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其れは天使などではない
五話 はじめての遠乗り
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六歳になったよ!! リルネール・アマリア=バーグレイです!!!
いやああれから三年、僕めちゃくちゃ頑張った。お兄さまと一緒にお勉強したり、お兄さまと一緒にお風呂入ったり、お兄さまと一緒に寝たり……い、いや大変だったんだって! 本当だよ?? みんなもあの良い匂いのする男前と四六時中べったりする気持ちを味わって欲しい。トキメキ通り越して気疲れするから。
なぜだかお兄さまは僕にめちゃくちゃ優しいしさ。僕のキラキラオーラや愛らしすぎる顔面に陥落したのかとも思ったが、どれだけ笑みをたたえていても芯のぱっきりとした雰囲気は崩れた事はないからそういうわけでもないみたいで。
そうそう、六歳になってだいぶ口も回るようになった。きちんと「アレクセイお兄さま」って言えるようになり石の疎通も円滑に…なったのか?僕の頭の出来は相変わらずだからちゃんとしているかは分からないや。背も伸びたんだよ! いや、標準の六歳児より小さいことに変わりはないんだけれどね。でも、そんな成長した僕にアレクセイお兄さまからプレゼントに遠乗り体験をさせて貰えることになりました!というより、ゴリ押しで連れて行ってもらうようにしました。
だって! ここに僕を害そうなんて気概のある奴はいないだろうけどもしかしたらもしかするかもしれないでしょう? そんな事になったら僕、一瞬で死んじゃうと思うんだよね。溢れる魔力はあるけれども、強大な魔法が使えるわけじゃあないからもう一瞬で『ぷちっ』だよ。
だから泣いた。「アレクセイさまが遠乗りに出かけられるようですよ。お見送りをいたしましょう」なーんてメイドに言われて、は??!! ってなったし。今までもアレクセイお兄さまは何事もなく、僕に伝える事なく何度も行っているんだろうけどさ、このタイミングで僕に言う?? メイドもしかして僕のこと嫌いか? もうしょうがないから泣いたよ。久しぶりに泣いたせいで口も回らなくて「りりゅをおいていかないでくださいまし……」なんて情けない感じになっちゃったけどさ。でも情けなくて良いから僕を置いて行かないで欲しい。そっちが先に僕を不安にさせたんだから、アレクセイお兄さまは僕の不安を解消するために一緒に遠乗りへ行く義務が発生したんだからね! 拒否権とかないから! この僕の愛らしく美しいぷりてぃふぇいすとほっそりとした身体に縋り付かれてまさか拒否なんてないよね? ね?? まあめちゃくちゃ悩まれたけどね。最終的には僕の勝利よ! はーっはっはっはー!!
「あ、アレクセイお兄さま…どうか、どうかりりゅをおいていかないでくださいまし…」
「しかし、魔物のいない森とはいえリルネールの体躯では、馬に乗るのも一苦労だろう。俺が抱えて行くにしても体調が心配だ。お前の美しい肌が焼けてしまうのは俺としてはあまりよく思えない」
「体調は問題ありません! 今日の御医の診察でも問題ないと言われました! 肌が心配なのであれば、ほら、持ってきた日除けを被ります…! お願いですお兄さま、リルは、リルネールはお兄さまと離れたくありません…」
「お前はまた…急に頑固になるな。ああ、わかった俺の前に乗りなさい」
「わ! ありがとうございます! アレクセイお兄さま!」
ほなら? 勝利よ! 勝利!
しっかし、この馬は大きいなぁ。なんだか艶々してるし、毛並みが良いんだな。ひょいと抱えられる前にちらとみた瞳は随分理知的だ。き、君も転生者だったり……する? しない? わ、わかんない…
お兄さまは十六になってさらにガタイが良くなった。なんだか本当に王子様なんだなって気品だって持ち合わせている。僕は媚びるために一緒にお風呂に入った時にその黒髪が案外硬いことも、湯船に使った黄金の瞳が蕩けるところも、今は隠れている体躯が力強い筋肉に覆われていることだって知っている。今のアレクセイお兄さまは前を向いて馬の手綱を捌いている。僕がいて勝手が違うから邪魔だろうに、馬に初めて乗った僕の負担にならないような進み方だ。
「どうだ、目線が高いと気持ちがいいだろう。それとも怖いか?」
「いえ! とても楽しいです。アレクセイお兄さま」
「ふ、そうか」
そういえば、今日はどこまで行く予定だったんだろうか?僕のせいで短くなったりとかしたら申し訳ないな……いやいや! これも僕が死なないためだし! というか今更ながら迷惑をかけていそうなこの選択はもしや悪手だったり…する? や、やばい、どうしよう
「……今日はもとより奥の湖に行くつもりだった。さほど距離は無い。リルネールで合っても往復できるだろう」
「え」
「だからそのような顔をするな。リルネール」
「ぁ、アレクセイお兄さま……リルはご迷惑では…」
「はは、今更だろう? それに、これほどのこと、迷惑のうちに入らない」
「アレクセイお兄さま!」
嬉しくって僕、思わず振り返ってぴっとりくっついちゃったよ!! これは媚びの成果が出ている証拠では? いやあ頑張ってる甲斐がある~~そうそう、こうやって成果が感じられると更にやる気が出るってもんよな~
ぱかぱかと揺られること僕の体感で十五分くらい?本当はもっと短いのかしら。うー、わかんない。急に視界が開けたら、目の前がおっきい湖! 太陽の光が差し込んで水面がキラキラ輝いて、周りが白詰草っぽい花の花畑。まさにファンタジーの湖って感じの光景に思わず「わあっ!」と声を出してしまった。え、めっちゃよくない? この光景! しゃ、写真撮りたい、写機持ってくればよかった!!
「どうだリルネール。気に入ったか?」
「はいアレクセイお兄さま…! こんな素敵なところがあったなんて…お兄さまは今までも来たことがおありなのですよね?」
「ああそうだ、執務の合間に息抜きに来ている」
「ずるいです! 僕に秘密でここに何度も訪れるなんて…! リルネールは怒っています!」
「ふ、そう怒るなリルネール。これからはお前も連れて来よう」
「ほ、本当ですか?! やったあ!」
う、うれし~~!! 言質取ったぞ、アレクセイお兄さま! こんな素敵なところに来れるなんて僕幸せだあ…あ、そうだ!
「お兄さま、少し降ろしてもらってもよろしいですか?」
「ああ構わない。ほら」
標準より小さいとはいえ六歳児を軽々と持ち上げるとは…お兄さまさてはキン肉マンだな?
さて、降ろしてもらってやることは一つ。湖に花畑、儚げな美少年とくればアレでしょ! 花冠!! サッと綺麗なものを選んでちょいちょいっと編んでいく。こういうのは得意なんだな~魔力の制御はまだできなくて垂れ流しなのにね!!
よしできた。
「アレクセイお兄さま! これを差し上げます。…受け取っていただけますか?」
「これは……冠か。花冠、ふ、いいだろう。のせてくれるか?」
「はい!」
ふふふん、会心の出来のそれを、アレクセイお兄さまの頭にそっと乗せる。うーんにあ、に、うんギリ似合う! 男前でも似合うもんなんだなぁ…花冠のポテンシャルしゅごい。というよりアレクセイお兄さまがすごいのか。
「お似合いです。アレクセイお兄さま」
「そうか。ありがとうリルネール」
「はいお兄さま!」
うーんなんだか冠を作っただけなのに眠くなってきたぞ。や、やばい目蓋が落ちてくる。どうしてどうして??
「リルネール?眠いのか」
「も、うしわけありません…何故だか、とても眠いのです……」
「───無理もあるまい。いい、寝てしまえ。お前一人抱えて帰ることなどわけはない」
「はい、お言葉に、甘えさせていただきます……」
初めての遠乗り。僕が最後に見たのは優しく微笑むアレクセイお兄さまとやけに淡くほんわりと光ってる花冠だった。も、もう限界。おやすみなさい、ぐぅ。
いやああれから三年、僕めちゃくちゃ頑張った。お兄さまと一緒にお勉強したり、お兄さまと一緒にお風呂入ったり、お兄さまと一緒に寝たり……い、いや大変だったんだって! 本当だよ?? みんなもあの良い匂いのする男前と四六時中べったりする気持ちを味わって欲しい。トキメキ通り越して気疲れするから。
なぜだかお兄さまは僕にめちゃくちゃ優しいしさ。僕のキラキラオーラや愛らしすぎる顔面に陥落したのかとも思ったが、どれだけ笑みをたたえていても芯のぱっきりとした雰囲気は崩れた事はないからそういうわけでもないみたいで。
そうそう、六歳になってだいぶ口も回るようになった。きちんと「アレクセイお兄さま」って言えるようになり石の疎通も円滑に…なったのか?僕の頭の出来は相変わらずだからちゃんとしているかは分からないや。背も伸びたんだよ! いや、標準の六歳児より小さいことに変わりはないんだけれどね。でも、そんな成長した僕にアレクセイお兄さまからプレゼントに遠乗り体験をさせて貰えることになりました!というより、ゴリ押しで連れて行ってもらうようにしました。
だって! ここに僕を害そうなんて気概のある奴はいないだろうけどもしかしたらもしかするかもしれないでしょう? そんな事になったら僕、一瞬で死んじゃうと思うんだよね。溢れる魔力はあるけれども、強大な魔法が使えるわけじゃあないからもう一瞬で『ぷちっ』だよ。
だから泣いた。「アレクセイさまが遠乗りに出かけられるようですよ。お見送りをいたしましょう」なーんてメイドに言われて、は??!! ってなったし。今までもアレクセイお兄さまは何事もなく、僕に伝える事なく何度も行っているんだろうけどさ、このタイミングで僕に言う?? メイドもしかして僕のこと嫌いか? もうしょうがないから泣いたよ。久しぶりに泣いたせいで口も回らなくて「りりゅをおいていかないでくださいまし……」なんて情けない感じになっちゃったけどさ。でも情けなくて良いから僕を置いて行かないで欲しい。そっちが先に僕を不安にさせたんだから、アレクセイお兄さまは僕の不安を解消するために一緒に遠乗りへ行く義務が発生したんだからね! 拒否権とかないから! この僕の愛らしく美しいぷりてぃふぇいすとほっそりとした身体に縋り付かれてまさか拒否なんてないよね? ね?? まあめちゃくちゃ悩まれたけどね。最終的には僕の勝利よ! はーっはっはっはー!!
「あ、アレクセイお兄さま…どうか、どうかりりゅをおいていかないでくださいまし…」
「しかし、魔物のいない森とはいえリルネールの体躯では、馬に乗るのも一苦労だろう。俺が抱えて行くにしても体調が心配だ。お前の美しい肌が焼けてしまうのは俺としてはあまりよく思えない」
「体調は問題ありません! 今日の御医の診察でも問題ないと言われました! 肌が心配なのであれば、ほら、持ってきた日除けを被ります…! お願いですお兄さま、リルは、リルネールはお兄さまと離れたくありません…」
「お前はまた…急に頑固になるな。ああ、わかった俺の前に乗りなさい」
「わ! ありがとうございます! アレクセイお兄さま!」
ほなら? 勝利よ! 勝利!
しっかし、この馬は大きいなぁ。なんだか艶々してるし、毛並みが良いんだな。ひょいと抱えられる前にちらとみた瞳は随分理知的だ。き、君も転生者だったり……する? しない? わ、わかんない…
お兄さまは十六になってさらにガタイが良くなった。なんだか本当に王子様なんだなって気品だって持ち合わせている。僕は媚びるために一緒にお風呂に入った時にその黒髪が案外硬いことも、湯船に使った黄金の瞳が蕩けるところも、今は隠れている体躯が力強い筋肉に覆われていることだって知っている。今のアレクセイお兄さまは前を向いて馬の手綱を捌いている。僕がいて勝手が違うから邪魔だろうに、馬に初めて乗った僕の負担にならないような進み方だ。
「どうだ、目線が高いと気持ちがいいだろう。それとも怖いか?」
「いえ! とても楽しいです。アレクセイお兄さま」
「ふ、そうか」
そういえば、今日はどこまで行く予定だったんだろうか?僕のせいで短くなったりとかしたら申し訳ないな……いやいや! これも僕が死なないためだし! というか今更ながら迷惑をかけていそうなこの選択はもしや悪手だったり…する? や、やばい、どうしよう
「……今日はもとより奥の湖に行くつもりだった。さほど距離は無い。リルネールで合っても往復できるだろう」
「え」
「だからそのような顔をするな。リルネール」
「ぁ、アレクセイお兄さま……リルはご迷惑では…」
「はは、今更だろう? それに、これほどのこと、迷惑のうちに入らない」
「アレクセイお兄さま!」
嬉しくって僕、思わず振り返ってぴっとりくっついちゃったよ!! これは媚びの成果が出ている証拠では? いやあ頑張ってる甲斐がある~~そうそう、こうやって成果が感じられると更にやる気が出るってもんよな~
ぱかぱかと揺られること僕の体感で十五分くらい?本当はもっと短いのかしら。うー、わかんない。急に視界が開けたら、目の前がおっきい湖! 太陽の光が差し込んで水面がキラキラ輝いて、周りが白詰草っぽい花の花畑。まさにファンタジーの湖って感じの光景に思わず「わあっ!」と声を出してしまった。え、めっちゃよくない? この光景! しゃ、写真撮りたい、写機持ってくればよかった!!
「どうだリルネール。気に入ったか?」
「はいアレクセイお兄さま…! こんな素敵なところがあったなんて…お兄さまは今までも来たことがおありなのですよね?」
「ああそうだ、執務の合間に息抜きに来ている」
「ずるいです! 僕に秘密でここに何度も訪れるなんて…! リルネールは怒っています!」
「ふ、そう怒るなリルネール。これからはお前も連れて来よう」
「ほ、本当ですか?! やったあ!」
う、うれし~~!! 言質取ったぞ、アレクセイお兄さま! こんな素敵なところに来れるなんて僕幸せだあ…あ、そうだ!
「お兄さま、少し降ろしてもらってもよろしいですか?」
「ああ構わない。ほら」
標準より小さいとはいえ六歳児を軽々と持ち上げるとは…お兄さまさてはキン肉マンだな?
さて、降ろしてもらってやることは一つ。湖に花畑、儚げな美少年とくればアレでしょ! 花冠!! サッと綺麗なものを選んでちょいちょいっと編んでいく。こういうのは得意なんだな~魔力の制御はまだできなくて垂れ流しなのにね!!
よしできた。
「アレクセイお兄さま! これを差し上げます。…受け取っていただけますか?」
「これは……冠か。花冠、ふ、いいだろう。のせてくれるか?」
「はい!」
ふふふん、会心の出来のそれを、アレクセイお兄さまの頭にそっと乗せる。うーんにあ、に、うんギリ似合う! 男前でも似合うもんなんだなぁ…花冠のポテンシャルしゅごい。というよりアレクセイお兄さまがすごいのか。
「お似合いです。アレクセイお兄さま」
「そうか。ありがとうリルネール」
「はいお兄さま!」
うーんなんだか冠を作っただけなのに眠くなってきたぞ。や、やばい目蓋が落ちてくる。どうしてどうして??
「リルネール?眠いのか」
「も、うしわけありません…何故だか、とても眠いのです……」
「───無理もあるまい。いい、寝てしまえ。お前一人抱えて帰ることなどわけはない」
「はい、お言葉に、甘えさせていただきます……」
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