41 / 85
初級ダンジョン 探索編
ダンジョン地下1階~2階
しおりを挟む
かなりの覚悟をしてえいやっと気合を入れ、初級ダンジョン「アインス・ゼーレ」に足を踏み入れたぼくたち「白い輪」ギルド。
でも……ダンジョン初心者のぼくには、とっても拍子抜けの状態です。
だって、ぞろぞろと大人数で広い洞窟みたいなダンジョン内を歩いているんですよ?
なに、この状態?
「だから言ったでしょう。初級ダンジョンは成りたて冒険者たちが押し寄せて挑戦するから、最初の階層はただ移動するだけなのよ」
ほら、とビアンカさんが指し示した場所には、スライムがポヨンポヨンと移動しているけど、誰も注目していない。
「スライム如きだとドロップアイテムも出ないから、みんな無視するのよ。それ以外にも地下三階までの魔獣はほとんどスルーするわね」
戦うだけ体力のムダになるから、とビアンカさんは両手の平を上に向けて軽く頭を振る。
みんなが足早に通り過ぎるだけの低階層かと思ったら、オスカーさんが教えてくれたけど、二階、三階には薬草が生えていて孤児院の子供たちや薬師ギルドの人たちは特別な許可を得て、ダンジョンに潜って採取しているらしい。
つまり、それだけ攻撃力皆無な人たちが出入りしているダンジョンということで、ぼくも少し緊張を和らげることができました。
二~三十人でまとまりながら一階の奥まで進み、そのまま順番良く下に降りる階段を下っていく。
ちなみに盾役のディーターさんが一番前で、次にビアンカさんとぼく、後ろがオスカーさんの並びです。
「このダンジョンには罠の類がないことが確認されているから、斥侯としてのあたしの出番はないも同然なのよねぇ」
頭の後ろで手を組んで、のんびりとした口調でビアンカさんが嘆く。
「それでも、周りには気を配ってくれ。たまに冒険者の手から離れた武器が飛んでくることもある」
なんでも、このダンジョンが初めての戦闘という冒険者もいるからか、武器が手をすっぽ抜けて飛んでくることがあり、年に何人かはそれで怪我をして問題になっているらしいのです。
「……ひょっとして、ぼくが気をつけなきゃいけないのは魔物じゃなくて、飛んでくる武器ですか?」
「……大丈夫。守るから」
ディーターさん、守る宣言は嬉しいんですけど、ぼくが飛んでくる武器が避けれない鈍くさい奴と思っているんですね?
ぷくうっ。
拗ねて頬が膨れるのもしょうがないと思います!
「みんな、今日のおやつ半分に減らします」
ぼく、ちゃんと反射神経ありますから!
「えーっ、そんなぁ、クルト!」
「わ、悪かった」
「……謝る」
みんなが即座に謝るなんて、そんなにおやつが食べたいのかという呆れと、やっぱりぼくのこと鈍くさいって思っていたんだという腹立たしさで、レオの入った鞄のベルトをギュッと握りしめた。
少し頬を膨らまして階段を荒々しく降りると、地下二階は一階とは違う雰囲気が漂っていた。
そこかしこにしゃがんでいる集団がいるのだ。
ほとんどが首からすっぽりと被るタイプの粗末な服を着ている子供だった。
「あの子たちが孤児院から薬草採取に来ている子たちだ。あっちにいる薬師のエプロンをつけているのは薬師ギルドだな」
オスカーさんが指差した場所には、ひょろりと細い体型の男の人が数人、採取した草を手に何か討論しているようだった。
一階ではぞろぞろとまとまって移動してきたぼくたちだったが、二階になると薬草採取目的の人たちがばらけていく。
「無防備に採取しているようですけど、この階の魔物ってスライムだけですか?」
通常のスライムであれば、水色のウォータースライムと茶色のディスポスライムだけで特に害はない。
でも酸を吐くスライムや毒を吐くスライムだったら危険だ。
「そうね、ここら辺に出没する魔物は危険なんてないわよ。スライムが多いけど、たまにラット系の魔物が出るわ」
ラット系でも魔法属性や毒や麻痺の能力がなければ、ちょっとした打撃で討伐が可能だ。
ただ、すばしっこいけど……。
