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冒険しましょう
商業ギルドに行きました
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潮風と波の音。
認識阻害の魔法を全員にかけて、人気のない桟橋からこっそり他の客船から下船した人たちの列に紛れ込んだ。
アラスの街へ入る検問では、アルベールの持つ冒険者ギルドカードを見せる。
約10年ぐらい没活動だったので、門兵に微妙な顔をされたけど、冒険者ランクがAランクだったのが幸いして無事に通ることができました。
私たちはアルベールの仲間ということで、身分証無しでも入国料を払って入れたのはラッキーだったわ。
入国街料のお金は、連合国の通貨が使えたし。
海は綺麗なコバルトブルーで、砂浜は美しい白い砂。
その海岸線と平行するように、広い道が一本、白い石と貝が敷き詰められた道が作られている。
たいてい、今まで通り過ぎてきた村とか町は、真ん中に広場があって、そこから円盤状に建物が広がっているんだけど、ここはその白い道から左右斜めに広い道が作られて放射状に広がっていた。
海を背にして左斜めの道は、赤い石と赤い貝が敷き詰められた赤い道。
右斜めの道は、青い石と青い貝が敷き詰められた青い道。
アンティーブ国のアラスは、とっても鮮やかな街並みである。
「先に、両替をしましょう。商業ギルドは、赤い道よりあちら側にあります」
アンティーブ国のアラスの街に訪れたことがあるのは、アルベールとリュシアン。
なので、ふたりにはしっかりと案内してもらわなきゃね。
私はアルベールと手を繋ぎ、ルネはセヴランと手を繋いで、リオネルは嫌々ながらもリュシアンに抱っこされている。
とにかく人が多いのよ!ちょうど客船がいくつも着いて、とめどなく人が降りてくるから。
迷子防止よね?分かってるから、大人しく手を繋いであげるわよ。
ぎゅっとね。
アルベールの話では、赤い道より左側は、商業ギルドと商店が並ぶ区画で、反対の青い道より右側は冒険者ギルドがあって、冒険者たちが利用するお店が多くある。
武器防具店や道具店、鍛冶屋や魔道具屋などなど。
その赤い道と青い道に挟まれた区画は、宿屋や役場、飲食店などが立ち並ぶ。
みんな石造りの建物で、カラフルで見ていてとても楽しいわ。
「お嬢、キョロキョロすんなよ」
「だって、いろいろと気になるんだもん」
こちらですよ、と繋いだ手を引っ張られて白い道を進む。
観光客向けのお店が多く、貝を使ったアクセサリーや日除けの傘、サンダルなどが売られていて、ちょっと気になる。
「ここが商業ギルドですか?かなり大きい建物ですね?」
いろんな国で商業ギルドを訪れていた元商人のセヴランでさえも驚く、立派な建物なアラスの商業ギルド。
「さあ、行きましょう」
入口に続く数段の階段を昇り、商業ギルドの中へ。
うん、まるで前世の銀行みたい。
いくつかの窓口と、個室ブースがあって、2階には商談スペースがあるみたい。
番号札を取って、番号を呼ばれたらその窓口に行って要件を済ます。
コンシェルジュみたいな案内人が、その番号札発券所に立っている。
その人から番号札を貰えないと、窓口では対応してもらえないらしい。
それ以外には、ATMみたいなものが幾つか置いてあるけど、あれ魔道具なのかな?
アルベールがコンシェルジュみたいな人に、両替にきた旨を伝えると番号札ではなく部屋の奥を指差された。
「あちらです」
戻ってきたアルベールと、再び手を繋いで、ATMもどきを通り過ぎて部屋の奥に行くと、窓口がふたつあった。
私とアルベールが、窓口のお姉さんに近づき声をかける。
「すみません。両替をお願いします」
「はい。どちらのお金ですか?」
私は革袋に入ったお金をアルベールに渡す。
「連合国の共通通貨をアンティーブ国の通貨にお願いします」
「はい。身分証はお持ちですか?」
アルベールが懐からギルドカードを出して、窓口に差し出す。
お姉さんはにこやかな顔で、アルベールのギルドカードを水晶に翳し、表示された情報と水晶の色を確認している。
「はい。お返しします。ギルドカードの更新が長いことないみたいですので、冒険者ギルドでの生存確認をお勧めします」
「はい」
アルベールが苦笑しながらギルドカードを懐に仕舞うけど、生存確認とは何ぞや?
「こちらが内訳です。ご確認してください」
ペラと紙を渡されたので、アルベールが見ているのを覗きこむ。
金貨が何枚とか書いてあるけど・・・。アンティーブ国の通貨の勉強しないと全然わからないわね。
「結構です」
アルベールが渡された紙にサインしてお姉さんに返すと、革袋とアンティーブ国のお金を渡してくれる。
アルベールがお金を数えて革袋にしまい、お姉さんにお礼を言ってみんなが待っているところに戻る。
クイクイとアルベールの手を引いて、「あとでお金のこと教えて」と囁く。
「ええ。ルネとリオネルにも教えないと、ですね」
「うん」
アルベールだけでなく、みんなにもお金は渡しておかないと、いざというときのために。
ちなみにATMもどきは、まんまATMでしたよ。
ギルドカードなどの身分証カードを入れて、お金を預けたり引き出したりできるんだって。
この魔道具は冒険者ギルドにもあるから、私たちも冒険者登録してカードがもらえたら使えるのよ!
楽しみだわ。
あと、ギルドカードはお店によってお金の支払いが可能。
ほとんどの宿屋と飲食店で使えて、現金払いなのは屋台と行商人への支払いぐらいとか・・・。
異世界、意外とキャッシュレス化が進んでいたわ。
認識阻害の魔法を全員にかけて、人気のない桟橋からこっそり他の客船から下船した人たちの列に紛れ込んだ。
アラスの街へ入る検問では、アルベールの持つ冒険者ギルドカードを見せる。
約10年ぐらい没活動だったので、門兵に微妙な顔をされたけど、冒険者ランクがAランクだったのが幸いして無事に通ることができました。
私たちはアルベールの仲間ということで、身分証無しでも入国料を払って入れたのはラッキーだったわ。
入国街料のお金は、連合国の通貨が使えたし。
海は綺麗なコバルトブルーで、砂浜は美しい白い砂。
その海岸線と平行するように、広い道が一本、白い石と貝が敷き詰められた道が作られている。
たいてい、今まで通り過ぎてきた村とか町は、真ん中に広場があって、そこから円盤状に建物が広がっているんだけど、ここはその白い道から左右斜めに広い道が作られて放射状に広がっていた。
海を背にして左斜めの道は、赤い石と赤い貝が敷き詰められた赤い道。
右斜めの道は、青い石と青い貝が敷き詰められた青い道。
アンティーブ国のアラスは、とっても鮮やかな街並みである。
「先に、両替をしましょう。商業ギルドは、赤い道よりあちら側にあります」
アンティーブ国のアラスの街に訪れたことがあるのは、アルベールとリュシアン。
なので、ふたりにはしっかりと案内してもらわなきゃね。
私はアルベールと手を繋ぎ、ルネはセヴランと手を繋いで、リオネルは嫌々ながらもリュシアンに抱っこされている。
とにかく人が多いのよ!ちょうど客船がいくつも着いて、とめどなく人が降りてくるから。
迷子防止よね?分かってるから、大人しく手を繋いであげるわよ。
ぎゅっとね。
アルベールの話では、赤い道より左側は、商業ギルドと商店が並ぶ区画で、反対の青い道より右側は冒険者ギルドがあって、冒険者たちが利用するお店が多くある。
武器防具店や道具店、鍛冶屋や魔道具屋などなど。
その赤い道と青い道に挟まれた区画は、宿屋や役場、飲食店などが立ち並ぶ。
みんな石造りの建物で、カラフルで見ていてとても楽しいわ。
「お嬢、キョロキョロすんなよ」
「だって、いろいろと気になるんだもん」
こちらですよ、と繋いだ手を引っ張られて白い道を進む。
観光客向けのお店が多く、貝を使ったアクセサリーや日除けの傘、サンダルなどが売られていて、ちょっと気になる。
「ここが商業ギルドですか?かなり大きい建物ですね?」
いろんな国で商業ギルドを訪れていた元商人のセヴランでさえも驚く、立派な建物なアラスの商業ギルド。
「さあ、行きましょう」
入口に続く数段の階段を昇り、商業ギルドの中へ。
うん、まるで前世の銀行みたい。
いくつかの窓口と、個室ブースがあって、2階には商談スペースがあるみたい。
番号札を取って、番号を呼ばれたらその窓口に行って要件を済ます。
コンシェルジュみたいな案内人が、その番号札発券所に立っている。
その人から番号札を貰えないと、窓口では対応してもらえないらしい。
それ以外には、ATMみたいなものが幾つか置いてあるけど、あれ魔道具なのかな?
アルベールがコンシェルジュみたいな人に、両替にきた旨を伝えると番号札ではなく部屋の奥を指差された。
「あちらです」
戻ってきたアルベールと、再び手を繋いで、ATMもどきを通り過ぎて部屋の奥に行くと、窓口がふたつあった。
私とアルベールが、窓口のお姉さんに近づき声をかける。
「すみません。両替をお願いします」
「はい。どちらのお金ですか?」
私は革袋に入ったお金をアルベールに渡す。
「連合国の共通通貨をアンティーブ国の通貨にお願いします」
「はい。身分証はお持ちですか?」
アルベールが懐からギルドカードを出して、窓口に差し出す。
お姉さんはにこやかな顔で、アルベールのギルドカードを水晶に翳し、表示された情報と水晶の色を確認している。
「はい。お返しします。ギルドカードの更新が長いことないみたいですので、冒険者ギルドでの生存確認をお勧めします」
「はい」
アルベールが苦笑しながらギルドカードを懐に仕舞うけど、生存確認とは何ぞや?
「こちらが内訳です。ご確認してください」
ペラと紙を渡されたので、アルベールが見ているのを覗きこむ。
金貨が何枚とか書いてあるけど・・・。アンティーブ国の通貨の勉強しないと全然わからないわね。
「結構です」
アルベールが渡された紙にサインしてお姉さんに返すと、革袋とアンティーブ国のお金を渡してくれる。
アルベールがお金を数えて革袋にしまい、お姉さんにお礼を言ってみんなが待っているところに戻る。
クイクイとアルベールの手を引いて、「あとでお金のこと教えて」と囁く。
「ええ。ルネとリオネルにも教えないと、ですね」
「うん」
アルベールだけでなく、みんなにもお金は渡しておかないと、いざというときのために。
ちなみにATMもどきは、まんまATMでしたよ。
ギルドカードなどの身分証カードを入れて、お金を預けたり引き出したりできるんだって。
この魔道具は冒険者ギルドにもあるから、私たちも冒険者登録してカードがもらえたら使えるのよ!
楽しみだわ。
あと、ギルドカードはお店によってお金の支払いが可能。
ほとんどの宿屋と飲食店で使えて、現金払いなのは屋台と行商人への支払いぐらいとか・・・。
異世界、意外とキャッシュレス化が進んでいたわ。
応援ありがとうございます!
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