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ギルド
スライム設置完了
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水色スライムが一匹入った捕獲袋をよいしょと背負って、腕にはもう一匹のスライムを抱っこしてオスカーさんとの待ち合わせ場所へと急いだ。
大きな体には小さく見える捕獲袋を持ったオスカーさんが、草原にポツンと立っている。
「すみません、オスカーさん。遅くなりました」
「ああ、無事に捕まえられ…………」
なんだろう? オスカーさんはぼくの腕の中のスライムを見た途端ピシッと動きを止めてパチリパチリと瞬きを繰り返した。
「どうしました?」
ちゃんと水色のスライムを捕まえてきたんだけど? この子は他のスライムと比べて色がキレイで形もかっこいいでしょ。
「いや。陽光のせいかな……スライムの縁がキラキラしたような気がしたんだ」
ハハハと力なく笑うオスカーさんに、ぼくは首を傾げた。
うん? そういえば最初に見たとき、この子の体の周りが金色にキラキラしていたような……?
「そんなわけはないだろう。こんなところにレアスライムがいるはずもないし。見間違いだな……」
「何か言いました?」
オスカーさんがぼくの腕の中のスライムを凝視してブツブツ小声で何かを呟いたけど、聞こえなかった。
「いや。じゃあ帰ろうか。途中で肉屋にホーンラビットを捌いてもらおう」
オスカーさんの足元には血抜きまで済ませたホーンラビットが三匹、両足を縄で括られて転がっている。
「今日はお肉ですね!」
「ああ。焼いてもらって、煮込みもいいな」
ぼくはシチューもいいと思います!
腕の中のスライムも期待してビシッと触手を上に突き上げた。
帰りは歩いて町の防御壁の門を潜って、町の中心地に広がっている市場を覗き、お肉屋さんでホーンラビットのお肉を売って、自分たちのお肉はこれまた定食屋のおばちゃんに頼んで調理してもらった。
お肉やお魚を持ち込んで調理してもらう人は結構いるんだって。
主に独身の男性が……と思ったら女性も利用しているとか。
おどろおどろしいお屋敷に帰ってくる頃には、すっかり日が傾いてしまっていた。
オスカーさんと一緒に裏庭へ回り、捕獲袋から捕まえたスライムたちを出していく。
「うん。ゴミを処理するスライムはとりあえずここの草を食べてキレイにしてもらって、水色スライムはトイレと浄化槽だな」
オスカーさんが捕まえた茶色のスライムと水色スライムは、気のせいかぼくの腕の中に鎮座するスライムを見ている気がします。
そして、プルプルと震えているのは……なんで?
ぼくが捕まえた水色スライムは、そんな二匹とは少し距離を置いてしらーっとしている……気がする。
「あっ」
捕まえたスライムたちを観察していたら、腕の中からスライムがぴょんと飛び降りて、みょんと伸ばした触手でビシバシと二匹のスライムを叩きだした。
「わ、わあああっ」
ど、どうしよう? スライム同士って仲が悪いのかな?
「なんだ? どうしたんだ?」
いや、冒険者としてスライムと何度も対峙したことのあるオスカーさんも動揺しているということは、珍しい状況なんだ。
ぼくたちが突然のことにオロオロしているうちに、茶色のスライムはズルズルと動き出し裏庭にびっしりと生えている雑草をモソモソと食べだした。
「あれ?」
水色スライムもズルズルと這い出すように動き出し、浄化槽へと向かっているようだ。
オスカーさんが慌てて走り出し浄化槽の蓋を開ける。
ポチャン。
え? スライムが自主的に仕事を始めたような気がするんだけど、こういうものなの?
眉間にシワを寄せたオスカーさんがこちらに戻ってくると、水色のスライムを掴みあげた。
「こいつにはトイレを頼もう。それで……アレはどうする?」
アレって、ぼくが最初に捕まえた水色スライムのことだよね?
「トイレか浄化槽じゃないんですか?」
「そうなんだが……」
ああ……喧嘩っ早いから他のスライムと一緒にするのは危険なのかな?
ぼくはしゃがんでスライムと目を合わせて話をする……目がどこにあるかわからないけど、気分です。
「ねぇ。君はどこをキレイにしてくれる?」
夕日に照らされたスライムは、やっぱり縁が金色にキラキラと輝いて見える。
ぼくの言葉にプルンと震えたあと、ぴょんぴょんと軽快に跳ねて浄化槽へと向かった。
「オスカーさん。あの子には浄化槽の掃除をお願いします!」
「ああ……そうか……。え? スライムと意思疎通できるのか? いや、そんなバカな……」
なんか後半ブツブツと口の中で何かを呟きながら、オスカーさんは再び浄化槽の蓋を開けて、スライムを放り込んだ。
ポチャン。
よし! これで汚水とゴミの問題はひとまず解決だっ!
ぼくたちは裏戸から屋敷に入って、なるべく部屋の中を見ないようにして階段を上がり、広い部屋に設置されたテントの中へゴソゴソと入りこんだのだった。
市場で買ってきた丸パンとお芋と葉野菜のサラダ、スープには大きなソーセージが入っている。
オスカーさんは赤ワインをグラス一杯、ぼくはお水。
そして、狩りたてほやほやのホーンラビットのトマト煮込みと串焼きを並べて、いただきます。
「おいしいです!」
お肉柔らかい! トマトの酸味と玉ねぎの甘味が口いっぱいに広がって肉汁がじゅわとくる。
スープの優しいコンソメ味が口の中をリセットしてくれるし、サラダにかかっているレモン風味のドレッシングも美味しい。
「……食べながら聞いてほしい。クルト、実は……」
オスカーさんが食事の手を止めて、難しい顔で話始めた。
「え? ぼく一人でお留守番ですか?」
大きな体には小さく見える捕獲袋を持ったオスカーさんが、草原にポツンと立っている。
「すみません、オスカーさん。遅くなりました」
「ああ、無事に捕まえられ…………」
なんだろう? オスカーさんはぼくの腕の中のスライムを見た途端ピシッと動きを止めてパチリパチリと瞬きを繰り返した。
「どうしました?」
ちゃんと水色のスライムを捕まえてきたんだけど? この子は他のスライムと比べて色がキレイで形もかっこいいでしょ。
「いや。陽光のせいかな……スライムの縁がキラキラしたような気がしたんだ」
ハハハと力なく笑うオスカーさんに、ぼくは首を傾げた。
うん? そういえば最初に見たとき、この子の体の周りが金色にキラキラしていたような……?
「そんなわけはないだろう。こんなところにレアスライムがいるはずもないし。見間違いだな……」
「何か言いました?」
オスカーさんがぼくの腕の中のスライムを凝視してブツブツ小声で何かを呟いたけど、聞こえなかった。
「いや。じゃあ帰ろうか。途中で肉屋にホーンラビットを捌いてもらおう」
オスカーさんの足元には血抜きまで済ませたホーンラビットが三匹、両足を縄で括られて転がっている。
「今日はお肉ですね!」
「ああ。焼いてもらって、煮込みもいいな」
ぼくはシチューもいいと思います!
腕の中のスライムも期待してビシッと触手を上に突き上げた。
帰りは歩いて町の防御壁の門を潜って、町の中心地に広がっている市場を覗き、お肉屋さんでホーンラビットのお肉を売って、自分たちのお肉はこれまた定食屋のおばちゃんに頼んで調理してもらった。
お肉やお魚を持ち込んで調理してもらう人は結構いるんだって。
主に独身の男性が……と思ったら女性も利用しているとか。
おどろおどろしいお屋敷に帰ってくる頃には、すっかり日が傾いてしまっていた。
オスカーさんと一緒に裏庭へ回り、捕獲袋から捕まえたスライムたちを出していく。
「うん。ゴミを処理するスライムはとりあえずここの草を食べてキレイにしてもらって、水色スライムはトイレと浄化槽だな」
オスカーさんが捕まえた茶色のスライムと水色スライムは、気のせいかぼくの腕の中に鎮座するスライムを見ている気がします。
そして、プルプルと震えているのは……なんで?
ぼくが捕まえた水色スライムは、そんな二匹とは少し距離を置いてしらーっとしている……気がする。
「あっ」
捕まえたスライムたちを観察していたら、腕の中からスライムがぴょんと飛び降りて、みょんと伸ばした触手でビシバシと二匹のスライムを叩きだした。
「わ、わあああっ」
ど、どうしよう? スライム同士って仲が悪いのかな?
「なんだ? どうしたんだ?」
いや、冒険者としてスライムと何度も対峙したことのあるオスカーさんも動揺しているということは、珍しい状況なんだ。
ぼくたちが突然のことにオロオロしているうちに、茶色のスライムはズルズルと動き出し裏庭にびっしりと生えている雑草をモソモソと食べだした。
「あれ?」
水色スライムもズルズルと這い出すように動き出し、浄化槽へと向かっているようだ。
オスカーさんが慌てて走り出し浄化槽の蓋を開ける。
ポチャン。
え? スライムが自主的に仕事を始めたような気がするんだけど、こういうものなの?
眉間にシワを寄せたオスカーさんがこちらに戻ってくると、水色のスライムを掴みあげた。
「こいつにはトイレを頼もう。それで……アレはどうする?」
アレって、ぼくが最初に捕まえた水色スライムのことだよね?
「トイレか浄化槽じゃないんですか?」
「そうなんだが……」
ああ……喧嘩っ早いから他のスライムと一緒にするのは危険なのかな?
ぼくはしゃがんでスライムと目を合わせて話をする……目がどこにあるかわからないけど、気分です。
「ねぇ。君はどこをキレイにしてくれる?」
夕日に照らされたスライムは、やっぱり縁が金色にキラキラと輝いて見える。
ぼくの言葉にプルンと震えたあと、ぴょんぴょんと軽快に跳ねて浄化槽へと向かった。
「オスカーさん。あの子には浄化槽の掃除をお願いします!」
「ああ……そうか……。え? スライムと意思疎通できるのか? いや、そんなバカな……」
なんか後半ブツブツと口の中で何かを呟きながら、オスカーさんは再び浄化槽の蓋を開けて、スライムを放り込んだ。
ポチャン。
よし! これで汚水とゴミの問題はひとまず解決だっ!
ぼくたちは裏戸から屋敷に入って、なるべく部屋の中を見ないようにして階段を上がり、広い部屋に設置されたテントの中へゴソゴソと入りこんだのだった。
市場で買ってきた丸パンとお芋と葉野菜のサラダ、スープには大きなソーセージが入っている。
オスカーさんは赤ワインをグラス一杯、ぼくはお水。
そして、狩りたてほやほやのホーンラビットのトマト煮込みと串焼きを並べて、いただきます。
「おいしいです!」
お肉柔らかい! トマトの酸味と玉ねぎの甘味が口いっぱいに広がって肉汁がじゅわとくる。
スープの優しいコンソメ味が口の中をリセットしてくれるし、サラダにかかっているレモン風味のドレッシングも美味しい。
「……食べながら聞いてほしい。クルト、実は……」
オスカーさんが食事の手を止めて、難しい顔で話始めた。
「え? ぼく一人でお留守番ですか?」
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