「異世界レシピ」スキルで新人ギルドを全力サポートして、成り上がります!

沢野 りお

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初級ダンジョン 探索編

ミアさんのお父さん登場

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翌日、さっそくミアさんのお父さんがギルドハウスに訪ねて来るとのことで、ぼくたちのダンジョン攻略はまたもやお預けとなりました。
まあ、目的が次の中級ダンジョン挑戦許可証取得のダンジョン踏破ではなくて、ハズレドロップ目当てという邪道なので、後回しになってもしょうがないです。
ミアさんたちの事情を考えたら、まずはお引越しですもんね。

ということで、ぼくはお昼にいらっしゃるミアさんのお父さんをもてなすお昼ご飯を作ってます。
ビアンカさんもお手伝いしてくれるから、楽チンです。

「暇だしねー。朝のうちに牛や鶏の世話は済ませちゃったし。掃除や洗濯はクルトとレオが完璧にしてくれるから、本当に助かるわ」

器用に蒸かした芋の皮を剥くビアンカさん。
孤児院では、主に食料調達係でしたが、下拵えぐらいはできるそうで、皮剥きと芋を潰す作業をしてもらいます。

オスカーさんは午前中は執務室でギルドマスターとしてのお仕事をしています。
ギルド運営として収支計算、帳簿管理、ギルド支部への報告書、ギルド支部からの連絡通知確認などなど、細かい仕事がいっぱいあるそうです。
時々、ディータさんが手伝ってますよ。
そのディータさんは武器、防具のメンテナンスでギルドスペースに行ってます。
まさに命に関わる武器、防具ですから、盾役のディータさんは細目にチェックしているんです。
オスカーさんは、いずれギルドに余裕ができたら、もうちょっとランクの高い盾を購入したいと言ってました。

「クルト。芋、潰せたわよ」

「ああ、はい。じゃあ、レオが切った野菜と混ぜてください」

レオが体の中で薄切りにした、きゅうりとにんじんと、やっぱり体の中でバラバラにしたトウモロコシの粒をビアンカさんが持つボウルに入れていく。
なんて器用なスライムなんだろう! レオって優秀だなぁ。

ギルドハウスに連れて来た他のスライムたちは、水色スライム、茶色スライムとして無難にレベルアップしているけど、こんな器用なことはできない。
レオだけは、スライムの中でも特別なんだろうなぁ。
ああ、ぼくの親友が素晴らしいって自慢したいのに、その話をするとオスカーさんの両目から光が消えてしまうんだよね。

「ところで、クルトは何やってんの?」

「ぼくですか? カズの指示で大根をおろしてます」

シャーコーシャーコー、水気の多い野菜だからおろしやすいけど、大根をおろしてどうするんだろうね。
ショーガはレオが体の中でおろしてくれたけど、いつもそれでは困るからと、カズの熱弁に動かされたオスカーさんが鍛冶職人さんに頼んで作ってもらったおろし金。
手の平サイズの金属にツンツンとしたトゲがある。
その上に皮を剥いた食材を載せて、手で動かすと食材がトゲトゲに削られる……それだけなのにカズは出来上がったおろし金を見て「ちっ」と舌打ちしたからね。
技術的に納得できなかったらしいけど、いいじゃないか、おろすことができるんだから。
シャーコーシャーコー。
これは、お湯で火を通したボアのお肉の薄切りの上にたっぷり乗せて。

「ねえ、カズ。タレはどうやって作るの?」

「ふふふ。ショーユだぜ!」

また、あの黒い調味料ですか……。










お昼ご飯の準備ができたところで、ミアさんのお父さんがいらっしゃいました。
オスカーさんに呼ばれて、ぼくもギルドの玄関でお出迎えです。
お出迎え……で……す?

「いつも娘が世話になっている。俺はハルトムートだ。よろしく」

「コレが父です。よろしくお願いします」

隣りでミアさんもペコリと頭を下げる。
ミアさんは猫獣人で、ぴょこんとした三角耳としなやかな尻尾がかわいらしい人です。
だから、ぼくはてっきりお父さんも猫獣人だと思っていました。

背が高い……ディータさんと同じぐらいの背の高さで、体の厚みはそこまでじゃなくて、でも鍛えられた体だというのがわかります。
ミアさんに似ているお顔ですが、目つきが厳しく頬にスッと傷があるので、ちょっと怖いです。
頭に丸い耳で太くて長い尻尾には、黄色に縞模様……って、虎さんですよ、虎さん!

「ギルド白い輪のギルドマスター、オスカーだ」

オスカーさんは自己紹介とともに手を差し出し、ミアさんのお父さん、ハルトムートさんと握手をした。
す、すごいオスカーさん。
虎さんの出現に全然動じていない。

オスカーさんはメンバーを一人一人紹介していくんだけど、ディータさんのときにギラッと眼光が鈍く光った。

「お前…………」

握ったディーターさんの手をぎゅむぎゅむと強く握ってます……痛いでしょ!

「……っす」

ディーターさんは涼しい顔でハルトムートさんにご挨拶、いや、いつもよりもかなり雑な挨拶だな?

「ぼ、ぼくはクルト。このギルドのお世話係です。こっちは友達のレオです。とっても賢い子です」

ぼくは、ギリギリリと睨み合うハルトムートさんとディーターさんの間に、にょきっとレオを突っ込んだ。

「お、おう」

「よろしくお願いします」

虎さんが怖いので深々と丁寧にお辞儀します。
ディーターさんが握られていた手を痛そうに、フリフリと振っているのが見えました。

「坊主、クルトだっけ? お前さんが作る料理はめちゃくちゃうまいな! いつもミアに持たせてくれてありがとよ」

ぐしゃぐしゃとハルトムートさんはその大きな手でぼくの頭を撫でくり回します。
力が強いから頭がグワングワン動いちゃうけど、とっても優しい撫で方です。
こっそり上目遣いに窺うと、ニッコリ笑っていました。
なんだ、いい人じゃないか!
ぼくの作った料理を褒めてくれたしね、と胸をふふんと張ってしまいます。

「しかし、こいつは珍妙なスライムだな?」

あ、ハルトムートさん。
レオはもう少し優しく扱ってくださいーっ。
ぼくの大事な友達、相棒なのですっ!
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