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運命の鐘を鳴らしましょう
王都散策に異常がありました
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王都に来て過ごすこと10数日。
私たちも王都にだいぶ慣れてきました。
贔屓にしている屋台やお店もでき、そこそこ快適に過ごしています。
王都に家を買うならば・・・と仮定しての家探しもしています。
私たちの希望がなかなか纏まらないので、これだ!という不動産にまだ巡り会えていませんが・・・。
そうそう、クリストフさんが実は冒険者として例のチハロ国から嫁いできた侯爵夫人とお知り合いらしく、いつか紹介してくれることになりました!
社交シーズンではないので、今は領地で過ごされているらしい。
「んで、お嬢ちゃんは、なんで侯爵夫人を紹介してほしいんだい?」
「侯爵夫人と知り合いになりたいんじゃなくて、チハロ国とのしっかりとしたパイプが欲しいのよ」
ここで、クリストフさんの目付きがギラッと厳しくなる。
「ほおぉ、なんで?」
私はその質問に小首を傾げて、パチパチと瞬き。
「決まっているじゃないの。私が食べたいチハロ国の食材を揃えて扱うお店を出店して欲しいの!私たちが住むことになる拠点の町に」
両手を胸で組んで、頬をパアッとピンク色に染めて、クルクルとその場で踊り出す私。
「だって、今でもチハロ国の商品を扱うお店や直営店もあるけど、品揃えがイマイチなのよ。お米は勿論、味噌、醤油、鰹節とかの出汁類とか豆腐とか海苔とか欲しいのよっ!」
あとは、ゴダール男爵領地で栽培しているお蕎麦とか、うどんも欲しいし、生魚は無理でもすり身とかのかまぼことかさつま揚げとか・・・ないかなぁ。
「・・・お嬢ちゃん。顔が凄い・・・残念なことになってんぞ」
おっと、いけない。
ジュルルルル。
涎も拭かなきゃ。
クリストフさんはガシガシと頭を掻いた後、侯爵夫人に紹介してくれることを約束してくれたのよ。
万歳!
あれからヴィクトル兄様にも会わないし、ベルナール様の話も聞かないし。
このまま、何事もなく王都滞在を終えたいなぁ。
「ほら、ボーっとしていると人とぶつかりますよ」
ひょいと私の体を小脇に抱えて、すれ違う人から守ってくれるアルベール。
「あ、ありがと」
ストンと降ろしてもらって、改めて手を繋いで歩く。
今日は、アルベールが私のお付きで王都散策です。
リュシアンは、ようやくお偉いさんたちとのやりとりに馴れてきたらしく、酒量が抑えられるようになりました。
・・・毎日二日酔いになるリュシアンの体調が心配だったから、良かったわ。
私お手製の薬を飲ましてあげようとしたら、セヴランが止めたのよねぇ。
「二日酔いの薬は大まかに言えば毒消しの薬です、こんなレベルの二日酔いで毎日飲んでいたら、毒消しの耐性が付いてしまい、いざ毒を接種したときに毒消し薬を飲んでも効き辛くなります。だから禁止です!」
うん、セヴランが珍しく真面なことを言った。
その言葉に、うぐうぐしながらリュシアンも納得したみたい。
とりあえず、朝ご飯に味噌汁を毎日作ってあげるから、お食べ。
セヴランは、今日は死んだ顔をしてルネとリオネルの引率で冒険者しています。
カヌレとブリュレの散歩もしてきてもらうから、大変ね。
リオネルは、アルベールにはその強さを認めて言うことは守るし、リュシアンのことは同等の仲間だと思っているし、ルネは守る人と決めている。
じゃあ、セヴランのことはどう思っているのかと言えば・・・ま、弱っちい狐と思っている。
年上としての威厳も何もないわね。
だから冒険者として一緒に活動するときは、「強い俺がセヴランを鍛えて一人前の冒険者に育ててやらなきゃ!」と使命感に燃えるらしい。
結果、セヴランにとっては嬉しくないハードな1日になるのよねぇ。
ほどほどにするように、ルネにお願いはしているけど、あの子も夢中になると周りが見えなくなるからなぁ・・・。
「どうしました?今日は茶葉を買いに行くのでしょう?」
「うん」
今日はお茶を買いに来たのだ。
紅茶や日本茶、烏龍茶とか、フレーバーティーとか、いろんな種類のお茶と、できたらコーヒー、ココアとかも欲しい。
いろんな種類の茶葉を買うのは、なんていっても貴族だから貴族街にある専門店に行きたいけど、平民が貴族街に渡るには許可証が必要なので断念。
西側の富裕層の住宅街専用の商店が取り扱っているとのことで、お茶に詳しいアルベールと一緒に来たのだ。
「ふわあぁぁっ、ずいぶん雰囲気が変わってきたねぇ」
段々と一軒一軒の敷地が広くなり、立派な門構えがある家が増えてきて、そして門番までいる屋敷もあったり。
「そこを曲がれば、商店街になりますよ」
おおーっ!どんなお店があるのか楽しみ。
「お茶も買いたいけど、魔道具とかにも興味があるなぁ」
お金持ちの御用達の魔道具なら、ちょっとしたことも魔道具で補おうとするため、日用雑貨的な魔道具があるはず。
できたら、前世の調理家電のような仕様があれば、欲しい!
いや、自分で作れるけどさぁ、アルベールが目立つことするな!て怒るんだもん。
厳しいことを言うアルベールだが、まだまだお子ちゃまな私の歩幅に合わせて歩いてくれる優しさもあるんだよね。
えへへへ。
そして、曲がり角を曲がると、わっと道を通る人が一気に増えた。
・・・。
「あれ・・・?アルベール、あの人・・・」
ベルナール様じゃないかな?
私の指差す方に視線を向けたアルベールは、一気に気配を引き締めると私の体を抱きかかえ、建物との間の隙間に体を捩じりこませた。
「え?ええ?」
何?なになに?どうしたの?
「キャーッ!」
「わあああぁぁっ!化け物だーっ!」
長閑な午後の商店街に、悲鳴が響き渡った。
私たちも王都にだいぶ慣れてきました。
贔屓にしている屋台やお店もでき、そこそこ快適に過ごしています。
王都に家を買うならば・・・と仮定しての家探しもしています。
私たちの希望がなかなか纏まらないので、これだ!という不動産にまだ巡り会えていませんが・・・。
そうそう、クリストフさんが実は冒険者として例のチハロ国から嫁いできた侯爵夫人とお知り合いらしく、いつか紹介してくれることになりました!
社交シーズンではないので、今は領地で過ごされているらしい。
「んで、お嬢ちゃんは、なんで侯爵夫人を紹介してほしいんだい?」
「侯爵夫人と知り合いになりたいんじゃなくて、チハロ国とのしっかりとしたパイプが欲しいのよ」
ここで、クリストフさんの目付きがギラッと厳しくなる。
「ほおぉ、なんで?」
私はその質問に小首を傾げて、パチパチと瞬き。
「決まっているじゃないの。私が食べたいチハロ国の食材を揃えて扱うお店を出店して欲しいの!私たちが住むことになる拠点の町に」
両手を胸で組んで、頬をパアッとピンク色に染めて、クルクルとその場で踊り出す私。
「だって、今でもチハロ国の商品を扱うお店や直営店もあるけど、品揃えがイマイチなのよ。お米は勿論、味噌、醤油、鰹節とかの出汁類とか豆腐とか海苔とか欲しいのよっ!」
あとは、ゴダール男爵領地で栽培しているお蕎麦とか、うどんも欲しいし、生魚は無理でもすり身とかのかまぼことかさつま揚げとか・・・ないかなぁ。
「・・・お嬢ちゃん。顔が凄い・・・残念なことになってんぞ」
おっと、いけない。
ジュルルルル。
涎も拭かなきゃ。
クリストフさんはガシガシと頭を掻いた後、侯爵夫人に紹介してくれることを約束してくれたのよ。
万歳!
あれからヴィクトル兄様にも会わないし、ベルナール様の話も聞かないし。
このまま、何事もなく王都滞在を終えたいなぁ。
「ほら、ボーっとしていると人とぶつかりますよ」
ひょいと私の体を小脇に抱えて、すれ違う人から守ってくれるアルベール。
「あ、ありがと」
ストンと降ろしてもらって、改めて手を繋いで歩く。
今日は、アルベールが私のお付きで王都散策です。
リュシアンは、ようやくお偉いさんたちとのやりとりに馴れてきたらしく、酒量が抑えられるようになりました。
・・・毎日二日酔いになるリュシアンの体調が心配だったから、良かったわ。
私お手製の薬を飲ましてあげようとしたら、セヴランが止めたのよねぇ。
「二日酔いの薬は大まかに言えば毒消しの薬です、こんなレベルの二日酔いで毎日飲んでいたら、毒消しの耐性が付いてしまい、いざ毒を接種したときに毒消し薬を飲んでも効き辛くなります。だから禁止です!」
うん、セヴランが珍しく真面なことを言った。
その言葉に、うぐうぐしながらリュシアンも納得したみたい。
とりあえず、朝ご飯に味噌汁を毎日作ってあげるから、お食べ。
セヴランは、今日は死んだ顔をしてルネとリオネルの引率で冒険者しています。
カヌレとブリュレの散歩もしてきてもらうから、大変ね。
リオネルは、アルベールにはその強さを認めて言うことは守るし、リュシアンのことは同等の仲間だと思っているし、ルネは守る人と決めている。
じゃあ、セヴランのことはどう思っているのかと言えば・・・ま、弱っちい狐と思っている。
年上としての威厳も何もないわね。
だから冒険者として一緒に活動するときは、「強い俺がセヴランを鍛えて一人前の冒険者に育ててやらなきゃ!」と使命感に燃えるらしい。
結果、セヴランにとっては嬉しくないハードな1日になるのよねぇ。
ほどほどにするように、ルネにお願いはしているけど、あの子も夢中になると周りが見えなくなるからなぁ・・・。
「どうしました?今日は茶葉を買いに行くのでしょう?」
「うん」
今日はお茶を買いに来たのだ。
紅茶や日本茶、烏龍茶とか、フレーバーティーとか、いろんな種類のお茶と、できたらコーヒー、ココアとかも欲しい。
いろんな種類の茶葉を買うのは、なんていっても貴族だから貴族街にある専門店に行きたいけど、平民が貴族街に渡るには許可証が必要なので断念。
西側の富裕層の住宅街専用の商店が取り扱っているとのことで、お茶に詳しいアルベールと一緒に来たのだ。
「ふわあぁぁっ、ずいぶん雰囲気が変わってきたねぇ」
段々と一軒一軒の敷地が広くなり、立派な門構えがある家が増えてきて、そして門番までいる屋敷もあったり。
「そこを曲がれば、商店街になりますよ」
おおーっ!どんなお店があるのか楽しみ。
「お茶も買いたいけど、魔道具とかにも興味があるなぁ」
お金持ちの御用達の魔道具なら、ちょっとしたことも魔道具で補おうとするため、日用雑貨的な魔道具があるはず。
できたら、前世の調理家電のような仕様があれば、欲しい!
いや、自分で作れるけどさぁ、アルベールが目立つことするな!て怒るんだもん。
厳しいことを言うアルベールだが、まだまだお子ちゃまな私の歩幅に合わせて歩いてくれる優しさもあるんだよね。
えへへへ。
そして、曲がり角を曲がると、わっと道を通る人が一気に増えた。
・・・。
「あれ・・・?アルベール、あの人・・・」
ベルナール様じゃないかな?
私の指差す方に視線を向けたアルベールは、一気に気配を引き締めると私の体を抱きかかえ、建物との間の隙間に体を捩じりこませた。
「え?ええ?」
何?なになに?どうしたの?
「キャーッ!」
「わあああぁぁっ!化け物だーっ!」
長閑な午後の商店街に、悲鳴が響き渡った。
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