47 / 85
初級ダンジョン 探索編
地下十階のボス部屋アタック
しおりを挟む
地下十階ボス部屋の扉をギギーッと押し開けると、広い敷地の奥に岩場がある部屋でした。
そして、ポツンといる、この部屋のボスモンスター。
「あら、ボアかしら?」
ビアンカさんの眼が「お肉!」と輝いたように見えます。
「ボアだが、ビックボアじゃないか?」
オスカーさんがボアの上位種のビックボアだろうと、冷静にビアンカさんに訂正を入れました。
「いや、ちがう」
ちょっと広い部屋だったからか、遠近感がおかしくなっていたみたいです。
ドシドシッとこちらに突進してくるボアは、ものすごく大きいような?
「これは、キングボアだっ!」
ディーターさんがそう叫ぶと同時に持っていた盾をガツンと床に叩きつけ、自分の体で盾を安定させる。
ボーっと近づくモンスターを見ていたぼくは、襟首をガシッとオスカーさんに掴まれ、ポイッと放り投げられた。
「わわわっ!」
ポロリと肩かけ鞄の中からレオが零れ落ちると、レオは自分の体を弾丸のように飛ばし、地面すれすれを水平に素早く移動していく。
ドタッ! 痛いっ!
ゴロゴロ……床にお尻をぶつけて、投げられた勢いのまま転がっていったぼくは、壁にベチンと当たってようやく止まることができた。
「クルト、大丈夫?」
「ひぇぇぇっ。だ、大丈夫ですぅぅ」
転がり回っていたせいで目がぐるぐーるしているけど、大丈夫です!
ビアンカさんは転がるぼくを追いかけてきてくれて、立ち上がるのに手を貸してくれた。
「オ、オスカーさんたちは?」
フラフラしながら立ち上がり、キングボアと衝突しているだろうディーターさんとオスカーさんの姿を探す。
ちょうど、ディーターさんの盾にキングボアの牙がぶつかっているところだった。
オスカーさんがディーターさんの体を後ろから支えているが、その足はじりじりと下がっている。
「あわわわ、ど、どうしよう」
ここからぼくの水魔法を打ってもキングボアのみにダメージを与えることができるだろうか?
ちょっと距離があるから、コントロールが狂ってディーターさんたちに当たっちゃうかも。
「ダメよ、クルト。離れていなさい。いつこっちに向かってくるかわからないわ」
ビアンカさんがボア系モンスターについて教えてくれた。
低ランクのただのボアは真っ直ぐに対象物に向かって走ってくる。
途中で曲がったり方向転換することができない、比較的討伐しやすいモンスターだ。
その上位種であるビックボアは、ただのボアより一回り体が大きく、新人冒険者ギルドでは一撃で倒すのが難しい。
でも、やっぱり一直線に突進してくるので、攻撃はしやすい。
問題は、このキングボアだ。
こいつは、ただ突進してくるだけでなく急な方向転換も急停止もできる。
しかも、さらに体が頑丈で斬撃が概ね効きにくい。
ボアの牙が口の横にちょこんとあるのに、キングボアの牙はにょっきり生えていて立派な武器だ。
「つまり、こっちの方が狩りやすいとバレたら、あいつはこっちに突進してくるわ」
そして、そうなったらディーターさんたちの移動速度では間に合わず、ぼくはドッシーンとぶつかってお陀仏……え? ビアンカさんは?
「あたしは大丈夫よ。素早さには自信があるもの」
ふふん、と胸を張って言われても、コメントに困りますよ?
意外と呑気にそんな会話を交わしていたぼくたちの耳に、絶叫が飛び込んできた。
もちろん、キングボアの絶叫が……。
「わーいっ! お・に・くー!」
ビアンカさんがキングボアを倒して出てきたドロップアイテムを狂喜乱舞で広いまくっている。
タリラーンタリランと踊っている。
ディーターさんは最初のキングボアとの衝突で肩を痛めてしまったらしく、オスカーさんの治癒魔法を受けている。
真っ赤に腫れて、めちゃくちゃ痛そうでした。
ぼくは、お肉以外のドロップアイテムを拾ってます。
なんか、ハンカチサイズの皮とか、薪サイズの牙とか爪とか。
キングボアとの力比べにやや負けていたディーターさんたちに加勢する形で参戦したレオは、斬撃に強いはずのキングボアに向かって【ウォーターカッター】を乱発し、太い牙をスパーンと二本とも切り落とし、眉間と喉と腹と次いでにひょろんとした尻尾を斬り裂いた。
「ぐぶひひひひぃぃぃぃん」
というキングボアの絶叫が聞こえたかと思えば、その巨体はふわりと消えドロップアイテムが部屋中にバラまかれたのだ。
ディーターさんたちなんて、力いっぱいに盾を押していたから、急に相手が消えてたたらを踏んでいたよ。
そのレオは、超ご機嫌で岩場で跳ねて遊んでいる。
――レオ、強すぎない? 本当にただのスライムだよね?
「あれ?」
ぴょんぴょんと同じ所で何度もレオが跳ねている。
もしかして、ぼくに見せたい物があるのかな?
「なあに? そっちにもドロップアイテムがあったの?」
ぼくはやれやれと岩場に足を向けた。
…………。
「で、これはなんだ? クルト、これは……本当に食べられるのか?」
オスカーさんの困惑顔を見るのは何回目かなーと、現実逃避したくなる今日この頃。
ぼくの両手には、こんもりと木の根っこみたいな食材? が乗っています。
「た、たぶん」
ぼくはオスカーさんの顔を見ないようにスーッと目を背けました。
だって、レオが「拾え」て訴えるし、和のおじさんが「ひっゃほう」と喜ぶんだもん。
『異世界レシピ』の鑑定でも、「薬味に最適」と表示されました。
薬味ってなに? この根っこもどきは本当に食べらるの?
和のおじさんが「しょうがーっ!」て叫んでいるけども?
そして、ポツンといる、この部屋のボスモンスター。
「あら、ボアかしら?」
ビアンカさんの眼が「お肉!」と輝いたように見えます。
「ボアだが、ビックボアじゃないか?」
オスカーさんがボアの上位種のビックボアだろうと、冷静にビアンカさんに訂正を入れました。
「いや、ちがう」
ちょっと広い部屋だったからか、遠近感がおかしくなっていたみたいです。
ドシドシッとこちらに突進してくるボアは、ものすごく大きいような?
「これは、キングボアだっ!」
ディーターさんがそう叫ぶと同時に持っていた盾をガツンと床に叩きつけ、自分の体で盾を安定させる。
ボーっと近づくモンスターを見ていたぼくは、襟首をガシッとオスカーさんに掴まれ、ポイッと放り投げられた。
「わわわっ!」
ポロリと肩かけ鞄の中からレオが零れ落ちると、レオは自分の体を弾丸のように飛ばし、地面すれすれを水平に素早く移動していく。
ドタッ! 痛いっ!
ゴロゴロ……床にお尻をぶつけて、投げられた勢いのまま転がっていったぼくは、壁にベチンと当たってようやく止まることができた。
「クルト、大丈夫?」
「ひぇぇぇっ。だ、大丈夫ですぅぅ」
転がり回っていたせいで目がぐるぐーるしているけど、大丈夫です!
ビアンカさんは転がるぼくを追いかけてきてくれて、立ち上がるのに手を貸してくれた。
「オ、オスカーさんたちは?」
フラフラしながら立ち上がり、キングボアと衝突しているだろうディーターさんとオスカーさんの姿を探す。
ちょうど、ディーターさんの盾にキングボアの牙がぶつかっているところだった。
オスカーさんがディーターさんの体を後ろから支えているが、その足はじりじりと下がっている。
「あわわわ、ど、どうしよう」
ここからぼくの水魔法を打ってもキングボアのみにダメージを与えることができるだろうか?
ちょっと距離があるから、コントロールが狂ってディーターさんたちに当たっちゃうかも。
「ダメよ、クルト。離れていなさい。いつこっちに向かってくるかわからないわ」
ビアンカさんがボア系モンスターについて教えてくれた。
低ランクのただのボアは真っ直ぐに対象物に向かって走ってくる。
途中で曲がったり方向転換することができない、比較的討伐しやすいモンスターだ。
その上位種であるビックボアは、ただのボアより一回り体が大きく、新人冒険者ギルドでは一撃で倒すのが難しい。
でも、やっぱり一直線に突進してくるので、攻撃はしやすい。
問題は、このキングボアだ。
こいつは、ただ突進してくるだけでなく急な方向転換も急停止もできる。
しかも、さらに体が頑丈で斬撃が概ね効きにくい。
ボアの牙が口の横にちょこんとあるのに、キングボアの牙はにょっきり生えていて立派な武器だ。
「つまり、こっちの方が狩りやすいとバレたら、あいつはこっちに突進してくるわ」
そして、そうなったらディーターさんたちの移動速度では間に合わず、ぼくはドッシーンとぶつかってお陀仏……え? ビアンカさんは?