「向こうも警戒して近づかないだろうし、こちらも敢えて討伐しようとも思わないからな」
つまり、あまり気にしなくてもいいということですね。
「どうする? 薬草採取でもするのか?」
二階に降りたまま場所を移動しようとしないぼくらに、ディーターさんが眉を下げて所在なさげに佇んでいた。
「ああ、悪い。先に進もう」
オスカーさんがディーターさんの肩をポンポンと叩いて、先へと促す。
ビアンカさんがぼくの耳にこそっと内緒話をしてくれた。
「ディーターは薬草採取が苦手なのよ。体が大きいからしゃがんで作業するのが苦痛なんだって」
うん、ディーターさんみたいに大柄な人には、チマチマ薬草を摘むのは苦行かもしれない。
ぼくはビアンカさんと顔を見合わせて、クスクスと軽く笑い合うのだった。
二階の薬草採取する人たちを横目にスタスタと進み、あっという間に三階へ降りる階段に辿り着いた。
ダンジョンに入るときに二~三十人程度いた人たちは、既に十人程度にその数を減らしている。
「……意外と少なくなるんですね」
「まあ、初級ダンジョンには体馴らしで挑戦して、すぐに中級ダンジョンに潜るギルドが多いからな。いつも潜るのは薬草採取の人だけだ」
「はあ、そうですか」
中級ダンジョンへの許可証は初級ダンジョン踏破が条件だから、そのためだけに初級ダンジョンに挑戦するギルドがほとんどなんだろうな。
なんでもドロップアイテムで稼ぐには中級ダンジョンからという話だし。
「さあ、行くわよ」
ビアンカさんの呼びかけに「はーい」と間延びした声で応えたぼくは、ダンジョンに入ったばかりの緊張感はどこへやら、呑気な気分で階段を下り始めた。
でも……ダンジョン初心者のぼくには、とっても拍子抜けの状態です。
だって、ぞろぞろと大人数で広い洞窟みたいなダンジョン内を歩いているんですよ?
なに、この状態?
「だから言ったでしょう。初級ダンジョンは成りたて冒険者たちが押し寄せて挑戦するから、最初の階層はただ移動するだけなのよ」
ほら、とビアンカさんが指し示した場所には、スライムがポヨンポヨンと移動しているけど、誰も注目していない。
「スライム如きだとドロップアイテムも出ないから、みんな無視するのよ。それ以外にも地下三階までの魔獣はほとんどスルーするわね」
戦うだけ体力のムダになるから、とビアンカさんは両手の平を上に向けて軽く頭を振る。
みんなが足早に通り過ぎるだけの低階層かと思ったら、オスカーさんが教えてくれたけど、二階、三階には薬草が生えていて孤児院の子供たちや薬師ギルドの人たちは特別な許可を得て、ダンジョンに潜って採取しているらしい。
つまり、それだけ攻撃力皆無な人たちが出入りしているダンジョンということで、ぼくも少し緊張を和らげることができました。
二~三十人でまとまりながら一階の奥まで進み、そのまま順番良く下に降りる階段を下っていく。
ちなみに盾役のディーターさんが一番前で、次にビアンカさんとぼく、後ろがオスカーさんの並びです。
「このダンジョンには罠の類がないことが確認されているから、斥侯としてのあたしの出番はないも同然なのよねぇ」
頭の後ろで手を組んで、のんびりとした口調でビアンカさんが嘆く。
「それでも、周りには気を配ってくれ。たまに冒険者の手から離れた武器が飛んでくることもある」
なんでも、このダンジョンが初めての戦闘という冒険者もいるからか、武器が手をすっぽ抜けて飛んでくることがあり、年に何人かはそれで怪我をして問題になっているらしいのです。
「……ひょっとして、ぼくが気をつけなきゃいけないのは魔物じゃなくて、飛んでくる武器ですか?」
「……大丈夫。守るから」
ディーターさん、守る宣言は嬉しいんですけど、ぼくが飛んでくる武器が避けれない鈍くさい奴と思っているんですね?
ぷくうっ。
拗ねて頬が膨れるのもしょうがないと思います!
「みんな、今日のおやつ半分に減らします」
ぼく、ちゃんと反射神経ありますから!
「えーっ、そんなぁ、クルト!」
「わ、悪かった」
「……謝る」
みんなが即座に謝るなんて、そんなにおやつが食べたいのかという呆れと、やっぱりぼくのこと鈍くさいって思っていたんだという腹立たしさで、レオの入った鞄のベルトをギュッと握りしめた。
少し頬を膨らまして階段を荒々しく降りると、地下二階は一階とは違う雰囲気が漂っていた。
そこかしこにしゃがんでいる集団がいるのだ。
ほとんどが首からすっぽりと被るタイプの粗末な服を着ている子供だった。
「あの子たちが孤児院から薬草採取に来ている子たちだ。あっちにいる薬師のエプロンをつけているのは薬師ギルドだな」
オスカーさんが指差した場所には、ひょろりと細い体型の男の人が数人、採取した草を手に何か討論しているようだった。
一階ではぞろぞろとまとまって移動してきたぼくたちだったが、二階になると薬草採取目的の人たちがばらけていく。
「無防備に採取しているようですけど、この階の魔物ってスライムだけですか?」
通常のスライムであれば、水色のウォータースライムと茶色のディスポスライムだけで特に害はない。
でも酸を吐くスライムや毒を吐くスライムだったら危険だ。
「そうね、ここら辺に出没する魔物は危険なんてないわよ。スライムが多いけど、たまにラット系の魔物が出るわ」
ラット系でも魔法属性や毒や麻痺の能力がなければ、ちょっとした打撃で討伐が可能だ。
ただ、すばしっこいけど……。
「向こうも警戒して近づかないだろうし、こちらも敢えて討伐しようとも思わないからな」
つまり、あまり気にしなくてもいいということですね。
「どうする? 薬草採取でもするのか?」
二階に降りたまま場所を移動しようとしないぼくらに、ディーターさんが眉を下げて所在なさげに佇んでいた。
「ああ、悪い。先に進もう」
オスカーさんがディーターさんの肩をポンポンと叩いて、先へと促す。
ビアンカさんがぼくの耳にこそっと内緒話をしてくれた。
「ディーターは薬草採取が苦手なのよ。体が大きいからしゃがんで作業するのが苦痛なんだって」
うん、ディーターさんみたいに大柄な人には、チマチマ薬草を摘むのは苦行かもしれない。
ぼくはビアンカさんと顔を見合わせて、クスクスと軽く笑い合うのだった。
二階の薬草採取する人たちを横目にスタスタと進み、あっという間に三階へ降りる階段に辿り着いた。
ダンジョンに入るときに二~三十人程度いた人たちは、既に十人程度にその数を減らしている。
「……意外と少なくなるんですね」
「まあ、初級ダンジョンには体馴らしで挑戦して、すぐに中級ダンジョンに潜るギルドが多いからな。いつも潜るのは薬草採取の人だけだ」
「はあ、そうですか」
中級ダンジョンへの許可証は初級ダンジョン踏破が条件だから、そのためだけに初級ダンジョンに挑戦するギルドがほとんどなんだろうな。
なんでもドロップアイテムで稼ぐには中級ダンジョンからという話だし。
「さあ、行くわよ」
ビアンカさんの呼びかけに「はーい」と間延びした声で応えたぼくは、ダンジョンに入ったばかりの緊張感はどこへやら、呑気な気分で階段を下り始めた。
30
あなたにおすすめの小説
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした
夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。
死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった!
呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。
「もう手遅れだ」
これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
Sランクパーティを追放されたヒーラーの俺、禁忌スキル【完全蘇生】に覚醒する。俺を捨てたパーティがボスに全滅させられ泣きついてきたが、もう遅い
夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティ【熾天の剣】で《ヒール》しか使えないアレンは、「無能」と蔑まれ追放された。絶望の淵で彼が覚醒したのは、死者さえ完全に蘇らせる禁忌のユニークスキル【完全蘇生】だった。
故郷の辺境で、心に傷を負ったエルフの少女や元女騎士といった“真の仲間”と出会ったアレンは、新パーティ【黎明の翼】を結成。回復魔法の常識を覆す戦術で「死なないパーティ」として名を馳せていく。
一方、アレンを失った元パーティは急速に凋落し、高難易度ダンジョンで全滅。泣きながら戻ってきてくれと懇願する彼らに、アレンは冷たく言い放つ。
「もう遅い」と。
これは、無能と蔑まれたヒーラーが最強の英雄となる、痛快な逆転ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる