4 / 12
其れは天使などではない
四話 媚びまくりの日々の第一歩
しおりを挟む
アレクセイお兄さまは僕より十歳年上。齢三歳の僕の十上ということはお兄さまは、あー……えっと? 十足す三…で、あ! 十三歳!! やば、めっちゃ年上じゃん!! おっとな~!! まぁ本人はめちゃくちゃ天才らしいので僕の媚テクがどこまで通用するか……すごく心配だ。
ふらふらしながら、「んしょ、ん、ふ」とよちよち歩けば向かいから人影がいくつか…あ、なんかすっごいかっこいい!! あとなんか偉い人オーラが出てる!! いや、か、かっこいいぃ~…嘘じゃん、絶対この人がアレクセイお兄さまでしょ。十三とは思えない程顔が良い。え~イケメンというか、男前! って感じかな? 僕は美人~って感じの顔だけど、男ならアレクセイお兄さまみたいな顔の方に憧れちゃうよなぁ。
あ、目が合った。
「…お前は、そうか。リルネールか。何故ここに一人でいる?従者…メイドはどうしたんだ」
「ありぇくしぇいおにいしゃまに、お会いするためです。りりゅねーるは、おにいしゃまにお会いしたくて、ぬけだしてきたのです…あなたはどなたでしゅか?」
「……俺がアレクセイだ」
し っ て る
さーてアレクセイお兄さま!僕にメロメロになって下さいね!!いやマジで、お願いします!
「わあっ!ほんとうでしゅか!ずっとお会いしたかったのでしゅ!あ、えと、あの…りりゅは、りりゅ、りりゅねーるといいましゅ!ありぇくしぇいおにいしゃまっ!」
精一杯の笑顔と辿々しい口調。頭が重くてこけそうになりながらもなんとかやり切ったお辞儀。口がまだうまく回らないのでアレクセイお兄さまと上手く言えないがそこはこの顔面に免じて許してくれるよね? ね? アレクセイお兄さま??
「そうか…俺に会いたかったのか、リルネール」
お? 脈ありか? 違うか。でも怒ってない! むしろ笑顔だ! そうそう貴方に会いたかったんですよ! こーんなに可愛い僕になつかれて悪い気はやっぱりしないでしょ? だから殺さないで!! ね!
「だが勝手に部屋から出てはいけない。今回は運良く俺に出会えたは良いがもし会えずにお前が怪我でもしたらメイドも執事だって困るだろう。リルネール、お前は幼くとも第二王子。俺の弟。分別はつけなければならない、わかるか?」
「あっ、も、もうしわけありましぇん…」
「よく謝れた。悪いことだと分かったのだな。ならば次から気をつければ良い。俺に会いたければ誰かに言付けを頼め、時間があればお前に会いに行こう」
「ほんとうでしゅか!? うれしいでしゅ!」
おおおっ!! 第一関門は突破と見て良いかしら? アレクセイお兄さまはまだニコニコにしているし、しかも、僕の頭を撫でてくれた!! 男前にチヤホヤされるのはだいぶメンタルに良いな。これからも頑張ろう! ……な、なんか見かけに寄らずそっと撫ぜられている。もっと力強くわしゃわしゃされるかと思っていたのに……なんだかくすぐったくなってしまうな…やばい、恥ずかしくなってきた。顔が火照ってくるのがわかるぞ!? なんだこれ、恥ずかしい!!
「それにしてもよく挨拶が出来たな、リルネール。誰かに教わったのか?」
「あ、あの、その…メイドたちがりりゅにいうんです。わたしはだれだれです、よろしくおねがいいたしましゅって…まちがっていましたか?」
「いや、先ほども言ったがよく出来ていた」
「よ、よかったでしゅ!」
やばい、これは思ったよりもうれしいぞ。リルネールとして生まれて一番嬉しい瞬間かもしれない。いや、嬉しい! 嬉しいぞ、なんだこれ! 待て待て僕。待つんだリルネールよ! 僕はアレクセイお兄さまに殺されないように媚びまくらないといけないんだぞ! こんな事でいちいち照れたりしていてどうするんだ。落ち着けよ、くーるになるんだ。リルネール・アマリア=バーグレイ!!
「…?リルネール、顔が赤いな。風邪をひくといけない、部屋まで送ろう」
「え?っひゃあっ!!」
だっ抱っこされた! 抱っこされてるよ僕! どどどどうしよう。ぁ、な、なんか良い匂いする…
「はは、すまない。急に抱き上げたのは不味かったか、下ろすか?」
「い、いえ!ありぇくしぇいおにいしゃまがよろしけりぇば、このままがいいでしゅ……お、おにいしゃま、ありぇくしぇいおにいしゃまはなぜだかよいかおりがしましゅね」
「ん、そうか…?特に香水はつけていないが……」
「そうなんでしゅか、そりぇは、その…」
「いや、香油の香りかもしれないな。手に塗ったのを思い出した、ほら、この香りだろう?好きならばお前に贈ろう」
え、おわ、手が近くにきた。すん、と、匂いを嗅ぐが違う。いい香りだし好きだけどうーむこの香りじゃあないんだよな~…え、もっ、もしかしてもしかするとふぇ、ふぇろもん的な?フェロモン的なそれなのか?? ええい! こうなりゃやけじゃ!
「いいにおいでしゅ…ありがたくいただきましゅね、ありぇくしぇいおにいしゃま」
「ああ」
ああ~~はちゃめちゃな男前がふんわり笑ってる~??!!
「ふぐっ」
「どうしたリルネール?どこか痛むか?」
「い、いえ。だいじょうぶれしゅ」
ま、まずい、僕にメロメロになってもらうつもりが僕“が”メロメロになってしまいそうだ。うん!ここは戦略的撤退! 寝たフリ作戦で今日の媚び媚びは終わり! お疲れ様でした!!
「……ん?なんだ、寝てしまったのか。はは、可愛いものだな。ただの子供じゃないか」
「(な、なんだ…?)」
「……リルネール。俺の弟よ。アレクセイと俺に呼びかけてくれたのは、実は二度目だったんだぞ」
「(え! や、やばい…全然覚えてないし!! 確かに初めての言葉は『アレクセイお兄さま』ですがあの時いたの…!? ぜ、全然わからん。僕記憶力そんなになかったけ?!)」
き、聞きたい。いつそんなことになったのかまじで知りたい! 他に粗相はしていないかとか本当に知りたい!!
残念、ベッドに下ろされてしまった。うん、まあすぎたことは仕方ないか。それに目を瞑ってたらなんだか本当に眠くなってきたし……よし寝るか! おやすみなさい!! 改めてお疲れ様でした! 僕!!
ふらふらしながら、「んしょ、ん、ふ」とよちよち歩けば向かいから人影がいくつか…あ、なんかすっごいかっこいい!! あとなんか偉い人オーラが出てる!! いや、か、かっこいいぃ~…嘘じゃん、絶対この人がアレクセイお兄さまでしょ。十三とは思えない程顔が良い。え~イケメンというか、男前! って感じかな? 僕は美人~って感じの顔だけど、男ならアレクセイお兄さまみたいな顔の方に憧れちゃうよなぁ。
あ、目が合った。
「…お前は、そうか。リルネールか。何故ここに一人でいる?従者…メイドはどうしたんだ」
「ありぇくしぇいおにいしゃまに、お会いするためです。りりゅねーるは、おにいしゃまにお会いしたくて、ぬけだしてきたのです…あなたはどなたでしゅか?」
「……俺がアレクセイだ」
し っ て る
さーてアレクセイお兄さま!僕にメロメロになって下さいね!!いやマジで、お願いします!
「わあっ!ほんとうでしゅか!ずっとお会いしたかったのでしゅ!あ、えと、あの…りりゅは、りりゅ、りりゅねーるといいましゅ!ありぇくしぇいおにいしゃまっ!」
精一杯の笑顔と辿々しい口調。頭が重くてこけそうになりながらもなんとかやり切ったお辞儀。口がまだうまく回らないのでアレクセイお兄さまと上手く言えないがそこはこの顔面に免じて許してくれるよね? ね? アレクセイお兄さま??
「そうか…俺に会いたかったのか、リルネール」
お? 脈ありか? 違うか。でも怒ってない! むしろ笑顔だ! そうそう貴方に会いたかったんですよ! こーんなに可愛い僕になつかれて悪い気はやっぱりしないでしょ? だから殺さないで!! ね!
「だが勝手に部屋から出てはいけない。今回は運良く俺に出会えたは良いがもし会えずにお前が怪我でもしたらメイドも執事だって困るだろう。リルネール、お前は幼くとも第二王子。俺の弟。分別はつけなければならない、わかるか?」
「あっ、も、もうしわけありましぇん…」
「よく謝れた。悪いことだと分かったのだな。ならば次から気をつければ良い。俺に会いたければ誰かに言付けを頼め、時間があればお前に会いに行こう」
「ほんとうでしゅか!? うれしいでしゅ!」
おおおっ!! 第一関門は突破と見て良いかしら? アレクセイお兄さまはまだニコニコにしているし、しかも、僕の頭を撫でてくれた!! 男前にチヤホヤされるのはだいぶメンタルに良いな。これからも頑張ろう! ……な、なんか見かけに寄らずそっと撫ぜられている。もっと力強くわしゃわしゃされるかと思っていたのに……なんだかくすぐったくなってしまうな…やばい、恥ずかしくなってきた。顔が火照ってくるのがわかるぞ!? なんだこれ、恥ずかしい!!
