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一章(9)
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今までずっと革命の指導者は悪い人だと教えられてきた。けれどエリクは彼らをいい人だと言う。あまつさえ「俺たちのヒーロー」だと。
となるとどちらかが間違っているはずだが、どうやって判断すればよいのだろう? アデライドにはどちらも正しいように聞こえて、戸惑うことしかできなかった。
うう、と頭を抱えていれば、「……どうかしたのか?」とエリクが尋ねてくる。その顔は心配げで。
「だ、大丈夫よ。ただちょっと混乱しちゃっただけだから」
ぎこちないと自覚しながらも笑顔を浮かべれば、「そっか」と言ってエリクは再度正面を向く。
そして、口を開いた。
「俺たちがこうして革命の指導者を讃えるなんておかしいって思う?」
まさにその通りで、アデライドは目を見開いて彼を見つめた。エリクはその気持ちすらも察したのだろう、「他国からはあまりいいように言われていないってことくらい、誰だって知ってるよ」と苦笑する。
少し居心地が悪くて、アデライドはぷいっとそっぽを向いた。嫌われてしまっただろうか、とちょっとだけ不安になる。
すると背後からエリクの笑い声が聞こえた。
「確かに、自国の王を弑するためにほかの民衆を先導して革命を起こした人物だなんて、すごく悪者っぽい」
でも。声につられて彼のほうをちらりと窺えば、彼は穏やかな笑みを浮かべていて。
「この国の人間からしたら、彼らは英雄なんだよ」
さあっと風が駆け抜ける。赤茶色の髪がふわりと靡いた。その隙間から見える瞳は、真摯な光をたたえていて。
アデライドはごくりと唾を呑み込む。なんとなく肌がピリピリとして、緊張感が全身を包み込んだ。
エリクがこちらに視線を向ける。
「――革命の指導者についてどう思う?」
その質問に思わず視線をさまよわせる。どう思うのか。そんなの答えは一つだけしかない。
アデライドはそっと目を伏せ、口を開いた。
「……わからないわ。わたしには、わからない。だってエリクっていい人そうなのに、今まで教えられてきたこととは逆のことを言うんだもの」
するとエリクは満足そうな笑みを浮かべる。
「そう思っていただけただけで充分だよ。――アデラ、このまま考え続けてくれ。ただ与えられた情報だけで革命の指導者を悪い人だと決めつけるようなことはせず、自分の目で、耳で情報を集め、判断してくれ」
静かな眼差しに射抜かれ。
アデライドはしっかりと頷いた。
「わかったわ。できるのかはわからないけど、頑張ってみる」
エリクはクスリと笑った。
「ああ、よろしく。アデラみたいにそうやって考えてくれる人が増えてくれれば、きっと彼らも喜ぶよ」
「そうかしら? ……そうだったらいいわね」
彼につられて、アデライドもかすかに笑みをこぼした。
となるとどちらかが間違っているはずだが、どうやって判断すればよいのだろう? アデライドにはどちらも正しいように聞こえて、戸惑うことしかできなかった。
うう、と頭を抱えていれば、「……どうかしたのか?」とエリクが尋ねてくる。その顔は心配げで。
「だ、大丈夫よ。ただちょっと混乱しちゃっただけだから」
ぎこちないと自覚しながらも笑顔を浮かべれば、「そっか」と言ってエリクは再度正面を向く。
そして、口を開いた。
「俺たちがこうして革命の指導者を讃えるなんておかしいって思う?」
まさにその通りで、アデライドは目を見開いて彼を見つめた。エリクはその気持ちすらも察したのだろう、「他国からはあまりいいように言われていないってことくらい、誰だって知ってるよ」と苦笑する。
少し居心地が悪くて、アデライドはぷいっとそっぽを向いた。嫌われてしまっただろうか、とちょっとだけ不安になる。
すると背後からエリクの笑い声が聞こえた。
「確かに、自国の王を弑するためにほかの民衆を先導して革命を起こした人物だなんて、すごく悪者っぽい」
でも。声につられて彼のほうをちらりと窺えば、彼は穏やかな笑みを浮かべていて。
「この国の人間からしたら、彼らは英雄なんだよ」
さあっと風が駆け抜ける。赤茶色の髪がふわりと靡いた。その隙間から見える瞳は、真摯な光をたたえていて。
アデライドはごくりと唾を呑み込む。なんとなく肌がピリピリとして、緊張感が全身を包み込んだ。
エリクがこちらに視線を向ける。
「――革命の指導者についてどう思う?」
その質問に思わず視線をさまよわせる。どう思うのか。そんなの答えは一つだけしかない。
アデライドはそっと目を伏せ、口を開いた。
「……わからないわ。わたしには、わからない。だってエリクっていい人そうなのに、今まで教えられてきたこととは逆のことを言うんだもの」
するとエリクは満足そうな笑みを浮かべる。
「そう思っていただけただけで充分だよ。――アデラ、このまま考え続けてくれ。ただ与えられた情報だけで革命の指導者を悪い人だと決めつけるようなことはせず、自分の目で、耳で情報を集め、判断してくれ」
静かな眼差しに射抜かれ。
アデライドはしっかりと頷いた。
「わかったわ。できるのかはわからないけど、頑張ってみる」
エリクはクスリと笑った。
「ああ、よろしく。アデラみたいにそうやって考えてくれる人が増えてくれれば、きっと彼らも喜ぶよ」
「そうかしら? ……そうだったらいいわね」
彼につられて、アデライドもかすかに笑みをこぼした。
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