46 / 85
初級ダンジョン 探索編
ハズレドロップ その2
しおりを挟む
転移魔法陣が敷かれた入口に立ったぼくらは、オスカーさんがその魔力を魔法陣に流すことで瞬時に五階のボス部屋の外へと移動することができた。
「他の転移陣がある階を踏破していると、選択画面が出現して行きたい階数を選べるんだよ」
目をキラキラさせて転移魔法を堪能していたぼくに、オスカーさんが丁寧に説明してくれる。
ぼくたちがこの初級ダンジョンで踏破したボス階数は五階だけだから、自動的に五階へと転移されたけど、十階や十五階を踏破したギルドチームの場合、魔法陣に魔力を流すと行先選択画面が表示されるらしい。
やだ、それ見たい!
興奮しているぼくの耳に、ビアンカさんの呆れたため息が聞こえる。
「それにしてもハズレドロップが調味料ねぇ。……信じられないんだけど」
うっ! ビアンカさんからの疑惑の視線が心に痛いっ。
うっかり鞄からハズレドロップである黒い調味料の瓶を落としたぼくは、問い詰められるままにすべてをみんなに白状しました。
あ、三人の小さなおじさんの一人、和のおじさんのことは内緒にしています。
どうせ、紹介してもみんなには見えないですしね……。
調味料で食べられると主張したぼくに、好奇心旺盛のビアンカさんはペロリとぼくと同じように味見してみました。
「しょっ、しょっぱぁぁぁーいっ」
ですよね。
しょっぱいですよね?
ぼくも「調味料」という和のおじさんには不信感でいっぱいですもん。
当然、オスカーさんとディータさんからの疑いが晴れず、二人は味見もせず。
それでも、ぼくの耳の周りで和のおじさんが「ひたすらハズレドロップを拾ってこい!」と騒ぐから、ぼくはみなさんにハズレドロップを拾ってもらうようにお願いしました。
「ハズレドロップを試しに口にいれて三日三晩のたうち回って苦しんだ奴がいたな」
「あたし……口が真っ赤にはれ上がって、ヒレハレホロとしか喋れなくなった冒険者の話を聞いたことがあるわ」
「…………(黙って首を振る)」
クルッとこちらを向いたみなさんの目が「それでも欲しいの?」と訴えてきましたが、欲しいんですっ! と強く頷いてみせました。
そして、ここ。
五階のボス部屋から階段を下りてダンジョンの地下六階です。
「人の気配があんまり感じないですね」
地下四階までは他のギルドチームの戦闘がちらほらと聞こえてきたのに、六階はぼくたちしかいないような?
「いや、ただ階層が広くなって他のギルドチームがばらけているだけだぞ」
オスカーさんが地下六階から九階は、低層階と同じく洞窟スタイルの階層だけど広さは二倍に広がっているとか。
「進むのが大変そうです」
十一階から十四階の広さはさらに広いらしく、本当に一日で踏破可能な初級ダンジョンなのでしょうか?
「あたしたちは十階のボスを倒したら今日はおしまい。本格的に稼ぐには十一階以降だもの」
「今日はクルトのダンジョン訓練だな」
ビアンカさんとディータさんにぼくはペコリと頭を下げて、気合も新たにダンジョンを攻略していくことにしましょう。
「……クルト。本当にハズレドロップを拾うのか?」
オスカーさん、ぼくのやる気を削ぐのはやめて!
ぼくだって半信半疑なんです……。
「ほら、もう一つ!」
ビアンカさんが魔物の横を走り抜けると、左右にいたマッドドッグがバタンと横倒しになっていく。
そして、ポトリポトリとアイテムを落としていくのだが……。
「クルト。あったぞ」
ディータさんがぼくへと差し出したのは、くすんだ瓶一つ。
その他は、牙や爪が落ちている。
ビアンカさんの「お金にならないしょぼいアイテムなら、肉のほうがマシ」と言っていた意味がよくわかる。
戦闘してどんなに魔物を倒して疲れても、ドロップアイテムが売り物にならないとつまらない。
なんとなくズシッと疲労感も増していくような気がする。
その点、ホーンラビットはたまーにお肉を落とす。
今日の夕ご飯と明日のお昼ご飯用のお肉は確保済みです!
「まだ、拾うのか?」
オスカーさんがしょんもり眉を下げてぼくの顔を窺います。
もう、九階まで下りてきましたし、魔物もいっぱい倒しましたし、ハズレドロップもそこそこ集まったので、もういいですよ?
いい加減ぼくも、十階のボス部屋に挑戦して、ギルドハウスに帰ってご飯を作りたいです。
ぼくの頭に寝そべっている和のおじさんも「そろそろ。料理しようぜー」とうるさいですし。
ぼくはオスカーさんにプルプルと頭を振り「ハズレドロップはもう大丈夫です」と答えた。
「じゃあ、下に行ってボスに挑戦するか」
あからさまにホッとした顔でみんなに呼びかけるオスカーさん。
ビアンカさんが満面な笑顔で食いついてきました。
「そうね! もうボス倒して帰りましょう。久々のダンジョンはやっぱり疲れたわ」
「十階のボスはなんだ?」
どうやら十階のボスも今まで出没した低ランクの魔物の上位種らしいです。
それでも気を抜かずにチャレンジです!
ポンポン。
「ん?」
肩にかけた鞄からみょんと触手が伸びてきてぼくの腕を叩きます。
「あ、ああー。すみません、みなさん。レオがまたボス部屋に行きたいそうです」
そうだよね。
レオも戦いたいよね?
「他の転移陣がある階を踏破していると、選択画面が出現して行きたい階数を選べるんだよ」
目をキラキラさせて転移魔法を堪能していたぼくに、オスカーさんが丁寧に説明してくれる。
ぼくたちがこの初級ダンジョンで踏破したボス階数は五階だけだから、自動的に五階へと転移されたけど、十階や十五階を踏破したギルドチームの場合、魔法陣に魔力を流すと行先選択画面が表示されるらしい。
やだ、それ見たい!
興奮しているぼくの耳に、ビアンカさんの呆れたため息が聞こえる。
「それにしてもハズレドロップが調味料ねぇ。……信じられないんだけど」
うっ! ビアンカさんからの疑惑の視線が心に痛いっ。
うっかり鞄からハズレドロップである黒い調味料の瓶を落としたぼくは、問い詰められるままにすべてをみんなに白状しました。
あ、三人の小さなおじさんの一人、和のおじさんのことは内緒にしています。
どうせ、紹介してもみんなには見えないですしね……。
調味料で食べられると主張したぼくに、好奇心旺盛のビアンカさんはペロリとぼくと同じように味見してみました。
「しょっ、しょっぱぁぁぁーいっ」
ですよね。
しょっぱいですよね?
ぼくも「調味料」という和のおじさんには不信感でいっぱいですもん。
当然、オスカーさんとディータさんからの疑いが晴れず、二人は味見もせず。
それでも、ぼくの耳の周りで和のおじさんが「ひたすらハズレドロップを拾ってこい!」と騒ぐから、ぼくはみなさんにハズレドロップを拾ってもらうようにお願いしました。
「ハズレドロップを試しに口にいれて三日三晩のたうち回って苦しんだ奴がいたな」
「あたし……口が真っ赤にはれ上がって、ヒレハレホロとしか喋れなくなった冒険者の話を聞いたことがあるわ」
「…………(黙って首を振る)」
クルッとこちらを向いたみなさんの目が「それでも欲しいの?」と訴えてきましたが、欲しいんですっ! と強く頷いてみせました。
そして、ここ。
五階のボス部屋から階段を下りてダンジョンの地下六階です。
「人の気配があんまり感じないですね」
地下四階までは他のギルドチームの戦闘がちらほらと聞こえてきたのに、六階はぼくたちしかいないような?