「それにしてもよく挨拶が出来たな、リルネール。誰かに教わったのか?」
「あ、あの、その…メイドたちがりりゅにいうんです。わたしはだれだれです、よろしくおねがいいたしましゅって…まちがっていましたか?」
「いや、先ほども言ったがよく出来ていた」
「よ、よかったでしゅ!」
やばい、これは思ったよりもうれしいぞ。リルネールとして生まれて一番嬉しい瞬間かもしれない。いや、嬉しい! 嬉しいぞ、なんだこれ! 待て待て僕。待つんだリルネールよ! 僕はアレクセイお兄さまに殺されないように媚びまくらないといけないんだぞ! こんな事でいちいち照れたりしていてどうするんだ。落ち着けよ、くーるになるんだ。リルネール・アマリア=バーグレイ!!
「…?リルネール、顔が赤いな。風邪をひくといけない、部屋まで送ろう」
「え?っひゃあっ!!」
だっ抱っこされた! 抱っこされてるよ僕! どどどどうしよう。ぁ、な、なんか良い匂いする…
「はは、すまない。急に抱き上げたのは不味かったか、下ろすか?」
「い、いえ!ありぇくしぇいおにいしゃまがよろしけりぇば、このままがいいでしゅ……お、おにいしゃま、ありぇくしぇいおにいしゃまはなぜだかよいかおりがしましゅね」
「ん、そうか…?特に香水はつけていないが……」
「そうなんでしゅか、そりぇは、その…」
「いや、香油の香りかもしれないな。手に塗ったのを思い出した、ほら、この香りだろう?好きならばお前に贈ろう」
え、おわ、手が近くにきた。すん、と、匂いを嗅ぐが違う。いい香りだし好きだけどうーむこの香りじゃあないんだよな~…え、もっ、もしかしてもしかするとふぇ、ふぇろもん的な?フェロモン的なそれなのか?? ええい! こうなりゃやけじゃ!
「いいにおいでしゅ…ありがたくいただきましゅね、ありぇくしぇいおにいしゃま」
「ああ」
ああ~~はちゃめちゃな男前がふんわり笑ってる~??!!
「ふぐっ」
「どうしたリルネール?どこか痛むか?」
「い、いえ。だいじょうぶれしゅ」
ま、まずい、僕にメロメロになってもらうつもりが僕“が”メロメロになってしまいそうだ。うん!ここは戦略的撤退! 寝たフリ作戦で今日の媚び媚びは終わり! お疲れ様でした!!
「……ん?なんだ、寝てしまったのか。はは、可愛いものだな。ただの子供じゃないか」
「(な、なんだ…?)」
「……リルネール。俺の弟よ。アレクセイと俺に呼びかけてくれたのは、実は二度目だったんだぞ」
「(え! や、やばい…全然覚えてないし!! 確かに初めての言葉は『アレクセイお兄さま』ですがあの時いたの…!? ぜ、全然わからん。僕記憶力そんなになかったけ?!)」
き、聞きたい。いつそんなことになったのかまじで知りたい! 他に粗相はしていないかとか本当に知りたい!!
残念、ベッドに下ろされてしまった。うん、まあすぎたことは仕方ないか。それに目を瞑ってたらなんだか本当に眠くなってきたし……よし寝るか! おやすみなさい!! 改めてお疲れ様でした! 僕!!
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
冷酷無慈悲なラスボス王子はモブの従者を逃がさない
北川晶
BL
冷徹王子に殺されるモブ従者の子供時代に転生したので、死亡回避に奔走するけど、なんでか婚約者になって執着溺愛王子から逃げられない話。
ノワールは四歳のときに乙女ゲーム『花びらを恋の数だけ抱きしめて』の世界に転生したと気づいた。自分の役どころは冷酷無慈悲なラスボス王子ネロディアスの従者。従者になってしまうと十八歳でラスボス王子に殺される運命だ。
四歳である今はまだ従者ではない。
死亡回避のためネロディアスにみつからぬようにしていたが、なぜかうまくいかないし、その上婚約することにもなってしまった??
十八歳で死にたくないので、婚約も従者もごめんです。だけど家の事情で断れない。
こうなったら婚約も従者契約も撤回するよう王子を説得しよう!
そう思ったノワールはなんとか策を練るのだが、ネロディアスは撤回どころかもっと執着してきてーー!?
クールで理論派、ラスボスからなんとか逃げたいモブ従者のノワールと、そんな従者を絶対逃がさない冷酷無慈悲?なラスボス王子ネロディアスの恋愛頭脳戦。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる