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人助けをしましょう
作戦会議をしました
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「はい!作戦会議を始めます。みんなちゃんと座って。アルベールはお昼ご飯食べながらでいいわ」
あれから馬車を停めたところまで3人で戻り、馬の世話をしていたリュシアンたちと合流しました。
馬車の中に入り、リビングに集合してお茶とお菓子を用意して、ここで気づく・・・お昼ご飯がまだだったわ。
私とリオネルはローズさんのところでご馳走になってきたけど、みんなはどうしたのかな?
どうやらリュシアンとセヴランは、馬車の中の冷蔵庫から作り置きの料理を食べ、ルネもパンを食べたそうな。
アルベールだけがまだだったので、慌ててローストビーフのサンドイッチを作ってあげた。
もくもぐと美味しそうに頬張るアルベールを羨ましそうに眺めるリオネル。
あんた、さっき人の倍以上食べてたわよね?
「とりあえず、魔獣馬のほうは問題ないぞ。無事に名付けに成功したからほぼ従魔状態だ」
セヴランにも確認したところ、威嚇されたり馬鹿にされたりすることはなくなったらしいが、バイコーンの態度にはやや不安があるとのこと。
ま、セヴランとルネが怪我することがなければ、いいと思う。
あのバイコーンは性格がやんちゃっぽいし、多少のいたずらは愛情表現と思って諦めましょう。
でもルネは怪我しないで済むように、あとでリオネルに馬を説得させよう。
リオネルに頼むと、いい笑顔で頷いていた。
これで、魔獣馬といえど逆らう気もなくなるだろうね。
白虎族カリスマスキルの威圧に、耐えられる馬じゃないでしょう、あいつら。
「いや、あいつら、お嬢に一番ビビってたぞ?」
はて?なんでだろう?
こんなに優しい美少女なのに。
外側は。
「そういえば。なんて名前を付けたの?」
私が名付けようとしたときに、全員から却下を食らったのだ。
さぞかし、素晴らしい名前を付けたのだろう。
「あー・・・その、なんだ・・・」
なんか、歯切れが悪いリュシアン。
そこへ、クスクスと笑ってセヴランが教えてくれた。
「可笑しいんですよ。リュシアンってば。お菓子の名前を付けたんです。カヌレとブリュレって」
・・・は?
じっーとリュシアンの顔を見つめると、首からじわじわと赤くなっていき、そっぽを向いてしまう。
「かわいい」
ルネ、そっとしておきなさい。
「どっちがカヌレでブリュレ?」
「バイコーンがカヌレで、バトルホースがブリュレです」
リュシアンの奴、まんま見た目で決めたな。
黒毛のバイコーンがカヌレで、赤毛のバトルホースがブリュレって。
私のこと安直って言ってたのに、リュシアンも変わらないじゃない。
「ちがうっ!俺はお嬢のこと安直なんて言ってない!そもそも俺だってセンスはないんだから、名づけなんて無理なんだ!」
赤い顔のまま怒鳴るリュシアン。
まあね、安直って言ったのアルベールだったし。
「まあ、その名前で成功したのですから、いいじゃないですか。馬が気に入ったんでしょう。・・・お菓子の名前を・・・。ぷっ」
あ、笑った。
顔を俯けて肩を震わせて笑うアルベールを、リュシアンがギリギリと歯を噛みしめて睨んでいる。
「とにかく名付けが成功して従えられたなら良かったじゃない。あとで馬たちにカヌレとブリュレを食べさせてあげよう」
馬が食べるかな?あ、魔獣馬だから平気か。
そのあとは、お茶とお菓子を楽しみながらそれぞれ見聞きしたことを報告し合った。
「じゃあ、男爵夫人のブリジット様は無事なのね?」
「ええ。姿を拝見したわけじゃありませんが、離れの屋敷で軟禁状態ですね」
どうやら男爵邸の本邸をナタンとその一味が占領していて、男爵夫人と年配の使用人たちは離れの屋敷に閉じ込められているらしい。
まだ若い使用人は、男爵夫人たちを人質にされ、渋々本邸でナタンたちの世話をしている。
ナタンが連れてきたゴロツキ共は、一部を除いてほぼ領地の周りを監視していて、昼前に一度報告に男爵邸を訪れるそうだ。
「夜の見回りと交代するために、朝から昼頃は男爵邸にかなりの人数が集まってましたよ。屋敷を襲うなら夜がいいかもしれません」
確かに人手が少ない夜に襲撃するのはいいかもしれないが、外に居た仲間が異変に気づき戻ってきたら挟み撃ちになるし・・・。
アルベールの予想では、ゴロツキ共の人数は300人は超えないだろうということと、ゴロツキ共を掌握しているリーダーの男のレベルは大したことはないそうだ。
「300人で男爵領地を占領しようって・・・無謀じゃない?」
いくら小さな男爵領地でも、住んでいる領民は300人は優に超える。
数で勝負できないなら強さで圧倒すればいいけど、それもイマイチならそもそも領地を奪うことは無理だろう。
ナタンは何を考えてこんな暴挙に出たのか。
「だから、冒険者ギルドを抑え込んだのかな?」
「うーん。確かに冒険者がいると抵抗されると厄介だし、ギルドに通報されて援軍が来る可能性もあるしなぁ」
ギルドが男爵の後継争いに関わることは無いけど、冒険者が巻き込まれた場合は冒険者擁護のため出張ってくることができるらしい。
「だから、冒険者ギルドとギルドマスターたちを捕らえたのかな?」
ギルドの様子を探るためにも、今夜リュシアンはアルベールを連れて偵察に行くことにする。
「私は明日もローズさんの所へ行きたいんだけど・・・」
町の様子をもっと知りたいし、ナタンたちを排除するときに共に戦う領民がいるかどうかも調べたいし。
そういう私を呆れた眼で見るアルベール。
「なによ?」
「やっぱり、そうきましたか」
「いいじゃない。エミール君のためにも、悪い奴をぶっ飛ばそうよ」
私が、にししと笑ってみせると、みんなも顔を見合わせて、同じようににししと笑ってくれた。
待っててね、エミール君!もう少しでママに会わせてあげるから!
あれから馬車を停めたところまで3人で戻り、馬の世話をしていたリュシアンたちと合流しました。
馬車の中に入り、リビングに集合してお茶とお菓子を用意して、ここで気づく・・・お昼ご飯がまだだったわ。
私とリオネルはローズさんのところでご馳走になってきたけど、みんなはどうしたのかな?
どうやらリュシアンとセヴランは、馬車の中の冷蔵庫から作り置きの料理を食べ、ルネもパンを食べたそうな。
アルベールだけがまだだったので、慌ててローストビーフのサンドイッチを作ってあげた。
もくもぐと美味しそうに頬張るアルベールを羨ましそうに眺めるリオネル。
あんた、さっき人の倍以上食べてたわよね?
「とりあえず、魔獣馬のほうは問題ないぞ。無事に名付けに成功したからほぼ従魔状態だ」
セヴランにも確認したところ、威嚇されたり馬鹿にされたりすることはなくなったらしいが、バイコーンの態度にはやや不安があるとのこと。
ま、セヴランとルネが怪我することがなければ、いいと思う。
あのバイコーンは性格がやんちゃっぽいし、多少のいたずらは愛情表現と思って諦めましょう。
でもルネは怪我しないで済むように、あとでリオネルに馬を説得させよう。
リオネルに頼むと、いい笑顔で頷いていた。
これで、魔獣馬といえど逆らう気もなくなるだろうね。
白虎族カリスマスキルの威圧に、耐えられる馬じゃないでしょう、あいつら。
「いや、あいつら、お嬢に一番ビビってたぞ?」
はて?なんでだろう?
こんなに優しい美少女なのに。
外側は。
「そういえば。なんて名前を付けたの?」
私が名付けようとしたときに、全員から却下を食らったのだ。
さぞかし、素晴らしい名前を付けたのだろう。
「あー・・・その、なんだ・・・」
なんか、歯切れが悪いリュシアン。
そこへ、クスクスと笑ってセヴランが教えてくれた。
「可笑しいんですよ。リュシアンってば。お菓子の名前を付けたんです。カヌレとブリュレって」
・・・は?
じっーとリュシアンの顔を見つめると、首からじわじわと赤くなっていき、そっぽを向いてしまう。
「かわいい」
ルネ、そっとしておきなさい。
「どっちがカヌレでブリュレ?」
「バイコーンがカヌレで、バトルホースがブリュレです」
リュシアンの奴、まんま見た目で決めたな。
黒毛のバイコーンがカヌレで、赤毛のバトルホースがブリュレって。
私のこと安直って言ってたのに、リュシアンも変わらないじゃない。
「ちがうっ!俺はお嬢のこと安直なんて言ってない!そもそも俺だってセンスはないんだから、名づけなんて無理なんだ!」
赤い顔のまま怒鳴るリュシアン。
まあね、安直って言ったのアルベールだったし。
「まあ、その名前で成功したのですから、いいじゃないですか。馬が気に入ったんでしょう。・・・お菓子の名前を・・・。ぷっ」
あ、笑った。
顔を俯けて肩を震わせて笑うアルベールを、リュシアンがギリギリと歯を噛みしめて睨んでいる。
「とにかく名付けが成功して従えられたなら良かったじゃない。あとで馬たちにカヌレとブリュレを食べさせてあげよう」
馬が食べるかな?あ、魔獣馬だから平気か。
そのあとは、お茶とお菓子を楽しみながらそれぞれ見聞きしたことを報告し合った。
「じゃあ、男爵夫人のブリジット様は無事なのね?」
「ええ。姿を拝見したわけじゃありませんが、離れの屋敷で軟禁状態ですね」
どうやら男爵邸の本邸をナタンとその一味が占領していて、男爵夫人と年配の使用人たちは離れの屋敷に閉じ込められているらしい。
まだ若い使用人は、男爵夫人たちを人質にされ、渋々本邸でナタンたちの世話をしている。
ナタンが連れてきたゴロツキ共は、一部を除いてほぼ領地の周りを監視していて、昼前に一度報告に男爵邸を訪れるそうだ。
「夜の見回りと交代するために、朝から昼頃は男爵邸にかなりの人数が集まってましたよ。屋敷を襲うなら夜がいいかもしれません」
確かに人手が少ない夜に襲撃するのはいいかもしれないが、外に居た仲間が異変に気づき戻ってきたら挟み撃ちになるし・・・。
アルベールの予想では、ゴロツキ共の人数は300人は超えないだろうということと、ゴロツキ共を掌握しているリーダーの男のレベルは大したことはないそうだ。
「300人で男爵領地を占領しようって・・・無謀じゃない?」
いくら小さな男爵領地でも、住んでいる領民は300人は優に超える。
数で勝負できないなら強さで圧倒すればいいけど、それもイマイチならそもそも領地を奪うことは無理だろう。
ナタンは何を考えてこんな暴挙に出たのか。
「だから、冒険者ギルドを抑え込んだのかな?」
「うーん。確かに冒険者がいると抵抗されると厄介だし、ギルドに通報されて援軍が来る可能性もあるしなぁ」
ギルドが男爵の後継争いに関わることは無いけど、冒険者が巻き込まれた場合は冒険者擁護のため出張ってくることができるらしい。
「だから、冒険者ギルドとギルドマスターたちを捕らえたのかな?」
ギルドの様子を探るためにも、今夜リュシアンはアルベールを連れて偵察に行くことにする。
「私は明日もローズさんの所へ行きたいんだけど・・・」
町の様子をもっと知りたいし、ナタンたちを排除するときに共に戦う領民がいるかどうかも調べたいし。
そういう私を呆れた眼で見るアルベール。
「なによ?」
「やっぱり、そうきましたか」
「いいじゃない。エミール君のためにも、悪い奴をぶっ飛ばそうよ」
私が、にししと笑ってみせると、みんなも顔を見合わせて、同じようににししと笑ってくれた。
待っててね、エミール君!もう少しでママに会わせてあげるから!
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