「いや、ただ階層が広くなって他のギルドチームがばらけているだけだぞ」
オスカーさんが地下六階から九階は、低層階と同じく洞窟スタイルの階層だけど広さは二倍に広がっているとか。
「進むのが大変そうです」
十一階から十四階の広さはさらに広いらしく、本当に一日で踏破可能な初級ダンジョンなのでしょうか?
「あたしたちは十階のボスを倒したら今日はおしまい。本格的に稼ぐには十一階以降だもの」
「今日はクルトのダンジョン訓練だな」
ビアンカさんとディータさんにぼくはペコリと頭を下げて、気合も新たにダンジョンを攻略していくことにしましょう。
「……クルト。本当にハズレドロップを拾うのか?」
オスカーさん、ぼくのやる気を削ぐのはやめて!
ぼくだって半信半疑なんです……。
「ほら、もう一つ!」
ビアンカさんが魔物の横を走り抜けると、左右にいたマッドドッグがバタンと横倒しになっていく。
そして、ポトリポトリとアイテムを落としていくのだが……。
「クルト。あったぞ」
ディータさんがぼくへと差し出したのは、くすんだ瓶一つ。
その他は、牙や爪が落ちている。
ビアンカさんの「お金にならないしょぼいアイテムなら、肉のほうがマシ」と言っていた意味がよくわかる。
戦闘してどんなに魔物を倒して疲れても、ドロップアイテムが売り物にならないとつまらない。
なんとなくズシッと疲労感も増していくような気がする。
その点、ホーンラビットはたまーにお肉を落とす。
今日の夕ご飯と明日のお昼ご飯用のお肉は確保済みです!
「まだ、拾うのか?」
オスカーさんがしょんもり眉を下げてぼくの顔を窺います。
もう、九階まで下りてきましたし、魔物もいっぱい倒しましたし、ハズレドロップもそこそこ集まったので、もういいですよ?
いい加減ぼくも、十階のボス部屋に挑戦して、ギルドハウスに帰ってご飯を作りたいです。
ぼくの頭に寝そべっている和のおじさんも「そろそろ。料理しようぜー」とうるさいですし。
ぼくはオスカーさんにプルプルと頭を振り「ハズレドロップはもう大丈夫です」と答えた。
「じゃあ、下に行ってボスに挑戦するか」
あからさまにホッとした顔でみんなに呼びかけるオスカーさん。
ビアンカさんが満面な笑顔で食いついてきました。
「そうね! もうボス倒して帰りましょう。久々のダンジョンはやっぱり疲れたわ」
「十階のボスはなんだ?」
どうやら十階のボスも今まで出没した低ランクの魔物の上位種らしいです。
それでも気を抜かずにチャレンジです!
ポンポン。
「ん?」
肩にかけた鞄からみょんと触手が伸びてきてぼくの腕を叩きます。
「あ、ああー。すみません、みなさん。レオがまたボス部屋に行きたいそうです」
そうだよね。
レオも戦いたいよね?
30
あなたにおすすめの小説
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした
夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。
死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった!
呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。
「もう手遅れだ」
これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
Sランクパーティを追放されたヒーラーの俺、禁忌スキル【完全蘇生】に覚醒する。俺を捨てたパーティがボスに全滅させられ泣きついてきたが、もう遅い
夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティ【熾天の剣】で《ヒール》しか使えないアレンは、「無能」と蔑まれ追放された。絶望の淵で彼が覚醒したのは、死者さえ完全に蘇らせる禁忌のユニークスキル【完全蘇生】だった。
故郷の辺境で、心に傷を負ったエルフの少女や元女騎士といった“真の仲間”と出会ったアレンは、新パーティ【黎明の翼】を結成。回復魔法の常識を覆す戦術で「死なないパーティ」として名を馳せていく。
一方、アレンを失った元パーティは急速に凋落し、高難易度ダンジョンで全滅。泣きながら戻ってきてくれと懇願する彼らに、アレンは冷たく言い放つ。
「もう遅い」と。
これは、無能と蔑まれたヒーラーが最強の英雄となる、痛快な逆転ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる