレーズよ。♪ソソミソララソ♪今度はソを4番の指で弾くよ。4424、554の順番よ。♪ソソミソララソ♪こんなふうに。ゆっくりでいいから弾いてみて。」
♪ソソミ♪、次なんだっけ。もう一回ソか。難しいな。♪ソソミソ♪途中まではできた。
「そう、いいわよ。」
♪ソソミソララ♪薬指で弾くの難しいな。♪ソソミソララソ♪かなりゆっくりだけど、なんとかできた。
「そう、できたね。もう一回お願いね。」
♪ソソミソララソ♪お、できた。♪ソソミソララソ♪、♪ソソミソララソ♪できた。できた。
「すごい、もうできるようになったのね。最後は、♪ミミレレド♪」
♪ミミレレド♪これは簡単だ。
「全部できたね。そうしたら、通してやってみようか。まずは先生が弾くね。
♪ドレミ、ドレミ、ソミレドレミレ。ドレミ、ドレミ、ソミレドレミド、ソソミソララソ、ミミレレド♪」
長いな。ぼくもトライ。何回も何回もやって、やっと全部弾けるようになった。こんなに難しいなんて。びっくりだ。サッカーのシュートを何回も何回も練習をするのと感じと同じなのかな。
「右手はばっちりね。20分でできるようになるなんて、さすが大夢くん。覚えが早いわ。さて、今度は左手ね。」
左手?嘘でしょ。右手だけかと思ったら、左手もあるのか。もう疲れたよ。楽譜、全然覚えられないし。
「さ、最初は左手のドとソよ。左手は楽譜の下の段なんだけど、左手はヘ音記号なの。右手のラの位置が左手のドになるのよ。この鍵盤よ。左手のドは5番の指、小指で弾いてね。」
訳が分からない。右手のラが左手のド?5番の指だけど、小指?もうできる気がしない。その後は、苦戦しまくって、左手のドとソを同時に弾きつつ、右手でドレミ、を弾くのがやっとできた。ものすごく時間がかかった。もう疲れた。ピアノ向いてないかもしれない。
「今日の体験レッスンは以上になります。ありがとうございました。」
先生がにっこりしている。ぼくはげっそりしている。
「ありがとうございました。」
ぼくは何とかお礼をした。
「先生、ありがとうございました。」
ぼくのお母さんもお礼を言った。その後、先生とお母さんがお話をして、家に帰った。先生とお母さんに習い始めるか問われたけど、「考えておきます。」って伝えた。正直ぼくにできる気がしない。
家に帰って、お母さんは
「やりたかったらやったらいいよ。無理にやらなくていいよ。」
って、言っていた。
「うーん、今はいいかな。」
これからもやりたいと思わないと思うけど。
「つまらなかった?」
お母さんが少し悲しそう。
「うーん、つまらないというか、楽しくないというか、わくわくしないというか。あずさちゃんとあずさちゃんのお母さんが、せっかく誘ってくれたんだけど。」
「そうなのね。また、膝が良くなって普通に歩けるようになってから、考え直してもいいしね。でも、大夢の気持ちが一番大切だから。無理にやらなくていいのよ。お母さん、先生に連絡しておくね。」
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ぼくにとってピアノは、サッカーみたいに楽しくてわくわくして、嬉しくて、キラキラして、気持ちがぱっと晴れるようなものではなかったな。ごめんね、あずさちゃん。
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