「あたしは大丈夫よ。素早さには自信があるもの」
ふふん、と胸を張って言われても、コメントに困りますよ?
意外と呑気にそんな会話を交わしていたぼくたちの耳に、絶叫が飛び込んできた。
もちろん、キングボアの絶叫が……。
「わーいっ! お・に・くー!」
ビアンカさんがキングボアを倒して出てきたドロップアイテムを狂喜乱舞で広いまくっている。
タリラーンタリランと踊っている。
ディーターさんは最初のキングボアとの衝突で肩を痛めてしまったらしく、オスカーさんの治癒魔法を受けている。
真っ赤に腫れて、めちゃくちゃ痛そうでした。
ぼくは、お肉以外のドロップアイテムを拾ってます。
なんか、ハンカチサイズの皮とか、薪サイズの牙とか爪とか。
キングボアとの力比べにやや負けていたディーターさんたちに加勢する形で参戦したレオは、斬撃に強いはずのキングボアに向かって【ウォーターカッター】を乱発し、太い牙をスパーンと二本とも切り落とし、眉間と喉と腹と次いでにひょろんとした尻尾を斬り裂いた。
「ぐぶひひひひぃぃぃぃん」
というキングボアの絶叫が聞こえたかと思えば、その巨体はふわりと消えドロップアイテムが部屋中にバラまかれたのだ。
ディーターさんたちなんて、力いっぱいに盾を押していたから、急に相手が消えてたたらを踏んでいたよ。
そのレオは、超ご機嫌で岩場で跳ねて遊んでいる。
――レオ、強すぎない? 本当にただのスライムだよね?
「あれ?」
ぴょんぴょんと同じ所で何度もレオが跳ねている。
もしかして、ぼくに見せたい物があるのかな?
「なあに? そっちにもドロップアイテムがあったの?」
ぼくはやれやれと岩場に足を向けた。
…………。
「で、これはなんだ? クルト、これは……本当に食べられるのか?」
オスカーさんの困惑顔を見るのは何回目かなーと、現実逃避したくなる今日この頃。
ぼくの両手には、こんもりと木の根っこみたいな食材? が乗っています。
「た、たぶん」
ぼくはオスカーさんの顔を見ないようにスーッと目を背けました。
だって、レオが「拾え」て訴えるし、和のおじさんが「ひっゃほう」と喜ぶんだもん。
『異世界レシピ』の鑑定でも、「薬味に最適」と表示されました。
薬味ってなに? この根っこもどきは本当に食べらるの?
和のおじさんが「しょうがーっ!」て叫んでいるけども?
32
あなたにおすすめの小説
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした
夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。
死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった!
呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。
「もう手遅れだ」
これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
Sランクパーティを追放されたヒーラーの俺、禁忌スキル【完全蘇生】に覚醒する。俺を捨てたパーティがボスに全滅させられ泣きついてきたが、もう遅い
夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティ【熾天の剣】で《ヒール》しか使えないアレンは、「無能」と蔑まれ追放された。絶望の淵で彼が覚醒したのは、死者さえ完全に蘇らせる禁忌のユニークスキル【完全蘇生】だった。
故郷の辺境で、心に傷を負ったエルフの少女や元女騎士といった“真の仲間”と出会ったアレンは、新パーティ【黎明の翼】を結成。回復魔法の常識を覆す戦術で「死なないパーティ」として名を馳せていく。
一方、アレンを失った元パーティは急速に凋落し、高難易度ダンジョンで全滅。泣きながら戻ってきてくれと懇願する彼らに、アレンは冷たく言い放つ。
「もう遅い」と。
これは、無能と蔑まれたヒーラーが最強の英雄となる、痛快な逆転ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる