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幸せになりましょう
それぞれの戦況は~謁見の間前~
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扉で体を庇うようにして謁見の間の中を窺うメンバーの中に、懐かしい人の後姿を見つけた。
テテテと走り寄って声をかける。
「イザックさん!」
うおっ!と肩を少し跳ねさせて振り向いたのは、王都のミゲルの店で給仕をしていたイザックさんだ。
私を見てちょっと首を傾げたけど、私の後ろにいるアルベールたちを見て顔を輝かした。
「おおっ!あんたたちか!戻ってきたのか?・・・て、ことはこのお嬢さんは・・・もしかしてヴィーか?」
「そうよ」
私は腰に両手を当ててふんぞり返ってイザックさんを仰ぎ見る。
「うわーっ!前は髪の毛で顔がよく見えなかったけど、お前、ずいぶん美人さんだったんだな!」
イザックさんはひょいと私の両脇に手を入れて高い高いをするように持ち上げる。
「ちょっと、降ろしなさいよ!レディに失礼でしょ!」
プンプンと怒ってみれば、イザックさんは「ぶふーっ」と噴き出して笑った。
本当に失礼な人ね!
「何をやっているんですか。それよりも状況は?」
アルベールがゴチンとイザックさんの頭を叩いて、私をひょいと助け出してくれる。
「あー、ベルナールたちはあっちか?」
リュシアンが額に手を翳して扉の向こう側を見ようと爪先立ちする。
どうやら、謁見の間の両開きの扉を左右に分かれて開いたところで、このショボい魔法攻撃を受け続けているらしい。
私たちが合流した扉側には、イザックさんと亜人たちで、向こう側がヴィクトル兄様とベルナール様たち。
「早く入れよ」
リュシアンが、絶え間なくファイヤーボールとウォーターボールが打ち出される中へ行けと簡単に言うと、イザックさんの顔が歪んだ。
「確かにたいした攻撃じゃないが、わざわざ怪我してまで突破することもない。そのうちに魔力が尽きるだろう」
どうやら初級程度の魔法だけで、それ以上の威力のある魔法攻撃ができる敵方の人はいないらしい。
「あ、そうか!」
私は手をポンと叩いて、ゴソゴソと魔法鞄を漁り始める。
アルベールとセヴランが興味津々に覗きこむけど、例のブツを取り出すだけですよ?
「ジャジャーン!これ貸してあげる」
イザックさんたちに一つずつ魔道具を渡していく。
「これ・・・なんだ?」
「ん?防御の魔道具。中級程度の魔法攻撃なら五十回ぐらい防ぐよ」
物理攻撃にも有効な優秀な防御魔道具です。
「なっ!そんな貴重な魔道具を配るなよっ、ヴィー!」
「貸してあげるだけ。ヴィクトル兄様たちにも貸したよ?」
まあまあ、遠慮なさらずに。
イザックさんたちはちょっと戸惑いながらも、ブローチ型の魔道具をそれぞれ思い思いの場所に付けていく。
中には、例の姿変えの魔道具と同じ仕様のアクセサリーに思い至る人もいたようだ。
えっへん!私が作りましたー、とドヤ顔してたらイザックさんが探るような眼で私を見ていた。
「ヴィクトル兄様・・・てなんのことだ?」
「あっ!」
そ、そうか・・・。
ミゲルの店の人や冒険者ギルドの人たちは私の正体を知らないんだもんね。
「私から説明しますよ」
アルベールが私を抱っこしてイザックさんの前に立ってくれる。
私の視線が高くなったことで、連続した魔法攻撃でもうもうと煙が立ち昇る中、向こう側からヴィクトル兄様の心配そうな顔が見えた。
ロドリスと城を制圧したあとの話になったが、儂はその頃にはお役御免だと思っている。
レジスには荷が重い役目になるので、さっさっと領地に戻すつもりだし。
儂は一応、ヴィクトル殿下の戴冠式までは王都に残るが、後始末はできん!
ムスッとした顔になった儂にロドリスが苦笑する頃、待ちに待った奴が本陣を訪れて来た。
「父上、ご無事でしたね」
言葉で言うほど心配なぞしていない末の息子が、リシュリュー辺境伯領ブルエンヌ地方を任せていたレイモンが来た。
「うむ」
どうやらノアイユ公爵への教育は一通り済んだようだな。
「そんな早く教育が終わるわけないだろう?とりあえずノアイユ公爵の名前でもって中立派には釘を刺しておいたよ。暫しの間は大人しくしているだろう」
騎士が淹れたお茶を飲みながらレイモンは、母親であるオルタンスと同じ顔で笑う。
なんとなく背中がヒヤッとした。
ノアイユ公爵を継いだシャルル・ノアイユがエルフ族だとは思わなかったので、急遽レイモンには亜人騎士団のエルフ族と鬼人族を護衛につけたが問題なかっただろうか?
「うん。大丈夫だったよ。エルフ族は意外と鬼人族と気が合うみたいだしね。ノアイユ公爵のところのエルフ族とも上手くやっていたよ」
我が息子なら含みのある言い方が恐ろしい。
ひととおりレイモンからの報告を聞き、儂は愛用の剣を持ち立ち上がる。
「行くの?」
「お前が来た。儂の仕事は別にある」
ヴィクトル殿下はユベールとエロイーズを捕まえに行かれた。
儂は城に残っている膿を綺麗にすることが仕事だ。
「第三妃ベアトリスは王宮左翼の自室に従者たちと籠っている。ザンマルタンは・・・もしかしたらどこかへ逃げたかもしれん」
「かまわん。探し出して捕まえるだけだ」
儂が出陣することに気が付いた配下の騎士たちが慌ただしく走りまわりだす。
「・・・父上。生きて捕まえください。民への見せしめのためにも、目に見える形で裁かなければなりません」
「うむ」
レイモンの言葉を胸に刻み本陣を出る。
見上げた王宮はくすんだ色をしてただそこにあるだけだった。
テテテと走り寄って声をかける。
「イザックさん!」
うおっ!と肩を少し跳ねさせて振り向いたのは、王都のミゲルの店で給仕をしていたイザックさんだ。
私を見てちょっと首を傾げたけど、私の後ろにいるアルベールたちを見て顔を輝かした。
「おおっ!あんたたちか!戻ってきたのか?・・・て、ことはこのお嬢さんは・・・もしかしてヴィーか?」
「そうよ」
私は腰に両手を当ててふんぞり返ってイザックさんを仰ぎ見る。
「うわーっ!前は髪の毛で顔がよく見えなかったけど、お前、ずいぶん美人さんだったんだな!」
イザックさんはひょいと私の両脇に手を入れて高い高いをするように持ち上げる。
「ちょっと、降ろしなさいよ!レディに失礼でしょ!」
プンプンと怒ってみれば、イザックさんは「ぶふーっ」と噴き出して笑った。
本当に失礼な人ね!
「何をやっているんですか。それよりも状況は?」
アルベールがゴチンとイザックさんの頭を叩いて、私をひょいと助け出してくれる。
「あー、ベルナールたちはあっちか?」
リュシアンが額に手を翳して扉の向こう側を見ようと爪先立ちする。
どうやら、謁見の間の両開きの扉を左右に分かれて開いたところで、このショボい魔法攻撃を受け続けているらしい。
私たちが合流した扉側には、イザックさんと亜人たちで、向こう側がヴィクトル兄様とベルナール様たち。
「早く入れよ」
リュシアンが、絶え間なくファイヤーボールとウォーターボールが打ち出される中へ行けと簡単に言うと、イザックさんの顔が歪んだ。
「確かにたいした攻撃じゃないが、わざわざ怪我してまで突破することもない。そのうちに魔力が尽きるだろう」
どうやら初級程度の魔法だけで、それ以上の威力のある魔法攻撃ができる敵方の人はいないらしい。
「あ、そうか!」
私は手をポンと叩いて、ゴソゴソと魔法鞄を漁り始める。
アルベールとセヴランが興味津々に覗きこむけど、例のブツを取り出すだけですよ?
「ジャジャーン!これ貸してあげる」
イザックさんたちに一つずつ魔道具を渡していく。
「これ・・・なんだ?」
「ん?防御の魔道具。中級程度の魔法攻撃なら五十回ぐらい防ぐよ」
物理攻撃にも有効な優秀な防御魔道具です。
「なっ!そんな貴重な魔道具を配るなよっ、ヴィー!」
「貸してあげるだけ。ヴィクトル兄様たちにも貸したよ?」
まあまあ、遠慮なさらずに。
イザックさんたちはちょっと戸惑いながらも、ブローチ型の魔道具をそれぞれ思い思いの場所に付けていく。
中には、例の姿変えの魔道具と同じ仕様のアクセサリーに思い至る人もいたようだ。
えっへん!私が作りましたー、とドヤ顔してたらイザックさんが探るような眼で私を見ていた。
「ヴィクトル兄様・・・てなんのことだ?」
「あっ!」
そ、そうか・・・。
ミゲルの店の人や冒険者ギルドの人たちは私の正体を知らないんだもんね。
「私から説明しますよ」
アルベールが私を抱っこしてイザックさんの前に立ってくれる。
私の視線が高くなったことで、連続した魔法攻撃でもうもうと煙が立ち昇る中、向こう側からヴィクトル兄様の心配そうな顔が見えた。
ロドリスと城を制圧したあとの話になったが、儂はその頃にはお役御免だと思っている。
レジスには荷が重い役目になるので、さっさっと領地に戻すつもりだし。
儂は一応、ヴィクトル殿下の戴冠式までは王都に残るが、後始末はできん!
ムスッとした顔になった儂にロドリスが苦笑する頃、待ちに待った奴が本陣を訪れて来た。
「父上、ご無事でしたね」
言葉で言うほど心配なぞしていない末の息子が、リシュリュー辺境伯領ブルエンヌ地方を任せていたレイモンが来た。
「うむ」
どうやらノアイユ公爵への教育は一通り済んだようだな。
「そんな早く教育が終わるわけないだろう?とりあえずノアイユ公爵の名前でもって中立派には釘を刺しておいたよ。暫しの間は大人しくしているだろう」
騎士が淹れたお茶を飲みながらレイモンは、母親であるオルタンスと同じ顔で笑う。
なんとなく背中がヒヤッとした。
ノアイユ公爵を継いだシャルル・ノアイユがエルフ族だとは思わなかったので、急遽レイモンには亜人騎士団のエルフ族と鬼人族を護衛につけたが問題なかっただろうか?
「うん。大丈夫だったよ。エルフ族は意外と鬼人族と気が合うみたいだしね。ノアイユ公爵のところのエルフ族とも上手くやっていたよ」
我が息子なら含みのある言い方が恐ろしい。
ひととおりレイモンからの報告を聞き、儂は愛用の剣を持ち立ち上がる。
「行くの?」
「お前が来た。儂の仕事は別にある」
ヴィクトル殿下はユベールとエロイーズを捕まえに行かれた。
儂は城に残っている膿を綺麗にすることが仕事だ。
「第三妃ベアトリスは王宮左翼の自室に従者たちと籠っている。ザンマルタンは・・・もしかしたらどこかへ逃げたかもしれん」
「かまわん。探し出して捕まえるだけだ」
儂が出陣することに気が付いた配下の騎士たちが慌ただしく走りまわりだす。
「・・・父上。生きて捕まえください。民への見せしめのためにも、目に見える形で裁かなければなりません」
「うむ」
レイモンの言葉を胸に刻み本陣を出る。
見上げた王宮はくすんだ色をしてただそこにあるだけだった。
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