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ギルド
二つのスキル
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ぼくの新しい相棒、スライムのレオと一緒にキッチンの掃除をするぞーっと意気込んでみたけど、すぐに問題にぶつかってしまった。
ぼくは口を開けて天井を仰ぎ見ている。
床は汚いし、魔道コンロの周りや換気扇は古い油汚れがこびりついていたし、シンクは水垢がいっぱいだ。
壁にシミは付いているし、テーブルと椅子はガタガタとするし、はっきり言ってキレイにすることができるのか自信はない。
でも、ぼくなりに頑張ってお掃除をしてオスカーさんに認めてもらいたいんだ!
という気持ちもしおしおと萎れていくよ。
「天井は……届かないなぁ」
そう、ぼくみたいなチビでは、椅子に乗っても棚に登っても、箒を手に腕を伸ばしても天井には届かないのだ。
「でも、蜘蛛の巣がいっぱい」
見なかったことにしたいけど、それも無理なほど天井のあちこちには主のいない蜘蛛の巣がある。
「レオ……あれ、キレイにできる?」
試しにレオを壁際に放ってみるが、ズルズルと壁を登ってはずり落ちていく、かわいいぼくの相棒。
ぼくはしゅんと落ち込んでいるように見えるレオを慌てて回収して、溜息を吐く。
「うーん、埃を落としてから棚やテーブルを拭いて、油汚れを洗ってシンクを磨いて、最後に床をモップでキレイにしようと思ってたんだけど。いくらキレイにしても天井から蜘蛛の巣が落ちてきたら台無し……」
ぼくはレオを両手で抱えて天井を恨めし気に見上げる。
そよそよと風に揺れる忌々しい蜘蛛の巣。
「いっそのこと強風で蜘蛛の巣がバラバラになってしまえばいいのに」
そうすれば、落ちてきた蜘蛛の巣の残骸を掃き清めれば終わりなのに。
ん?
ぼくの目の前に半透明な画面が「シュン」と現れた。
「なに? これ」
そこには、ぼくの名前と年齢、そしてあまり嬉しくないぼくのスキルが正しく書かれていた。
「器用貧乏と……異世界レシピ」
そう、オスカーさんにゴブリンから助けられたぼくが運ばれた治療院、そこで受けたスキル判定では誰も見えなかったぼくのもう一つのスキル『異世界レシピ』。
その『異世界レシピ』がピコピコと点滅しているんだけど、これ……どうしたらいいの?
「さ、触ってみようか?」
つい、不安な気持ちからレオに聞いてみたけど、レオはみょーんと体を傾げてみせるだけ。
ちょんと、ぼくは人差し指で『異世界レシピ』の箇所に触れてみた。
途端、『異世界レシピ』の上に新しい画面が「シュン」と飛び出てきた!
「な、なんだろう?」
なんか、書いてあるね? ふむふむ。
「えっと、器用貧乏と異世界レシピを同期させますか? 同期ってなに? これ……どうしたらいいの?」
『異世界レシピ』は、ここではないどこかの世界のレシピを閲覧することができるスキル……ってなに?
レベルがアップしていくと、閲覧できるレシピもグレードアップするって……レベルってなに?
あれかな? 剣術や水魔法とかの初級、中級、上級みたいなランクのことなのかな?
ぼくが意味不明なことに恐れ慄いて目を見開いたまま固まっていたら、レオから触手がにょんと出てきて『異世界レシピ』と『器用貧乏』を同期させますか? [YES or NO]のYESをバシンと叩いた。
「えーっ! ちょ、ちょっとレオ、何やってんのーっ!」
でも、無情にも画面には「了解しました」と表示され、「シュン」「シュン」と出ていた画面が二つとも消えてしまった。
「え? これってどうなったの? ぼくのスキル、どうなったの?」
あまりの動揺に、腕に抱えたレオが真っ二つになるほどの力でギュウと抱きしめていた。
もうちょっとでレオが分裂してしまうところだったよ。
「さて、レオ。とにかくスキルを試してみようと思います」
レオをぼくの顔の位置にまで抱え上げて、視線を合わせるつもりで話かける。
とにかく、『器用貧乏』と未知のスキル『異世界レシピ』がどうにかなっているはずだから、ぼくはそのスキルを使ってみるしかない!
どうやって使うのかわからないけど、閲覧できる能力らしいし……。
レベルというのもよく理解できないけど、たぶん修練度とか習得度のことだと思う。
『剣術』スキルや『属性魔法』スキルを得た人も、その力を使って使って、使い熟すことが必要だという。
そうして、称号として『剣士』とか『剣聖』や『魔法士』『魔導士』を得られる実力がつくのだ。
ぼくの『器用貧乏』の場合はどんなに鍛錬しても平均までで、スキルのない人が鍛錬しても初級がいいとこ。
稀に平均ぐらいの実力を得られる人がいるけど、スキルを持っている人とは雲泥の差がある。
でも、ぼくは別にもの凄い冒険者になる野望は抱いていないし、オスカーさんにお世話になった分の恩返しができればいい。
「そのためにも、このギルドハウスをお化け屋敷から人が住める場所へバージョンアップさせなきゃ」
とにかく、キッチンで料理をして暖かくて美味しい食事を提供できて、清潔で快適な居場所を確保して、トイレとお風呂がストレスなく使える生活を目指して……。
「ぼくのスキルが役に立ちますように!」
ギュッと両目を強く瞑って大きな声で「天井を綺麗にしたい!」と叫んでみた。
<リクエスト>天井の掃除
【生活魔法・清潔】と【風魔法・バキューム】を併用
……「シュン」とまたまた目の前に小さな半透明な画面が出てきました。
ど、どうしよう?
ぼくは口を開けて天井を仰ぎ見ている。
床は汚いし、魔道コンロの周りや換気扇は古い油汚れがこびりついていたし、シンクは水垢がいっぱいだ。
壁にシミは付いているし、テーブルと椅子はガタガタとするし、はっきり言ってキレイにすることができるのか自信はない。
でも、ぼくなりに頑張ってお掃除をしてオスカーさんに認めてもらいたいんだ!
という気持ちもしおしおと萎れていくよ。
「天井は……届かないなぁ」
そう、ぼくみたいなチビでは、椅子に乗っても棚に登っても、箒を手に腕を伸ばしても天井には届かないのだ。
「でも、蜘蛛の巣がいっぱい」
見なかったことにしたいけど、それも無理なほど天井のあちこちには主のいない蜘蛛の巣がある。
「レオ……あれ、キレイにできる?」
試しにレオを壁際に放ってみるが、ズルズルと壁を登ってはずり落ちていく、かわいいぼくの相棒。
ぼくはしゅんと落ち込んでいるように見えるレオを慌てて回収して、溜息を吐く。
「うーん、埃を落としてから棚やテーブルを拭いて、油汚れを洗ってシンクを磨いて、最後に床をモップでキレイにしようと思ってたんだけど。いくらキレイにしても天井から蜘蛛の巣が落ちてきたら台無し……」
ぼくはレオを両手で抱えて天井を恨めし気に見上げる。
そよそよと風に揺れる忌々しい蜘蛛の巣。
「いっそのこと強風で蜘蛛の巣がバラバラになってしまえばいいのに」
そうすれば、落ちてきた蜘蛛の巣の残骸を掃き清めれば終わりなのに。
ん?
ぼくの目の前に半透明な画面が「シュン」と現れた。
「なに? これ」
そこには、ぼくの名前と年齢、そしてあまり嬉しくないぼくのスキルが正しく書かれていた。
「器用貧乏と……異世界レシピ」
そう、オスカーさんにゴブリンから助けられたぼくが運ばれた治療院、そこで受けたスキル判定では誰も見えなかったぼくのもう一つのスキル『異世界レシピ』。
その『異世界レシピ』がピコピコと点滅しているんだけど、これ……どうしたらいいの?
「さ、触ってみようか?」
つい、不安な気持ちからレオに聞いてみたけど、レオはみょーんと体を傾げてみせるだけ。
ちょんと、ぼくは人差し指で『異世界レシピ』の箇所に触れてみた。
途端、『異世界レシピ』の上に新しい画面が「シュン」と飛び出てきた!
「な、なんだろう?」
なんか、書いてあるね? ふむふむ。
「えっと、器用貧乏と異世界レシピを同期させますか? 同期ってなに? これ……どうしたらいいの?」
『異世界レシピ』は、ここではないどこかの世界のレシピを閲覧することができるスキル……ってなに?
レベルがアップしていくと、閲覧できるレシピもグレードアップするって……レベルってなに?
あれかな? 剣術や水魔法とかの初級、中級、上級みたいなランクのことなのかな?
ぼくが意味不明なことに恐れ慄いて目を見開いたまま固まっていたら、レオから触手がにょんと出てきて『異世界レシピ』と『器用貧乏』を同期させますか? [YES or NO]のYESをバシンと叩いた。
「えーっ! ちょ、ちょっとレオ、何やってんのーっ!」
でも、無情にも画面には「了解しました」と表示され、「シュン」「シュン」と出ていた画面が二つとも消えてしまった。
「え? これってどうなったの? ぼくのスキル、どうなったの?」
あまりの動揺に、腕に抱えたレオが真っ二つになるほどの力でギュウと抱きしめていた。
もうちょっとでレオが分裂してしまうところだったよ。
「さて、レオ。とにかくスキルを試してみようと思います」
レオをぼくの顔の位置にまで抱え上げて、視線を合わせるつもりで話かける。
とにかく、『器用貧乏』と未知のスキル『異世界レシピ』がどうにかなっているはずだから、ぼくはそのスキルを使ってみるしかない!
どうやって使うのかわからないけど、閲覧できる能力らしいし……。
レベルというのもよく理解できないけど、たぶん修練度とか習得度のことだと思う。
『剣術』スキルや『属性魔法』スキルを得た人も、その力を使って使って、使い熟すことが必要だという。
そうして、称号として『剣士』とか『剣聖』や『魔法士』『魔導士』を得られる実力がつくのだ。
ぼくの『器用貧乏』の場合はどんなに鍛錬しても平均までで、スキルのない人が鍛錬しても初級がいいとこ。
稀に平均ぐらいの実力を得られる人がいるけど、スキルを持っている人とは雲泥の差がある。
でも、ぼくは別にもの凄い冒険者になる野望は抱いていないし、オスカーさんにお世話になった分の恩返しができればいい。
「そのためにも、このギルドハウスをお化け屋敷から人が住める場所へバージョンアップさせなきゃ」
とにかく、キッチンで料理をして暖かくて美味しい食事を提供できて、清潔で快適な居場所を確保して、トイレとお風呂がストレスなく使える生活を目指して……。
「ぼくのスキルが役に立ちますように!」
ギュッと両目を強く瞑って大きな声で「天井を綺麗にしたい!」と叫んでみた。
<リクエスト>天井の掃除
【生活魔法・清潔】と【風魔法・バキューム】を併用
……「シュン」とまたまた目の前に小さな半透明な画面が出てきました。
ど、どうしよう?
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