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運命の鐘を鳴らしましょう
ミシェル殿下が登場しました
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アンティーブ国と肩を並べる大国のひとつ、ミュールズ国。
その国は人族の王が治める慈愛溢れる優良の国だと、各国に謳われる国。
多種族が住み、治世も安定しており、次代の王である王太子ミシェルの人気は、特に市井の間で盛り上がっている。
ただ、前国王の暴食を現した醜い姿と現国王の酷薄な印象を与える陰湿な姿は、ミュールズ国の評判とはそぐわない。
だからこそ、ミュールズ国民は王太子ミシェルに期待する。
太陽の光をキラキラと反射する金髪に、澄んだ青い瞳。
麗しい容貌に、細いながらも鍛えられた体躯。
貴公子として眩しいほどの輝きを放っているだけでなく、文武ともに優秀で高名な学者が神童と褒め称えれば、騎士団の英雄たちが口を揃えて王太子の剣術の才を惜しむ。
王太子でなければ、真の英雄、勇者として後世の歴史にその名を残すであろう、その才能を。
なのに、王太子ミシェルは市井の者にも気軽に声をかける人柄で、孤児院などへの援助も自ら行う人格者。
弟の第2王子アデルは、兄に比べれば平凡な王子だったが、真っ直ぐな気性でよく兄を支えていた。
ミュールズ国の国民は思う、次の王の時代こそ我が国の最良の時代だと!
うっわー、うさんくさっ。
私のミシェル殿下の第一印象である。
今は、にこやかに各国の代表と握手して挨拶をしているし、なんだったらヴィクトル兄様とは涙目で抱き合って無事を喜んでいたけどね・・・。
いやいや、あれ、つくり笑いじゃん。
お腹真っ黒、暗黒じゃん。
私は、紹介されたときにペコリと会釈だけした。
もう、王女じゃないし、ただの子供冒険者だし、関わり合いたくないしーっ。
ミシェル殿下は「おや?」と不思議そうな顔を一瞬したが、張り付けた笑顔をそのままに挨拶をして、使用人が勧める椅子に腰を下ろした。
さあ、始まるよ。
三国同士の腹の探り合いが・・・。
例の小人さんが、またもや顔面を蒼白にしながら分厚い書類をブルブル震える手で持ち、読み上げて行く。
トゥーロン王国の悪事はミュールズ国の指示であり、トゥーロン国王は代々ミュールズ国の傀儡の王だったこと。
亜人奴隷売買についても主導していたのは、ミュールズ国。
帝国の「ビースト」を真似て、新たな「ビースト」を開発し実験体をアンティーブ国に送ったこと。
どれひとつ取っても、ミュールズ国のミシェル殿下には不利な情報なんだが・・・ずっと笑顔だよ、あの人。
ヴィクトル兄様なんて、友人の状況にハラハラドキドキしているのに・・・。
いや、ヴィクトル兄様騙されないで!あれ、ちっとも堪えてないから!下手したら全部知っていたから!
小人さんが全部報告し終わると、ペコリとお辞儀をし椅子に座らず、ススーッと壁際まで下がっていった。
シーンと暫しの沈黙。
アルベールがギロリとクリストフさんを睨む。
最初の言葉ぐらいは、アルベールに頼らずに仕切ってくださいな、クリストフ王弟殿下。
「あー、ああ、なんだ。そのぅ、アンティーブ国としては、ミュールズ国内のビースト研究所を破壊するつもりだが・・・文句あるか?」
ズゴーッ!
「なんで、そんな馬鹿正直に言うのよっ!」
思わず立ち上がって指差して大声で文句を言ってしまった。
興奮する私の背中をどうどうと撫でて、アルベールが椅子に座らせてくれる。
ヴィクトル兄様も、心配して頭を撫でなくていいから!
「・・・っぷ。クククッ。・・・ハハハハハ」
ミシェル殿下、大笑い。
なによっ!何が可笑しいのよ!
「ああ、すまないね。私もビックリしてしまって。余りにもクリストフ殿下のもの言いがストレートだったので」
「ウソですね。ヴィーの態度が面白かったのでしょう」
アルベールもわざわざ小声でミシェル殿下の発言を訂正しなくていいから。
プクッと頬を膨らませるわよ?
「じゃあ、私も正直に話すよ。ビースト計画なんて許される訳がない。ましてや亜人奴隷売買なんてもっての外だ。私、ミシェルは前国王と国王を廃位し王位に就くことを宣言する」
・・・、それってアンタが得するだけじゃないの?
「あれ?君は私がミュールズ国の王位を継ぐのが不満かな?」
「・・・・・・・・・」
ヤバい!顔に出てたかな?
「シルヴィーがミシェルに不満がある訳がないだろう。今日初めて会ったのだから」
ヴィクトル兄様がフォローしてくれる。
「そうですね。ミュールズ国の王が代わったところで、この状況をどうするつもりで?ビーストで被害が出たアンティーブ国にはどう補償を?ビースト研究所への攻撃は許可されたものとしてアンティーブ国の兵士の入国を許してくださると?」
アルベールは、さりげなく私を背中に庇い、ミシェル殿下を攻める。
「今までの亜人奴隷についてはどう償うつもりで?既に帝国に売られた亜人については?トゥーロン王国を遣い悪事をしていたことを公表されるので?その際、王であるミシェル殿下はどうするつもりで?」
矢継ぎ早に攻めるアルベールに対して、ミシェル殿下は不気味なほどに余裕の表情で大人しく拝聴してますよ?
クリストフさんとヴァネッサ姉さんは・・・、なんか面白がっている。
「・・・どうかミュールズ国の希望、王太子ミシェル様のお考えを教えてくださいませ」
アルベールも黒い笑顔で対抗します。
・・・ホント、なんで私ってば参加しちゃったのかなぁ・・・、面倒事の予感しかしないよ・・・。
その国は人族の王が治める慈愛溢れる優良の国だと、各国に謳われる国。
多種族が住み、治世も安定しており、次代の王である王太子ミシェルの人気は、特に市井の間で盛り上がっている。
ただ、前国王の暴食を現した醜い姿と現国王の酷薄な印象を与える陰湿な姿は、ミュールズ国の評判とはそぐわない。
だからこそ、ミュールズ国民は王太子ミシェルに期待する。
太陽の光をキラキラと反射する金髪に、澄んだ青い瞳。
麗しい容貌に、細いながらも鍛えられた体躯。
貴公子として眩しいほどの輝きを放っているだけでなく、文武ともに優秀で高名な学者が神童と褒め称えれば、騎士団の英雄たちが口を揃えて王太子の剣術の才を惜しむ。
王太子でなければ、真の英雄、勇者として後世の歴史にその名を残すであろう、その才能を。
なのに、王太子ミシェルは市井の者にも気軽に声をかける人柄で、孤児院などへの援助も自ら行う人格者。
弟の第2王子アデルは、兄に比べれば平凡な王子だったが、真っ直ぐな気性でよく兄を支えていた。
ミュールズ国の国民は思う、次の王の時代こそ我が国の最良の時代だと!
うっわー、うさんくさっ。
私のミシェル殿下の第一印象である。
今は、にこやかに各国の代表と握手して挨拶をしているし、なんだったらヴィクトル兄様とは涙目で抱き合って無事を喜んでいたけどね・・・。
いやいや、あれ、つくり笑いじゃん。
お腹真っ黒、暗黒じゃん。
私は、紹介されたときにペコリと会釈だけした。
もう、王女じゃないし、ただの子供冒険者だし、関わり合いたくないしーっ。
ミシェル殿下は「おや?」と不思議そうな顔を一瞬したが、張り付けた笑顔をそのままに挨拶をして、使用人が勧める椅子に腰を下ろした。
さあ、始まるよ。
三国同士の腹の探り合いが・・・。
例の小人さんが、またもや顔面を蒼白にしながら分厚い書類をブルブル震える手で持ち、読み上げて行く。
トゥーロン王国の悪事はミュールズ国の指示であり、トゥーロン国王は代々ミュールズ国の傀儡の王だったこと。
亜人奴隷売買についても主導していたのは、ミュールズ国。
帝国の「ビースト」を真似て、新たな「ビースト」を開発し実験体をアンティーブ国に送ったこと。
どれひとつ取っても、ミュールズ国のミシェル殿下には不利な情報なんだが・・・ずっと笑顔だよ、あの人。
ヴィクトル兄様なんて、友人の状況にハラハラドキドキしているのに・・・。
いや、ヴィクトル兄様騙されないで!あれ、ちっとも堪えてないから!下手したら全部知っていたから!
小人さんが全部報告し終わると、ペコリとお辞儀をし椅子に座らず、ススーッと壁際まで下がっていった。
シーンと暫しの沈黙。
アルベールがギロリとクリストフさんを睨む。
最初の言葉ぐらいは、アルベールに頼らずに仕切ってくださいな、クリストフ王弟殿下。
「あー、ああ、なんだ。そのぅ、アンティーブ国としては、ミュールズ国内のビースト研究所を破壊するつもりだが・・・文句あるか?」
ズゴーッ!
「なんで、そんな馬鹿正直に言うのよっ!」
思わず立ち上がって指差して大声で文句を言ってしまった。
興奮する私の背中をどうどうと撫でて、アルベールが椅子に座らせてくれる。
ヴィクトル兄様も、心配して頭を撫でなくていいから!
「・・・っぷ。クククッ。・・・ハハハハハ」
ミシェル殿下、大笑い。
なによっ!何が可笑しいのよ!
「ああ、すまないね。私もビックリしてしまって。余りにもクリストフ殿下のもの言いがストレートだったので」
「ウソですね。ヴィーの態度が面白かったのでしょう」
アルベールもわざわざ小声でミシェル殿下の発言を訂正しなくていいから。
プクッと頬を膨らませるわよ?
「じゃあ、私も正直に話すよ。ビースト計画なんて許される訳がない。ましてや亜人奴隷売買なんてもっての外だ。私、ミシェルは前国王と国王を廃位し王位に就くことを宣言する」
・・・、それってアンタが得するだけじゃないの?
「あれ?君は私がミュールズ国の王位を継ぐのが不満かな?」
「・・・・・・・・・」
ヤバい!顔に出てたかな?
「シルヴィーがミシェルに不満がある訳がないだろう。今日初めて会ったのだから」
ヴィクトル兄様がフォローしてくれる。
「そうですね。ミュールズ国の王が代わったところで、この状況をどうするつもりで?ビーストで被害が出たアンティーブ国にはどう補償を?ビースト研究所への攻撃は許可されたものとしてアンティーブ国の兵士の入国を許してくださると?」
アルベールは、さりげなく私を背中に庇い、ミシェル殿下を攻める。
「今までの亜人奴隷についてはどう償うつもりで?既に帝国に売られた亜人については?トゥーロン王国を遣い悪事をしていたことを公表されるので?その際、王であるミシェル殿下はどうするつもりで?」
矢継ぎ早に攻めるアルベールに対して、ミシェル殿下は不気味なほどに余裕の表情で大人しく拝聴してますよ?
クリストフさんとヴァネッサ姉さんは・・・、なんか面白がっている。
「・・・どうかミュールズ国の希望、王太子ミシェル様のお考えを教えてくださいませ」
アルベールも黒い笑顔で対抗します。
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