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ギルド
変ったスライム
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ぼくは目の前に広がる草原を見つめ、ふうーっと深く息を吐いた。
スライム探しで中腰の姿勢が続いてたからちょっと腰が痛い。
トントンと軽く腰を拳で叩いて、左右をキョロキョロと見回す。
「……いない」
無闇に棒を振り回したせいか、ぼくの周りにはスライムの気配が全くしない。
あれからオスカーさんは薄茶のスライムを一匹と水色のスライムを一匹捕獲していて、今は肉屋に持っていくホーンラビットを狩りに林の中へ行っている。
ぼくに課せられたノルマは水色のスライムを最低でも二匹なんだけど……探しても探しても出てこない!
「倒しているときはいっぱいいたのに」
危険なのであまりウロウロしないようにオスカーさんから注意されてるから、あまり奥に探しに行くわけにもいかないし。
顔を下に向けて、右手に持った棒で足元の草を左右に分けながら歩き回ると、ぽっかりと円形に開けた場所にでた。
「なんだ、これ?」
草が踏みしめられて円く、おおよそ屋台一つ分のスペースができている。
でも、踏み固められた草の色はまだ緑色をしていて、昨日、一昨日で踏まれた草ではなさそうだけど、この辺にいるのはぼくとオスカーさんだけだ。
もちろん、ぼくは踏んでいない。
「オスカーさんがいるのは反対方向だし」
ぼくたちが気づかないうちに、誰かがこの場所に来たんだろうが?
なんとなく左右を見回してみると、ポツンとスライムが草の影からぼくを見ていた。
ブルルル。
しっかりしろ、クルト!
魔物の中で最弱で、知能がないスライムがぼくをこっそり覗くことなんてしない。
ぼくは、右手に握った棒を強く握ってそろそろとそのスライムに近づいていった。
「ん?」
このスライム……ちょっと他のスライムと違う?
お昼近い太陽の強い日差しに照らされてスライムの縁がキラキラと輝いて見えて、ぐんにゃりとしたフォルムではなくピンと張りのある雫型。
色も水色だけど、他のスライムよりも透明度があるような?
「きみ……かっこいいな」
プルンとした体が、ぼくの言葉が聞こえたのかブルルと揺れ動いた。
じーっと見つめ合っている……気がする。
ぼくはその場にしゃがみこみ、スライムと目を合わしたまま言葉をかける。
「ねぇ。ぼくの家に来てくれないかな? スライムがいなくて困っているんだ。水色のスライムを二匹欲しいんだよ」
プルプル。
やっぱり、このスライムは他のスライムと違う気がする。
だって、まるでぼくの言葉がわかるようなリアクションをするんだもん。
「ほら、この袋の中に入ってくれないかな?」
ガバッと捕獲袋の口を大きく開けてスライムの方向へ向けてみせる。
ベシッ。
軽い音とともに袋がぼくの手から離れてポトリと落ちる。
スライムの体の側面から細い触手のような突起ができて、袋を叩き落としていた。
「え?」
スライムって……触手あったけ?
それよりも……。
「……だめか……」
がっくりと膝を付けて項垂れてしまうぼく。
そのスライムは捕獲袋を避けてぼくの側にぽよんぽよん跳ねて近づき、ポンポンとぼくの膝を触手もどきで軽く叩いてみせた。
もしかして、慰められている?
スライムは触手をみょんと伸ばして捕獲袋を指したあと、ブンブンと左右に大きく振って意思表示をする。
つまり……。
「ぼくと一緒に行くのはオーケーで、袋に入るのがイヤってこと?」
首を傾げながら推測を言葉にしてみると、スライムは嬉しそうにポンッとひとつ飛び跳ねた。
「…………」
あれ? このスライム、やっぱり他のスライムとは違う気がするんだけど……お屋敷に連れて行っても大丈夫かな?
戸惑うぼくの顔をじーっと下から見つめるスライム。
「うん。ありがとう」
細かいことは気にしないことにして、スライムを両手で優しく抱き上げる。
「さて、あともう一匹スライムが見つかるといいんだけど」
ぼくとオスカーさんだけなら、この子だけでも間に合うんだけどなぁ……でもあのお屋敷は広いから。
ぼくの腕の中にいたスライムがぴょーんと腕から抜け出して、ぽよんぽよんと草むらの中へ入りこんでいく。
「あ、ちょっと! 待って、待ってよー」
慌ててスライムを追い駆けたぼくが見たのは、あのスライムがもう一匹の水色スライムの天辺をビシバシと例の触手でぶっ叩いているところだった。
「……なにしてるの?」
これは同族争いなのか? 魔物によるマウント争いなんだろうか? この戦いで水色スライムのボスが決まるとか?
思わずスライム同士の可愛い戦いに見入っていると、クルリとスライムが振り返って触手を左右から天に向かって突き出した。
勝利のポーズかな?
もう一匹の水色スライムは、さっきまでぼくが叩いて倒していたスライムと同じく、淡い水色でぐんにゃりとした体躯をしている。
「この子もぼくの家に来てくれるの?」
ぼくの質問に、ぽよんと跳ねるスライム。
ふむ……、ぼくはもう一度捕獲袋を出して口を大きく開いてみせる。
ズルズルと這って移動してくる水色スライム。
あ、この子は捕獲袋に入ってくれるんだね。
ぼくがスライムの体を掴んで捕獲袋に入れようとしたら、先に出会ったスライムが触手を出してベシベシとスライムのお尻? を叩いて急かして袋に詰め込んでしまった。
ふうーっ、これで目標達成! かな?
スライム探しで中腰の姿勢が続いてたからちょっと腰が痛い。
トントンと軽く腰を拳で叩いて、左右をキョロキョロと見回す。
「……いない」
無闇に棒を振り回したせいか、ぼくの周りにはスライムの気配が全くしない。
あれからオスカーさんは薄茶のスライムを一匹と水色のスライムを一匹捕獲していて、今は肉屋に持っていくホーンラビットを狩りに林の中へ行っている。
ぼくに課せられたノルマは水色のスライムを最低でも二匹なんだけど……探しても探しても出てこない!
「倒しているときはいっぱいいたのに」
危険なのであまりウロウロしないようにオスカーさんから注意されてるから、あまり奥に探しに行くわけにもいかないし。
顔を下に向けて、右手に持った棒で足元の草を左右に分けながら歩き回ると、ぽっかりと円形に開けた場所にでた。
「なんだ、これ?」
草が踏みしめられて円く、おおよそ屋台一つ分のスペースができている。
でも、踏み固められた草の色はまだ緑色をしていて、昨日、一昨日で踏まれた草ではなさそうだけど、この辺にいるのはぼくとオスカーさんだけだ。
もちろん、ぼくは踏んでいない。
「オスカーさんがいるのは反対方向だし」
ぼくたちが気づかないうちに、誰かがこの場所に来たんだろうが?
なんとなく左右を見回してみると、ポツンとスライムが草の影からぼくを見ていた。
ブルルル。
しっかりしろ、クルト!
魔物の中で最弱で、知能がないスライムがぼくをこっそり覗くことなんてしない。
ぼくは、右手に握った棒を強く握ってそろそろとそのスライムに近づいていった。
「ん?」
このスライム……ちょっと他のスライムと違う?
お昼近い太陽の強い日差しに照らされてスライムの縁がキラキラと輝いて見えて、ぐんにゃりとしたフォルムではなくピンと張りのある雫型。
色も水色だけど、他のスライムよりも透明度があるような?
「きみ……かっこいいな」
プルンとした体が、ぼくの言葉が聞こえたのかブルルと揺れ動いた。
じーっと見つめ合っている……気がする。
ぼくはその場にしゃがみこみ、スライムと目を合わしたまま言葉をかける。
「ねぇ。ぼくの家に来てくれないかな? スライムがいなくて困っているんだ。水色のスライムを二匹欲しいんだよ」
プルプル。
やっぱり、このスライムは他のスライムと違う気がする。
だって、まるでぼくの言葉がわかるようなリアクションをするんだもん。
「ほら、この袋の中に入ってくれないかな?」
ガバッと捕獲袋の口を大きく開けてスライムの方向へ向けてみせる。
ベシッ。
軽い音とともに袋がぼくの手から離れてポトリと落ちる。
スライムの体の側面から細い触手のような突起ができて、袋を叩き落としていた。
「え?」
スライムって……触手あったけ?
それよりも……。
「……だめか……」
がっくりと膝を付けて項垂れてしまうぼく。
そのスライムは捕獲袋を避けてぼくの側にぽよんぽよん跳ねて近づき、ポンポンとぼくの膝を触手もどきで軽く叩いてみせた。
もしかして、慰められている?
スライムは触手をみょんと伸ばして捕獲袋を指したあと、ブンブンと左右に大きく振って意思表示をする。
つまり……。
「ぼくと一緒に行くのはオーケーで、袋に入るのがイヤってこと?」
首を傾げながら推測を言葉にしてみると、スライムは嬉しそうにポンッとひとつ飛び跳ねた。
「…………」
あれ? このスライム、やっぱり他のスライムとは違う気がするんだけど……お屋敷に連れて行っても大丈夫かな?
戸惑うぼくの顔をじーっと下から見つめるスライム。
「うん。ありがとう」
細かいことは気にしないことにして、スライムを両手で優しく抱き上げる。
「さて、あともう一匹スライムが見つかるといいんだけど」
ぼくとオスカーさんだけなら、この子だけでも間に合うんだけどなぁ……でもあのお屋敷は広いから。
ぼくの腕の中にいたスライムがぴょーんと腕から抜け出して、ぽよんぽよんと草むらの中へ入りこんでいく。
「あ、ちょっと! 待って、待ってよー」
慌ててスライムを追い駆けたぼくが見たのは、あのスライムがもう一匹の水色スライムの天辺をビシバシと例の触手でぶっ叩いているところだった。
「……なにしてるの?」
これは同族争いなのか? 魔物によるマウント争いなんだろうか? この戦いで水色スライムのボスが決まるとか?
思わずスライム同士の可愛い戦いに見入っていると、クルリとスライムが振り返って触手を左右から天に向かって突き出した。
勝利のポーズかな?
もう一匹の水色スライムは、さっきまでぼくが叩いて倒していたスライムと同じく、淡い水色でぐんにゃりとした体躯をしている。
「この子もぼくの家に来てくれるの?」
ぼくの質問に、ぽよんと跳ねるスライム。
ふむ……、ぼくはもう一度捕獲袋を出して口を大きく開いてみせる。
ズルズルと這って移動してくる水色スライム。
あ、この子は捕獲袋に入ってくれるんだね。
ぼくがスライムの体を掴んで捕獲袋に入れようとしたら、先に出会ったスライムが触手を出してベシベシとスライムのお尻? を叩いて急かして袋に詰め込んでしまった。
ふうーっ、これで目標達成! かな?
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